様式美/dress code．

対話に置いて、礼儀を無視してはいけない。

礼儀とは形式だ。

フォーマルな服装、親しすぎない物腰、時候の挨拶、大義名分に正当性

――――――――――意味など無い。

だからこそ、欠かせない。

挨拶を跳ばしたら無礼だからな。

だから言うまでもなく、礼儀だけでも困る。

挨拶しかなくては話にならないからな。

一例を上げよう。

演者は、リットン卿と松岡洋右だ。

※ヴィクター・アレグザンダー・ジョージ・ロバート・ブルワー＝リットン伯爵

リットン卿は言った。

「国際連盟は公平に調査する」と。

松岡洋右は言った。

「正義を我にあり」ああ、後は人種差別反対とか東亜の解放とか五族共和とか八紘一宇（中略）

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とかとか、止まらない。

おいおいおい。

リットン卿は頭を抱えたよ。

いつ本題にはいるのか？

一生懸命、準備してきたのだ。

オークションとはいえ、支払いの能力があるのは列強、日本帝国だ。

もちろん日本の懐事情はわかっている。

だからリットン調査団には、フランス代表が同道した。

農業国とはいえ、フランスの第二産業は金貸しだ。

即金がないなら、その場で貸せる。

貸す気満々のフランス代表。

調査報告がまとまる前に、満州開発費用を斡旋していたぐらい。

実際に貸し付けたが。

それなのに。

嗚呼、それなのに。

何故、挨拶が終らないのか。

侵略。

虐殺。

差別。

自衛。

歴史。

どーでもいいから。

英国人が、列強の代表者が、なにゆえ極東の些事に関心を持つだろうか？

仕方がない。

ここで一人役者が加わった。

「国際協調」を叫ぶ幣原喜重郎氏。

きっと協調してくれるに違いない。

余計に頭が痛くなったが。

幣原喜重郎は強く強く主張した。

軍部の暴走はこれを許さず、戦争と紛争、トラブルを起こさないように努める。

武力を排した交渉こそが人類の「あ、もういいです」。

いやいやいや。

相手を誰だと思ったのか。

トラブルを糧に、友情の押し売りを生業にしているブローカーたちに、トラブルを無くすとな？

ケンカを売っているわけではない。

というのが、もう、ね。

目が真剣だった。

かくして潰えたリットン鑑定団。

出品物：「調査報告書」

これは列強各国の保証書であり貴国の行動に無制限の自由を与えます。

イングリッシュ・オークション。

参加者は二ヵ国。

大日本帝国と中華民国。

中華民国が値を吊り上げている様に見せかけて、日本帝国からの指値を吊り上げる。

オークションの熱気が冷めて値切りだされたら困るので金貸し、いやいや金融業者が同行。

日本は国際連盟の保証書を購入して満州開発資金を得、列強各国は保証報酬を得る。

普通はそうなる。

そうならなかったが。

「拝啓」から始まり「敬具」で終わる。

それが日本帝国では通じない。

「拝啓。さようなら」

え？

かくして調査報告書は玉虫色の結論をみた。

「満州で不幸な事故がありました。誰も悪くないから支配は日本がして名目としては中華民国領でいいんじゃないかな」

なんで公平な調査をする羽目になったのか？

中華民国にも金は無かったのだ。

貸し付けられるための信用もなかった。

挨拶が無ければコミュニケーションは始まらない。

挨拶が長ければコミュニケーションは終わらない。

それはけっして、リットン卿の責任ではない。

日本人は熱心に刷り込まれている。

８月１５日に至る過程は必然であった。

万やむを得ない流れで致し方なく破滅した。

それは時代背景として避けられないことであった。

騙されているぞ。

リットン調査団は最後の機会ではない。

調べて見たまえ。

８月１４日までいくらでも機会はあった。

挨拶を切り上げることはいつでもできた。

何故しなかったのかは訊いてみるがいい。

１５日に試合放棄した、己が正しさしか主張しない、すべては無能のせいではなく運命のせいだと言いつのる、無能の国から無能を広めに来て国を滅ぼした上でまだ生き残っている連中に。

