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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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Predictably Irrational/予定不調和

【登場人物/三人称】


地球側呼称《三佐》

現地側呼称《青龍の公女》

?歳/女性

:陸上自衛隊三佐、国際連合軍事参謀委員会参謀、WHO防疫部隊班長、他いろいろな肩書を持つ。日本の政権与党を支配する幹事長の娘で、父親と連携して戦争指導に暗躍している。



地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》

現地側呼称《マメシバ卿》

?歳/女性

:陸上自衛隊医官/三尉。国際連合軍独立教導旅団副官。キラキラネームの本名をかたくなに拒み「ハナコ」を自称。上官の元カノが勝手に「マメシバ」とあだ名をつけて呼んでいる。



【用語】


『仮名』:将校姿で異世界転移後の国際連合武力制裁活動に暗躍する正体不明の人々。既出の限りすべて女性で、地位に比べると若い。仮名として名乗る名前は歴史上の戦争で、悪名高い軍人の名前ばかり。


既出の仮名。

メンゲレ大尉:第13集積地軍医。合衆国太平洋軍所属で異種交配計画のプランナー。

ツジ参謀:軍事参謀委員会所属。動物行動学者として意見を述べる事あり。

※第115話<帝国の統治>で初登場

○メシ○三尉:国際連合軍独立教導旅団所属。異種交配計画のアジテーター。




「人体実験はしませんよ?」


しってるわよ。

貴女の関心が人体を癒やすことと、人体を強化することと、恋バナにしかなくて、知識より過程より結果だけを追求したい

――――――――――って知ってるから。


「知った上でソレを無視するヒトだってしってますから」


被雇用者である前に医者であり、医者である前に女であり、地球人類や日本国民や自衛官って自覚は何処にも無い

――――――――――そんな貴女に、質問があります。


「はーい、女として応えます」


アレが子ども、地球感覚で、に手を出さないのは理解できたのよね。


強い個体は弱い個体に欲望を抱かない。

より強い個体は弱く幼い個体を庇護する。

回復させて丈夫に育てて、価値を高めてから喰らう為

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほどなるほど、想定外。


「ホント動物行動学は盲点でしたー!

知らずに西部戦線に異常が生じるまで突撃させちゃうところですもん。

だんちょーとバトロワルためには、まず最後まで押し倒され終わって三回目からですし。

誘い受けどころか拝み攻めって、最後の最期ですよ、うん。

マジカル・ツージーに教えてもらわなければ、ぜ~んぜん解りませんでしたよ?」

※第375話<豚は肥らせてから喰え>より


まじかるつぅじぃ?


「んで?」


なら、なぜ?


「わかりませんけど?」


幼女童女は、判る。

なら、なぜ?


「あーはいはい、女として成熟した15歳以上256歳以下でWelcomeどころか涙に暮れてジタバタしてる女に手を出さないのはなぜか?ってはなしー」


そうそれ。

他の女の目を盗む、なんて呼吸と同じアレなのに。


「派遣前はふつーに近所の女の子の監視をくらまして女誘ってましたしね」


なぜ、知ってるのかしら?

知り合ったのは異世界で、よね?


「つまり照準偏差が高くなってるんですよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「だから」弾道がなんだっていうの?



「あーつまり一発目が低めに流れたから照準が高めにぶれてるんですね?ほら、射撃だと試射してなお実射で調整するじゃないですか。照準調整してあっても、微妙ですから。弾頭って風や気温湿度ほかいろいろにコロコロ転びますし。ワンバが低めに集まれば、照準を高めにするでしょう?」


通訳。


『ワンパック。最初の一弾倉。銃撃戦に置いて照準調整に使う範囲。通常は数発、数射ですが弾倉一つ空にするところまでは許容範囲内』


「マジカル・ツージー♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪いたん?」

『いない』

※第115話<帝国の統治>で初登場


発破一つで建国しそうな名前ね。


『仮名ツジ参謀、です』

「むったー元気?」


むったぁ?

