表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十二章「男と女と大人と子ども」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

482/1003

彼も人なり。

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳、白い肌。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。



俺「うちの子たちは、何を喜ぶと思う?」

マ「あの娘たちが、悦ぶことですか?」

俺「判るか?」

マ「解りますとも!」

俺「なんだ?」

マ「たいちょーが抱いて(まぐあって)あげたらいいんです」

俺「毎日かかさず抱いて(ハグって)るぞ」

マ「ちがう!」


《一ケ月前、マメシバ三尉との会話》





【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿正面階段途中/青龍の貴族】


ガイドさん(帝国女騎士)の案内が巧みな件。

俺が頼んだことながら感心。

騎士よりむいてねーか。


騎士としての実力は知らんけど。


俺経由第13集積地司令部にて手配された帝国女騎士。

美人ってだけじゃなくて、旧跡史跡にも詳しかった。

っていうか、帝国軍が聖都を包囲する前の話にも対応。


どうやら帝国は、戦争がはじまる一世代前から標的を調べ始めるらしい。


ああ、これが彼女、楽しそうに魔女っ娘と話している帝国女騎士の、騎士としての実力って訳か。


こわーい。

たのしーい。

まーいいか。


俺は割り切って計画を組み立てる。


俺の観光とナンパは後回しだ。

なるべくだいぶそれなりに。

まったく放棄はしないけれど。


それより!


今日は、この娘たちを楽しませる日と決めた。

喰いつきは良いのだから、追い討ちあるのみ。

俺自身は今後、何回だって聖都観光できるし。


そのあたりは間違いない。


これだけ貴重な、異世界の中でも滅びた、奇跡を司る神殿の跡。

UNESCO調査団はもちろん、国際連合が手放すわけがない。

ちょうどいいことに無人の遺跡、だから占領もしやすいからな。


だからこそ、俺たちが仕掛けた徴集農民帰国事業。

異世界不干渉原則墨守な国際連合がなぜかとっても前のめり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴重なサンプルから、余分な厄介者を、追いだしたいわけだ。


太守領の領民が厄介者扱いで良かった。

邪魔物扱いだったら、今頃誰も残ってない。

跡処理も処分対象自らにさせ、半月とかからない。


そうなっていたら魔女っ娘に、言い訳するのが大変になっていただろう。


幸いに、そうなる前に間に合った。

魔女っ娘は、自慢してもいいと思う。

郷里の親しくもない人たちを救ったんだ。


国際連合にとっては、知ったことじゃないだろうが。


それが利用できるなら、本音がどうでも結構なこった。

そして帰国事業や観光やらは現在、走り出している。

これはこのまま、進めておけばいいだろう。


なら次だ次。


うち娘たちの娯楽。

俺がいるうちに考えとかんと。

国際連合の力、技術や武力が使えるうちに。


せっかく俺がいるんだしね。

俺がいるうちにしかできないこと。

やっぱり俺たちの手に在る美術品かな。


聖都に限らないが、略奪美術品の鑑賞方法は?

さて。


画像データは公開されているし、直接見てもかまわない。

任地にあるなら、勤務時間外になら、ね。

つまり手が届く範囲にはない。


データ閲覧なら簡単だな。


わざわざ時間を取る必要もない。

太守府王城、この娘たちが生活している軍政司令部。

その随所に投影しておけばいい。


絵を飾る、とはよく言った。


調度や家具。

花や鉢植え。

採光と音楽。


そして絵画に彫刻。

そんなもんそんなもん。

非日常の日常化。


美術で日常を忘れるのもいい。

しかし、日常の中に据えてコントラストを高めるのも、演出的にアリじゃね?


たとえばあれだ。


この前に見た聖都の絵じゃないか!

って感じに驚かせてみたい。

前に見た風景と同じところなのに違う!

って感じに二度おいしい。


そこを俺が、ドヤ顔で解説してやるのだ。

100年まえの聖都だよ、って。

いける!


みんな大好き物知りお兄さんの完成である。


なるべく高彩度の3D投影機を調達して。

手持ちの奴は軍事仕様の野戦用。

最低限の機能しかないし。


それでもこの娘たちにウケるにはウケる。

実際に最低限度でも、表示はそれなり。

現実のデータと見比べる必要があるから。


本来の用途は、前線の可視データを後方やほかの前線にいる者同士で比較し合うこと、だからね。

この娘たちが3D他映像を見たことがないってだけで、驚くわけじゃなく、十分に現実的なんだ。


とはいえ美術品鑑賞なら直接の方が良い、って意見も根強くあるけど。

電子的なデータってのは、その物じゃないからね。


現実は連続したアナログ。

電子上は細分割デジタル。


デジタルっていうのは要はフィルムの映像と同じこと。

細分化に限度はない、コマ数を増やせば増やすほど精度は上がる。

つまり絶対に現実となることはできない、ということ。


絶対に必ず不可避なのは、コマとコマの隙間にある、非電子化領域。


例えば異世界転移時の天体観測データ。

常時、途絶えることなく日本列島外、宇宙を観測して記録していた。

※第4話<そこにあるということ> より


無数の高精度記録装置の群れ、その膨大な記録。


そこに異世界転移の瞬間は、まったく記録されていない。

一瞬で星空が切り替わった、としかわからない。


では、世界が切り替わる瞬間が無かったのか?


