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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十二章「男と女と大人と子ども」

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我も人なり。

【登場人物紹介】


地球側呼称《マッチョ爺さん/インドネシアの老人》

現地側呼称《副長/黒副/おじいさん》

?歳/男性

:インドネシア国家戦略予備軍特務軍曹。国際連合軍少尉。国際連合軍独立教導旅団副長。元カノが率いる黒旗団で異世界人と地球人兵士を纏める中心的な存在。

様々な経験(第35話「素晴らしき哉!人生!!」に詳細アリ)が豊富で、老爺心から異世界の子どもたちや地球の若者たちに心のこもった助言をしてくれる。


裏表が、ほんとーに、まったくない素敵な人です。


地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》

現地側呼称《マメシバ卿》

?歳/女性

:陸上自衛隊医官/三尉。国際連合軍独立教導旅団副官。キラキラネームの本名をかたくなに拒み「ハナコ」を自称。上官の元カノが勝手に「マメシバ」とあだ名をつけて呼んでいる。

恋愛至上主義者で、倫理や道徳はおろか「愛は地球(人類)より重い」と即答できるタイプ。


裏表が、ほんとーに、まったくない素敵な人です。






「そうだろう?簡単な刺激とプロセスで、人は、心は、気持ちは、どんな形にも変わるのだから」


――――――――――インドネシア共和国国家戦略予備軍下士官の言葉

※第68話<トモダチ>より



「レーティング解除までは責任持ちますけどね。

 だれがゲッツするかは、干渉しませんよ?

 女の戦い此処に在り!

 頂点は常に一つ!」


――――――――――陸上自衛隊三尉の言葉。

※レーティング:年齢制限






【国際連合統治軍第13集積地/国際連合統治軍駐屯地研究棟/Drメンゲレ私室】


ふむ――――――――――悪くない。


性別を意識し始めたわね。

わざわざ女を選抜した甲斐があった。


少女たちと、陣形の同じ場所に配置された

――――――――――女、護る位置。


あの部隊は指揮官、いや、指導者、の意識を忖度する、ようになっている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・編成から2ヶ月、経験不足の平均的兵員で?


いや、だから、か。

癖が付いていないから、中核に曳き摺られる、わけね。


あとあと。

今は女の位置

――――――――――これまでの記録と比較。


女性自衛官は、前衛か後衛。

戦闘配置。


異世界民間人なら陣形外対峙、仮想敵。

性別を考慮せず。


つまり、女と見ているから、陣形中心に置く。

よろしい。


動作確認。

彼女たちへ視線の配分が、均等。

もともといる女はともかく、帝国騎士もひとまとめ。


その女は見守る必要がない、解っているはず。


なら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見比べている。

子が娘に変わったから、と考えても、まあ、良いでしょう。


異世界の女、各年齢を同時に。

大人と子供の差が無い、と判る。


上々。


攻勢限界まで追撃する

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男の追加、はない。

リバウンドが危険。


なら?

現代日本人、大半の成人より、異世界の幼女の方が精神年齢が高い。

それを知らしめる。


――――――――――比較対象、現代日本人女性を手配。


「MSC、Urgent(至急)voice(音声)

※Military Staff Committee/MSC:国際連合軍事参謀委員会




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿正面階段途中/青龍の貴族】


アナログかデジタルか。

それがとっても問題だ。


俺?

絵や彫刻は、肉眼で観るタイプ。

画集やデータ鑑賞はむしろ嫌い。

だからといって飾ったりはせん。


現物を買う金がないとかそーいう話の前に、もっともっと最重要なこと。


自宅のアパートに絵を飾っても様にならない。

っていうか、絵や何かを飾るなら邸宅が必要。

俺は外箱や舞台や背景にこだわるほうなのだ。


最重要なのは、現物を飾る屋敷を買って維持する金がないってことだよ。


稼げばいいって?

ムチャいっちゃいけない。

可能不可能以前に、努力が必要じゃないか!


そんな体に悪いことはできない。

お婆ちゃんの遺言。


身体に悪いことしちゃいけません!


