Per me si va ne la città dolente./我をくぐれば悲しみの都あり。
【用語】
『地獄の門』
:「神曲」Dante Alighieri箸にでてくる名キャラクター。文字通り地獄の門であり門番とか見張り役とか案内役ではないので喋らない。ただし雄弁な紹介文を刻んであるあたり、自負心は強い様子。「この門をくぐる者は一切の希望を棄てよ」と訳された名文はご存知の方も多いのでは?キリスト教関係の文なのにラテン語ではなくイタリア語。つまるところ教義とは直接関係がなく、触発された後世の詩人が書いたのだけれど。この名文は「門の先(地獄)の紹介」「門を造った神の紹介」「門自身の紹介」とう三分節が各三行からなる。三行一くくりはテンポが良いからよくお世話になっております。この三分節は「地獄の説明」「門の役割の説明」「門自身の現状評価」とも読める者であり「誰も彼も希望を捨てて行っちまったんだけど?どーなのそれ??」と憤り混じりに嘆いているように読めるが、それこそどーなのであろうか。いい奴のような気がしてきたので地獄に行くときは門の前で気合を入れなおしたい。神様が造って敢えて地獄の入り口に置いただけはあるので、コイツを造った点で讃えよう。和訳はまるで閻魔大王的に覚悟を決めさせて地獄に送り込むポジションに見える。やっぱり閻魔様のイメージを重ねたんだろうな。
泣いてる娘がいたら、どーしますか?
「飯を食わせて、風呂に入れて、布団に放り込む」
ちょっきゅー!
さすがはノー倫理ノー我慢。
スリーステップでフィニッシュ?
複数同時攻略どころか彼氏持ちや人妻、母娘姉妹同時攻略までためらわない!
たいちょーは違いますね?
「いったい何の話だ!」
記憶にないとかかましますか?
「女を前にして、その女以外のことなんか気にするわけないだろーが!」
一途な様に聞こえてしまうのがなんともいいがたいきがしますけど、目の前の存在以外認知しないってどこまで上級者ですか!!
それでよくまあ、って、巧くイってるんですよね。
「誰が女の話をしてるか!満腹、清潔、休息、基本だ基本」
泣いてる子の話じゃないですから!
《国際連合異種交配実験被験者聴取(?)記録》
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】
俺は勝利をあきらめない。
エルフっ子の笑顔を見るためならば、なんだってどうにかするっていやマジで。
天然の涙目はいかん。
涙目は養殖に限る。
子どもの涙は凶器です。
泣くのはかまわんが、涙ぐむのはよろしくない。
泣くなら無視するが、涙ぐまれて放置できるか。
敢えて泣かせるほどには仲良くない。
そこまで仲良くなるのは無理だろう。
近所のガキじゃないんだから。
しかし。
まだ間はあるはずだ。
終らんよまだ。
結婚式の司会を引き受けるくらいには仲良くなったわけだし。
帰国するまでに仲人を頼まれるくらいには仲良くならんとな。
なんとかしよう。
エルフっ子のために。
俺のためにも。
【聖都南端/聖都市内/らんどくるーざー/エルフっ子の胸の中/魔女っ娘】
ご主人様。
わたし。
ねえ様。
?
??
???
上を見ても、ねえ様の大きな胸が見えるばかり。
左右を見ても、ねえ様の大きな胸しか見えません。
下を見れば、わたしの胸元から、ねえ様の腕を経て、まっすぐ自分の膝元まで
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご主人様に好かれていれば、いいんです。
ご主人様。
先程まで、わたしはその御膝を借りていたのですが。
なにかその。
悪い御顔です。
何かされちゃうんだろうな、と感じます♪
それに備えるなんて無理なんですけれど。
やっぱり期待してしまいますので。
わたしは周りを覗います。
――――――――――わたしに、とは限りませんから。
がっかりしないように、良く注意しませんと。
わたしをがっかりさせるところまで、ご主人様の遊びなのですが。
ちゃんと、きちんと、抗議します。
嫌なことは嫌と言え。
腹が立ったら怒り示せ。
悲しい時は泣きじゃくれ。
それが、ご主人様の命令。
私が果たすべき、役割なのですから。
がんばります!!
いまはどうでしょうか?
それともこれからですか?
もうおわっていたらこまります!
ご主人様の瞳をよーくみつめると。
ねえ様の、強張った表情。
その。
どうなされたのでしょうか??????????
これからされるのでしょうかもう何かされ終ってるのでしょうかなにかされている最中ですか??????
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】
ピンチはチャンスともうしまして。
俺が悪い結果を招いたとしても、その結果を解決すれば好印象。
よくあるよくある。
特定するだけで、責任転嫁。
穴に落としたら、穴を掘った奴(含む大自然)を責める。
誰が誘導したのかはスルー。
ここで
マイナス印象をゼロまで復旧。
印象の次は、事実。
相手が考える隙を与えずに、間髪入れず引き上げる。
プラスが無いのは絶対スルー。
お礼を言わせてしまえばこっちのもの。
イヤホント。
本当に、効果があるんですよ?
子どもに試したことはないが。
女相手には通じた。
その汎用性を今こそ世に問う。
さあ、誰が悪い
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ではなく!!!!!!!!!!
いや、だけではなく、か。
本末転倒してはいけない。
本末並行しなくては。
本は脅威の排除。
末はヘイトの排除。
どうすれば魔女っ子を守れるか?
それさえクリアすれば、おのずから俺の評価も回復する。
うまく扱えば結果として、エルフっ子の問題を一つくらい減らせるだろう。
まず、なにから?
――――――――――え~と。
【聖都南端/聖都市内/らんどくるーざー/エルフっ子の胸の中/魔女っ娘】
えーと。
わたしはどうすればいいのでしょう?
