これからの恐怖のはなし
【用語】
『無差別テロ』
:社会的抑圧に対抗する個人的組織的な政治活動。類例「戦争」「デモ」「反乱/革命」他。社会それ自体からの圧力に対する反作用。テロリズムの目標になるのは社会を構成する全員。ゆえに無差別。テロリストになり得るのは社会を構成する全員。抑圧する側の参加もよくある。全員を護る方法はない。全員を監視する方法はない。正常に運営されている社会では発生しない。末期社会で恒例化する。「またか」と感じたら該当社会終了のお知らせ。幕末における対テロリズム・スペシャリスト松平容保(会津藩主/京都守護職)は「言論の自由が無い場所で、人は必然的に刀を抜く」と語る。そう考えれば「恐怖政治」の中で「自主規制」を良しとしなかった人間がテロリストになり「自主規制している社会の藩屏を攻撃しているだけ」というという言い方もできる。いずれにせよ「多様な意見そのものが禁止されない社会」では「無差別テロ」は発生しない。「言論の自由」の重要な側面はこのガス抜き効果と言っても過言ではない。
事例。
・西欧社会では「無差別テロ」を社会問題としてとらえる。
(それでもなかなか防ぎきれないが)
・米国社会では「無差別テロ」を治安問題としてとらえる。
(そもそも防げるとすら見ていない)
・日本社会では「無差別テロ」をゲーム中毒としてとらえる。
(いつものパターンでまたおきましたね)
不良品が増えたらどうする?
不良品を罵る。
うん、バカはこれ。
検査体制を整えて排除する。
うん、アホはこれ。
生産過程を見直す。
うん常識はこれ。
犯罪者は先天的に生まれる?
はぁまぁ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・法律って、後天的に決められてるんだけど。
国境一つでコカインの合法非合法が逆転。
時間単位で差別の賛否が入れ替わる。
法律に従ったから絞首刑。
こんなもんよ。
先天的要素がからむわけ、ないじゃない。
それがわからない?
それはそうよね。
芸人なんだから。
嗤われる役目でしょう。
見世物小屋の中よね。
障碍者や異常者を、探しだし造りだし。
嘲り見下し憐れんだ。
今も昔もそんなモノ。
いまはTV?
ネットかしら?
無価値故に需要が生まれ、需要が生まれたからこそ値段がつく。
一般多数が値を付けずとも、特殊な一部が金を出す。
鐚銭だって母数が多けりゃなんとやら。
そのために造られた嗤われ者。
科学的素養があるわけがない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・医者?
あのジャンル、医学だっけ?
恵まれない人たちが、現実を受け入れる苦行の一部とかなんとか。
戦傷の再建を任せるのはごめんだわ。
でも、人間の可能性が見えるわ。
努力すれば、人はどれだけでも、愚かになれる。
堕落は努力を裏切らない。
時間と手間とお金をかければ、無能にだけはなれる。
これからの社会には必要でしょう。
過剰生産に悩む未来に。
何も生み出せない貴重な人材。
《国際連合軍事参謀委員会/所属参謀監察措置記録データ(タグ削除)/国際連合安全保障理事会提出用》
【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】
休日。
仕事がない日、ではなく。
仕事があるが、やらなくていい日。
職業が有るからこそ、楽しめる。
慚愧に耐えないほど遺憾ながら就職してしまった犠牲者同志諸君!
ニートにJob Changeするまでの微かな愉しみを味わうのだ!
同志諸君を働かせようなどと言う悪鬼羅刹に一言。
敗北主義者が早起きしたり、痛勤したり、へこへこしたり、イヤだイヤだと繰り広げられる負け犬トークを垂れ流している。
まさにその時、今この時。
彼らの仕事を眺めて一言。
今日、休みなんで
――――――――――ねぇ、いま、どんな気持ち?
それはさて置き。
最前線でも休日は在る。
在るっちゃあ、有る。
休日と名付けられている。
んが24時間即応待機で割増戦闘手当がでている。
相応待機というのは、すぐに戦えるようにしておくこと。
そーいうのは休日って言わない。
断じて拒否する。
待機と手当ては拒否しない。
だが休んだうちには入らない、入れない。
月月火水木金金、戦地の兵隊さんの基本構造。
これはいまでも変わらない。
不本意ながら耐えてます。
死にたくないし。
敵地でマジ休みすれば、死ぬ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その発想はなかった。
【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族右膝/エルフっ子を下から見上げる位置/魔女っ娘】
ねえ様。
わたしが見たことが無いお顔になってます。
気を失ってらっしゃる?
指先まで真っ赤になられて、お耳がぴくぴくとされて、鼻腔から深く息を吸い、少し開いた唇から吐息をご主人様の肌にむけて。
瞳は何か別のものをみてらっしゃるような?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夢見心地?
