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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十一章「夏への扉」

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なにゆえに?

【登場人物/三人称】


地球側呼称《カタリベ/歴史家》

現地側呼称《青龍の史家》

?歳/女性

:地球側の政治指導者が定めた役割。すべての情報へのアクセスを許可されており、発表を禁止されている代わりにどんな情報も入手可能。軍政部隊に同行しているのはジャーナリスト志望の大学生。



そんなのは歴史学者、って自称するストーリテラーに任せときなさい。


誰それが言った。

誰それが書いた。

誰それが聴いた。



歴史は好きよ。

だーいすき。


面白さ優先で、リアリティにかけるけどね。


ああ、いまも誰かが書いてるわよ。

関与してない、訳ないでしょう。

好きだもの。


記録と称する私見の山。

まさに歴史を紡いでるわ。


作戦名教えたげましょうか♪


好きなものを選んで。

狭い知見で曲解して。

やってみてもいいわよ。


現代人にしか判らない、破綻した過去を造るといい。

その粗を批評するのも楽しいわよね。


どこのマヌケが何を信じることやら。


だいじょーぶだいじょーぶ。

馬鹿にされたら言えばいいのよ。


当時の記録に書いてある!

ってね。


現代の記録も同じ。


記者会見で垂れ流されたネタを、裏付をとるどころか辻褄さえ合わせずに、垂れ流してる。

そんな連中が世界中で胸を張って生きてるのよ?


世界の彼方の地球で、まだ生きてるか知らないけれど。

同じ同じ。


間違った発表に騙されました。

ワタシモヒガイシャデス、ゴメンナサイ。


って言えば済むし。

ああ、欧米流ね、これ。

日本だったら、スルースルー。

沈黙は(まねー)


まだ生きてるのよね、しばらくは。


貴女は?

そ・ん・な・こ・と・をするために、生まれてきたんじゃない?


なら、わかるでしょう。

なにをすればいい?


理に適えば、なんでも叶う。



真実の薬(じはくざい)っていうじゃない。

事実の薬じゃないのよね。


当人が今そう思っている。

それだけ。


それ自体には価値が無い。


認識は変わる。

変えられるし、無から造ることさえできるし、何も意図せずに生まれることもある。

娯楽にはなるけれど、作戦の足しにはならない。


訊ねてる場合?


訪ねなさい。

尋ねなさい。


問うてる場合?


聴きなさい。

聞きなさい。


考古学者は化石に質問しないでしょう。


化石を観察し、地層を分析し、位置を組み合わせる。

これが歴史学(fantasy)考古学(science)の違いよ。


戦争に必要なのは、事実。

考古学、科学こそが戦争。


認識を排除して、辻褄を合わせればいい。

思考力があれば、誰にでもできること。



この世界は理屈通りにしか動かない。



それが如何に信じがたいことであっても、それこそが正解。

たとえどれほど信じたくても、辻褄が合わなければ間違い。


答え。

それは誰でも知っている。




知りたいかどうかは、別にして。



それで日本は大丈夫か?


誰のおかげでもないけれど、大丈夫よ。

日本は。


日本国は、最初からダメだけどね。



《カタリベの取材ノート/日時位置情報削除済》






【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺が紛れ込んだ異世界。

いや、此処じゃない。


自衛隊。

日本帝国軍を素材に合衆国軍が錬成した。

その伝統。





日本帝国軍の国家戦略。

対米戦争編。


え?

英国は考慮外だったそうです。


なんで軍が国家戦略を?