そんなわけがない。

俺たちが異世界に来ているのが、その証拠。

在る瞬間に、世界が切り替わったのは間違いない。


それはつまり、高精度で技術的限界まで細分化された電子データの、狭間にあった、ということ。


電子機器が、まばたきした、瞬間。

異世界に日本列島が移動してしまったわけだ。


精度を上げるために細分化すれば、狭間、まばたきも増えるって理屈。

そりゃ見逃してもおかしくない。

規格が同じ技術なら、まばたきの頻度やタイミングも同じだからね。


そろいもそろって見逃すわな。


無数の電子眼がまばたきした瞬間。

異世界転移の瞬間。


狭間の時間が異世界転移に必要な時間。


それだけは、判った。

それしか、解らない。


世界が変わるって話と、美術鑑賞の共通項。

つまりそれ。


どれだけ高精度に再現しても、紛い物。


粘土で作ったケーキは、ケーキじゃない。

電子データは、現実じゃない。

どれだけ高精度でも。


そんなモノ、人間の感覚で捉えられるのか?

人間に区別ができないなら、真贋どちらも同じじゃないか?


っていうのは、もっともなことだ。

そしてその答えは、簡単なこと。


区別が出来てるかできていないのか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・諸説あって判りません。


焦点は、人間自体がアナログである、という点。

いや現実すべてがアナログなんだが。


つまり現実に存在している人間の感覚。


目や耳や肌や舌や鼻などの感覚器、ハードウェア。

視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などソフトウェア。


それらがアナログ仕様ってところでね。


意識の表層に昇らずに、無意識領域で処理されているデータ。

言葉や概念に変換できない、認知で終了しているデータ。

さらには認知できないデータの欠損からくる違和感などなど。


外部出力不可能、共有しようがない。


電子情報に違和感を感じる、って話は多い。

それはもちろん、検証できない。

アナログ仕様のプロセス自体が検証中だし。


美術品を目の前に置いて、同じ品の画像を見比べる?


まったく意味がない。

二重盲検法を試すためには、デジタル/アナログの見分けがつかないように設えて、提示しないとならないからだ。


電子データと現実は、提示できる環境が違いすぎる。

一目で誰にでも、どっちがどっちかわかる。

最初から答えが解ってるんじゃ、比較の余地がない。


双方に差を感じるか、感じないか。

予断と偏見と好みで決まるだけ。

なら好みでいいか、ってのが現実。


うちの娘たちの好みは、さてどちらか。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面階段/青龍の貴族の右前/魔女っ娘】


わたしは割り切って考えることにし、ようとしました。


ご主人様が楽しまれている街並み。

ご主人様が愉しまれている女の人。


この(聖都)に、とっても詳しくて物知り。

この(聖都)を案内される様子が楽しそう。

この(聖都)が好きなんだって、解ります。


女の人、帝国女騎士さん。


聖都の街並みや、大神殿について、お話してくれる(ひと)

気負いはなく、帝国の騎士さんたちはみんなご存じみたい。

大神殿が造られた由来は三つの説話がある、と初めて知りました。


わたしは、ねえ様から別な話を聞いていますが。


でもこれが世に知られた御話なんでしょう。

ことの真相と、世評に流れた御伽噺。

それはとっても、面白い御話。


それを、ご主人様の女(わたし)に教え楽しませてくださる。


わたしに、ですけれど、それは、ご主人様に聴こえるように、ですよね?

そしてそれは、聴かせることで聞こうとしている、のでしょうか?

わたしも帝国女騎士さんも、訊いていることは一つでしょう?


それが目的を遂げるやり方なら、きっと、わたしにもできる、かな。


唯一、大切なことは、それ。

ご主人様の好みは、なんでしょうか?

わたしが、常に考えること。


わたしは、よーく、見ます。


ご主人様に近づきたい(ひと)が工夫するところ。

わたしにはなくて、帝国女騎士さんにはあるところ。

ご主人様が帝国女騎士さんを愉しんでおられるところ。


それを知ることが出来たら、きっとわたしは、もっともっともっともっともっと、ご主人様に悦んでいただける!


ご主人様は、わたしの左後ろ。

ぎゅっと手を繋いで、握って握って、安心です。


帝国女騎士さんは、私の前やや右。

微笑みかけてきてくださいますけど、不安です。


ご主人様のことを考える。

帝国女騎士さんについて考える。


いまそれは、同じだと思うんです。


帝国女騎士さん。

わたしが女として、見習うところが多い方

――――――――――だから恋敵でもあるのですけれど。


それはそれ、とします、そうできます。


わたしが帝国女騎士さんを兼ねることは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・できません。


小さいまま大きくなることはできませんし。

大きくなったり小さくなったりできませんし。


でも、大切なのは大きさだけじゃないと思うんです!


ご主人様は、わたしの肢体を握ってくださる。

ご主人様は、帝国女騎士さんを眺めておられる。

ご主人様と恋敵の間に、わたし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・我慢出来る、範囲です。


わたしが慌てふためいたら、ご主人様の寵愛をうたがっているみたいです!


それが不興をかうことにはならない、にせよ。

ご主人様が、それを愉しんでおられるにせよ。

わたしの想いこそ、ご主人様に弄ばれているにせよ。


おまえは俺の女だ

――――――――――あの御言葉♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

※第77話<十二日目/After Coming out>より


きゃ~~~~~~~~~~そうです!!!!!!!!!!

あの悦びを疑うような仕儀、ご主人様が面白がられても、わたしが赦しません!


赦さなくても嫉妬を許してしまうのも、がんばってなんとかいたします。


抑えきれない憤懣から気を逸らし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、でしょう。



帝国女騎士さんの、恋敵、ではないところに、わたしの目が向いたのは。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