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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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認知的共感/back shot.

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳、白い肌。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




Chapter,1

・被験体No1は車外に出る前に、先行しようとしたcを抱きよせる。

特記:重心がやや背後に依る。

分析:車外環境からサンプルY群を保護しようとしたものと推定。


・被験体No1は先に車外へ出た曹長を視認

特記:筋組織の緊張緩和がみられる。

分析:車外環境安全と認識したものと推定


・被験体No1はcを開放し、その先導で車外へサンプルY群を誘導。

特記:重心が安定。

分析:警戒を解き主たる関心がサンプルY群へ移行したものと推定。


Chapter,2

・被験体No1はAを観察。

特記:目耳鼻の動きはAを指向/重心は後ろ、しいて言えば右寄りへ遷移。

分析:Aに対する強い関心/同等にして連動する関心を背後に立つサンプルY群へ、しいて言えばcよりへ向けている。


※総評

・被験体の重心移動を心的焦点移動ととらえた場合。

Chapter,1:サンプル保護

Chapter,2:サンプル非保護

と解釈できる。


要点はサンプル非保護。


では「2はなにか?」ということになるが「Aに向けたものと同じもの」ということになる。

サンプルY群y群、とりわけcにたいして「=Aへの情動」を抱いたものと結論。


サンプルY群y群の中で肉体的に一番成熟しているのがcである。

サンプルY群y群ののなかで被験体No1に一番近いのが、cが所属するサンプルY群である。

状況と矛盾せず、結論は補強される。


被験体No1の認識に置いてサンプルY群y群が、「女の子」から「女の娘」に変化していることを確認。


幼児性愛疑惑を導入することで、女性自衛官による監視体制は継続。

彼女たちはサンプルY群を「女性として」保護しようとしている。


この囲い込みが認知へ与えるバイアスは大きい。

次の段階ではこれを定着させること。


付箋:人間は存外単純なものだ



【試料】

A:異世界人間種/非魔法使い


【サンプルY群】

a:異世界人間種/魔法使い

b:異世界人間種/非魔法使い

c:異世界エルフ種/非魔法使い

d~h:異世界ハーフエルフ種/非魔法使い

e:地球人間種


【サンプルy群】

a’:異世界人間種/非魔法使い

b’:異世界ハーフエルフ種/非魔法使い

c’~h’:異世界人間種/非魔法使い


《異種交配実験:メンゲレ・レポート》





【聖都/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族の右後/エルフっ娘】


あたしは今更ながら、自覚した。


あたしは女なんだ、と。

産まれて初めて解ったこと。

今までは判っていただけのこと。


なのに今、始めからそうだったように馴染んでる。


戦士として見るよりも。

剣士として見るよりも。

帝国として見るよりも。


帝国の女騎士を、あたしはただ女としてだけみる。


女騎士の呼吸や仕草から、瞬発力や体力を測る。

女騎士の剣鞘や構えから、間合いや斬撃を推し量る。

女騎士の肢体の形や大きさから、耐久力や隙を推測する。


目の前の、敵だと感じてしまう女。


今までは、それが優先で、そこで終わり。

今はそれよりなにより、気にかかる。

今この時、彼がみているのは、何処か。


いままで彼、青龍の貴族の前にはいくらでも女が現れたのに。


あの女の乳房、あたしのほうが大きい。

あの女の胴まわり、あたしとあまり変わらない。

あの女の腰つき、あたしのほうが小さい、かしら。


こんなのはじめて。


帝国女騎士は鎧で肢体を覆っている。

その鎧がむしろ、その肢体を強調している。

胸の曲線、腰の流線、自然な動作は無理のなさ。


脚や腕、顔以外の肌は鎧で見えない

――――――――――動けば隙間から肌が見えるわね、ワザと。


彼、青龍の貴族、その視線。

帝国の女騎士、その瞳に映る、彼の姿。

間違いなく女を品定め。


品定め?


あたし、たちを見る視線、とは、まるで違うわね。

自分のモノを見る視線じゃない、そんな温かみはまるでない。

それはつまり獲物を見るような、剣士が剣士を覗う視線。


それはその、相手の帝国女騎士についてもいえるわけで。


あからさまに彼を、のぞき込むように見ている。

青龍の騎士たちを無視して青龍の貴族だけを。

それは仕方がないことだけれど。


あたしたちが彼だけを見ていることとは、違う。


青龍の騎士長。

老いが見えるので、考慮されてない。

青龍の道化。

外見が特異すぎて、見向きもされない。

青龍の騎士たち。

鎧で全身をおっているので、見えてない。


帝国女騎士は、敢えて一通り見まわして魅せてから、彼、青龍の貴族に集中。


眼を向けて。

肢体を向けて。

関心を向けて。


不愉快!


皆と引き比べてなお、貴男を選びました、と。

たしかめた上で、貴男以外に値得る男はおりません、と。

貴男に判るように振る舞うのは、知ってほしいからです、と。


不愉快!不愉快!!



彼に女を見せているようで、男を、青龍の貴族を見ている。

――――――――――欲を、敢えて隠さずに、露骨に見て魅せてる!


鎧を纏わずに軽装の騎士服に包まれ、ほどよく締まった肢体。

――――――――――彼の目より、呼吸や胸板に喉元や股間を見てる!!


