スクラップ＆ビルド

道具には使い方がある。

使い方には目的がある。

目的は使い手にしかわからない。

ひとつ。

誰もが知らない形式だけの国家。

まずそれを、国際連合に吸収する。

ふたつ。

誰もが知っている形式だけになった国家。

次にそれを、国際連合に統合する。

みっつ。

誰もが知っている唯一の国家。

最後に日本が、国際連合を吸収する。

そして最期に、日本は国際連合に看板を付け替える。

何故かって？

新しいことを始めるときには「またか」と思わせるのが肝要だから。

前例依存症は日本の官僚、だけでなし。

ワシントンにだってロンドンにだって、北京にだっている。

って意味じゃないから。

形だけを判り、理解を拒絶する。

昨日と明日を同一視して、今日を見ない。

ため込むことに熱心で、利用することは否定する。

人間、いや、動物の本能、いやさ、性質よ。

だ・か・ら。

段階を踏んだように見せかけ、安心させる。

騙された形を造り、言い訳の余地を造る。

変化を繕って見せて、見えないふりを赦す。

最期？

大衆は賢い。

多世界を覆う覇権国家。

誰がそんなモノになりたがるの。

日本人が患う小国病。

一国平和主義でも、一般的に孤立主義でも、呼び名は何でも構わない。

その正体はこれ。

ごく平凡な生存本能。

よくあるよくある。

誰でも自殺はしたくない。

正常でさえあれば。

私が言うなって話？

私は貴方たちの代理で話してるのよ。

私には依頼人にすべてを情報を伝える義務がある

故に「覇権国家」について、貴方はこう考えています。

自分で、馬鹿の導きでやる羽目になった。

破滅した。

それまで、数百年の資産をどぶにすてて。

他人が、やらかしているのを下から見上げた。

破滅した。

アメリカ連邦もソビエト連邦も、大英帝国も。

そんな社会法則を目にすれば、覇権主義を侮蔑して当然。

馬鹿になるのも、馬鹿を見るのも御免。

その傘下で居ることには、それなりの利益はあった？

それも怪しいわ。

一時の利益は、先食いだったんじゃないの。

持続的収益に比べれば投機的利益など、話にならない。

株式の配当。

株式の差額。

金持ちが計算するのは、配当。

貧乏人が希望するのが、差益。

十年以上保有できないなら、投資なんてするものじゃないわね。

日本で覇権主義が冷笑されるのは当然でしょう。

他にすがるものがない貧乏人じゃあるまいし。

私的承認欲求を満たせない不具者の公開自慰ね。

勲章を欲しがるのは侮蔑されてるから。

古今東西、何処も同じ。

「ボク馬鹿じゃないもん！勲章を持てるんだから！」

わーお。

大衆から孤立した自称知識階級。

支配と奉仕を転倒させた権威主義者。

おなじく皆から侮蔑される自閉人格者。

うん。

気持ち悪い。

撃たれないだけ理性的。

それをやれと言われたら、銃口を咥えるわ。

それをやらざるを得ないのが、あなた方なわけだけど。

それを好きでやっているとは、思われない。

ここまでがあなた方が置かれた状況。

仮釈放なしの終身刑。

ご愁傷さま。

だからこその、よっつめ、最後。

これはサービス。

鎮痛剤。

クラックが無きゃ耐えられないでしょう？

国際連合という看板で、日本という幻想を守るの。

「覇権」なんていう穢れから、ね。

Ｔａｘ ｈａｖｅｎ？

もちろん。

ちゃんと作るわよ。

責任回避地。

統一された多世界。

そんな邪魔くさいモノを、誰が造るもんですか。

覇権という失敗はぜ～んぶ、回避してあげる。

それはもちろん、既存のものだけは、だけれど。

「化外の地」っていったかしら。

誰の管轄でもない世界を一つ。

誰の管轄でもある世界を二つ三つ。

貴方たちでも彼らでもない世界が、二桁、届かないかも。

三番目だけは異世界に求めないといけないからね。

紙切れ一つでは造れないのよ。

私だけじゃなくて、我が家と御隣さんで進めてる。

ＯＫ？

そうね。

手順の大半は日本人のために造られてる。

他から不満が出る訳ないし。

？

無視していい範囲なら、無いのと同じ。

国家や民族の消滅再編成なんか、みんな手馴れてるから。

だからこそ、日本人だけが割を喰うのよ。

明日は世界を！

ならよかったのにね。

慰めの言葉もありません。

今日は多世界を……。

強く生きてね。

協力はするから。

だけだけれど。

そこからさき？

代理人に尋ねることじゃないわね。

貴方が日本の主でしょう。

今日は終わりだけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一応、言っておきます。

覇権を求めた連邦と各国、各州って言った方がいいかしら、を一緒にしないこと。

アメリカ人とニューヨーク人、ニューヨーク市民はそれぞれ全く違うから。

大阪府民と東京都民が同じ日本人、って考え方と混同しないように。

世界大戦なんぞに、合衆国圏内の各こ、各州民が積極消極どころか、こぞって参加したなんて思わないことね。

ありとあらゆる失敗をすべてしなくていいことまですべてコンプリートした私たちに任せなさい。

今度こそ今度こそ今度こそこんどこそ！

馬鹿はＤ.Ｃ.のクソ共だけだって証明してみせる！！

