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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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463/1003

P4/Risk Group 4

【登場人物/三人称】


地球側呼称《三佐》

現地側呼称《青龍の公女》

?歳/女性

:陸上自衛隊三佐、国際連合軍事参謀委員会参謀、WHO防疫部隊班長、他いろいろな肩書を持つ。日本の政権与党を支配する幹事長の娘で、父親と連携して戦争指導に暗躍している。

陸上自衛隊の正服第2種礼装(緑色)が標準。

馬上の時もスカートのまま、横座りで馬を操るのになれている

父親譲りで、私利私欲と公益を「完全に一致」させることが出来るタイプ。



地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》

現地側呼称《マメシバ卿》

?歳/女性

:陸上自衛隊医官/三尉。国際連合軍独立教導旅団副官。キラキラネームの本名をかたくなに拒み「ハナコ」を自称。上官の元カノが勝手に「マメシバ」とあだ名をつけて呼んでいる。

陸上自衛隊の正服第2種礼装(緑色)を仕立て直したように見せかけた完全新作を着用。

もちろんマメシバブランド。

恋愛至上主義者で、倫理や道徳はおろか「愛は地球(人類)より重い」と即答できるタイプ。



我々は何者なのか?



「なんだそれは」

「そう訊かれているのではないかと」

「赤い龍とでも応えてやれ」

「彼らは青い龍だそうだ」

「同じ龍でも大違い」

「何しに来たのだ吾奴らは」

「財貨を奪うわけで無し、労役を課すでも無し、領地を征して統治すらせぬ」

「近づくことすら忌避しているな」

「国庫は抑えたようですが、うっちゃっているようで」

「我が軍が退いた後を、密偵が潜まず歩けよる」

「民には追われるがの」

「こちらが追われぬわけでもない」

「将兵、役付、その氏族に子女、片端から余さず虜」

「処刑するか、買い戻させるか、奴隷にするならわかるが」

「貴賤問わずに等しく扱っておる」

「正気ではないな」

「帯剣すら許さず、身ぐるみを剥ぎ、同じ衣で包む」

「狂気であろうな」

「そして命ずる」

「なにもするな」

「さっぱりわからん」

「聞かれるだけか」

「好きなモノは何か?嫌いなモノは何か?今日は何をしているのか?昨日はなにをしていたのか?一昨日は?その前は?」

※第75話<幕間:善悪の彼岸>より

「きりがないな」

「信じがたいが」

「放たれた虜囚が、皆同じことを言っておる」

「よもや」

「それを知るために攻め寄せたのではあるまいな?」





和を請いにきたと称しておる輩は、領土をよこせと叫んでおるが、な。



《国際連合軍事参謀委員会管理/国際連合軍長距離偵察情報/音声データより抜粋》






【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】


俺は視線を感じている。


子どもたちが楽しそうで何よりです。

んで。


俺の懸念するふたーつめ。

口説くに口説きたい、いや、けない女の方。

言葉を楽しむなら口説きながらだよね、って訳にはいかない。


帝国女騎士、二十代前半(推定)の美人(確定)さん。


あえて美、女とは言うまい。

観ているだけでも楽しいですよほんと。

砂漠のど真ん中でみえるオアシスみたいに。


あーこれが幻だったらどれだけ幸せであろうか。


そんな我慢と忍耐との圧縮中、別な楽しみは救いでもある。

でもある、ってことは、救いそのものではないわけで。

なんて退屈しない世界なんでしょーね。


ガンガン伝わってきます。

帝国女騎士がまっすぐ注ぐ、明快明解明開な意志。


魔法で翻訳されんでもすぐわかる。


希望、願望、共感じゃない。

そんな曖昧じゃありません。


正々堂々と口説かれようとしてらっしゃいますね、これは。


つまりは、みなさんにも伝わっているわけだ。

異世界の、すくなくともここ帝国軍捕虜には。

国際連合多世界物理接触禁止原則、その例外。


それが俺。


ありとあらゆる物理的接触がもたらす最大の危機。

異世界生態系同士の過剰反応、それは適応も含む。

未知の疫病へ相互感染、その程度で収まらない事。


新しい疫病の発生。


もともとウイルスが日常的に行っている変異。

それが新しい環境でどんな方向に向かうか予測不可能。