犬?


「タイプ90(キューマル)。マスコット・キャラクターですよ。マジカル・セット必需品です」


??????????


『大丈夫です。一般的な人生を送れば気がつかない世界ですから』

「ふつーの女の子は見ない読まない気がつかない♪らのべあにめどうじんし」


 で?

『で?』

「で?」


なぜか、応えていただけるかしら。


『女性は成熟が早くファンタジーに耽溺する時間が少なくて、実在し手が届く範囲の男性に向かう――――――――――という話ではなく――――――――――被験体No1が女を女と認識しない理由』

「まーったく、我慢してないみたいですしね、いじょーいじょー」


そうそれ。


『認知性バイアス』


原因。


『最初に出会った相手が女の子たちでした』

「魔法少女、お嬢様ですね♪」


『被験体No1は庇護対象と認識』


それはそうね。


「ファースト・コンタクトは殺す/殺さないでチョイスするように訓練されてるんですけどね」


まあアレは訓練や学習に適性が無いし。


『次に少女と出会います』


メンタル&ボディが十代後半なエルフちゃんね。

実年齢&経験値未経験値なんか知らない時だったし、少女扱いはあたりまえ、か。


『彼女も庇護対象と認識』

「女の子たちの関係者として出会った、ので、その延長線で」


ソレがどうした、って感じよ。



『ここまでに認知経路ができました』

「異世界の女性を収納する心のフォルダーに、庇護/子どもってタグを付けて、チョイスなしに自動保存」


『動物は基本的に第一印象を変更しません』

「心の処理能力は低いですから、いちいち精査しないで前例を踏むんです」


出会うそばから庇護分類済みのフォルダーに放り込んでるわけ、か、機械的に。


「該当フォルダーのアイコンは、かーいいかーいい魔法幼女の上目づかい」


かくして絶頂期の肢体が幼女アイコンに隠れてしまいました、と

―――――――――お気の毒。



「みんなが不幸になりましたとさ♪」

 他人ごとじゃないんだけど?


《軍事参謀員会機密回線記録tag:(検閲削除)前半》






【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】


もちろんのこと、俺たちの軍政教育でもわからないことはある。

ってか、その方が多いのは繰り返し繰り返し(中略)繰り返し繰り返し、教官から言い聞かせられたよそりゃ。


異世界だから、ってわけじゃなくて。

単なる歴史学のレベルで不明点だらけ。


そんな謎史学を手掛かりに異世界を解釈する?


約束された誤解と失敗。

導かれるは悲劇と惨劇。

運が良ければ喜劇寸劇?


教官にはお悔みをつつしまれましたよ、もう。


この教官はあまり一般的ではないほうの学者だけどね。

活字映像を含むメディアにも官庁の審議会や教科書資料の編纂にも関わらない。

公権力の支配が及ばないところで活動している、まあ多数派の学者が徴集された。


信じるなよ?

信じるなよ?

信じるなよ?