政治家は官僚の奴隷だったから。



帝人事件っていってね。

非公開株の取引に対する汚職事件。

どっかで聞いたね。

戦前も戦後も全く同じ構図。


少しは工夫しろ。


検察により主要政党の政治家が逮捕。

もちろん証拠はない。

一年近く拘置所で拘束して次々に力を失っていく。

なんと全員無罪判決。


無罪判決を受けた時には、事件から三年後。

政治家が三年間活動を禁止されるということがどういうことか。


大日本帝国の民主主義は、そこで死んだ。


証拠のない事件をでっち上げて、起訴した検察幹部はみんな等しく出世した。

これも戦後と同じ。


自殺者を出すほどの冤罪事件を出し続けると、検察官内部でみんなから称賛され、東京地検特捜部の部長になれる。

本当に有罪にしなきゃ、と焦ってフロッピーディスクを偽造すると失脚して逮捕されるから注意しましょう。


起訴できればいいので、証拠なんかねつ造する必要はありません。

証拠なんかなくても逮捕も起訴もできますから、問題ありません。

むしろ証拠なんかないほうが有罪にできるから、問題ありません。


そりゃ、政治家みんな口を閉じるわ。

誰でも何時でも逮捕できる上に、一切責任を問われない組織がある国。

そりゃ、軍隊が独走するわけだ。


というか、それ以外どうしろって?


責任や原則と縁がない、書類の中だけですべて完結している官僚機構。

自閉的人格障害と等しく、国内はおろか国外とコミュニケーションはおろか、世界を認識すらできない。


俺がやらなきゃ誰「か」やる、じゃなくて。

俺がやらなきゃ誰「が」やる、と思っちゃった。


無理もないけど。

で。

太平洋戦争、どうするよ?