良くも悪くもなりうるわけで、対処も準備もしようがない。


その程度で収まったら、よかったんだけどな。


特に禁止されているのが多世界間生殖接触。

別に性感染症だけを警戒しているんじゃない。

生殖細胞同士の接触、事実上の遺伝子融合。


人体という遺伝子交配実験工場、それは体外に対する隙間だらけだ。


取り扱う危険から推測される必須レベル。

物理的(Physical c)封じ込め(ontainment)でいえばP4相当。

人体は異世界と地球双方で、まあ、P2~P3。


うん。


受胎以前の段階、受精のレベルで何かが起こる。

必ず起こる。

それがなにか、良否まったく誰にもわからない。


やばい。


単なるウィルスや細菌ならある程度、免疫の異物排除機能が期待できる。

んが、生殖過程であればそれはほぼ期待できない。


それ自体が異物を、異なる因子を獲りこんで結合させるためにあるのだから。


だからこそ、禁止令は徹底してる。

男女間の接触について重点的に。

それはそれなりに機能してる。


同性同士ならいいって訳でもないが、危険度は格段に低いので別枠。


24時間記録される地球人類の国際連合関係者。

それと接触する機会がある異世界人。

お互いに禁令が浸透している。


時々双方が焼却処分されているにしても、パンデミック対策は貫徹されている、と言えるだろう。


で、俺。

俺が解禁された理由。

まあ、解る。


永久に続けることはできないからだ。


多世界接触禁止措置は、あくまでも一時的な措置に過ぎない。

異世界に来てしまった以上、すでに異世界生態系に侵食し、されている。

異世界生態系を滅亡させでもしない限りは、接触を遅らせることしかできない。


もちろん、海や大気が接触しているから、ってわけじゃない。


水や空気は惑星単位で循環している訳じゃないから。

気流海流、濃度に密度、温度と組成によって循環範囲は固定される。

日本海に放射性物質を垂れ流しても、南極まで届くわけじゃない。


地軸転倒や地殻崩壊でも起こらない限り、数万年単位で日本周辺を循環します。


地球上の日本列島の様に、極めて脆弱な地盤では違うが。

地殻プレート境界線上に位置する為に、わずか十万年ほどで地形や海流が変る。

もちろん気候も変われば大気循環も変わるだろうが、南極には届かない。


水に流すって訳にはいかない、ってこと。


異世界の地殻プレートがどうなっているか、それはただいま調査中。

そも十万年あれば、放射性物質は軒並み半減期を迎えてるけどね。

そこまでゆるゆるな国土条件は、まあ少ないんだが、個性ってことで。


一つの星、その中が複数に仕切られている、ということ。


つまりは自然のエア・カーテン、ウォーター・カーテンと思えばいい。

そういう意味で、異世界生態系から日本列島を物理的に隔離することは、可能だ。

知的生命体、物理的に自然環境に干渉できる力がある生物が居なければ、ね。


居たんだが。


だから、ってのもあるんだろうな。

だから、ってだけじゃないのは置いておくとして。

だから、国際連合、いや俺たち日本の議員先生方は決定した。


こちらから干渉すること。


そうと決まれば無縁じゃいられない。

戸籍法の改正案まで審議されているが、社会的要素だけじゃなく。

生物学的な問題有無まで検討する。


それが良いか悪いか判断保留、俺は、ね。


で、俺。

俺が解禁された理由。

まあ、解る。


たまたまというか、偶然というか。


三佐の子分だから、だろう。

もちろん違うが。

そう見なされているようで。


それはきっと誤解ですあの女とは赤の他人です。


だから三佐から見て、国際連合からも、対処しやすい。

それが消毒でも記録でも、干渉でも誘導でも。

何もかも合法的にしたことにできる。


色々と趣味か仕事か暇つぶしか、判然としない活動を押し付けられる、だから常にもともと監視されてたり。


三佐の肩書。

陸上自衛隊三佐、国際連合軍事参謀委員会参謀、WHO防疫部隊班長。

そしてなにより非肩書。

国際連合首謀者の娘、国際連合軍主謀者の友人の娘。

その上に人を人とも思わない性格。


ありとあらゆる場合の判断と行動を、迅速に個人的にできるわけ。


なんてしちメンドクサイ女だ。

いつか絶対にビシッと言ってやる。

お墓参りのついでに墓前できっちり。


半世紀くらいあれば、なんとかなるよ、きっと

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さきにしぬのはどちらかとかいわないよーに。