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、私は、考えている。

誰かは、まったく別の手順を考えているけれど。

私の考えに違背しないから、知らないことにしておくわ。

ん？

とみんとふみん？

同じ日本人じゃないって？

そこ？

《国際連合地球創設プログラム/ＮＹ州弁護士・外国法事務弁護士/合衆国大統領近親者として厚木基地在住》

【国際連合統治軍第１３集積地/聖都市内/中央/大神殿（改め建築楽器）内/中央に侵攻中/青龍の貴族】

さらに読み込むインターネット。

俺、ネットが広大で困惑中。

仮想の異世界観光ガイドまであるぞ、これ。

そのなかからピックアップ。

大神殿。

大、ってついているのは今のところ此処だけか。

俺たち国際連合が把握している限り。

太守領には神殿がいっぱいあるのにね。

升目状にってくらい規則的に。

農村部では、今でも地域の拠点らしい

異世界でも数少ない穀倉地帯はお金持ちだった、か。

過去形、つまり独立していた、十年前までは。

帝国に収奪される前は、ね。

むしろ穀物を得るために占領したんだろうし。

これからはしらん。

気候変動でも無けりゃ収穫は変わらんだろうけど。

人口変動でも無けりゃ消費も変わらんだろうけど。

穀物輸出の海上貿易路を日本が塞いでたんだけど。

そこでまあ太守領商人のみなさんは交易路の再建に動き始めたんだけどね。

※第６９話＜捕食者の宴/Ｐｒｅｄａｔｏｒ＞

帝国の徴税が無くなり、金持ちになったら。

太守領でも大な神殿を立てるかもしれないな。

その時は、ぜひ大神殿を見本にしてほしい。

遊びに行きます引退後。

地球でも異世界でも穀倉地帯は少なく、穀物は重要産業。

地球だって穀物メジャーって言葉が生まれたくらい。

一次資源の中では価格支配力が一番大きい。

石油や金にダイヤモンドなんか目じゃないですよ？

資源産出国は概ね後進国か発展途上国。

資源生産国は概ね中進国以上で先進国も多い。

日本とかフランスとか合衆国とか、ね。

これは魔法や奇跡を勘案しても、異世界で適用可能な経済法則、だろう。

工業化が進んでも儲かるだろう。

産業化が進む前なら大儲けだろう。

俺たち地球人には関係ないけど

でまあ反神殿な帝国施政下でも、神殿への敬意が続いていたってのが凄い。

もしかしたら農業と関係が？

奇跡ってのは気候や海流を祈る物だっていうしな。

豊穣（豊かな実り）豊饒（豊かな自然）を求めるなら、あり？

※奇跡と魔法の違いについては第６６話＜幕間：奇貨居くべし＞ など

巫女神官不在であれば形だけだろうけれど、気候地形を利用した都市楽器なら、物理法則だけで造れる。

今、太守領には無くても

異世界全体であと二つ三つはありそうだ。

大、神殿。

みつからない？

よく探せ！

占領しなきゃ！

って、どこかの誰かが立案中。

聴かなくっても見当はつく。

それは置いといて。

俺の耳、っーか心に心地よい、このうたは？

歌。

詩。

祝詞。

解説によれば宗教性はなさそうな、って、神なき異世界に変更なし。

帝国は、聖都に流れる歌を、最近まで知らなかった、か。

帝国軍が聖都に達する頃には、歌が中断していたわけね。

帝国軍密偵も、意外なほどに歌をスルーしていたらしい。

そりゃ軍事的な視点だけで見ていたから、だろうなあ。

大神殿居住者にとっても日常に溶け込んでいた。

だからこそ、平時に置いては誰も気にしていなかった。

戦時の非日常となれば余計に誰もが気にしない。

中断した理由は、やっぱりこれ。

戦時下に付け足された防御設備。

防壁や補強材に付け足された櫓に摘まれた土嚢他色々。

帝国に攻め落とされるまで増築。

まあ帝国軍に包囲されたらそうなるよね。

それが予定された風の流れを遮り建物の振動を抑えてしまった、わけか。

それがこの風を止めていたのが、聖都が包囲戦の中に在った、ここ十年。

それが陥落後、真っ先に防除施設は砕かれ、故に原初の形を取り戻した。

帝国軍の攻囲中、その前後は防御壁他で演奏が停止していた考えられる、と。

となれば風は予定通りに流れ始め、建物も想定通りに風を受ける。

だから祝詞が再開された

――――――――――ＵＮＥＳＣＯの分析。

毎日毎日、中断十年間くらいを挟んで、累計２～３万回は流れた祝詞。

乗り込んできた帝国軍には、ただの風音としか思えなかったわけだ。

陥落直後は防御施設がまだまだ残っていただろうから再開せず。

聖都解体作業で外側、剥がしやすい後付け防御施設が引っぺがされる。

そこから徐々に再開したんだろうしね。

歌に慣れていた聖都住民は、陥落したときに皆殺し。

往時を偲べる人自体がほぼいない。

いたとしたって、偲ぶべき場所の解体に立ち会いたいとは思うまい。

そりゃ、誰も気がつかんよね。

嫌な話だ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・？

中断中の間、十年余り。

音響効果を考えない構造物に風が遮られ乱されていた、わけか。

不協和音だったのかな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・呪詛だったりして。