軍方針。

最初から最後まで、一戦して講和。

ぶれない。


ミッドウェーで敗けた。


以後は最善策から次善策へ移行。

結論は変わらないが。


本土、台湾と朝鮮半島と日本列島だけ残ればいい。


広げるだけ広げた占領地。

その面積と距離をもって防壁と為す。

精鋭部隊は内地から出さない。


旧式装備の捨て石部隊は、宣伝戦のために全部玉砕させる。

硫黄島や沖縄で死戦して、市民兵基本の米軍にプレッシャーをかける。

臣民将兵が死ぬのは国家戦略上、当たり前すぎて考慮されない。


その一方で交渉を進める


陸軍はスイスで米国と。

海軍はスウェーデンで英国と。


全植民地を米英に譲渡。

在留植民地資産をもって賠償金にあてる。

それらの資産管理には日本帝国軍が責任を持つ。


疲弊した英国。

勝ち戦で損害を抑えたい米国。


得た物を管理できない、したくない。

日本本土に攻め込むどころか、これ以上戦っても何も得られない。


実際、良いところまで進んでいたらしい。


米軍は飛び石作戦で日本領をできるだけ多く残す。

日本が失うものが多ければ多いほどイメージが良くなる。

講和の時、合衆国国民を納得させられるから。


日本帝国軍が無駄に占領地を広げたのも、そのため。

講和の時に捨てる地名がいっぱいあったほうが、米英を納得させやすいからだ。

相手にもこっちにも大して価値が無い場所ばかりだが、イメージの問題。


勝っても負けてもね。


相手もこちらも軍同士。

互いの懐を見据えた阿吽の呼吸。


第二次世界大戦終了前。

列強軍隊が共有している古典的な戦争観。


戦争とは国益のために行う人殺し。

まちがっても正義や理想や妄想のために在るのではない。


利益のために在る。

適度に殺して適度に壊す。

最後はお金に換算。


命も不具も痛みも悲しみも。

文明的に処理する。

金で。



世界大戦の戦後処理。

それを間違えなければ、戦争は文明の範囲で収まっただろう。

間違えたから、戦争が信仰の世界に跳び抜けてしまったのだが。


正義の戦争。

理想の戦争。

善悪の戦争。


味方がどれだけ犠牲を払ってもかまわない。

正義だから。

敵をどんな目に合わせてもかまわない。

悪だから。

相手を滅ぼすまで止められない。

理想のために。


そんな世界は、第二次世界大戦の後に来た。

誰もがしくじった戦争で、戦争責任を誤魔化すために。

国益じゃなくて、計量不可能な大義名分でごまかした。


戦時中はそうじゃない。

欧州大戦当時の感覚。



殺す方も殺される方も共犯だ。

相手を憎むなんてとんでもない。


撃たれない時は撃たない。

撃たれたら撃たれた程度に撃ち返す。



そんな感じ。


日本本土進攻作戦は米軍が反対している。

内容を見れば、正気じゃないと馬鹿でもわかるが。

合衆国の有権者だって納得するわけがない。


新型爆弾が投下された時もそうだ。

これでトルーマンは最期のカードを切った。


日本帝国軍は、これで終わりと安心した。

安心してしまった。


官僚たちがヒステリーを起こしていることに気がつかず。

無視してたからね。


最期に帝国ごと軍を敵に売り飛ばすとは予想外だったろーな。

※第228話<この日、なんの日、恥辱の日>より


勅撰官僚という階級、ノーメン(номен)クラトゥーラ(клату́ра)を守るためなら、敵国の下僕となることもいとわない。


上級国民、名誉合衆国市民というわけだ。


ある意味で尊敬する。

ここまで自己保存に徹した集団が世界史上どれだけあるだろうか?


そんな昔話を踏まえ。

今も官僚スルー態勢が造られているのである。


大丈夫かおい。

また国を売られるぞ。


売るのはいいけど売られるのは嫌なんですけど。


旧軍から続く自衛隊。

同一組織の進化形な合衆国軍。


勝っても負けても戦争を効率よく終わらせるための共犯者。

まあ戦時下の敵味方ってのは、そんなもんだけどな。

お互いに間抜けな味方(せいふかんりょう)に裏切られた被害者。

騙そうとして騙されましたってのは、被害者面していいものか。


次こそは。

そう誓い続けて戦後半世紀オーバー。


大丈夫か?



今回は旨く行ったけどな。

一ヶ月ギリギリでいけたし。


まあ想定されていた第三次世界大戦なら、もっと余裕があるけれど。


パイ投げ(全面核攻撃)後の混乱が収拾するのに三カ月。

それだけあれば再装備には十分以上で三回は繰り返せます/合衆国太平洋軍調べ。

※第257話<とある軍事国家の昔話/とある少女(+α)の反省会>



自衛隊は予備役だから。

どこのだれのとは言わないが。


自分たちの直属戦力は、ソビエトの核攻撃を惹きつけるためにある。

そう考えて、核の目標に、確実に核攻撃されるために、日々鍛えられ整えられる精鋭。

万が一にも日本列島に核が落ちすぎないように配慮する方々。


すべてはソビエトの核戦力と差し違えるために。



だから自衛隊は脆弱であらねばならない。

だから精強に換えられなくてはならない。


全面核戦争後、決戦戦力として。


軍とは味方を守るためにある

――――――――――笑止。


軍の天命は敵を根絶やしにすることにあり

――――――――――それを自明とする方々。



この仕組みは、日米の官僚たちが関与出来ないし、していない。

自衛隊創設者が造り上げた仕組だからだ。


ペンタゴンや中央参謀たちを敵視する集まり。

彼らが指揮する軍集団が維持しているからだ。


軍は軍同士、それが両軍を結びつけている。


そしてもちろん有事体制は防衛省には内緒。

官僚どもにしられると、銃弾一発交換するのに判子が必要になる。


そして判子生産業者に天下り役員ポストをつくって、業界団体は特殊法人になり、毎年看板を掛け替えるごとにみかじめりょう、もとい特殊法人への寄付金がごっそりだ。


けしからん

――――――――――ぜひ一枚加えてほしいんですが。



戦争の無い世界なら、別にいいじゃんか。

戦争が当たり前になれば国家反逆に等しい。

戦争を起こした場合はどう扱われるのか。


うん。

外観誘致罪相当でいいや。


って決まった

――――――――――国会で。


いやー、大変だね。

前回は殺しておかなくて、大変後悔している人たちがいましたが。

今回は?


だがまあ、その追求は国会に譲ろう。

防衛省は解体寸前で統合幕僚会議は開店休業。


戦争中だから誰も困らない。


全部何もかもとって代わられたからね。

予定通り。



国際連合軍事参謀委員会に。



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