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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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423/1003

亜種以前。

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳、白い肌。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。



「会見を続けてもらいたい」


はじめましてジャーナリスト。


「日本人ジャーナリストは初見ですか」


その通りだ。


「ご感想を♪」


日本人は戦訓を学び報道に懐疑的だ。

それは民主主義として正しい。

しかし冷笑的になり、ジャーナリズムを担う人間が少ない。

それは社会構造としておかしい。


「さっきまで会見場を満たしていたのは?」


一つ。

官僚機構の宣伝用外郭団体に所属する売文業者。

二つ。

ジャーナリストに憧れた誇大妄想患者。

三つ。

単なる身分詐称なら政治的対処ですむが、診断書が必要なレベルだ。

精神疾患は自覚に乏しいので、ご家族への連絡を強く推奨する。


「こりゃ手厳しい」

「明日連中がなんと言って報じるかわかってるんですよね」


大半の日本人と同じように、私も彼らの行動に関心が無い。

見聞きしたこともないので推測できないし、意欲もない。


「TVなんか見たことが無い、と」


見ないほうが視えることは多い。

聴かないほうが聞こえることも多い。

読まなければ考えることが出来る。


「それは?」


老婆心ながら日本人が民主主義体制を目指すならば、それ以前の段階としてジャーナリズム(journalism)という社会(infra)基盤(structure)なしに継続出来る社会はないと心得ることだ。

