表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

456/1003

国際連合統治軍「魔女っ娘お友達育成計画」より

【登場人物/一人称】


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


本日(五月十六日)は意中の人とのお出掛けとあって、別におしゃれをしています。



【登場人物/三人称】


地球側呼称《三佐》

現地側呼称《青龍の公女》

?歳/女性

:陸上自衛隊三佐、国際連合軍事参謀委員会参謀、WHO防疫部隊班長、他いろいろな肩書を持つ。日本の政権与党を支配する幹事長の娘で、父親と連携して戦争指導に暗躍している。


本日(五月十六日)も世界のどこかで呼吸するかのように戦闘、ではなく戦争しています。


本が無い世界で文字を教えるのは、光の無い世界で盲目を治すことに等しい。


「って」


『続きがあるんですよ、きっと』


「?」


『本が無ければ書けばいい。光が無いなら火を起こせ。読めて見えればなんとでもなる』


「口が巧いこと」



―――――call out―――――





【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】


俺は思った、こりゃ無理だ。

魔女っ娘には。

肢体が小さい娘むきじゃない。


帝国公用語はよーくにてる。


アメリカン(世界帝国)ボディランゲージ(肉体言語)

まあ本当に、せいぜいがアメリカ人くらいの動作だが。

あくまでもリアルの方、コメディ・アメリカンじゃなく。


コメディはどうかって?



「YOU!イッタミイリマース!HO!」


みちゃいけません。


踊ってんのかって勢いで肩をすくめる、あれをアメリカ人扱いしてはいけない。

普通のアメリカ人は両手からバラを取り出しながらシャウトしない。

ムーンウォークしながらマイケル・ジャクソンかジョジョ立ちかっていうアレ。


内気な人は、アメリカ人にだっています。


ソレが既に偏見だっていう意見はわかるが、まあ、自業自得。

だがアメリカ基準のコミュ障は、当たり前に彼氏彼女がいます。

真の選ばれし落伍者たる、ジャパニーズコミュ障とは次元が違う。


彼氏彼女がいるいないってのは、ステータスですらないっていう、ね。


女がいるから、リア充?

男がいるから、リア充?

彼氏彼女は空気と同じだろ?


ってレベルで、コミュ障扱いなんですよ。


うん。


異世界よりも遠い場所。

みちゃいけません。

でまあ、異世界(まじょっこ)だが。


向き不向きはあるわけで。


帝国公用語を話してみせた魔女っ娘。

二言目に、通じているか相手に確かめた。

それは、身振りが真似できないからか。


魔女っ娘の押し出しは立派だが、帝国の習俗には向いてない。

だけっちゃえばそれだけだが。


決して恥ずかしいとかそういうことでは無い、ことも無いか。

魔女っ娘は、目立たないよーに目立たないよーに、振る舞う。

24時間一緒に過ごす身としては、それはとてもありがたい。


いえ、物静かな娘じゃないといけない、ということは決してなく。


俺としては、動作が大きい美女は好きです。

マメシバ系あざとい動作じゃなくても、可愛いよね。

帝国女騎士のそれは、大型犬を思わせるし。


日本人には少ないタイプ。


騒々しさの塊みたいな女と付き合ったこともありますけど。

それはそれで、まあ、我慢も別にしませんでしたが。

けっして距離を置いたりもしていません。


縛って放置しただけです。


手と眼が届く範囲に、ですよ?

芋虫的な動きでにじり寄ってきますが?

縄抜けまで覚えたのは俺のせいじゃないよね?


元カノのことなんて言ってないですよ。


あれはあれでイイ女なんですが疲れるといことも無いけれど、けっしてそれが原因で元に変化したのではないと言い切れる。


いえ、元カノのことはいいんですが。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族の左前/魔女っ娘の左後ろ/お嬢】


わたくしはゆっくりと頷いてみせます。


あの娘に見えるように。

あの女に見えるように。

ご領主様に、見えてますよね?


