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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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472/1003

「後悔」を先に出来ない粗忽モノ/L'Étourdi ou les Contretemps.

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳、白い肌。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




「本気か」

「予備自衛官だけで師団を造る」

「臨時訓練期間を設ける。そこから防衛出動待機命令直前までは内輪で済む」

「誰が召集に応える?この状況下で?閣議も大臣も無視して?」

「大臣決済なら本省だけで造れる、閣議決定は事務次官決済でまとめる。細部は省令政令で十分だ」

「責任は」

「成否を問わず、首は地方総監部からだ」

「それで師団?集まるか?せいぜい旅団だろう?装備はどうする?」

「放棄された国産装備があるさ。弾薬込みで廃棄待ちだ」

「幸いにして、廃棄の為にすべて集積済みだ。全部集めれば師団分にはなる」

「89式だろ?異世界で5.56mmが何の役にたつ?」

「予備役はむしろ89しか使ったことがないさ。7.62×51mmなんかで訓練させたら肩を痛めるだけだ」

「練度以前。むしろそれしか使えんよ、予備には」

「5.56mmはもともと合衆国募集兵向け装備だ。促成訓練で前にバラまくことさえできれば、ってコンセプトの弱装弾ならかえって使いやすい」

「合衆国が戦場廃棄する最底辺階級を、選抜歩兵の使い捨て盾にするために、な」

「うちの選抜隊員は全部、異世界だぞ!」

「相手は非対称戦争になれた革命戦士じゃない。火器を初めて見た連中だからなんとかなるさ」

「しかもプロテクターの予備なんかないぞ!全部、前線だ!戦闘管制が半世紀戻っちまう」

「新規生産分を中途で抜き取る。3ヶ月あれば一個大隊分はなんとかなるさ」

「全部そろえなければ焼け石に水だ」

「スペインは火縄銃で中南米帝国を滅ぼしただろ」

「いや、それ以前に使える士官下士官をどこから連れてくるんだ!」

「仕方ないだろう!!!!!!!!!!」

「全部隊通信途絶でどうしようがある!」

「本土と異世界の間は第七艦隊が塞いでいるんだ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・封鎖艦隊には海自も居るだろう」

「国際連合軍に編入されてからの指揮権は、安全保障理事会と軍事参謀委員会が握っている」

「海外作戦中の部隊が統幕の指示を仰ぐわけがあるまい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・報告すら無いがな」

「指揮権以前だ。通信は完全に国際連合、いや、米軍が管制している」

「第七艦隊は物理的封鎖に加え、ブルーリッジとプラウラーが常時ジャミング」

「電子兵装が無い異世界相手、なわけがないな」

「抗議苦情照会は全部、『日本国閣僚直接か日本国議会を通せ』だ」

「通せるわけがない」

「うち(空自)は基地もレーダーサイトも、国内施設まで国際連合軍編入済みだ」

「空自海自施設はWHOの防疫部隊が常駐。汚染を防ぐためなら、なんでもする。現場も類例がなく、従うしかない」

「完全に音信不通。我々には自衛隊の状況が、まったくわからん」

「国内も怪しい」

「地方連絡事務所まで、地元議員たちが常駐しよる」

「米軍の連絡将校も、やたらと出入りする」

「現場の人間は議員の顔色を窺う」

「米軍将校と親しい奴も多いしな」

「前線部隊は演習で親しくなる機会も多い」

我々(統合幕僚監部)彼ら(在日米軍司令部)とは違う」

「背負っている国が違う。仕方がない」

「統幕は統幕それ自体しか把握できないし、信用できんのだ」





【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿正面階段途中/青龍の貴族】


今はエルフっ娘。


俺から近所のお兄さんポジションを取ったら、何が残るのか。

保護者目線が足りなかった。

気楽にからかって遊んでいたが、どーも気になることがある。


シスターズ&Colorfulに世話されてるヒモ?


ニートはいいがヒモはいけない。

利用しつくすなら親であって女ではない。

ましてや子どもに世話されるなどありえない。


それがありえるかも?


