幕間:踊る阿呆と観る間抜け。
【用語】
『インフォデミック』
:疫病に関する流言が拡散し社会を混乱させること。
具体的に何がどうかといえば、皆さんもう体験中ですよね?
WHOがやらかすことが多い、っていうか、やらかしたことしかない。いやIMFだって1960年代に「20世紀はソビエトが経済の覇者になる!」と予測して、1980年代は「20世紀は中華人民共和国が経済の覇者になる!!」と予測してるんだから推して知るべし。
一般的に「パンデミック」とは中世の「ペスト(死者だけで1億)」や第一次世界大戦期の「スペイン風邪(死者だけで5千万人)」など。なおインフルエンザ(毎年欠かさず30万前後が死にます)のようなちょろいウィルスはパンデミック扱いされない。なぜなら社会が正常に動作、つまり衣食住が保障され医療体制が整っている、場合にはほとんど死者が出ないから。「病気が原因で起きた被害」ではなく社会問題とみなされるのでパンデミックとは考えられない。WHOは時々思い出したようにパンデミック扱いすることもありますが、普通の国はスルー。
なのになぜか数千ぽっちの死者が出たかもしれない何かが「ぱんでみっく」だってよ。ああもちろん、そう言っている方々がそれを信じるほど馬鹿ではないのだろうが、可能性はすてきれない。虚偽癖とはまずもって自分を騙すっていうから侮れないが、まず精神病院に隔離しないと。
ただしインフォデミックの主役はWHOなどではない。
世情不安な国で起るので、まさに「お察し」ください。
起るというのか起こすというのかついカッとなったか。
香港問題が長期化して沿岸部で拡散、収拾がつかなくなっていた某国では、国内経済格差に伴う党内抗争が粛清で片付いたとかなんとか。
大統領選挙が近いのにイラ○との戦争が軌道に乗らず、いつものインフルエンザで途上国すらあり得ない戦果を挙げてしまい抜本的改革を叫ぶサンダース軍曹、じゃないサ○ダース議員が予備選をダッシュ中でどーにもならなくなりつつあるウォール街が選挙人登録阻止の演習を開始したとか。
政治生命をかけた国民投票で惨敗して失脚した政権の跡を継いだ少数与党で組閣しなおした内閣を延命させることが出来たけどそのさきどーなる長靴の国とか。
官僚独裁国家の約束された失政の為に装填されている日替わり切腹要員が弾切れでジャムったまま排莢出来ずに失われた40年目に突入することができたタツノオトシゴの国とか。
大統領を退くと収監されるのがお約束になっているのに、任期を全うできない前例も完成しどんな罰ゲームなのかなぜ立候補してしまったのか文字通り日々命を繋いでいる半島国家とか。
末期戦を戦う仲間が多いのは心強いですか?
かくして政策の失敗で引き続き悪化している経済は「パンデミックのせい」となり、政策の破綻で衰亡する社会は「パンデミックのせい」となり、続発するスキャンダルも外交関係の悪化もなにもかも「パンデミックのせい」なのですよ~。
何一つ解決しないが時間稼ぎに「天災と言い繕えるなにか」ほど都合がいいモノは無いわけで。しかもその「時間」が自分の死刑執行時刻ともなれば、全人類を巻き添えにしてもしがみ付くのも無理はない。
単に解決してしまえばいいことなのではあるけれど、それは断固拒否。
「バカって大変なんですね」としか言いようがない、というか言いましたが。
バカに怒るのは人としてどーなんでしょうか、と言われたら返す言葉もありません。
……もっとも直接見る限り、バカをやらされている人たちに、その自覚はあるようですけれども。
「ほんとうにあったこわいはなし」
例によって合衆国の話なんだがな。
新種のウィルス、細菌、病原物質。
珍しくもない。
毎年毎年、発見されない年がない。
当たり前だが、特効薬などない。
発見されたばかりなんだから、驚くこともない。
そしてもちろん話題にならない。
社会に影響がないからな。
治療法がない?