※Journalismの和訳は存在しない


「日本は民主主義でははない?」


一つ。

民主主義の概念は|EncyclopediaエンサイクロペディアBritannica(ブリタニカ)日本語版参照のこと。

二つ。

明治以降は東アジアの典型的人治主義体制。

官吏の恣意的気まぐれであらゆる規律が法律として運営される、大陸型社会になった。

江戸期の個人主義的法治国家とまったく共通点がない。

三つ。

日本は民主主義体制を敷いたことは無い。

それが悪いわけではないが、自覚が無いのは悪いことだ。

ましてや思い込むに至っては自殺の道程に他ならない。


自覚的に嘘を使うのは嘘吐きだ。

自覚せぬ嘘吐きは精神異常者(キチガイ)だ。

自覚無しに嘘をつけば必ず破綻する。



「他に助言は」


スターリン型官僚主義国家として終わりたくなければ、ジャーナリスト(Journalist)育成にあらゆる全てを投じるべきだ。


「では、会見の続きを」

「覚えてたのかよ」

「こたえがあるんですか?」


一つ。

加盟国個々の内政には関与しないが、国際連合は国家を単位とした民主主義準拠にて運営されている。

二つ。

質問には全てこたえる。

出て行くのは止めないが、こちらからは打ち切らない。

それが民主主義のルールだ。


「答えるのか応えるのか」

「日本語ってのは難しいな」

「どちらですか」


一つ。

ゆえにこそ日本人報道官による日本語会見が導入された。

異世界研究から兼務させてまで、わざわざ私を選任した。

今後こうしたサービスの要不要は政治判断になるだろう。

二つ。

日本の官僚体制とは違って、解釈には干渉しない。

報じたことを理由に会見から締め出したり、法的根拠もなしに呼び出したり、記事内容を作成して強要したりはしない。

三つ。

虚偽欺瞞誤謬。

それを精査するのがジャーナリストだ。

会見はサービスだが君たちへのサービスではない。

ジャーナリストを対価で贖うのはサルではないのだから。


「手厳しいこって」

「取材対象と喧嘩するなら必然ですが、憐れまれるのは御免ですね」

「なら亜人について」


一つ。

正しく問わねば正しい応えは得られない。

二つ。

得られるのが応えか答えか、非開示とする。


「けっこう」

「こちらで裏は取ります」

「異世界に人間がいない、とはどんな意味ですか」

「法律的意味合いではないようですが」


異世界人は人間種、人、人類という概念を持たない。


「異世界の人類類似種族を異世界人としましょう」

「異世界人は自分たちを、そう、自称していない?」


その通り。


「何故でしょうね?」


彼らの世界は視界の範囲で終わる。

生涯一村落はおろか、集落から出ない。

異世界、というより中世社会ではそうなる。


王侯貴族の中でも上位の者だけが例外だ。


行商人とて決まった順路を決まった道でたどるのが一般的なこと。

ゆえに彼らにとって数十から百、最大三桁程度が他者のすべてとなる。

異世界住民の90%以上がそうした環境で過ごす。


ゆえに彼らは異世界の知的生物の中で、どんな形状の存在が多数派であるか、自覚する機会が無い。


集落の外部から訪れる者。

エルフ、ドワーフ、獣人、人間、他すべて。

ひとまとめに余所者と定義される。


故に人間という認識は生まれない。


仮のこの世界の99%が人間類似種だとしても、90%以上の人々がそれを知る可能性は無い。

都市や町はその拡大版でしかない。

逆に都市部住民は外部を漠然として認識するので、自分の手が届く範囲での多数少数に絶対の基準を求められない。


それは特段、異世界だからではない。

地球に置いて人間という認識が生まれたのはごく最近だ。

それすら全面的に普及していたかといえば違う。


異世界で例外として認識されているのがハーフエルフ。

彼らが極端な少数派であると認識されるのは、不妊であることから帰納されたのだろう。

これは極端な例外で類似例はない。



知らなければ人などと称しない。

人間という認識が生まれない。

我が無ければ彼も無い。


世界を知らなければ比較できない。

比較できねば見下すこともできない。

妬むことも憎むことも恨むこともできない。


ソレができるのは異世界で最も強く賢いモノだけだ。


他者を知ることで憎悪が産まれ、世界を知ることで差別が造られた。

歴史を記すことで恨みが蓄積され、物語が偏見を生み育てていっている。

ゆえにこそ種族の概念が生まれ、それを根絶しようという発想を持ちえた。


帝国だけが。



《記者クラブ加盟企業所属者退席後の会見》




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺は歴史に学ぶことにした。


天が下に新しきことなし。

森羅万象は既に起きた出来事の焼き直しに過ぎない。


さすが旧約聖書。

2500年くらい前には森羅万象が打ち止めだったっていう、ね。


新しいパターンが無くなって、三千年くらいなのかねえ。

つまらんな。


ということは類例は必ずあるということになる、のであれば解決策も三千年前から確立している。


おお!

なんて便利なんだ!!

考える必要ねーじゃん!!!


んが、歴史を全て知らないと類例検索は不可能だった。

それを知ることが出来たら人間止めてるよね。

俺は人間でしかなかったよ。


やっくにたたねーなオイ!


いやいや。

前向きに考ええれば、相対的に新しいことばかりの人生ということになる。

絶対的に繰り返しでも、俺という相対的な存在には関係ない。


解決策とおなじ位関係ない。



よし。

解決策を探すのはあきらめよう。

それは創ればいい。


必要なのはそのレシピ。

料理と同じだ。


巧い店を探すより、造ったほうが早い。


答え探しのレシピ。

それを俺の中から検索すると?


答えは常にそこにある。

ただ観察すれば答えは見つかる。

誰でも判るが誰もが探さない。


ってピーター・フォークも言ってた。

ホームズだったかな?


刑事コロンボの脚本家なら、コナン・ドイルと対バンできるから大丈夫。


似たようなことを言っていた、たぶん。

かすってなかったら、ヤバい。



真実は常に一つ!

つまりはまずエルフっ子。


この子に集中して答えを読みだす。


長い耳の動きを追う。

普段ならなんとなく俺に向いてる。

いえ、要注意扱いは納得です。

俺に悪気は無いんですよ。


だからこそ厄介?

予測しにくいから、常に警戒?

ゆえに常にロックオン?


猫に狙われた猫じゃらしの気分がよく解る。


が、今のエルフっ子は全周警戒。

大変に表現しがたい眼で、俺を牽制、してるんだろうな。

可愛いだけだが。


耳は細かく、規則正しく、ピクピク。

繰り返し繰り返し。


レーダーか。


つまり平時のレーダードーム。

つまり何処を探るか特定出来てない。


脅威を感じている。

が、どこから来るか判らない。

だから全周を警戒。


軍隊と母猫には共通点がありました。


だがまんべんなくとも、濃淡はある。

子ども(10歳)を隠す、大きな子ども(17歳相当)。

魔女っ子とエルフっ子。


恨めしげな視線・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・それはまあ、後に回すとして。


どちらかと言えば、周り、ランドクルーザーの周辺を警戒している?


母猫にくわえられた子猫状態の魔女っ子。

危機感は共有していない。


周りが見えず目を白黒させてる。

つまり、周りから見えない、車内から見える。


ならエルフっ子は車外から護っている。

車外の何かから、か。


なに何なに?



エルフっ子の防衛姿勢。

魔女っ子を正面に抱えて、体は前開きで俺向き。

警戒しつつ、外側に背をむける。


完全防衛100%で攻撃反撃撤退無し。

特徴がない体制は、脅威の特徴をつけられないから。


狙撃を恐れるなら、皆に背を低くさせるだろう。

襲撃を恐れるなら、自分でカウンターを用意するだろう。

事故を恐れるなら、手脚を突っ張り衝撃を逃がすようにするだろう。


どれでもなく、ただただ、固まって

――――――――――そうか。


わからないのは、何処からくるか、だけじゃない。


敵の正体もわかってないな。

判らない、解らない、わからない。

なるほど、わからん、のだな。


俺の知らないことは他の誰かが知っているべきだ。

それがエルフっ子ではなかった、と。




【聖都南端/聖都市内/らんどくるーざー/エルフっ子の胸の中/魔女っ娘】


わたし、どうなっちゃうんでしょうか。



ねえ様も、そろそろお辛いはずではないですか。

すっごくドキドキしていることが、わたしの頭につたわってきます。


鎧が無くても、大きな胸。

その間に抱え込まれている、わたし。

鼓動が聞こえすぎているのは、ねえ様の悲鳴。


ねえ様は、ご主人様から離れてうごかれることがありますけれど。

それはもちろん、ご主人様の意志で。


そのとき、いつも泣きそうにされてますし。

だから今、ご主人様に触れていないのは、とてもとてもつらいです。




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


エルフっ子にわからない。

俺がわかるわけがない。


やはり答えは目の前にあった。


わからないとわかる。

これは偉大なる第一歩。


偵察哨戒の第一目標は、敵を見つけるのではなく敵が居ない範囲を確かめること。

なら、次は。


どうしよう?

があるのか?

これ?


警戒をとかせた方がいいか。


なにがいつどこで。

ソレが判らないなら、警戒するのは危険だ。

対応力を奪い、即応力を失い、敵を利するだけ。



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