この場を仕切るには足りません。

でも、わたくしたちがついていますわ。

ムリでもイヤでも、ご領主様がヤレとのこと。


あの娘はやります。

わたくし、たちが、やらせます。

譲る気も無いんでしょうし。


ご領主様が相手役、あの女(帝国女騎士)に紛れさせるもんですか!




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】


俺は留まり時は過ぐ。


で、魔女っ娘と帝国女騎士の話は続く。

こちらも見栄を張らないといけない。

そしてこちらは俺ではないのだ。


がんばれ魔女っ娘、不得意分野。

身振り抜きでも通じてるよ。

魔女っ娘のターン。



気合を入れて突き放し、偉そうに振る舞うんだ!



「お礼を」


うん。

知ってた。

可愛い。


威張るのに向いてないね、うん。


言葉を切っても御礼を申し上げそうになったのがバレバレ。

ただ、ネイティブではない言語を使っている、のが元々不自然。

態度や言葉を繕っているのはバレていないだろう。


魔女っ娘、この娘、本当に特権階級なのかな?


富裕層の中でも最上層の魔女っ娘。

体よく利用される立場でも、それだけの地位はあった。

それと悟らせないように、されていたはず。


何ができる出来ない以前に、赤い瞳がステータス。


つまりは産まれた時からずっと、ちやほやされていたはず。

太守府、つまりは、魔女っ娘が認知できる世界で一番の権勢家たちが。

魔女っ娘が見聞きする範囲では、過剰なほどに遜って見せたはず。


自己肯定感ゼロで客観評価がマイナスゲージ。


日本の学校成績のような、無意味でも判りやすい基準が無いとはいえ。

普通に考えれば家柄血筋だけではなく、容姿一つの絶対評価で天狗になれる。

均質化が進んで価値基準をアウトソーシングしないと耐えられない時代じゃない。


中世都市部の商人社会のど真ん中。


個々時々に相手を値踏みして、相対絶対で値札を付けてあたりまえ。

特に自分の値札は二重三重張り替え自由。

物が溢れて垂れ流し、評価ごっこで事足りるのは千年後までお預け。


自他をどう見てどう魅せるか?

命がけだった

――――――――――――――――――――――――――――と聞いておりますが軍政官研修では。


実際、各種偵察盗撮盗聴データの分析でも、予想を違えぬ過酷っぷり。

それ分析してるの俺じゃないですけどね。

日本で暇こいてる歴史社会オタクに各種専門家とその卵たちの動態分析。


素人セミプロ玄人の雑多な意見を吸い上げ集約するプログラムに、専門家の意見を少々。


それが魔女っ子のホームグラウンド。

異世界、ってか中世では子供の概念が無い、というのは繰り返し言われている。

なおのこと、10歳であれば社会参加の一歩前か後。


どちらかと言えば大人寄り。


鏡を見ることが出来るし街も見えるのだから、自分の可愛らしさは判るだろう。

お嬢経由で世の同年代のことは知っていたようだから、自分の知識量は判るはず。

俺が知ってる範囲では知識以外の知性や観察力も上々で、絶対値も相対値も高い。


魔女っ娘に対する今は亡き実のお父さんからの愛情は、まったく不自由無かった、みたい。


それでも変わらぬ引っ込み思案とは?

エルフっ子バリアーの過剰防御が逆効果?

愛情不足って感じには見えないよね?


命じることにも命じられることにも慣れていない。

浮世離れしているな。


我を通すわけでもないのに、流されもしない。

諦めることにも自覚的。


献身的っていうより、俯瞰していて自分が見えていないような

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?


そんなこんなでターンエンド。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族の左前/魔女っ娘の左後ろ/お嬢】


なにしてますのなにしてますのなにしてますの!

押されっぱなしじゃありませんか!