気を付けないといけないな。

俺が楽に生きるために勤務先や役所があるんだから。

そっちをしゃぶりつくさないと。


(自衛官)にとっては、どっちも役所か。


そんな頼れる俺が世話をして配慮して護って感謝される予定の()たち、の筆頭である256歳少女。


サブカルマニアより話がしやすい、異世界娘、のエルフっ娘。

先導役を任せたのは俺だが、引き受けたのは彼女。

この娘が先導するのは聖都で観たい場所があるから、らしい。


もともと、対帝国戦争がはじまる前、70~80年くらい前まで、聖都は異世界でも有数の観光地であった、とか。


ならば、名所旧跡観光スポットがあっても不思議じゃない。

というか、どうやらそれはあったらしい。


巫女神官に魔法使いの区別があいまいだった時代

帝国勃興以前。


100年も経ってない昔。


産まれた赤子の眼が紅ければ、その子を引き取る神殿。

神殿で育って、立派な奇跡や魔法を使い活躍する人たち。

その恩恵を受けて、これに報いて敬意を抱く一般の人々。


大神殿は、それら神殿の元締めではないが、一番大きく有名なところ。

だった。

当然、ここ出身の魔法使いや巫女神官は多くて、良い意味で故郷扱い。


魔法使いが権力化し、巫女神官が歴史になる前の時代。

此処は憧れられる場所であり、エルフっ娘の人生の大半が、そんな時代だ


メッカ、エルサレム、伊勢神宮に、いつか行きたい観たい。

そんな感じは在り得るだろう。


エルフっ娘が、そう思っていても無理もない。


いやしかし。

今、エルフっ娘の様子は、それ、か?



なにかを確かめるような視線。

それは知識と照合しているのか、経験と照合しているのか。

安堵と落胆、間違い探しをしているような。


耳に表す喜怒哀楽。

顕著でありながらも、どこか穏やかでおとなしめ。

思い出し笑いに、思い出し怒り。


俺の様子を窺うのは、いつもだが。

自分に対する反応より、聖都に対する反応を気にしてるのか。

お気に入りの石を見せてくれる、子どもの視線。


聖都の門をくぐってから、市街地を見回しながら、この調子

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・再訪なのかな?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?

あれあれ?

あれあれあれ?


それもやっぱり在り得る。


いまさら気が付いた、俺。

初来訪の魔女っ娘 、お嬢、Colorfulはいいだろう。


ちびっ娘たちは基本的に、太守領を出たことが無い。

お嬢は国内観光くらいはしている。

魔女っ娘は太守府だけで、それすらしていない様子。


ほんとーに、かごの鳥だな。

いや時代的に言えば当たり前すぎるが。

俺が帰国するまでに、連れまわしておこう。


Colorfulは今まで15年くらい、あの、まあ、奴隷牧場から一歩も出たことが無いとかなんとかそーですか。


それなりに広い施設で快適さ重視だったらしいですが、まあ、それは置くとして。

つまり産まれ育ったところ以外では太守領の港街と太守府しか知らないわけだな。

俺たちといた間が世界のすべて、うーむ、いや、時代的に言っても有りか無しか。


今後、地球人類の都合で星一つ周回することになるのが確実なので、覚悟しておいてほしい。


しかし、エルフっ娘は違う。

まったく違う。


これからはともかく、これまでが。


本来は引き篭もり気味なエルフの特性。

それを拒否しして跳び出したエルフっ娘の気質。

200年余りの旅から旅へ、冒険旅行。


そして今日、今ここ。


聖都。

廃墟。

跡地。


大虐殺の跡地、だ。


半年前まで何万もの人が、住んでいたわけで。

その街を懐かしそうに見ているエルフっ娘が居るわけで。

この娘が再訪であることは間違いないわけで。


これまでも聖都に、訪れる理由があった、という事。


エルフっ娘の仇や知人

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・友人家族が住んでいたんだったら、過去形だったら、最悪。


虐殺現場に遺族と来訪って。

悪いとは思わんが、拙いとは思う。

お墓参りどころじゃねーぞ。


考えろ考えろかんがえろカンガエロ。


聖都を来訪したり理由。


なにかを見るために。

なにかを得るために。

だれかに会うために。


見たり得たりしていれば、誰かに会うよねそりゃ。

エルフっ娘はこれで社交的だし。


それがいつか、そこだそこ。


魔女っ娘が生まれたのが十年前。

エルフっ娘は魔女っ娘と、ずっと一緒。

ならこの娘が定住したのは十年前からか。


なら今回の聖都は、十年以上ぶりの再訪?

