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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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一歩前へ。

【登場人物/三人称】


地球側呼称《カタリベ/歴史家》

現地側呼称《青龍の史家》

?歳/女性

:地球側の政治指導者が定めた役割。すべての情報へのアクセスを許可されており、発表を禁止されている代わりにどんな情報も入手可能。軍政部隊に同行しているのはジャーナリスト志望の大学生。


地球側呼称《曹長》

現地側呼称《騎士長》

?歳/男性

:国際連合軍/陸上自衛隊曹長。主人公の「俺」が困ったら、困ってなくても、まず頼る相手。


主人公の「俺」は着任以後、本土の友人知人を経由して曹長の家族に贈答をかかしていない。奥さんだと遠慮されてしまうので、娘に受け取らせる戦術を多用中。そのかいあってか主人公の「俺」は娘さんとはプライベートなメールをしあう関係。娘さんに曹長、お父さんの良いところを吹き込ん間接的に曹長の機嫌をとろうとしていることは間違いない。




【用語】


『佐藤』『芝』

:主人公『俺』の部下。選抜歩兵(物語世界での選抜射手)であり、異世界転移後の実戦経験者。曹長に次ぐ軍政部隊戦闘作戦の中心


『軍政部隊』:「俺」が率いる増強分隊。司令官(俺)、監察官(神父)の二人の将校と下士官一人、兵十名(選抜歩兵2名、衛生兵一名)。独立した作戦単位として活動する為に軽装甲機動車と3 1/2tトラック各ニ台、KLX250(軍用バイク)二台、偵察ユニット四機と機動ユニット、各種支援装備が配備されている。




隊長について、ですか。

判っています。


隊長に「答えろ」と言われていますから。


どんな人か。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ですか。


「撃つ人」

です、ね、はい。


撃たせるときもありますけど。

撃つときのイメージが強いです。

撃たせるときは冷静な指揮官。


いや、ちょっと違うか、な。


機械的な指揮官、といえばいいのでしょうか。



まったく無表情で、特に指示もありません。

みんなが、いつの間にか撃つ役と護る役に分かれてる。

自分は護る役しか任されてまいせんが。


何も言われないのに、いつの間にか配置が済んでる。


曹長や佐藤、芝が仕草で調節してくれますけど。

で、気がつくと自分らは役割を果たし終えてます。

戦闘が終った時に、それに気がつくんですよ。


「あ、今、俺の役目、終わった。次は警戒か」

って。


思い返せば、視てますね。


撃たせる前。

撃たせている時。

撃たせた後。


標的を見てます。

自分らのことは、見ていない。

いや、でも視られてる。


あ、そうか。


殺せるか。

殺してるか。

殺せたか。


撃つ。

撃ってる。

撃った。


手や銃に目を向けたりしない、でも、眼には入っている。


変ってますよね。

ちょっと似たような経験は無いです。

そもそも、任務の話をしたことが無いような。


報告はメッセージ送信か声で、見た聴いたの反応は来ますけれど。

指示や確認は曹長から、訓示する姿なんか想像もできません。

任務以外では、偶に、凄く希に、話すこともありますが。


雑談、かなぁ、任務と無関係でもないし、助言、ですかね?

今の生活、去年までは考えもしなかった、違和感、みたいな?

そんなことを、話す時、いや、ただ聴いてもらってるのかな?




それは良いんですが。

慣れたんで。


だから良く、いや、慣れないのは、撃つときの隊長です。


普段通りなんですよ。

基本、ポーカーフェイスですけど、これも慣れるとけっこう表情が判ります。

あの娘たちを心配してたり、あの娘たちと楽しんでたり、あの娘たちに困ってたり。

そんなかんじですね。



ああ、そう。

撃つとき、ですよ。


変らないんです。


笑ったり、困ったり、退屈そうだったり。

で、そのまま撃ちます。

遅滞なく。


緊張もなく、構え、いや予備動作もなく。

すっと抜いてすっと撃つ。


味方の時も、ですよ。

そう、日本人を撃つとき。

地球人を撃つときも。


警告も注意も脅しも無し。

異世界住民を撃つときは、むしろ禁止されています。

でも、それでも躊躇はあるし、問題化しない範囲で警告ものです。


ましてや味方を相手にする時。


自分が知る範囲で、普通は警告します。

撃つことになる前に、殴ります。

もちろん警告で済む段階の内に、ですよ。


それを越えたら即射殺なのは仕方がないですけど。

たいていは半殺しにすることはあっても、撃つには至らない。

撃つときも、大抵は躊躇います。


味方の時は、ですよ。


隊長は違います。

撃つか撃たないか。

二つに一つです。


撃てるときは撃つ。

撃たない時は放置。

訓戒も説諭も警告も無し。


即決軍事裁判で即射殺。

しかも即決審理は発砲後。


記録データを精査して上層部が可否判断。


問題なければ放置。

問題があれば処刑。


違法じゃないのは確かです。


国際軍事裁判は即決可能なのは知っています。

あまりやる人がいないだけで。

隊長は自分が知る限り、二回ほど撃ちました。


※第12話<大人のような、子供のような。> より

※第16話<裁判と呼ばれているもの(1867年以降日本式)> より


それぞれ、処刑する基準は満たしていた、とおもいます。


記録媒体で検証はいつでも正確に可能ですから、冤罪がまかり通ることはありません。

将校には権限があるし、乱用すればすぐに処刑される立場になるだけです。

それでも普通はやりませんよ。


たまたま殺されなかったのが全部、異世界の人たちが地球人を庇ってくれたから、ですから。


なかなかないですね。

なんていうのかな。


そう。


撃たないように、していない。

撃てるときは撃つ。


そんな感じです。


怖いですね。

確かに怖いです。

だから安心できます。


過ちを冒せば撃つ。

誤りを犯せば撃たれない。

曖昧なところが無いですから。


自分は隊長の決めた枠で動けばいい。

その枠が、なんていうか、目に見えてるんです。

だから道を踏み外すことは無い。


だったら、絶対に自分は隊長に撃たれません。


《カタリベの取材ノート/No34》





【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】


ごろごろ喉を鳴らす魔女っ娘。


猫か?