男女関係に必要な事なんか、解ってないんだろーな。

三佐の場合、経験値以前に人間性の問題として。

マメシバといい、どーしておかしな女が集まるのか。


しかも、問題はそれだけじゃない。


俺の周りには今、子どもが溢れてるってのに、どーしろというのか。

我慢できなかったらどーなるということになるのか。

パンデミックの前に大問題。


お互いにトラウマになりかねない。


いえ、そんなハードなことはしませんけれど、たぶん。

いえいえ、そもそも耐えきって見せますけどね、たぶん。

いえいえいえ、前例があるなんて言いません、たぶん。


子どもは大人の秘め事が大好きだからね。


そうと判れば突撃してくるんです。

居合せた俺は、どーすればよかったのか。

お互いに癖になっ・・・・・・ゲフンゲフン。


友人から聞いたことがるあれこれはともかくとして。

今そこにある危機。

あくまでも友達の話であって俺の体験じゃないです。


何事にも限度限界あるわけで、おかしなことに、三佐がその辺りをまるで考慮していない。


子どもにはそれなりに配慮するはずの三佐だが?

子どもが視てるのを忘れているのか?

子どもを前にあたふたする俺を楽しんでるのか?


肝心なところで抜けてるし、あの緑の悪魔。


とゆーわけで、帝国軍に通知されたんだろうな。

あいつチョロイからヤッテいいよ、じゃないか。

禁止事項の対象外は独りしかいない、とかかな。


やっちゃいけない、と言わなければ、やっていい、と思うよね普通。


帝国軍にしてみれば、俺たちと戦いたい。

捕虜になっているから、武力以外で倒したい。

そして俺限定で武力以外の行使をしてもかまわない。


そのために厳選されたであろう、帝国女騎士の力こぶが目に見えるようです。


たかが一人でも、地球の戦力を減らせればOK。

利用できればなお結構。

こいつ無力と判っても地球人類のデータになる。


俺を篭絡して損はない、あちらさん的には。

知ったことかの相手の事情。

俺は思いやりにあふれた人間ではないのだ。


絶対に優先されるべき、俺の事情、いや希望、欲望というとかっこ悪い。


ヤバイ上司の許可があり。

子どもの監視を逃れるのは手馴れており。

女が俺に向けるヤバイ視線。


ここまでされて、いや別にされなくても、我慢なんかしないのである。


絶対に、ぜったいに、ゼッタイに、口説いて見せよう。

落とせるとは言わないが。


口説けぬなら、口説けるまで待とうホトトギス。


けっして俺の趣味のためじゃない。

これでルパンダイブしないのは、十年後の快楽のため。

今日のよくぼ、いえ、屈辱に耐えて明日を生きるのが男です。


絶対にあんたのためじゃないんだからね!


喉の渇きに耐えかねて。

差し出されたるレモン水。

断わるほどに無粋ではなく。

飲み干すほどに無欲でも無し。


とびつきてー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


彼女が発する強者の自負と同じ強者への共感は、えーと、俺と俺たちを同一視するような錯覚を患っておられるか、俺を過大評価していると思われ

――――――――――女より、いや、女としても、対峙する意識が強いんですね。


女は背中で語る。


押し倒される気が満ちております。

押し倒しに来ないのは、自負心故でしょうね。

押し倒した方が負けっていう勝負ですかねこれ。


三佐がシスターズ&Colorfulのことに気がつくまで、俺が堪え凌ぐしかない。


大変に体にわるい。

我慢させられてる俺の。

ただでさえ禁欲中なのに。


これはあれですわ。

魔法翻訳冤罪無関係。

よくあるよくあるたまにある。


マメシバが言ってたもんな。


どーでもいい雑魚に誘われてるんじゃない。

一生懸命、狙った男に誘わせてるんだ、と

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、しくじって勘違いさせることもあるそうだが。


見てるオマエに魅せてない!!!!!!!!!!

――――――――――名言である。


観るけどね。


魅せてる貴男がなぜ見ない!!!!!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知らんがな。


マジギレしないで俺にむけ。


おれサンドバックじゃないから。

爪砥ぎ板だなんて誤解です。

ネコパンチなら大歓迎。


そー上手くいかないですかそーですか。



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