あたふたしているのを気付かれてしまったか微妙ですわ!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたくしとしたことが、いけません。


わたくしは、ご領主様の様子を覗います。

ねえ様も、ちらちら見てらっしゃいます。

あの娘はいっぱいいっぱいですわね。

―――――いつも通り―――――


そして?


あの女(帝国女騎士)も、ご領主様に気を吸われている、わね。

腹立たしい。


わたくし、たちの、ご領主様に色目を使うなら当然ですけれど。

ご領主様がわたくしたち以外広く愛でるのも、今は、仕方ありませんけれど。

あの女(帝国女騎士)の眼が、あの娘から、ご領主様にばかり向いていますけれど。


ふむ?

いけます、わね。

腹立たしい。


あの娘の失策は、親しいものにしかわからないようね。

実際、Colorfulの皆は落ち着いているわね。

なら、わたくしが慌てる必要はない、慌てちゃダメね。


あとでゆっくりじっくり言い聞かせて説いて訊かせて反省させるとして。

ここ、ご領主様の認知より遠く隔たった、ここでなら。

むしろ恥をかかない程度に鍛錬できるかも。


そう!

これはむしろいいことよ!

ご領主様に御仕えする以上、避けられない!




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】


「なんの」


魔女っ娘の礼、軽く手をあげて応える帝国女騎士。


尊重した物腰でありながら、丁寧さを避けているのは職務上。

ただなんとなく、生来の人の好さ、が滲み出ているような気が。

子どもという概念が無い世界でも、目下を保護する発想はあるから。


魔女っ娘の個性もあるかもしれない。


飴玉をあげたくなるかんじ。

箱の中にしまっておきたくなるよね。

広い温室を立てるのもあり。


カワイイは最強であり、全人類の庇護欲を駆り立てるのだ。


俺にがっしりつかまっている魔女っ娘には、帝国風の身振りがない。

あえて帝国公用語を使っているのだから、付属の身振りがないと判り難い。

ハズのところを、くみ取っているのは、技能でもあるが気づかい。


意外に、良いお姉さん分になれるかな?


「客を歓待するは我らが嗜み」


オカンはエルフっ子で間に合ってるし?


つまりは、上から目線だってことではあるが。

自信たっぷりな女は大好きです。

同時に苦手でもあるんですが、縁が多いです。


「ましてや遠来の客なれば」


いえいえ、俺のことは気にせずにどうぞはい。

こちらで勝手に記憶して後で愉しみますから。

魔女っ娘のつっかえ棒とでも思ってください。


地球人のラスボスは遥彼方の太守領辺りを拠点にして、いろいろ飛び回ってますから、そっちにご注目。


うちの魔女っ娘、如何ですか?

いまなら地球人(三佐)付いてきますよ?

仲良くして後悔させませんぜ?




【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族の右前/魔女っ娘の右/エルフっ娘】


切り上げ時、か。

あたしは彼、青龍の貴族、その気配が変わったのに気が付く。


あの女(帝国女騎士)の仕草や肢体を楽しんで、それを気づかせていた。

あたしたちや、あの女(帝国女騎士)に、わかりやすく伝わるように。

それでいて、あの娘を皆の、あの女(帝国女騎士)前で弄び続けていた。


ほんとーに、あの娘を苛めるのが好きなんだから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (いじわる)


でも、おわり。


あの女(帝国女騎士)の瞳に移る彼の視線。

それに反応しきれていないあの女(帝国女騎士)

あの女(帝国女騎士)の使い方を決めたのね。


なら、あの女(帝国女騎士)はどうするかしら。


主導権を取り返したと思ったら、卓をひっくり返されるなんて。

それと判って、ゆっくりと、いたぶられる様に、逆らえない。

手が届いたところで、手をつないだところで、突き放され。


戦場なら、退くところ。

戦士なら、下がるところ。

将帥ならば、迷わない。


最初から最後まで、とある男に鷲掴み。

あの女(帝国女騎士)が素直に退けるとは思わない。

女なら、ぜったいに、前に出る。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