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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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424/1003

解/Quod Erat Demonstrandum.

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳、白い肌。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。


『Colorful』:奴隷商人に造られたハーフエルフの最高級愛玩奴隷たち。国際連合統治軍軍属。直属上司(彼女たちからすれば所有者)『俺』は「休め」「寝ろ」「遊べ」以外に命令しない。ので、シスターズの小さい二人を自主的に上長と仰いで所有者である『俺』のために活動している。





Quod Erat Demonstrandum./Q.E.D.

※ラテン語




和訳:「このように示された。」

※そもそも「正しい」という意味はない。

※~Q.E.D. で「~と示された」となる。

※客観の立場から表現した言い回し。


誤訳:「このように証明された。」

※証明はされていない。

※Demonstrandumは「明示した」という意味。

※「~と考えられる」の方が意訳に近いか?



類例:「ただちに影響はありません。」

※客観を装った主観(がんぼう)

※「ただちに自覚症状は感じません」の意味。

※「ノーロープバンジー中ですが地面には距離があります」の意。





【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


敵はどれがいい?


三佐なら、そう言うところ。

俺はそこまで上級者、いや、上層部じゃない。


つーか、三佐も結局、何もできない状況がありえない人だよね。


まるで帝国軍みたいだ。

厄介で、恐るべき、不屈どころか屈する機能が無い人間。

地球人でもそういう人はいる。


主に歴史の中に。


圧倒的な力と対峙する。

絶望的な状況を理解する。

逃避しなけりゃ諦めもしない。


三佐の場合、常に優位な場所から睥睨してるんだが。

そもそも不利な立場に立ったことなどなさそうだが。

だからこそ、諦めるって感情や絶望が理解できない。


俺はもちろんのこと、損切りする。

俺にできるのは、ダブルチェック。

俺ができないのは、無駄なあがき。


エルフっ子以下シスターズ&Colorfulを取り巻く状況。


時速60km前後で疾走中。

視界の範囲手前に地球人が入ればアラート。

射界の範囲に異世界人が入れば銃撃。

聖都内外の自動機銃。

地雷源に造られた隙間をカバーしながら、味方以外を、規定行動中の捕虜以外を銃撃。

上空からの索敵体制と連動した地上の索敵システム。

光学動態センサー。

対人レーダー。

赤外線スキャン。

いずれも廃墟にピッタリな探査装置。

ノイズになる生き物がいないからな。

だから周りに何も居ない。


ならば周りに何がある?

俺以外の誰かがそれを知らないか、エルフっ子以外にも訊いてみよう。




【聖都南端/聖都市内/らんどくるーざーの中/青龍の貴族頭上/お嬢】


わたくしは素早く動けました。


寝椅子の端に寄る、ねえ様。

ねえ様に抱かれた、あの娘。

二人を慈しむ、ご領主さま。


ご領主さまに覆い被さる、わたくし。


ここからなら、三人が同時に見えますもの。

らんどくるーざーの中は、大勢すぎますから。


わたくしたちが座る寝椅子に、横にすらなれません。

だから当然、ご領主様の膝をいただくのですが。


その寝椅子に膝立ちに膝立ちしてなお。

わたくし、ご領主さま好みの、小さい背丈では、とてもとても。


今はその、お背中。

故に小さくはないのですが愛しい方お好みの胸から、ご領主さまに乗るように。


本来は逆の位置であるべきですけれど。


Colorfulの皆を見ます。

視線だけでわかりますわ。


ソレはソレでアリ、なの?


ふーむ。

わたくしは皆に解禁と合図しながら、考えます。




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


お嬢は軽いなぁ。

俺は頭上のネコ、もとい、お嬢を乗せたまま曹長に合図。


耳に響くはマイクをつつく音

――――――――――異常なし。


俺がつっつく。

曹長がつつく。

応じて応える一連の流れ。


OK!

わかった!

どうしよう!