貴国と連合王国との付き合いに免じて、教えておこう。

なに、キミたちの失敗のせいで我が帝国を失ったのだから。

今度こそ、それを繰り返さないように、な。

戦前から戦勝まで皆がずっと待ち続けた。

最期まで貴国から発せられなかった。

おかげで誰もが大損した。

国際協調の意味するところ。

たった一言の本題。

Ｈｏｗ ｍｕｃｈ？

《国際連合安全保障理事会付属戦後処理委員会参考人：連合王国首相証言》

【国際連合統治軍第１３集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】

俺にはわからん女道。

オシャレの基準は三者三様。

基準があるってことだけが共通原則。

魔女っ娘の魔法使いローブ。

普段のローブの下は首筋から膝丈までのチュニック。

したはズボンとブーツ。

お嬢の趣味でローブは時々引きはがされるけれど。

そういうときはドレス姿です。

エルフっ娘の全身革鎧かロングドレス。

ドレスは園遊会のホスト役を押し付けたとき。

※第６９話<捕食者の宴/Ｐｒｅｄａｔｏｒ>前後より

今日は初の現代地球風のスタイル。

マメシバギミックが何を起こすか気が気じゃない。

お嬢は常と変わらぬ傾奇で伊達な洒落者。

あくまでもＴＰＯにあわせてツールとして服を選ぶ俺とは違う。

装うことが目的の装いであり、飾るための飾り。

そのデコレーションドレスに至っては、飾りが無いところが無いという。

いや一見するとリボンが歩いているような、でも良くマッチしてるんだけどね。

ゴスなフリルに、埋もれてないんだなこれが。

飾りの中の一番見事な飾りとして、お嬢の肢体があしらわれてる、と言えばいい。

中世規模の異世界で、同じ服にそでを通すようになったのは初めてだとか。

俺たちと遠征している時は、合わせてくれる優しい女の子です。

Ｃｏｌｏｒｆｕｌも外出時は陸上自衛隊風制服の上着を着用。

第一ボタンまできっちりでネクタイも完璧ですよアナタ。

一人一人、白・朱・翠・碧・橙でデザインが微妙に違うって知ってた？

俺は知らんかったが、なんか違うから見比べたらわかった。

細かいところではボタンの色、大きなところでは襟の形。

インナーのデザインが違うとかなんとかカタログを送ってきたのはマメシバです。

その複雑なローテーションを命令させようと画策しているのもマメシバでです。

任務外活動を任務であるというか俺への義務とか解釈しているこの娘たちにも問題はありますが。

この世界に果たさなきゃならない義務なんか一つもないんだぞ、っと。

自分がやらなきゃ誰かがやるってことは、やらなくてもいいってことだよ、っと。

やらなきゃいけないことをやらなかったから壊れるような職場は早く壊そうね、っと。

それで困るとしたら俺だから。

ソレを丸投げするのも俺だし。

最後は困らないのも俺だから。

仕事なんか怒られてからやりゃいんーんだよ？

それはおいおい教育するとして。

ことほどさように隙が無いオフィシャル装備。

その真逆は無防備ではなくピンポイントにあえてつくった隙こそ装備。

詳細省略。

オフィシャル/プライベートいずれにせよ、徹底的な異世界メイド。

ＭａｉｄじゃなくてＭａｄｅね。

それは個々一人一人のスタイルとは別に存在しつつ、切り離しては成立しない。

現代の無駄な大量生産品とは違う。

薄物厚物足回り肩掛け外套装飾品。

二つとして同じものが無い、というより意図的に外している。

でありながら一人一人専用に仕立て上げられている。

個々人の髪肌肢体に物腰に気分、季節天気気候に状況まで計算。

そこまでやるかという話だが、こだわり始めると行き着くんだろう。

そこは地球でもそうだしな。

異世界で言えば、お嬢。

日本で言えば、マメシバ。

富裕層の中でも特に趣味にまで昇華させた洒落者伊達者数寄者。

異世界の少数派の中の極少数派。

そーいうところは、むしろ現代日本のほうが退化してる。

例えば日本の、ハイヒールやタイトスカートに露出度。

控え目にいえば、意外に自爆が多いんだな。

爪先立ちで曲がる姿勢。

ひきつって脚裁き以前な仕草。

肌の無手入れ全力宣撫。

女の魅力を努力して台無しにする呪いのアイテム。

姿勢が骨格から整ってないと、背伸び歩きはサルっぽい。

不安定だから、体を揺らしてバランスとるからね。

脚周りを絞れば、大股で隙だらけな動作が強調されるわな。

着物姿用の摺り足をするためには、体幹の安定が必要です。

露出度を上げる時に、肌のチェックしない女多いよね。

背中とか腕とか各種の死角とか。

男が居ないんだろーな。

現代にはありふれた、そーいう、俺が好きな無駄努力。

全力空回り総力空吹かし力いっぱい溝の中。

なぜ好きかって？

俺の好きなものが増えるから。

基がいいんだから、キレイやカワイイにするのは簡単だ。

それは俺と切れた後も続く。

良い女は大好きです。

悪くない女も好きです。

ソレが満ちてる世界を愛しています。

見回すだけで幸せになるじゃないか。

恋をして綺麗になる女、ってのはそーいうこと。

恋をして、るだけじゃなくて、付き合ってるからだよね。

男はどうかって？

なぜか聞かれることも多くはないが少なくもない。

俺の守備範囲外です。

俺自身はどうかって？

値札をつけるのは、欲しがってる側。

俺が女を欲しいのであって、逆じゃない。

俺の値は俺にとってどーでもいいこと。

敵を知り己を知らば百戦危うからず。

ゲーマーの発想だね。

彼我の戦力で目標を定めようっていう。

力及ばなかったら、酸素じゃなくて二酸化炭素を吸うんだろうか？

同じ同じ。

必要というのはそー言うこと。

己を顧みる必要なんてないし、それほど暇でもない。

鏡を見る暇があったら、街行く女を見る。

己を称賛する暇があるなら、女を褒めそやす。

自分を飾るほど暇では無いので、相手をデコレーション。

それで不自由がないのだから、俺はそうして死んで征く。

女の八割、世界の四割を愉しみながら。

そんな愉しみ、隙が、帝国女騎士には、ない。

まさに正統派正面衝突一点突破フェイント在ります一大決戦が楽しめる

――――――――――のに！！！！！！！！！！