いや最低でも、なら、もしかしたら、もっとか。


可能性はある。


魔女っ娘のお父さんは、魔法使いながら帝国に出仕しない微妙な立場。

魔女っ娘に、お嬢という親友が出来たのは5年ほどとか。


不安定な立場の魔女っ娘。


ならばその十年間、聖都観光はおろか来訪も出来なかったろーな。

そもそもエルフっ娘は、魔女っ娘を護って遠出を少なくしていたらしい。


しかしそれは、むしろ例外的な時期だろう。


それまでのエルフ生246年。

エルフっ娘の出生地は、何処か知らんが、人里離れたエルフの郷。

現住所、太守領太守府は、異世界北方で、大陸全土から見て聖都に近い。

足を伸ばしても不思議じゃない。


巫女神官の聖地から反帝国勢力の聖地に至った、此処、聖都。


聖都が帝国軍の重囲中攻囲下に置かれていたのが、ここ十年。

昨年末の陥落まで解囲されず。

反帝国勢力が滅ぼされた後、孤立無援で玉砕してしまったと。


帝国と相性最悪なエルフっ娘。


エルフ絶滅を掲げてるってこと以前に、両者は合わないと思う。

帝国女騎士とエルフっ娘を見比べると、明らかに反発し合ってる。

合わないから、帝国もエルフ根絶を掲げてるのかもしれないな。


当然、ここ十年、その帝国軍が聖都の周りを埋め尽くしていたわけで

攻囲戦の最中にエルフっ娘が近づきやすい場所じゃない。

反帝国に伝手でもあれば別だったかもしれないが。


エルフは種族的に、反帝国筆頭なのだとか。

あくまでも人と関わる少数のエルフは、って話だけどね。


帝国のエルフ根絶政策のためなのか、だから根絶政策に至ったのか。

そのあたりはそのうちにUNESCOが探り出すのだろうけれど。


エルフ自体は、ほとんど人間と関わらない。

大半が人里離れた小集団で暮らしている。

それすら帝国は狩り出し続けていた。


だがエルフっ娘は対帝国戦に、興味しかなかったらしい。

反帝国に伝手、どころの話しじゃない。


対帝国戦争には、不参加だった、エルフっ娘。

聖都が対帝国戦の聖地になってから、なら。

その熱狂に参加しないと、近寄りにくいよな。


敵の敵は味方、とは限らない。

一緒にすんな、とか。

どっちも死ね、とか。

よくあるよくある、憶えある。


どっちの味方か、とかアホなことを聞くバカは多い。


異世界人も、俺たち並みにバカらしい。

なら、バカがやることはいつも同じ。


味方か敵かと分かつ前に、出直してこい。

味方せざるを得ないよーにしてから。


そのくらいの常識がないから、言わざるを得なくなる。

言わせんなって言ってるのに。



――――――――――俺は俺の味方だ、ばーか――――――――――



すると泣くわ喚くわ五月蠅いが。

口を塞ぐのがたいへんで。


ブレーキが在っても踏まない系女子、俺が見知った女と子どもには聞いて欲しい。


必ず俺が掴めると思うなよ?

抑えつけて無理やりねじ込むべきか?

断固拒否を断じて許さず?


いかん。

それどころじゃない。

泣き喚かない娘が優先。


子どもじゃなければ、泣きわめくうちは安心して放置できる。



エルフっ娘の方程式。


一つ。

エルフっ娘は情に厚い。

絶対に仲間とともに死ぬタイプなので要注意。


二つ。

エルフっ娘は聖都に縁がある。

再訪なのは間違いないだろうし、今回も目的がありそうだ。


三つ。

エルフっ娘は反帝国と縁がない。

思想に興味がないのは、エルフっ娘らしいし仲間もいなかったわけか。



結論。


エルフっ娘に想い入れがあるのは、聖都という街で在って最近まで住んでいた(虐殺された)

人たちではない。


は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~良かった。


気軽に連れまわしていたが、地雷を踏ませなくて良かった良かった

――――――――――耳が元気だエルフっ娘。


幸いに、今回はセーフ。

以後、気をつけよう。


エルフっ娘だけじゃなくて。

シスターズ&Colorfulだけじゃなくて。

同行者一般について。



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