曹長の管轄である車外には、なにも脅威は生じてない。

ツーと言わなくても通じる、以心伝心ではなく符丁の交換。

誤認誤解が生じるほど、複雑ではないし複雑な必要もない。


戦闘職はこんなもの。


どんどん言葉が無くなっていく。

戦闘に必要な情報なんか、多くないからね。


一般隊員には、撃つか逃げるか、敵の方向だけ判ればいい。

さらに士官である俺が知るべきことなんか、異常正常二者択一。


どうせ詳しく聞いてもわからんし。

聞けば解らんと悟られるし。


理解把握は将校の責任外。

将校は無理解埒外を独りで了解。

確認質問は後日書面で提出させる。


戦闘中はこんなもの。

なお点呼を取って駐屯地を出てから帰って点呼を取り終わるまでが、戦闘中。

話すのはジョークや雑談限定。


軍務隊務に関することは無言。

練度が高くないとダメだけど。

すくなくとも俺と曹長はそれ。


曹長と隊員たち、その間ではそこまですすんでない。


だからたびたび怒鳴られることになる。

ドスが利いた大声で命令。

叱責しつつ叱責に見えないように。


異世界人、特にちびっ子たちの目があるからね。


大人は子どもに見栄をはる。

見栄を棄てたら人ではない。


人間は見栄一つで死ねる。

かっこ付け以外で、人間が死ねるもんか。


醜の御盾はそこから産まれる。

いや、造ってるの間違いか。


でないと子どもが不安になるしな。


叱責され続けの大人。

まあ我が部隊の練度はそんなモンだが。


それと判ってしまったら?

そんなモンに頼れるか?


実際のところは、頼ってくれて問題ない。

練度の低さは、戦闘システムがカバーしている。


俺より強い隊員たち。


そんな彼らでさえ、上位戦闘システムの手のひら。

すでに戦闘支援システムじゃなくて、戦いの主体はシステムの方。

戦闘システムを支援するのが、生身の兵士の役割だ。


が、見えない。


広範囲の索敵システム。

遠距離の火砲支援。

部隊内相互支援管制装置、などなど。


が、見えない知らない解らない。


それを俺たち自衛官以外が、理解する必要はない。

説明しても無駄だ。


それを理解させることは出来ても、実感させることなんかできやしない。

俺だって、隊員達だって、曹長だって。

実感できないシステムに合わせた動作を訓練で仕込まれているだけだ。


頭で判っても、体が解らない。

実感が伴わない知識は、反射に結びつかない。


見えていて、聴こえていて、感じられるのは目の前の兵士たち。


そこに不安があれば、頼る側に躊躇が生じる。

民間人はもちろん子供たちは、システム化されてない。

個々に反応判断するから、一瞬刹那が命取り。



訓練されてない、することもない相手。

特に子どもが頼るのは、自信溢れる大人の存在。

事実かどうかはどーでもいい。


考えて動けば、死ぬ。

身体が動けば、生きる。


ならば嘘ををついてだます。

分かり易い嘘で最適化。


曹長は、それが解っている。

体験的に。

俺はそれを判っている。

教科書的に。



PKO経験者とPKO教練マニュアル文書作成者。


その違い。

英文マニュアルを改訂するために在日米軍基地へ出勤。

いい思い出だな~直行直帰泊まり込みOKだったし。


さまざまなロスタイムを発生させても仕方がない。

やりない甲斐がありました。


そんなわけで、任務の邪魔にならない素敵マニュアルとは無関係。


曹長はあるべき姿を実力で役割を体現。

俺は曹長に合わせりゃいい。


アドリブは得意です。

素人目、俺から見ても挙動がおかしい隊員たち。

もっと可笑しい神父。

目立たないうちに、大分良くなってはいるが。


俺と隊員たちの間には、そもそも命令がない。

だからお互い気にしない。


着任すれども指揮執らず。


曹長からのサインは相手の実力に合わせている。

俺にわかるのは異常の有無だけ。


それが判れば、それですべて。

それと割り切るから、意外に動揺しない。


子どもたちが俺にゼロ距離なワケ。

訳が分かるよね。


必要な情報以外もってないから。

ノイズが無いからわかりやすい。

ソレが役に立つと見切られてた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んだけどね。



俺は難問奇問に考え込む。


エルフっ子センサー、Ok!

