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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十二章「男と女と大人と子ども」

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まだあと十年「も」失える!/positive thinking?

【用語】



『新聞(日本)』:官僚機構の宣伝機関。文章の三次転売業。ステルスマーケティング産業。現実に準拠しないファンタジー・モキュメンタリー創作機関。


・成り立ち

明治以降に出現し、日本史上初の大陸型試験官僚(科挙貴族)体制と共に急成長。それ以前の瓦版をはじめとしたジャーナリズムとは一切関連が無く、江戸以前の伝統を破壊した「明治国家」の典型例。

・製品情報

外注のモキュメンタリーが9割で、日付や天気予報は現実準拠。官庁が特権と税金で集めた情報を無償供与され、裏付けせずに転売。誤報になれば「紹介しただけであり、我々の責任ではない」と読者の自己責任と自立した魂に期待する。

以前は情報だけ与えられて文章化は「記者」と役職名を付けたライターが行っていた。

一昔前は元「新聞記者」の小説家が大勢いましたが、入社から退職まで欠かさずフィクションを書いていたんだから鍛えられるよね。小説家じゃなくてライターとして、だけれど。売文業としてはクライアントの意図を忖度して文章を造れる能力は必須だからとても優秀。

読者のためじゃなくて金主のために造られた文章なので、それを怒る読者は勘違いしている。「タヌキうどんに狸の肉が入っていない!」などと言うのは人としてどうなんでしょーか。ジビエが喰いたきゃファーストフードにこないように。

・経営

政府広報や官庁外郭団体、からの公共予算譲渡。実質的な特殊法人で構成される経団連の「広告費」名目の資金供与。

二つが利益の大半を占める。

やたらとAC(公共広告)の割合が上がっているのは、大手企業が退き始めているから。ただ許認可権を盾にされると反抗できない輸出産業や金融業界は以前通り。

税制優遇措置により、提供資金を運用し副業の利益率を底上げ。「新聞」と名付けた宣伝ビラを全国民に有料配布するに当たっては、公正取引委員会などあらゆる法規制を超越。

実務はアウトソーシングしているので必要経費は最低化。よって取材費用はゼロ、リスク管理費用もない、効率的経営を誇る。

が、全社揃って赤字。

国家予算で支えられている破綻業種。原価ゼロの商品を、強制販売出来るのに利益が上がらないというファンタジー。

横領した税金を何に使っているのか。

「会社ごっこ」の為に記者役のエキストラを雇い、世界各国日本各地に内部循環用観光拠点を設置して「支社/支局」と名付け、利潤を無視した内部イベントに資金を投入し、補填された資金を原価不問の給与設定で山分け。

ぜひ一枚かませてほしいんですが駄目ですか残念です。


※|モキュメンタリー《mockumentary》現実風の演出によるフィクション。物語を表現するにあたってニュースや記録の形式をとる。ホラーでおなじみの手法であり、元祖は合衆国のラジオドラマ「火星人襲来」。






“日本初のPMSC設立”


