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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十章「異世界の車窓から」

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商品経済/supply and demand.

【登場人物/三人称】


地球側呼称《曹長》

現地側呼称《騎士長》

?歳/男性

:国際連合軍/陸上自衛隊曹長。主人公の「俺」が困ったら、困ってなくても、まず頼る相手。


『佐藤』『芝』

:主人公『俺』の部下。選抜歩兵(物語世界での選抜射手)であり、異世界転移後の実戦経験者。曹長に次ぐ軍政部隊戦闘作戦の中心.


『軍政部隊』:「俺」が率いる増強分隊。司令官(俺)、監察官(神父)の二人の将校と下士官一人、兵十名(選抜歩兵2名、衛生兵一名)。独立した作戦単位として活動する為に軽装甲機動車と3 1/2tトラック各ニ台、KLX250(軍用バイク)二台、偵察ユニット四機と機動ユニット、各種支援装備が配備されている。




雇用とは何でしょうか?


労働時間とは寿命の換金。

労働内容とは行動の換金。

労働契約とは魂の換金。


それは人間の換金に他なりません。

換金した金で自ら、すなわち労働力を維持向上させることが求められる。

そしてそれを投じて、また換金。


素晴らしい人生ですね。


とでも言ってあげた方が「良い労働力」になれますか?





【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】


行商人、たち。

あたしは一言で片づけたけれど。


青龍の貴族も、すぐに興味を無くして反対側を見る

――――――――――幸いに。


あの娘と妹分が彼の気を惹いたのだ。

見てほしいから。


自分たちを。


変わった

――――――――――今までなら、彼の視線を追って、役にたとうとしたのに。


今もそれがない、というわけではないけれど。

女に反応したのかしら。


そりゃ、見てほしくないわよね。

二人の背丈、座る場所から外は見えない。


でも彼、青龍の貴族、その眼は見える。

いつも見ている。


彼が物を見ているのか、女を見ているのか。

それはわかる。


うん。

いい傾向。


彼の好み通り。

その調子その調子。


お前たちは、わがままで在れ

――――――――――ねじ伏せられるちゃうんだけどね♪


あたしだって、妬んでばかりじゃない。

妬むこともある、だから。

それもまあ、彼、青龍の貴族、その好み。


そのおかげ。

っていうのかしら。


だから、彼にも皆にも、知られなかった、たぶん。

行商人。

女たち。


自分で言ってなんだけど、商人たち、ねぇ。

と言うより、商品たち、というべきかしら。




【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


車上の俺たち。

道端の女たち。


ほぼ徒歩で、あまり大きな荷をかついではいない。

今は地に伏しているけれど。


女行商人、たち。

江戸時代の行商人も女が多かったらしいしな。


まさに男女共同参画社会。


性別問わず精神と肉体の限界まで社会に吸い上げてもらえます

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃ、バカにされるわけだ。


誰でもできて代わりが幾らでもあるネジになりたい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・けっこうなご趣味です。


いえ、個人の御趣味に口出しはしませんけどね。

奴隷になりたい女たち。


怖いです。

奴隷にされてる男たちから見ても、怖いです。


基本、現代先進国社会の奴隷って、無知が産むモノですから。

馬鹿と無知は似ているよーで違うところもなくもないんですよたまには。


いえ、女がみんな、そこまで堕ちてるとか思いませんけどね。



なんで女が彼等と平等になってあげなくちゃいけないの?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごもっとも。



オノ・ヨーコの言葉だったか。


諸君。

ジョン・レノンを捕まえられなかったからって、ヤケになってはいけない。

男がダメなら親がいる。


楽に生きよう一度っきりの人生。

自己実現は中二まで。


(おとこ)に構わず先にいけ!!!!!!!!!!

きっと(おとこ)たちも追いつくからよ!!!!!!!!




【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】


あたしは、人じゃないから。

人のやることは、解らない。

判り易いから、解らないわ。


エルフには関係ない?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあそうだけど。


だからこそ、我侭に。

許されてるんだから。


許されなくても赦さない。

あの娘と、妹分にには絶対に。


でも、これからは言い切れる。

世界の誰が何を言おうと関係ない。

彼が望んでいるんだから。


だから、あたしは知らせない。


あの娘に。

妹分に

彼に。


此処で何が売られているのか。

此処を支配している青龍より、あたしの方が詳しい。

って言うのも何だけど。


見れば判るわ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帝国各地で、よく見た光景。


売り手は近在の村々、街々から集まった若い女たち。

買い手はここ聖都に囚われた、力自慢の農夫や職人たち。


売る者。

買う者。


女たちは何処にでも行き来できる。

農夫は聖都周辺に留まる、留まらざるを得ない。


だから此処に、市が立つ。


対価は穀物。


帝国から青龍の頸木に繋ぎ替えられた農夫たち。

その手には穀類が十分にある。

帝国軍の兵糧が、そのまま与えられているから。

それが彼ら、買い手が出す対価。


なら、商品は?