風邪にだってないさ。
通年おなじみの風邪。
そも症状を風邪と呼称しているだけで、原因は無数にあるのだがね。
その原因であることが多いウィルス類は不安定で変化を続ける。
故に治療薬が出来たときには別種のウィルスになっている。
だからこそ、生体に馴染んで共存できず、反発して疾患となる。
だが問題にはならない。
人体というのはウィルスに慣れているからだ。
人工的なワクチン造りでさえ、生体を利用せねばならない。
人体という安定化システムでウイルスは吸収。
最初から解決している。
風邪の治療とは、単純な対症療法でしかない。
人体がウィルスを飼いならすまで、時間稼ぎ。
外交決着が付くまで前線を維持するような物。
むしろ警察が犯人の投降まで周りを囲う、ようなものか。
例外となりうるのは、増殖率が極端に高い場合だな。
ウィルスは増殖の為に生体を利用する。
寄生した細胞を消費して、親族にしてしまうのだから。
生体の構成要素が消費破壊されるのだから劇症化する
インフルエンザはこの類だ。
潜伏期間が短い。
―――――――――増殖スピードが速いから。
感染力が強い。
―――――――――数が多くてあふれ出るから。
症状が重い。
―――――――――増えるときに生体を破壊するから。
だから話題にはなる。
それだけのこと。
一般の先進国なら、医療体制が整っているので話にもならない。
流行を事前に観察し予測し備えをため込む。
流行直前から対症療法を注ぎこんで前線を支える。
ウィルスが生体に飼いならされるのを待つ。
それだけのことだ。
もちろん後進国では「たかがそれだけ」が出来ないのだがね。
よって毎年、世界で数十万の死者が出る。
たかがインフルエンザ、ただそれだけ。
毎年起ると誰もが解りきっている病気で。
ああ。
我が国のことだよ。
合衆国では数万人の死者が出る。
感染者じゃない。
死者だ。
そんなことが毎年恒例年中行事。
ゾンビドラマが流行るわけだな。
未知の病原が瞬く間に全土を覆う「先進国」など、合衆国しかあるまい。
いやもちろん、「広大な第三世界」と呼ばれる向きもあるが。
「大いなるド田舎」改め、世界最大の後進地域。
諸君らの愛してくれた覇権国家。
便利な便利な「Deus ex māchinā」。
無知なるものの楽園、その正体。
総人口の半数が飢餓線をたどり。
四分の一がボーダーライン。
富裕層が5%程度。
飢餓線上の人々は国家なぞ意識にもない。
ボーダーラインこそ世界最強国家の幻想にすがる。
富裕層は、そも合衆国に依存していない。
合衆国市民に訊いてみれば何も解ってないと判る。
自分が所属する階層だけで、世界が完結しているから。
同じ平面上に存在していながら、まったく認識し合わない。
サイエンス・フィクションのテーマの様に。
世界最貧地域と世界最富裕地域が隣町。
互いが互いを無視している。
だからこそ、だ。
そんなことが続くはずがあるまい。
だからこそ、だ。
非常事態宣言が出された。
インフルエンザに対して、じゃないぞ。
日々、想念上は同胞の、誰かの家族の死に対して、ではない。
刻々と死に行く登録外の市民ではなく。
何万人がいつも通り病死しても「統治者」は気に留めない。
感染者が国内で多めに見て数千程度。
それによるかもしれない死者が国内数十程度。
全世界のいくつかの地域で確認されているくらいレア。
そんな、新種ウィルスに対して、非常事態宣言、だ。
無症状感染がおおく、つまりは増殖率が低い。
数が増えなければ感染リスクも無きに等しく。
ごく一般的で行き渡った対症療法で対処可能。
そんな新顔の、新種ウィルス、に非常事態宣言。
おなじみの、たかが、インフルエンザで同胞数万人が死んで行く中で、だ!
だからこそ、か。
19世紀レベルの医療、衣食住、公衆衛生を提供できない。
FOXTVは他人への憎悪をまき散らすだけ。
大統領選挙は極右と極左がにらみ合う。
戦時下。
災害時。
無政府状態に合衆国。
正常な社会であれば何の支障もない風邪で、大量死。
極右も極左も既存の体制への憎悪を募らせている。
何もせずに、何もさせずに、貧困と低俗をまき散らすだけ。
人民の人民による人民の為に人民へ向けたテロが続いて、なお。
だからこそ、さ。
新種ウィルスに、跳びついた。
何の脅威にもならない、そう確信できるから。
大勢の有権者には理解能力が無い、そう断言できるから。
他国にミサイルを撃ちこむよりは、マシになったというべきかね?
手垢のついた中東情勢では、誰も見向きもしてくれない。
スキャンダルまみれのパワーエリートなど、銃口しか向けられない。
身近に感じることが出来る恐怖で、強権をアピールする。
失敗国家の対症療法。
―――――――――病巣を温存したまま、患者を延命させる奇術。
破綻した社会を治そうとすれば、パワーエリートは吊るされる。
元凶だからな。
非常事態が続く限り、全員に耐乏を求めることが、正義となる。
有害というには可愛らしい、取るに足らない疾患こそ「Deus ex māchinā」だ。
頭が悪い奴等になら、それで時間を稼ぐことが出来る。
時間を稼いでおけば、破綻した社会の貧困層は死んで行く。
責める奴が少なくなれば、破綻させた責任を問われずに済む。
パンデミックなどなくてもただの日常に虐殺される。
だからといって、誰も救われはしないが。
ウィルスと同じ。
寄生母体を害していればいずれもろとも。
吊るされなくとも、逃げ場などない。
相争って死刑台の順番を競っている。
誰か一人でも先に進ませれば、それが解決であるように。
限りある仲間を生贄に捧げることで。
さて。
ここまでは、愚痴でしかない。
わが国は、このありさまだ。
貴国は、どうかな。
合衆国で市民に等しく医療を提供しようとすれば革命がおこる。
消費税を下げようとすれば政変が繰り返される国もあることだ。
他の国で、当たり前のように行われていることが、不可能な国。
取るに足らないウイルスで、パニックを「起こさせたり」はしていないかな。
君の国がそうなっていたら、逃げ出すことだ。
地獄に落ちるのは「みんな」で十分だろう?
嗤うべき未知の病気ではなく馬鹿だから死ぬ。
私?
自分は軍人なのでね。
後退は在り得ない。
最後の兵が殺されるまで。
キミは?
もしかしたら、信じているのかね?
バカ騒ぎ演じさせられているのは、真性のバカだけだと?
同胞の大半はバカを眺めているだけで、バカが死ぬのを待っている、と?
《現合衆国大統領/駐日大使時代の講演録/公益社団法人日本外国特派員協会アーカイブス》
お詫びと訂正。
「ほんとうにあった」
は
「ほんとうにある」
の間違いでした。
謹んで訂正させていただきます