日本国派遣業界大手三社は新会社の設立で合意した。最高経営責任者は日本でのみ名の知られた「国際的経済学者」が就任する。経営陣はこのT中氏と同種の「Collège(中学校相当)を修了できた可能性はない」選ばれぬかれた「人財」で構成。半世紀前に破綻が論証されたために廃れたシカゴ学派。その常套単語を散りばめた「霞ヶ関方言」を操る才能が評価された。竹N氏らは幸いに日本人一般と意志疎通する機能がないために、それが発覚する可能性もない。仮称「植民地省」設立に合わせて夏前に登記を済ませ、秋には営業を開始する計画。同社の業務内容は異世界における警備業務全般。要員は10~50万人と記載はあるが、一次計画も未定。装備は陸上自衛隊の最新装備を使用する。ただし防御力以前の被服と小火器に限られ、車両も民間のもの。目標とされる戦闘員の質は軽装歩兵相当。ただし実際には民兵レベルに留まる。在日米軍は廃棄弾薬すら提供を拒否。自衛隊備蓄弾薬は放置されているので利用可能だが、少なからぬ弱装弾を含む。予定される5.56mmNATO弾は元々威力が乏しいが、実際に装備される弾薬は輪をかけて弱い。しかも日本の軍需産業は、不良品乱造が発覚して全社倒産生産中止で補充の見込みなし。異世界戦争に不適とされ放棄された弾薬すら揃わない。想定規模の部隊構成を願うなら、一人当たり30発で終了。銃器は規格以前に耐久性検査が偽装されていた代物。それを扱う警備業務参加者の事前登録は百万人を突破。ただし家族の代理申請や公共職業安定所の失業保険受給登録名簿、生活保護受給者名簿、軽犯罪者名簿他が流用されている。士気以前に意志確認自体がこれからだ。意志確認をする予定は未だにないが、受給窓口を異世界に設ける案は決定した。異世界に渡航した場合、防疫上の理由から帰国の目途が立たない。「選択肢を奪うことで自発的な志願を正す」という婉曲でありながら直接的な手法を決定済み。日本最大の労働組合は、若手の突き上げで「推移を見守る」としている。一方地方支部や単産は独自に「徴兵粉砕運動」を開始。議会与野党議員を巻き込んでいる。これを労働組合運動再編成に繋げるべく工作している個人か組織については続報をまたれよ。この警備業務において、指揮系統や訓練を担う経験者も皆無。隊友会、防衛協会は本部こそ天下り斡旋を交換材料にした防衛省の圧力で協調希望だが、各支部は協力を拒否しているために曖昧な姿勢。さらに家族会は断固反対を宣言し各地の議員たちも反対を煽動している。日本人以外も軍歴経験者が国籍を問わずに国際連合に所属。軍隊経験者が調達できない状態では、警備業務に集められた人員を組織化出来る可能性はない。が、まだ諦めていないことは確認済み。同社設立に向けた勧誘員は母体企業からの出向派遣社員。少なからぬ人数が自衛隊施設や在日米軍基地に立ち入り、スパイとして拘束されている。国際連合軍事制裁は軍事作戦。国際連合加盟国の軍事施設は全て、国際連合憲章に基づき国際連合軍に提供されている。作戦中の軍拠点への侵入犯は、戦時国際法上人権を認められない。スパイ諸氏は「未回収の日本」北方四島に搬出された。そこで起こった全てのことは「ロシア共和国が責任をもつ」との主張を、日本国は当然、認めない。日露両国が所属する国際連合は同地の軍事施設も管理しているはずだが明言はせず、「内政不干渉」とだけ断言。どれほど非人道的な措置が行われ続けても、誰の責任かわからない。「日本のグアンタナモ基地」から脱出出来た勇者は本紙に一報入れられたし。薄謝進呈。取材費応相談。なお在日外国人の大半は国際連合軍に志願加入者かその家族。日本国議会の意向で日米地位協定が準用されている。だから日本政府の施政下にはないので、夜中に突然逮捕されることはない。が、ジャーナリストたる我々は一般市民。普通に「ジャーナリストである罪」で日本の検察に逮捕され得る。もちろん日本国のことなので法律に関与することは無く、逮捕とは収容所送りだ。ジャーナリストたるもの拘束監禁拷問などは常識以前、取材協力者も脱出方法は適宜工夫されたい。本記者は「赤坂1丁目」にあり。レバノン(大使館)への脱出準備は万端。昨年の北朝鮮脱出記に次ぐレポート、乞うご期待。


