認知的不協和:Friendly Fire!
用語】
『認知的不協和』:現実と認識が一致しないために強い不快感が生じる状態。実際、そのままだと死ぬので、本能的に嫌悪・忌避・恐怖を感じるのは正しい。その不快感を解消するのは誰にでもできる簡単なことで、認識を変更するだけで足りる。しかしながら人間には想像力があるために、現実を否定することが可能。現実を他人に転嫁できる、そう期待できる場合。自我が脆弱で認識と分離することが出来ない場合。現実を否定、認識しないことによって不快感を解消する。結果として現実に直面してなお、それを拒むことが出来るので、ここまでくれば精神異常。
中世、異世界人の「世界」とは徒歩移動可能な集落内をさす。彼らにとって「全人類」とは二桁以内の見知った人々に過ぎない。
※詳細は第423話<亜種以前。>
《国際連合経済社会理事会(ECOSOC)/持続可能な開発委員会(UNCSD)基礎資料》
【異世界大陸某所】
異世界だけかしらねぇ。
日常的に三桁の人間と会話する必要。
ある?
ネット?
SNS?
はぁ、オンラインなんかサルのお遊びね。
取捨選択出来る関係なんか、鏡の箱に閉じこもるのと何がちがうのかしら?
オフラインで賛同を得られない極論や破綻嗜好。
精神病質者が、仲間を見つけて讃え合う。
仮想の他者に依存して、潜在病質が顕在病になるだけ。
そーいうアレに限って、政治や社会をかたるのよねぇ
――――――――――員数外は寂しいのかしら。
同じ同じ。
一人にとっての「みんな」が二桁を越えたりはしない、出来ない。
その二桁が「空はオノマトペだ」って言えば、そうなる。
認知と認識は違うもの。
五感が受けた波長は変わらない。
脳に伝わる信号も同じ。
承認される世界だけが変わる。
ああ、変わらないわね
―――――――――――最初から「そう」なのかも。
二桁の人間を操作出来れば一人を異世界に跳ばせる。
コミュニケーション能力が低い人間ほど、簡単に。
無知な人間ほど、ふか~~~く。
周りの人数が少なければ、操作の手間がかからない。
無知は基準をもちえないから、何でも受け入れる。
総理大臣なんて、その典型。
官邸に囲い込んで、補佐官で包囲する。
物理的遮断。
公務と称する雑事で追い立て意識させない。
感覚的遮断。
官邸が世界で、たかが二桁程度、補佐官が世間になる。
同じ顔付。
同じ態度。
同じ言葉。
補佐官、護衛官、みんな官僚。
箱庭。
書き割り。
仮想空間。
短命政権が続く訳よね。
「2+2=5」って判るヤツだけが、官邸で暮らせる。
在任期間と正気の度合いは反比例。
正常な人間なら、逃げ出すわ。
それでもなお耐えて「2+2は4」って言い続けたら?
――――――――――逮捕!
考えた罪。
それでも地球は動く、でも判決は動かない。
日本国宗教裁判。
異端には社会的な死を!
ってね。
三年以上、首相官邸に居座っていられたら?
廃人。
奴隷。
狂人。
消費税懐疑派を箱に入れてお呪い、夜が明けると賛成派になっている。
アメージング!
ファンタスティック!!
反対派は最初からハトにはしないみたいだけど。
最初から?
最期には?
90年代からこっち、選別方針みたいね。
昔、神輿は軽くてバカがいい。
今、神輿はバカには務まらない。
狂人じゃないと。
正常な政治家は逮捕。
異常な政治家は擁護。
異常者が決める異常者は、正常じゃなくて倍掛け。
世論なんか気にしない、気がつかない。
世間なんか気がつかない、見えてない。
世界を造り、人形で囲い、人形を侮蔑して、人形に賛美させ、数字を修正し、報告書を交換し、官僚同士で競い、官僚同士で讃え、誰も質問しないしさせもしない。
ミラーハウスのチンパンジー。
よくあるよくある。
90年代の東ヨーロッパに、山ほどあったわ。
むかーしむかし。
「書類の書式が違う」
という理由で外交文書が却下されるのは日常でした。
問題は「正しい書式」が何処にも規定されていないこと。
その国は滅びたけれど
「書類の記載方法が違う」
という理由で国会議員が逮捕されて有罪にされる国があります。
問題は「正しい書式」が何処にも規定されていないこと。
その国はまだあるわよ。
だ・か・ら。
異世界転移後。
首相も大臣も、全員国会に居座ってるのよ。
まあどうせ決定は国会で、政府は実施機関に過ぎないけれど。
官僚の報告は、各委員会議員の前で受ける。
一度も登庁せず。
監禁されないために
――――――――――日本を忘れないために。
日本を二回滅ぼした、とっても効果的な手法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、わかるわね?
アイツを監禁している理由。
≪カタリベの取材記録(タグ削除)——————————————————————————≫
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神宮正面前/青龍の貴族】
俺はかなりだいぶ感心している。
いや感心以外のに関心もすごいことになっているけどね。
それ以外の要素も大切にしたいのですよ。
つまり!