猫か。


普段の行動がね。


肢体を擦り付けてくることといい。

膝にのりたがることといい。

密着して寝ることといい。


俺の世話を焼きたがるのも、近所の猫がハトを獲ってきてくれることに似てるな。

魔女っ娘はスキルが高いので、本当にお世話になっております感謝しております。

いえ、お嬢とエルフっ子にも感謝してますけどやっぱり子どもはネコっぽいよね。


撫でられるのが好きだし。


近所のガキどももお菓子を抱えて俺んちに来るしねぇ。

がっつりした物を腹いっぱい食わせると別腹なんかなくなるから、全部備蓄されてるけどね。


持ってこんでいいといっても、手土産持参。

それは大人になってからでいい。

金券(まごころ)の忍ばせ方は、後日教えてあげよう。


子どもは意外に遠慮深いモノである。

異世界でも、日本でも。

俺の前では、そうはさせないけどね。


本来、女の子はネコ可愛がりされて、ワガママ言って、行き過ぎたら掴みだされてりゃいいってのに。

※繰り返し


というわけで、俺のマッサージ多世界共通好評説。

規準は日本で近所の子ども、うちの娘らが異世界。

地球人も異世界人もエルフもハーフエルフも網羅。


シスターズ&Colorfulの基準は当てにならないって?


確かにそういう面が無いとは言えないのは知っているが。

俺のやることを何でもかんでも好意的に解釈するからな。

もちろんそこはダブルチェックした上での結論ですから。


実践、いや、実践済み。


検証試験対象は、太守領王城は軍政司令部担当のメイドさんたち。

通りすがりの俺が結果としてたまたまぶっ殺させたヒャッハーの被害者。

今はいろいろあって軍政部隊司令部担当、その娘たちにも好評です。


俺に撫でられると、眠れるとか。


PTSDで男に近づけないとか、良く眠れないとか、突然フラッシュバックして、即昏倒とかとかとか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もっと苦しく殺せばよかったクソ愛国っぽい暴漢共。

※第19<>Rules of Engagement/ROE/交戦規程


次回同じような事があったら、元カノに任せよう。

俺は殺るのが怖いし、部下に殺らせるのも悪いし。

元カノならなんかの片手間に殺って殺らせるから。


俺のお腹が痛くなるから、同じようなことが無いといいのだが。


そんな俺たち、占領軍軍政司令部/軍政部隊担当のメイドさんたち。

それが俺たち、軍政司令部や俺のパーソナルスペースに居ると安定するらしい。

それで俺たち、軍政司令部の中に彼女たちの宿舎を設けてしまったのはメイド長です。


いーけどね。


俺が遠征していない、まあ、通常任務で王城に居るときは朝昼晩にマッサージ希望で列をなす。


何もかも忘れてしまえるとかなんとか。


ついでに直接触るとフリーズはするが、再起動したときにリフレッシュできるとかなんとか。



パソコンかな?




【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族の左前/魔女っ娘の左後ろ/お嬢】


わたくしは、むしろ、あの娘をこそ怖れるべきなのでしょうね。


わたくしと一緒に、あるいは競い合って、あの娘がその気になれば、争っても。

それだけの力、ご領主様がみそめ、わたくしが導き、もちろん、ねえ様の薫陶あってこそ、ですけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そういう話ではなく。


ご領主様の悦びに寄与できた己を誇る

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悦こんでいただくのは、当たり前ですから、誇るほどのことではありませんわよね。


ご領主様が、視過ごされるはずもありませんし。

そもそも、何かを見過ごす、ということのない方ですが。

わたくし、たちは特に視ていらっしゃいますし。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三人の一人、ということは、わかっております。


無視して、わたくし、たちを苛められるのは、いつものことではありますけれど。

突然つかまれて耳元でお言葉をいただくこともあるので、油断も隙もありません。

嬉しくて恥ずかしくて楽しくて幸せなのですが、鼓動が止まる時はきませんわ。


わたくしを、つかみ、抱き寄せ

――――――――――――――――――――――――一人を、独りを、ひとりを、わたくしを。


もちろん、偶然に偶々、奇跡的な出逢い。


愛しい方の好みの大きさ、から育つ前に出逢えたこと。

感謝しきれません。

ほんの数年前なら、待つだけですむことなんおですが。


数年後なら――――――――――取り返しがつきません。


そこは誇らず感謝しております

―――――――――――――――今、わたくしが、この歳にいらしてくださる、ご領主様に。


それはそれ、これはこれ。


わたくしならでは淑女の心得。

愛する方に悦んでいただく、わたくしの心得。


あの娘の可憐は、ご領主様の心を満たしましょう。

ねえ様の健気は、ご領主様を守りましょうね。

わたくしは、ご領主様の銃を補えますわ。




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