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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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これからの恐怖のはなし


【用語】

『無差別テロ』

:社会的抑圧に対抗する個人的組織的な政治活動。類例「戦争」「デモ」「反乱/革命」他。社会それ自体からの圧力に対する反作用。テロリズムの目標になるのは社会を構成する全員。ゆえに無差別。テロリストになり得るのは社会を構成する全員。抑圧する側の参加もよくある。全員を護る方法はない。全員を監視する方法はない。正常に運営されている社会では発生しない。末期社会で恒例化する。「またか」と感じたら該当社会終了のお知らせ。幕末における対テロリズム・スペシャリスト松平容保(会津藩主/京都守護職)は「言論の自由が無い場所で、人は必然的に刀を抜く」と語る。そう考えれば「恐怖政治」の中で「自主規制」を良しとしなかった人間がテロリストになり「自主規制している社会の藩屏を攻撃しているだけ」というという言い方もできる。いずれにせよ「多様な意見そのものが禁止されない社会」では「無差別テロ」は発生しない。「言論の自由」の重要な側面はこのガス抜き効果と言っても過言ではない。


事例。

・西欧社会では「無差別テロ」を社会問題としてとらえる。

(それでもなかなか防ぎきれないが)

・米国社会では「無差別テロ」を治安問題としてとらえる。

(そもそも防げるとすら見ていない)

・日本社会では「無差別テロ」をゲーム中毒としてとらえる。

(いつものパターンでまたおきましたね)



不良品が増えたらどうする?



不良品(はんざいしゃ)を罵る。

うん、バカ(芸人)はこれ。


検査体制(とりしまり)を整えて排除する。

うん、アホ(役人)はこれ。


生産過程(しゃかい)を見直す。

うん常識(せいじ)はこれ。



犯罪者は先天的に生まれる?


はぁまぁ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・法律って、後天的に決められてるんだけど。


国境一つでコカインの合法非合法が逆転。

時間単位で差別の賛否が入れ替わる。

法律に従ったから絞首刑。


こんなもんよ。

先天的要素がからむわけ、ないじゃない。


それがわからない?

それはそうよね。


芸人なんだから。


嗤われる役目でしょう。

見世物小屋の中よね。


障碍者や異常者を、探しだし造りだし。

嘲り見下し憐れんだ。


今も昔もそんなモノ。


いまはTV?

ネットかしら?


無価値(タダ)故に需要が生まれ、需要が生まれたからこそ値段がつく。

一般多数が値を付けずとも、特殊な一部が金を出す。

鐚銭だって母数が多けりゃなんとやら。


そのために造られた嗤われ者。

科学的素養があるわけがない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・医者?

あのジャンル、医学だっけ?


恵まれない人たちが、現実を受け入れる苦行の一部とかなんとか。

戦傷の再建を任せるのはごめんだわ。


でも、人間の可能性が見えるわ。


努力すれば、人はどれだけでも、愚かになれる。

堕落は努力を裏切らない。

時間と手間とお金をかければ、無能にだけはなれる。


これからの社会には必要でしょう。

過剰生産に悩む未来に。



何も生み出せない貴重な人材。



《国際連合軍事参謀委員会/所属参謀監察措置記録データ(タグ削除)/国際連合安全保障理事会提出用》






【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


休日。

仕事がない日、ではなく。

仕事があるが、やらなくていい日。


職業が有るからこそ、楽しめる。


慚愧に耐えないほど遺憾ながら就職してしまった犠牲者同志諸君!

ニートにJob Changeするまでの微かな愉しみを味わうのだ!


同志諸君を働かせようなどと言う悪鬼羅刹に一言。

敗北主義者が早起きしたり、痛勤したり、へこへこしたり、イヤだイヤだと繰り広げられる負け犬トークを垂れ流している。


まさにその時、今この時。

彼らの仕事を眺めて一言。


今日、休みなんで

――――――――――ねぇ、いま、どんな気持ち?



それはさて置き。


最前線でも休日は在る。

在るっちゃあ、有る。

休日と名付けられている。


んが24時間即応待機で割増戦闘手当がでている。


相応待機というのは、すぐに戦え(しごとす)るようにしておくこと。


そーいうのは休日って言わない。

断じて拒否する。

待機と手当ては拒否しない。


だが休んだうちには入らない、入れない。


月月火水木金金、戦地の兵隊さんの基本構造。

これはいまでも変わらない。


不本意ながら耐えてます。

死にたくないし。


敵地でマジ休みすれば、死ぬ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その発想はなかった。




【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族右膝/エルフっ子を下から見上げる位置/魔女っ娘】


ねえ様。

わたしが見たことが無いお顔になってます。


気を失ってらっしゃる?


指先まで真っ赤になられて、お耳がぴくぴくとされて、鼻腔から深く息を吸い、少し開いた唇から吐息をご主人様の肌にむけて。


瞳は何か別のものをみてらっしゃるような?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夢見心地?