※PMSC/private military and security company。いわゆる民間軍事会社(PMC)国際協定(モントルー合意)上の名称。

※事実を周知する事で名誉毀損罪で刑事告発されないよう、記事中の個人名は伏せることを了承のこと

※自衛隊「隊友会」「家族会」「防衛協会」=合衆国で言う在郷軍人会相当

※グアンタナモ基地:ググるとひどいものが見られます

※拘束:突然呼び出されて帰宅させてくれないこと。

※監禁:合理的な理由なしに収容される拘置所のこと。

※拷問:自白という証拠を造るために密室で脅迫されること。

※日本は無法国家じゃありません。法律に記載があることを司法関係者が護らないだけです。正しく言えば「違法国家」ですね。

※実態については第88話<汝、敵なりや/Miranda warning>より


≪Le Monde異世界電子版≫




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿正面階段途中/青龍の貴族】


俺は使わないけどね。


銃剣自体が非対称戦争向け兵器、ではないが、そう言われて久しい。

非対称っていうのは、19世紀対21世紀、あるいは、武装民間人対原子力空母。

要はアレ、銃剣戦闘が出来ない奴等が銃撃戦すらできなくなっった。


兵士の劣化が止まらない、そんな感じ。


一度廃れた銃剣戦闘が再評価された所以。

合衆国陸軍なんか、一度廃止した銃剣訓練を再開したくらい。

銃を撃たせることすら怪しくなったってよ。


武装民間人相手の掃討戦、狭い屋内でM-4を乱射する馬鹿が耐えないからだ。


5.56mmの軽い弾は、すぐ跳ねる。

弾径が小さい、鋭い弾頭、高い貫通力

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っていうのは壁や柱に正対すれば、だ。


質量×速度=威力。


銃身薬室の強度や、射手が受ける反動。

それを考慮すれば、速度は上限が低い。

弾の軽い重いが威力の大小に直結する。


戦車砲の徹甲弾が鋭い弾芯に劣化ウランを使うのは、弾を重くするため。


重い弾ならレンガや石壁にめり込み、そこで威力を解放する。

軽い弾ならめり込む前に弾かれて射手が跳弾で自殺自傷する。


避弾経始ってやつね。


要は弾着面が斜めになっていると、運動エネルギーが逸らされる。

逸らされるのは力だけじゃなくて、弾頭を含む。


標的を壁や柱に正対する場所に整列させられるなら、そもそも戦闘にならない。


いずれにせよ危険は危険、屋内での小銃使用は非推奨。

本当は撃ち方を理解して、訓練すれば対応可能。


英語が怪しい、じゃなくて、言語が怪しい兵士にできるものか。


すると使えるのは銃剣だけになったりする。

これを退化と言わずになんというべきか。

槍を持たせて前線を埋めてるレベル。


これが現代軍隊の現実。

それが現代戦争の戦場。


Land Warrior System.


今、俺たちが当たり前のように使っている、戦闘管制システム。

個々兵士が身につけているカメラ。

上空を飛び交う偵察ユニット。

戦闘車両の索敵機器。

哨戒気球。

今は無き衛星。


上位指揮系が戦闘情報を管制し、個々兵士に与える情報を統制操作捏造し、戦闘行動はおろか士気まで創造する戦争装置。


それが構想されたのが前世紀の後半。

それが実現したのは今世紀の初め。

そんなに時間がかかったのはなぜだろう。


30年以上。

そりゃ簡単。

端緒を付けたのが合衆国だったからだ。

それに続いた各国は、軒並み足踏みを繰り返し。


先端機器を扱える兵士が、極少数派だったため。


全軍装備を諦めた。

特殊部隊や海兵隊など、必要なところに集中した。

予算不足を理由にして。


ゲームパッド以上の操作ができる兵士が見当たらなかったため。

ゲーム機以上の概念を把握できる兵士を探していたため。

ゲーム以外に関心があるフルタイム勤務の兵士を選抜したため。


人類が地球を当たり前に滅ぼそうとしていた近代。

人類が地球を維持することすら怪しくなってきた現代。


第四次世界大戦は石とこん棒で戦うだろう。

――――――――――そう言われていたんだぜ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・正解。


弱装弾しか扱えない民兵崩れと、銃型の槍を与えられた勧誘兵士。

後進国の後進住民VS先進国の下層階級。

アインシュタイン先生もびっくりだ。


近接戦闘訓練に耐えられない兵士に槍を持たせざるを得ないんだぜ?



どこのバカが言ったのやら。

非対称?

双方実に対称的じゃないか。



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