遺産は残してくれないが明言は残す。

いやーさすがだね。

まだまだ長生きしてほしいもんだよ。


生きてます。


だから見に行く方です。

絵の方が好きです。

さておき。


うちの娘たちの好みがどうあれ、最初は現物を見せた方が良いかな?


最初は現物を見せて基準とし、次に電子データで比較して。

より良い方を選ばせる。


とはいえ無理か。

今は。


絵画自体は聖都周辺で接収されても、聖都には置いてない。

最前線でもあるからな。


一応、俺の任地、太守領も最前線扱いですよ?


なお帝国軍捕虜や逃げ遅れた帝国貴族やご家族やその配下のみなさん他は出島4で一括管理。


出島4は一番最前線寄りの大規模集積地だけれど、最前線扱いではない。

兵力こそ、それほどいないし帝国関係者が一番多い場所ではあるが。

内海沿いにあるだけに、第七艦隊の支援が受けやすいからね。


出島4。

兵站拠点としては最大なんだが、むしろ研究拠点、教育拠点のイメージが強いかな。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面階段/青龍の貴族の右前/魔女っ娘】


わたしは、じ~~~~~~~~~~~~~と、見ます。


帝国女騎士さんの、装具の数々。

小物一つとっても繊細な細工が施されて。

実用的な精悍さもあるのですが。


それより、装うことを重んじているような。


腰に履いている剣の柄は、きっとご趣味のモノですね。

刀身は支給品でも、鞘や柄はご自身であつらえられるとか。

貴族であればもちろんですけれど、騎士であればそれが嗜み。


ならばこの紋様は、お好み、ってことになりますけれど。


握り手を滑りにくくするために、溝をつけるのは判ります。

でもこれは、一見すると紐を巻いたような意匠ですけれど、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・蔦、では?


帝国騎士の持ち物としては、どうなのでしょうか。

繊細で優しい曲線、その印象に合いません。

目の前、艶やかで精強な女性は、誰なのでしょう。


帝国騎士。


草原で産まれ平野を駆ける。

山脈を飛び越え大河を跨ぐ。

大炎を操り深森を斬り開く。


故にこそ、草木を愛するエルフを殺し、先の見えない大海を恐れる。


帝国。

竜。

魔法。


わたしは、先の太守さんたちを思いおこしました。

帝国と言えば竜、龍、魔法。


わたしが見たことがある、帝国の人たち。


先の太守さんたち。

その家臣や太守付の騎士さんたち。

そのご家族や、その下についている人たち。


わたしには、礼儀正しく振る舞ってました。


魔法使いは、帝国貴族に準ずるから。

わたしが王城にゆくと、太守さんが出迎えに出てくるほど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お父さんを殺した人たち。


殺させた、のが参事会の人たちなら。

殺した、のは先の太守さんたち。

それは独りの意思じゃなくて。


帝国が、殺した。


お父さん。

わたしの、お父さん。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帝国。


好きか嫌いかで言えば

――――――――――嫌い。


憎いかどうかで言えば

――――――――――ちがう、と思います。


お父さんを利用して危険を犯させた。

危険が現実になったときに、見捨てた。

――――――――――参事会――――――――――


参事会との駆け引きに利用した。

そのながれで、お父さんを殺した。

――――――――――帝国太守――――――――――


その間にたって危険を引き受け、処刑されてしまった。

――――――――――お父さん――――――――――


わたしは、どう思っていたのでしょう?