お気持ちはよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く、わかります。


ご主人様のお気持ちも

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――わかります。


ねえ様に抱きしめられたことは多いですから。

抱いたときの心地よさも、想像できます。

ましてや、ご主人様は、男の方。


豊かな肢体もお好きですよね。

・・・・・・・・・・・・・・・も、ですよね。

きっとそう。


わたしは小さいですし、細いですし、軽いのですが。

撫でられている時、ご主人様の様子を窺っていけるようん、耐久力はありませんし。

それは、ねえ様もですけれど。


でも。

今。


ご主人様が、とても安らいだ表情をされている。

それはよくわかります。


だからますます、ご主人様の指先が、ねえ様の肢体をもみほぐすのが、楽しそう。

固いようで嫋やかな筋と、それを包む柔らかい脂肪のふわりとした感触。


ご主人様は人を愉しまれます。


ましてや、ねえ様のような女を、好まない訳もなく。

そもそも、ご主人様の女を、可愛く思わない方でもなく。


ねえ様を弄りながら、その仕草を確かめる、ご主人様。

ご主人様の眼は、ねえ様の我を忘れた様子を、視線だけで煽るよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すっごく、冷静に、見てらっしゃいます。


ご主人様の、いつもの、愉しみ方ではあるのですけれど。



この、コレ、それ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――見ていていいのでしょうか?


今更視線を逸らすのは、ますますぶしつけであるような。

でも、ねえ様はなにも見えておられないから、それと承知で見ていてもいいのでしょうか。

後で絶対に、ねえ様は気がつかれて、頭を抱えるのが目に見えます。


そもそも、みんな、見てますよね?

見てることを見られてると気がつかないほどに、目が離せませんよね??


―――――――――――あ。

ご主人様、わたしも、みていらっしゃいますか????





気を付けないといけません。

ご主人様に抱かれている時。


わたし。

どんなかおになってるのでしょうか?




【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


殺される、しゃなくて、死ねるんですね。

俺でも。


実感はなかったな。

ただ俺だけがピンポイントに狙われて独りで殺される予感がね。


なぜか?


怖い三佐言いました。


銃殺の感想を聞かせてね。

イタコはこっちで用意するから。



暴力って最強だよね。


法律?

たいていの奴らには効く。

だから俺も愛用している。


だけどね?

逮捕状なんかで45ACPは防げない。

そう自然に考える人が居るんだな。



そーいう例外以外は大丈夫。


個人的な問題に限れば法律最強。

法律を犯す奴らの大半は、法律を知らないだけ。

特にバカな奴らは、知ってるつもり。


絶好のカモから不労所得を巻き上げよう!


解雇予告手当とか割増退職金とか。

生活保護とか納税減免とか。

俺の代わりに頑張って。


まあだから、俺が殺される可能性は常に在る。


だからついつい自分のことが頭に浮かんだわけだが。

いや死ぬってのも、間違ってない。


前線で休めば、確かに誰かが死ぬ、かもしれない。

俺たち国際連合の方針再々確認。


疑わしきは根絶やし。

殺られる前に至らず殲滅。


俺たちが死ぬのは可能性。

彼らが殺されるのは必然。


どんな場合でも異世界の皆々様は死ぬ。

大変申し訳なく思います。


それは深刻な問題だ。

死なない方がいいとは思うんですよ。


うちの子たち以外に責任は持てないが。


無関係な方々にも無関心では居られない。

健康で幸せに長生きしてほしいんだよ、俺の視界の範囲では。


不幸な人間は大っ嫌いなんでね。

嫌いじゃなくて、大っ嫌いなんだ。


嗤いたくなるほどに。


俺たち、軍政関係者にナニかが生じた場合。

誰一人傷つかなくても、スイッチが入るかもしれない。

異世界の一部を、生存不可能にする回路。


俺が送り込まれてしまった太守領

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今まで無事、に近いと強弁できなくもない、のが不思議なくらい。


だから前線では休日がない。


不幸な人死に。

有害無益な勤労。


敢えて選ぶなら、両方嫌だが、写真判定鼻の差審議の上で、後者の方がマシ、かもしれないと言い切れる。


だから今日が在り難い。

正しい休日というにははばかるが、前線じゃない場所、は貴重なのだよ。


俺が左遷されてから、初めて。

軍政官の中ですら例外的な、占領地常駐な俺。

そんな立場でないと、真の有り難みが判らない。




【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族左膝/お嬢】


わたくしは、ねえ様の恥態をあまり見ないように努めます。

悔しいです。


ねえ様。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、ご領主様。


美しくもあり、妖しくもあり、蠱惑的で

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・耐えられません。


絵画や彫刻にしたら、寝室にしか置けませんわ。

それはもちろん、お迎えすべき方を得てから。


それでこそわかる、風情ですわ。


あの娘は悔しさをかみ殺して、眼を離せない。

桟敷席じゃないんですから。


とはいえ、瞬髪逃さず確かめるのも、良いことよ。

可愛がられかた、それを知っておいても損はない。




学んだことを生かせるかどうかといえば、無理でしょうけど。

意志を保てないところまで判れば、覚悟は決められるし。



―――――――――――――――――――――――――――――――ご領主様が、気がつかれるまでは。


覚悟を決めたら、絶対に、その上から押しつぶされるでしょうしね。

それは、あの娘に任せるとして。


ようやく到着。


巨石を組み合わせて造られた、果て無く広がる城壁。

門柱を残したままに、えぐり取られた大穴。


高く厚い壁の向こうに突き抜けた、空虚な狭間。

そこかしこに並べられ縄を打たれた石材に、細かな彫刻が読み取れる。



陽の高さは、出た時と変わってないのに。

ご領主様との距離は、無から変わってないのに。



聖都の門。




「ふひゃ!」


なにしてなにされてますの?





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