お気持ちはよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く、わかります。
ご主人様のお気持ちも
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――わかります。
ねえ様に抱きしめられたことは多いですから。
抱いたときの心地よさも、想像できます。
ましてや、ご主人様は、男の方。
豊かな肢体もお好きですよね。
・・・・・・・・・・・・・・・も、ですよね。
きっとそう。
わたしは小さいですし、細いですし、軽いのですが。
撫でられている時、ご主人様の様子を窺っていけるようん、耐久力はありませんし。
それは、ねえ様もですけれど。
でも。
今。
ご主人様が、とても安らいだ表情をされている。
それはよくわかります。
だからますます、ご主人様の指先が、ねえ様の肢体をもみほぐすのが、楽しそう。
固いようで嫋やかな筋と、それを包む柔らかい脂肪のふわりとした感触。
ご主人様は人を愉しまれます。
ましてや、ねえ様のような女を、好まない訳もなく。
そもそも、ご主人様の女を、可愛く思わない方でもなく。
ねえ様を弄りながら、その仕草を確かめる、ご主人様。
ご主人様の眼は、ねえ様の我を忘れた様子を、視線だけで煽るよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すっごく、冷静に、見てらっしゃいます。
ご主人様の、いつもの、愉しみ方ではあるのですけれど。
この、コレ、それ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――見ていていいのでしょうか?
今更視線を逸らすのは、ますますぶしつけであるような。
でも、ねえ様はなにも見えておられないから、それと承知で見ていてもいいのでしょうか。
後で絶対に、ねえ様は気がつかれて、頭を抱えるのが目に見えます。
そもそも、みんな、見てますよね?
見てることを見られてると気がつかないほどに、目が離せませんよね??
―――――――――――あ。
ご主人様、わたしも、みていらっしゃいますか????
気を付けないといけません。
ご主人様に抱かれている時。
わたし。
どんなかおになってるのでしょうか?
【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】
殺される、しゃなくて、死ねるんですね。
俺でも。
実感はなかったな。
ただ俺だけがピンポイントに狙われて独りで殺される予感がね。
なぜか?
怖い三佐言いました。
銃殺の感想を聞かせてね。
イタコはこっちで用意するから。
暴力って最強だよね。
法律?
たいていの奴らには効く。
だから俺も愛用している。
だけどね?
逮捕状なんかで45ACPは防げない。
そう自然に考える人が居るんだな。
そーいう例外以外は大丈夫。
個人的な問題に限れば法律最強。
法律を犯す奴らの大半は、法律を知らないだけ。
特にバカな奴らは、知ってるつもり。
絶好のカモから不労所得を巻き上げよう!
解雇予告手当とか割増退職金とか。
生活保護とか納税減免とか。
俺の代わりに頑張って。
まあだから、俺が殺される可能性は常に在る。
だからついつい自分のことが頭に浮かんだわけだが。
いや死ぬってのも、間違ってない。
前線で休めば、確かに誰かが死ぬ、かもしれない。
俺たち国際連合の方針再々確認。
疑わしきは根絶やし。
殺られる前に至らず殲滅。
俺たちが死ぬのは可能性。
彼らが殺されるのは必然。
どんな場合でも異世界の皆々様は死ぬ。
大変申し訳なく思います。
それは深刻な問題だ。
死なない方がいいとは思うんですよ。
うちの子たち以外に責任は持てないが。
無関係な方々にも無関心では居られない。
健康で幸せに長生きしてほしいんだよ、俺の視界の範囲では。
不幸な人間は大っ嫌いなんでね。
嫌いじゃなくて、大っ嫌いなんだ。
嗤いたくなるほどに。
俺たち、軍政関係者にナニかが生じた場合。
誰一人傷つかなくても、スイッチが入るかもしれない。
異世界の一部を、生存不可能にする回路。
俺が送り込まれてしまった太守領
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今まで無事、に近いと強弁できなくもない、のが不思議なくらい。
だから前線では休日がない。
不幸な人死に。
有害無益な勤労。
敢えて選ぶなら、両方嫌だが、写真判定鼻の差審議の上で、後者の方がマシ、かもしれないと言い切れる。
だから今日が在り難い。
正しい休日というにははばかるが、前線じゃない場所、は貴重なのだよ。
俺が左遷されてから、初めて。
軍政官の中ですら例外的な、占領地常駐な俺。
そんな立場でないと、真の有り難みが判らない。
【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族左膝/お嬢】
わたくしは、ねえ様の恥態をあまり見ないように努めます。
悔しいです。
ねえ様。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、ご領主様。
美しくもあり、妖しくもあり、蠱惑的で
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・耐えられません。
絵画や彫刻にしたら、寝室にしか置けませんわ。
それはもちろん、お迎えすべき方を得てから。
それでこそわかる、風情ですわ。
あの娘は悔しさをかみ殺して、眼を離せない。
桟敷席じゃないんですから。
とはいえ、瞬髪逃さず確かめるのも、良いことよ。
可愛がられかた、それを知っておいても損はない。
学んだことを生かせるかどうかといえば、無理でしょうけど。
意志を保てないところまで判れば、覚悟は決められるし。
―――――――――――――――――――――――――――――――ご領主様が、気がつかれるまでは。
覚悟を決めたら、絶対に、その上から押しつぶされるでしょうしね。
それは、あの娘に任せるとして。
ようやく到着。
巨石を組み合わせて造られた、果て無く広がる城壁。
門柱を残したままに、えぐり取られた大穴。
高く厚い壁の向こうに突き抜けた、空虚な狭間。
そこかしこに並べられ縄を打たれた石材に、細かな彫刻が読み取れる。
陽の高さは、出た時と変わってないのに。
ご領主様との距離は、無から変わってないのに。
聖都の門。
「ふひゃ!」
?
なにしてなにされてますの?