――――――――――だめだめだめだめ!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・止めます。


今、考えることじゃありません。

ううん、ずっと考えることじゃないかも。

なにをどう考えるべきか、考えるべきなのか。


わたしのことなんですから、わたしが決めたらいけません。


然るべき刻、然るべき様、ご主人様が決めること。

なにを感じるべきなのか、そもそも感じるべきなのか。

わたしの役割りは、わたしを委ねて隠さないこと。


わたしは、ご主人様に気持ちだけを伝える。


既に伝わっていても、声にだして。

ご主人様は、わたしの気持ちを読んでおられる。

なのに、だから、あえて、言葉に直して、大きな声で、ご主人様に伝える。


そう命じていただけたじゃないですか。




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿正面階段途中/青龍の貴族】


俺の任地で最前線、太守領には帝国軍は居ないけど。

いや、密偵はいるけどね。

だから最前線ですがそれは別の話しですかそうですか。


ここ聖都、第13集積地は最前線扱い。

とはいっても直接帝国軍と睨みあっている内陸高原ほど危険ではない。

でも全員武装したまま部隊編成のままの帝国軍と対峙しているからね。


捕虜だけど。

聖都の帝国軍が武装しているのは、俺たち国際連合統治軍に課せられた徴集領民管理(ろうえき)に必要だから、だけれども。


捕虜の管理自体が最前線扱い、なんてことはない。

捕虜や戦利品、含む人間など知的生物、の接収管理は国際連合統治軍の管轄。

国際連合軍は捕虜を確保するまでが管轄ですので。


そのなかでも第13集積地は特殊すぎる。


帝国軍捕虜は、普通、武装解除させます。

あーもちろん、武器であっても私物は預かってるだけですが。

遺品などと合わせて国際連合統治軍が個別管理。


士官クラス以上、騎士たちは剣を戻されます。


捕虜たちは降伏ないし捕縛された時の部隊単位で行動。

部隊が崩壊してしまっている場合は、既存の部隊に組み入れる。

捕虜部隊の指揮統制上、士官、つまり騎士たちが必要。


指揮権の象徴として、士官に剣を戻してるわけ。


それはあれ、普通の捕虜収容所と同じ理屈。

戦時国際法準拠。

国際連合異世界侵略戦争の基本原則はそれ。


例外のない原則はないけれど。


そして例外たるは第13集積地。

帝国軍捕虜に労役を課しているあたり。

国際連合にとって必要な役割を与えている。


普通の捕虜には、役割りなんかない。


国際連合に降伏した帝国軍兵士のみなさん。

毎日軍事訓練にいそしんでおります。

国際連合は関係なく、帝国軍風の日常風景。


何もやることが無いと、組織を維持できなくなるからね。


捕虜を統制する為に、捕虜になる前の日常を強制中。

捕虜によって捕虜の日常を強制させるとは是如何に。

捕虜になる前となった後、差があるのは武器の有無。


帝国貴族と兵卒の捕虜には、武装させていない。


脅威だから、ではなくて、捕虜であることを忘れさせないために。

でないと忘れる。

捕虜になる前と面子も行動も変わらない日常をおくってるんだし。


捕虜である。

その自覚は大事。

でないと全部死ぬ。


貴族騎士を含む捕虜全員は俺たちの認識票(ドック・タグ)と同じ首輪で管理。

爆発しないですよ?

ただそれを外すと、捕虜居住地域内の自動機銃が、エネミー判定するだけなんで。


撃たれます。

撃たせます。

俺たちの仕掛けで。


もちろん、銃撃に巻き込まれるケースも多いから、捕虜同士で認識票の装着確認に熱心です。

国際連合軍/国際連合統治軍の人道主義は異世界の皆様の自主的協力に支えられております。

捕虜を生かしておくために放っておいても殺されないように、仕組みと仕掛けは整っている。


暇な日本人は余ってるが、さすがにこれは外注不可能。

国際連盟加盟国から集めた兵士数、たかが知れてる。

惑星一つを相手にすると自衛隊員は少ないのだよ。


捕虜の面倒なんか見てられるか。


もちろん捕虜に接触したくない、させたくないってのが先にある。

異世界文化不干渉原則に防疫隔離、そしてなにより作戦上の都合。

異世界に対する暴力、軍事じゃないぞ、の優位を保ち続ける為に。


知られない事こそが最強の武器となる。


現代兵器のネタバレまで、どのくらい時間を稼げるか。

それだけが、俺たちの壽命なんだしね。

一年、持つかねえ。



そのあと、どーすんだろ。



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