ねえ様に抱きしめられて、背中側から包まれるように。
苦しくはありませんけど、目の前にはご主人様。
手の届く距離なのに。
手を伸ばすことが出来ません。
ねえ様の腕に囲まれているので。
ご主人様しか見えないのは、いつものことではありますが。
家事の都合もなく、肢体が離れてしまうのは初めてのような。
すごくすごくすごくさびしいです
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・甘え過ぎていたのでしょうか。
反省しないといけません。
ちい姉さまは、いつもいっておられます。
ご領主様(ちい姉さまは、、ご主人様をそう呼ばれます)は誰にも従わない御方。
なのに誰でも従える女たち(ちい姉さまは、青龍の公女様と女将軍、さまをそうまとめます)につきまとわれていますが、それは置くとして。
つまり!
いつ青龍を出奔されたり、青龍から追われることになっておかしくはありません!
(どうなって、つまり、なのか、よくわかりませんでした)
わたくしたちが、ご領主様を、身の回りにとどまらず何もかもお世話することだってあり得ます!!
(はずかしながらワクワクしました)
お金は、わたくし。
家事は、あなた(わたしですね♪)。
武芸は、ねえ様。
今の様に、常に傍らで侍りもっと深く愛して(ちい姉さまさすがの言い回しです!)いただけないかとすきを窺っている(ちい姉さま判り易すぎです!)場合ではありません。
例え滅ぼされるまでの束の間であっても、わたくしたちが支えて差し上げられる好機(否定できないですがそれはダメです)!
ご領主様から肢体を離すことが、ほんのわずかに必要最小限にあっても、あり得ないとはいえないことを覚悟すべきです。
さすが、ちい姉さま。
わたし、心から感銘を受けました。
ただ、考えることと実際は、違うのですね。
ねえ様は、それを教えてくださるのでしょうか。
それはそれはとても有り難い気遣いです。
でも、今はちょっと、堪えられそうにありません。
泣きそうになります。
いつか、いえ、明日はもっと頑張ってみます。
次は五回呼吸するまで、鼓動を落ち着けて見せます。
だから、ご主人様から離されるのは、辛いです。
だから、いっしょにもどりましょう、ねえ様?
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】
俺は探した。
探していないフリをして。
見回さずに、考える。
見なくてもわかる。
見なきゃわからんものは、どうせ俺には見えないし。
Before Elf,After Elf.
BE:半泣きエルフっ子以前。
AE:半泣きエルフっ子以後。
それを分ける一点はなんであろうか?
現状況。
さっき、聖都の門をくぐりました。
相変わらず車内です。
ちょっと揺れた?
いや、門柱や城壁、城壁塔や堡塁、小塔に張り出し櫓は残っていた。
ところどころぶち抜いて、搬出搬入しやすいようにしていたが。
いや、揺れないな。
出入に使われる場所はみんな、綺麗にならされていた。
陥落まえからそうなのか、陥落してから整えたのか。
聖都に入った、と感じたのは、走行状態じゃない。
聖都を囲む、高い城壁の影を抜けたからだ。
帝国軍の計画では、聖都の壁を完全に取り除くのは最後にするつもりらしい
聖都解体作業、その作業の現場を分け把握しやすくする仕切り。
聖都解体作業の邪魔になる、人や動物が入り込まないようにする防壁。
今。
ランドクルーザーは聖都を進む。
大都市だった、大路を進む。
建物から撤去が進み、街路や床は残っている。
資材の搬入。瓦礫の搬出。
建物解体の作業スペース。
最後まで必要なのは、平らで広く丈夫な足場。
掃除と同じように、上から下に片付ける。
都市解体の基本原則。
俺たち国連軍とは違うね。
203mm徹甲砲弾で一気に地下構造まで貫通爆砕。
それは地球文化でも一般的ではあるまいが。
異世界に適応した国際連合軍、そのやり方。
帝国軍は解体作業を地味に進めていた。
地味ってより、普通に。
敷石や床石に礎石や土台。
綺麗に残っているので、自動車に優しい道です。
いずれは掘り返して砕いて塩と一緒に埋め戻す、予定だった。
あーまだ、予定のままか。
工事は休止中。
帝国が俺たちを征服するまでは。
帝国の世界征服スケジュールは破棄されていない。
修正されただけ。
中世基準で言えば世界一つに等しい、数十万の精鋭。
それを30分で失って、史上初めての大敗北を経てなお、戦場ではよくあること
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ね――――――――――よ!!!!!!!!!!
ツッコミ不在の恐怖。
俺たち地球人かいなけりゃ、どうなっていたことか。
これが異世界転移の理由?
どこかの神様が思ったのだ。
帝国にはツッコミが必要だと。
まあツッコミ待ちのボケをかます必要がなかっただけか。
帝国の帝国たる由縁。
大敗北は小敗北の延長上にしかない。
初めての事態とは、既出の事態のヴァリエーションでしかない。
ならば本質的に対処しえない事態はありえない。
究極のデジタル思考。
どれほど大きな事態も無限に細分化すれば対処可能。
それは一人一人、一瞬刹那からできる。
故に今その時にやるべきことは必ずある。
どうにもならないなんて、有り得ない。
そんなことは理屈に合わない。
だから何がどうなろうと、なんでもどうにでもなる。
捕虜の談話、もちろん軍事機密ではない、日常会話
――――――――――マジか。
お薬を幾多の捕虜に処方したら、だいたいみんな、そんな感じ。
見習わないから代わりに頼む。
是非にエルフっ子がお冠な理由確定、いや、理由なんか飛び越して笑顔になる方法を帝国の皆様に対応願いたい。