って繰り返される授業なんか初めてだったが。


生徒(高校生までのこと)時代は勝手に疑って嗤っていたし。

学生(大学生以降)時代は勝手に疑わないバカは教授に無視されてたし。


だから、共同生活から学ぶことは多かった。


軍政開始から異世界人と共同生活になるとは、予想していたような意外な様な。

相手が別ならこんな暢気に、帝国女騎士と見比べたりは出来なかったろう。


ちょうどシスターズ&Colorfulは、かけ離れてはいても地球現代先進国に近い方だからね。


異世界の中では。

だから学びやすい、ってか、解釈しやすい。


魔女っ娘は都市住民上層。

中心部になかなかの一戸建てを構えていたし。

狭い都市で大きな庭付きの館って、相当ですよ。

※第18話<愛されるな。憎まれるな。畏れられよ。>より


お嬢は言わずと知れた特権階級。

ご実家は怖いお父さんがおられるので訪問したことはありませんが、別宅を訪れたことがありますので推して知るべし。

お城でした。

※第108話<風薫る。> より。


エルフっ娘は漂泊民かな。

どの階層にも地縁血縁にも属さずに、何処にでも行ける人々。

安全に行き来できるとは言ってないが。

つまり異世界全体の集団の、内奥はともかく表側は知り尽くせる。

ありがたくも俺に教えてくれるし、反応から異世界の常識非常識も判る。


Colorfulは異世界特権階級スタンダート。

まあ、あれだ。

多世界歴史上も様々に重要な役目をはたしてきた奴隷商人。

異世界全体に販売網を持つ、とりわけ特殊な商人たちが丹精込めて訓練した。

ゆえにこそ、特権階級限定ではあってもグローバル・スタンダート。

異世界は丸いからグローバルでOK!


ゆえにこそ、わかる異世界少女たちの基本形。


シスターズ&Colorfulたちのオフィシャル装備は、顔と手以外は基本着衣。

オフィシャルってことは、俺と一緒にお出掛けのことだけどね。

時々忘れようとしているのだけど、占領軍司令官と同行なんてオフィシャルの極み。


これは一見、帝国女騎士と同じ。


捕虜が敵軍の将校と同行するなんて、いやな意味でオフィシャルの極み。

良い意味がつくオフィシャルなんて、あちらとこちらの宇宙にねーが。


だが防具としての礼服ってのは窮屈なもんだ。

ファッションっていうより、装備と言った方がいい。

作戦中だからね。



逆にプライベートがやたら薄着、露出が多い。

でも裸ではない。


そこが中世っぽい異世界の、富裕層と大衆の差であるらしい。


俺はうちの子たちしか知らないが。

特殊な趣味ではないのだろう。


王城ではメイドさんたちが軍政司令部、つまりは俺たちの生活空間に出入りする。

特別、驚かれたりはしないもんな。


特にColorfulは育ちからして、異世界上流階級基準で身だしなみを教育されているはずなので。


マメシバの侵蝕を受ける前からそうそう変化はない。

マメシバ・ブランドの特徴は外形ではなく隠しギミックだからな。


勤務時間外のColorful、勤務時間外の俺と一緒のシスターズ。

室内ではかなりラフな格好です。


日本本土の近所の子と、そうたいして変わらない。



通気性最優先で身体に負担をかけない羽より軽そうな服が多い。

隠せないのではなく、隠さない。

あえて形だけでも服を纏うあたりが、矜持なのかもしれないな。


それはアピール。

実用性を求めているのではなく、あくまでもステータスを示す。


なにも隠してないような。

何も防いでないような。

着なくても変わらないような、かけてるのかなって程の、服?


服が財貨の証なら、必要が無い時に纏うのが富の証。

服は着れば着るだけ減る消耗品、しかも異世界では高価、だからね。


裸。

それは、はしたない。


良く言うことこそないが、まあ、普及した発想。


それはこういうことなのかもしれない。

一般大多数(びんぼうにん)と同じに見えるぞ、と。


服が特権だったから。


それは着衣が一般化する前でないと成り立たない。

それが一般化したということは、推して知るべし。

そして特権を脱ぎ捨てる事例が少なくなかったと。


そりゃ、脱いだ方がらくだしね。

そこを我慢して、形だけでも着て魅せる。

意図を超えた意思。



俺は24時間勤務で軽装にはできてもシャツ一枚になったりできないのに!!

派遣されてからこっち、自室を裸で歩いたりできないんですが?


着崩す時もこの子たちの眼を意識して計算された着崩し方。

一人になれないお仕事なので、今は俺は。


それを覚えた子どもたちが、勤務時間終了と同時に俺の服を着崩してくれるようになりました。


あえて。

わざと。

意図的に。



それも、そーいう感覚。

俺みたいな階層には、わからんよなぁ


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