その美人は、こうだ。
白い肌は張りがあり、滑らか。
顔はもちろん、装具や髪の隙間から覗く肌。
春の陽光に映え、照り返しさえ感じてしまう。
白以外で構成される世界。
コントラストが強く主張しており圧倒的存在感。
眼を惹くというより、目を奪う。
これは白い、とっても白い肌がほのかに色づいているからではないだろうか?
小麦にならない程度の日焼け。
背景世界とのコントラスト以上に重要なところ。
チラリと視える隙間肌と顔や手の白さがぼ妙に違う。
陽焼け跡ってとっても色っぽいと思うんですが大好物です。
金髪は、その陽光を溶かし込んでうねらせたようだ。
編み上げてなお、纏めきらず。
遊びを持たせて、髪を髪自体で飾る。
同じ一人の髪なのだから、同じ色の金色だよね。
いや染めている、んじゃなくて、髪が陽に焼けているのか。
金色が濃淡色合いで波を描き、それを編み込んでアクセサリーの様。
これもんである。
青い瞳。
これは色合いというより表情。
悪戯っぽい光を湛え、こちらを覗き込む。
そう、あくまでも主導権を譲り、一歩惹いて、下から誘う。
背丈のせいじゃなくコイツはわかってやがりますね、こりゃ。
しっとりしなやかな美貌で何人の男を泣かせてきたんだ。
うわぁーなきてー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
白さで眼を奪う。
金で誘い受ける。
青で惹き堕とす。
いや、よく――――――――――出来てる。
考えてる、じゃないな。
工夫じゃなくて、センス。
作意のない作為。
落とし穴じゃない底なし沼。
今も昔もよくある手法を100倍洗練して、男女、ってーか、異世界人と地球人向けにアレンジした感じ?
俺に細かく合わせて、いや、合っている。
瞳、姿勢、物腰。
自然に、さりげなく、明確に。
俺に引きずられて、それが判るように、解らせるように。
こうなると、対峙ではない。
互いに互いの距離感が、共演の間合いのごとく。
こんなの初めて
――――――――――俺の手口か。
いやいやいやいや、アレンジし続けている。
耐性ウィルスのごとき永遠の未完成。
インフルエンザなんか目じゃない。
俺が無差別総当たり絨毯爆撃なら、帝国女騎士は一点突破スマートボム。
アドリブに強い、確信!
帝国女騎士。
美女ではあるが、美人寄り。
男だけではなく、女の目も惹く美人。
同性の敵意嫉妬憎悪より、羨望憧憬共感を、より多く集めるタイプ。
純然たる区分けではないが、魅力的な女はどちらかだ。
比較で言えば、だけれども。
まあ男から見ればどちらにも惹かれてたまりませんが。
え?
魅力的な男はどうか?
誰も男なんか見ないぞ。
男も女もな。
男の場合、見られるのは側にいる女。
魅力的なら女がいて当たり前。
女を見て、憧れたり妬んだりするわけだ。
見るのが男女どちらであれ。
男も女も、女しか見ないということ。
そんな目を惹く帝国女騎士。
美しく、強く、そして何よりも、女。
男を強く意識して、より強く女を意識させる。
それについて自覚的であり楽しんでもいる。
女を意識する男、つまりは男に最適化し続ける。
それとわかれば俺も当然、楽しくなる。
久々に蘇る感覚。
しかしマズい。
出会い頭に女とはね。
緒戦で先制の利を失うとは!
現代軍隊が中世に対して持ちうる最重要アドバンテージ。
俺の眼は節穴ではないが、索敵情報をスルー。
緊急事態で子守中、見えていた女に気がつかない。
今、手が届く、間合いの範囲で、相手がとうに気がついてるってのに、やっとだ。
本来ならば朝、気がついていてしかるべし。
卿の予定を決定、索敵情報を確認し、ルート上を視認。
それだけで帝国女騎士に気がついているのが当たり前だ。
なんのにしかして今、気がついた。
第13集積地を訪問する前に、捕虜の確認を怠っていた。
かるーくデータを流し観していれば気がついたはずだ。
気がついていれば驚きをもって迎えるのは相手だったはず。
単位数値データを、見るだけ見て終ってたんだから呆れる。
深く深く反省しよう。
そりゃエルフっ子も不安になるわけだよ。
周りに気がつかず、子どもに集中する大人。
たよれるわけがないわなぁ。
予備戦力を持たない部隊みたいなもの。
大人なら片手間に子どもを掬わんと。
そーいうふうに、魅せないと。
そのほうがカッコいいし。
なにより判りやすい。
俺たちの場合、実態はどーあれ、おなじこと。
必要な措置は部隊で行う。
親方国際連合旗に任せておけばいい。
俺が果たすのは、旗には出来ない役目。
旗にくるまって安心する子はいない。
大人に抱かれて安心する子どもは多い。
本当は子ども(エルフっ子とか)の方が強くても。
大人はシステム、旗の一部に過ぎなくても。
ごく小さな歯車(俺)は、子どもを安心させるための飾りに過ぎないのだから。
仕事はともかく、為すべきはなさんとな。
任務は置いといて。
ならば今、俺は調子が戻ってきている。
女に目がいき俺絶好調!!!!!!!!!!
安心したまえエルフっ子!!!!!!!!!!!
頼れるお兄さんにすべて委ねて甘えるがいい!!!!!!!!!!!