あたし、たちを導く大きい手は戦いを知らない貴族の様に艶やか。

――――――――――手が特に気に入ったのか、何を想像してるのよ!!!


不愉快!不愉快!!不愉快!!!


今までもこれからも、女なんていくらでも出てくるというのは覚悟してる。

青龍の女将軍、青龍の娼婦たち、太守府王城の側付きメイドたちに港街の頭目や小さな娘たちや人魚や

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そもそもさいしょはあたしたちだし。


けれど、なんでかこの女だけは許せない、感じがする。



ここまで露骨にされて黙って見ているなんてできるわけがない!

あたしが黙って見ているなんて思わないことね!!

あたし、たち、よりむしろあたしが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?




あたし、も?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理ムリむり。


なにもかも剥かれて見られて触られて、最後だけお預けで、いまさら?


だけど、駄目ダメだめ

――――――――――自分からは、できないわよ。


妹たちは、マメシバ卿の口車にノセられてるけれど。

あたしは、うん、やっぱり、でも、そう。


だから、遅れをとるのかしら?


この女の肌に唇は、張りがあり滑らか。

人間は場所や生活で、すぐに乱れるのに。

まるで戦士ではなく、乗馬好きの令嬢みたい。


聖都が帝国にとって後方の、重要ではない拠点だから、か。


騎士の嗜みとして、戦士として女を磨く。

当たり前以上に手入れする、余裕があったわけね。

青龍に捕らわれてから、今まで以上に暇ができたか。



それでもなお、あたしの方が艶やかだけど。


どちらがより好かれるのか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好みによる?


あたしたちと対照的で挑発的で挑戦的な帝国女騎士。

あたしたちとは別の意味で、青龍の貴族は楽しむだろう。


帝国女騎士が楽しんでいるように。


女は見て楽しんでるだけ、じゃない。

彼の視線を追い、それを誘う微かな仕草。

見られようとして、魅せようとして、それ自体で惑わす。


一方的に愉しまれている、あたしたちとは真逆。


欲を隠さず、むしろ晒して、それを武器に挑んでくる。

軍務と趣味を併せて貫く、軍功も男も手に入れ、両方愉しむ。

愉しむ、そして相手にも、愉しませられると疑うことは決して無い。


欲ぶか欲ばりな欲しがり屋。


強欲な、あまりにも深い欲が、玩ばれるのは眼に見えてる。

弄りやすいから、気質で言えば、あたしたちより簡単かも。

それは帝国女騎士を、彼、青龍の貴族も気に入るってこと。


ううん。

それは、じゃないわ。

それも、ね。


あたしたちにも、もっと欲を出せ、と言うくらい。


彼に嫌われるのが怖い。

彼に喜ばれないのが怖い。

彼に見られないのが恐ろしい。


あたしたちは、臆病。


その臆病さを、楽しんでいる、彼の癖。

だから隠している欲を暴いて、苛める。

明らかな強欲より、必死に秘めた欲求。


彼が一番、好んでいるのは、あたしたちの気質。


絶対!

絶対!!

絶対!!!


それだけで、あたし、たちだけで終わってくれたらいいのに、そうはならない。


一番があるなら、二番も三番も

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ず~と、あるのよね。



単純に肢体だけなら?


あたしの肢体が彼、青龍の貴族、その好みに合っているのは、間違いない、と思う。

帝国女騎士(○ばんめ)が気に入られてるのも、わかるけど、あたしほどじゃない。


でも、エルフと人。

人の方が馴染むかも。


エルフであることで、彼の気を惹くこともある。

逆になることだって、無いとは言えない。


あたしは今まで自分の姿を、自分以外、誰とも比べて来なかった。


それがここに来て、弱点になってる。

なにもしなくても、彼の女は彼の好みになる。

あたしがそれだけど、エルフは人より変わりにくい。


だから、遅れをとるかも

・・・・・・・・・・・・・・・あたりまえだけど、頭でわかってはいるけれど、あたしは、まず最初にそれが気になるのよ!!!!!!!!!!


あたしが、あたしになった?


ううん、戻ったみたい。

間違いなく、一度もそう在ったことはない。

なのに、そう在るのが解る。


あたしが初めて、あたしになった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは決して、不快じゃない。



すっごく幸せ

――――――――――女が増えたのは、と~~~~~~~~~~っても不愉快。


もちろん、わかってるわ。


取引なんかじゃない。

あたしと引き換えに、あたしだけになんて、持ち掛けない。


力や心で縛ったりしない。

あたしだけを見てほしい、なんて、強請ったり押し付けない。


何かを利用するなんて論外。


氏族の掟、一家の都合、皆の常識。

他人なんか、あたしたちの間に関わらせない。


愛されるに値しない、あたしがその程度なら、人知れずに死ぬ。



彼は人間なんだから。

エルフではなくて。


あたしは人になれないし、ならない。

エルフとして愛されたのだから、最期まで、そう。


人は生涯の中で多くのツガイを求める。

エルフが一つの繋がりを切望するのと同じ。



一人の女で満たされるような男は、人間ではありえない。


だからこそ。

あたしならばこそ。


彼の自由で、彼の欲するところを、あたし独りで満たして魅せる!







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつか。

まずは失神しないで持ちこたえるところから。


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