曹長のプロフェッショナルチェック、OK!

俺のシロウト目線による検算も、まったくOK!


敵はどこだかわかりません。

敵はなんだかわかりません。

敵に何するかわかりません。


ここまでは日常一般教養問題。

装備と経験があれば誰にでも正解できます。


そこから先は、ちょっと難問。

そこから先の先は奇問なんてもんじゃねーぞ。

不可能問題じゃなくて、すでに証明済みの問題に別な解。


必要なのは無為無策。

何もしないで何も考えないでなにも気にしないこと。

子猫(まじょっこ)を咥えた母猫(えるふっこ)にそれを強いる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どーやって???


オカンエルフを説得する。

それは最初から考えない。

そりゃ俺には無理ですよ。


剣士エルフを力づくで抑え込む。

最後の手段だからあとまわし。

俺なら赦されるから、ヤダ。


いかん。

ネタがもうない。

泣く子と地頭には勝てない、っていう解がありましてね?


鎌倉時代の人でも無理だったんだな、って、たぶん鎌倉期の言葉じゃないけれど。




Colorfulたちが心配そうにのぞき込んでくる。

俺を。


いかん。

また五色美少女巾着袋が完成してしまう。


なら中心の俺に乗る、お嬢は?

グリーンじやないピース、クリーム色の小エビ、あるいは洋辛子かな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・美味しそう。


俺がそんなことを考えていると、魔女っ子が頷く。


異世界風獣肉ゼリーよせパイ包み焼き。

肉より肉汁を楽しむ一品です。

旨味ってそこだよね。


たぶん。

献立が決まった瞬間である

――――――――――わかんの??????????


うわ!

魔法ょぅι゛ょっょぃ。




【聖都南端/聖都市内/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の胸のうち/エルフっ娘】


あたしは、あの娘と彼のやりとりを感じた。


彼、青龍の貴族は自分の女を護る。

いつもそう言っている。

絶対に離れるな、と。


あたしたちは離れたりしないし、出来ないけれど。

だれのものかなんて、言われなくても判るけれど。

時々、ううん、しばしば彼は、自分で離れるなというわりに、あたしたちを置いて独りで行っちゃうけれど!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・腹を立てている場合じゃないから。

今は。


そーいう時は、あたしに任せるし。

青龍の騎士たちや、青龍の女将軍、マメシバ卿に囲ませたうえで、ね。


彼はそういう人。



なら

――――――――――大丈夫。


彼の護り方は、あたしたちから見たら、変わっている。

でも、結局、許せないことはしない、と言えばどうか、だけど。


あたし、たちと彼の価値観は違っても、価値基準が同じだから。


好きか、嫌いか。

それが同じ。


近づくか奪うか、避けるか殺すか。

それが違う。


だから、苛めて焦らして弄って、はある。

悔しいことに。


でも、棄てる嫌う貶める、はない。

だから、大丈夫。


ここは聖都。

それと知らずに征服した、帝国。


それを奪い取った青龍は知っている?

なら、それを含めて喰らうつもり?


それなら、あの娘に障るつもりかもしれない。

青龍は、そう考えているかもしれない。

だから、大丈夫なのかもしれない。


彼、青龍の貴族。


青龍の公女が直接、北辺の太守領に封じた諸侯。

青龍最強の騎士、女将軍の元、あくまでも元、男。

あたしたち以外全て、青龍にすら慇懃無礼な裁定者。


青龍の思惑を知らないわけがないし、彼の思惑が知られないこともない。

青龍、世界をのみほす龍がどうあれ、彼が自分のモノを譲ることは無い。

そして、あたし、たちは彼、青龍の貴族、の女なのだから棄てられない。


そう確信できる。



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