絶対に必要なもの。

不足しているもの。

売り買いするもの。



【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺は感情をかみ殺す。

何も感じていないフリ。

さり気なく目線をそらす。


幸いにして俺の周りには、誰もが目を奪われるような美姫ばかり。

その美しさや可愛らしさは、地球人だけに通じる特殊なものじゃない。

ので、異世界人から見ても、まったく違和感を抱かれることなく視線を動かせる。


いや、ほんと。


良かった良かった。

出会えてよかった。


数え上げたらきりがないが。

どんだけ助けてもらえるのかっていうね。


子どもって便利だよね。

異世界でも日本でも。

口実に最適です。


特に。

こんな状況では。


うまくごまかさないと、人が死ぬ。


俺のせいじゃない。

俺の肩書のせいで。


もともとが士官・将校なんてそんなところがありますけどね。


命じなくても反応される。

反応するなと命じてもおなじ。


さすがに自動機銃は反応しない。

隊員達も俺の表情や態度なんて見てない。


曹長を見てます。

佐藤か芝も見られてます。


だから俺たちが殺すわけℋじゃない。


が、異世界の人たちがみている。

特に帝国軍捕虜の皆々様。


眼が怖いです。


マジで人を殺したことがある眼です。

そのまんまか。


俺もそうですが。

ナカマー。


なにみてんだこらぁ?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って言える日が来たらいいな。


腕に自信が無い限り、相手に凄んだりしてはいけない。


手を振りながら笑顔で近づいて、鼻先に叩き込みましょう。

上目づかいで愛想笑いしながら近づいて、脚を払ってもいいかもしれません。


必ず顔を潰すこと。

索敵機能を潰すのは戦争の第一歩。

敵意を抱かれていない時以外、先手一択。


まあ、いまのところ、敵意は抱かれていないのかな?



国際連合軍の管理下にある帝国軍捕虜。

指揮系統も武装も装備も何もかも常と変わらず。

そのまま降伏して、そのまま捕虜になり、任務と訓練に励む。


俺が決めたんじゃありません。

俺たち、というか、国際連合軍の手伝いもしてくれています。

何処までが俺たちの指示で、何処からが彼らの都合か全くわかりませんが。


でも生きてるということは、国際連合にとって有用なんでしょうね。

それがすなわち俺たちにとってどうとは限りませんが。


捕虜。

その語感に反する方々。


鍛え上げられた肉体。

磨き上げられた武具。

統制がとられた集団。


鋭く値踏みするような、視線。


視線の先。

俺。


俺の背後には子どもたちしかいない。

当然、俺以外の誰かがみられているなんてことはあってはいけないわけで。

もちろん、間違いなく俺がみられています。


捕虜はもうちょっと態度が小さくてもいいんですよ?


いえ、いいんですけどね。

馬鹿にされてないとは思うんですけどね。

侮られてもいないんだろーな。


よかったよかった。

どうしろと。


何げなく殺す人たちである。

荷物を片付けるノリででる。

俺たちを見ているのである。


特に俺を。

大切過ぎる事なので繰り返し繰り返し。

その解釈次第で、殺す。


異世界人が異世界人を殺す。


そもそも異世界人ってカテゴリー。

彼ら異世界人は認識してないからね。

地球人が勝手に思っているだけ。


同胞でも仲間でもなく同じ人間ですらない。


人間って概念すらないし。

今のところ。

あるいは今後も。


俺たちにとってもそうですけどね。

法律的にはいまだに人間じゃない。

でもおそらく体感的には人間です。


で、自動車がそばを通過するだけで領民たちが殺されていくんです。


明らかに俺たちの動きに反応している。

とりわけ俺の動きに注目している。

俺の何がトリガーになるかわからない。



だから俺は、俺たちは、なるべく動き小さくする。


人が死にまくっては楽しくない。

何も感じないことを実感するのは、不愉快ですらない。

違和感だであり、苦痛でも快楽でもない、心の異物感。


だから慎重に避ける。

反応されないように。


ポーカーフェイス。

クールダウン。

サイレントマナーモード。



【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】


あたしたちが昨日会った農民たち。

憔悴はしていたけれど、けっして不健康じゃなかった。


衣食住は与えられる。


布や木材は撤退していった帝国軍が遺棄した物が山の様に。

元々都市攻略戦が昨年冬、半年もたたないころに佳境を迎えていた。


攻城兵器を造る材木や燃料に使う薪。

幕舎を造る布や冬季装備の衣服などなど。


撤退戦には絶対持ち出せない、かさばる品々が呻っている。


それだけでも足りるけれど。

その上に、石材煉瓦。


聖都。

大陸随一だった、大都市の解体現場。

腐らないからこそ壊してる。

いっそ壊し終わってない聖都に住めば楽でしょうに。


帝国は聖都を、不浄の地扱い。

作業の領民すら立ち入らせなかったのは、聴いてみれば納得だけれど。

青龍も聖都は立ち入り禁止にしているみたい。


龍には龍の都合がある。

ってことなんでしょうね。


でも、それは農夫たちには無関係。

彼らが衣住に困ることは無い、ってだけ。


食については穀物のみ。

嗜好品は、不足してるでしょうね。


でも野菜の類は、この聖都でも栽培されているはず。

動員された農民は、必ずそうする。


居住地のそこかしこ。

帝国監視下のころからだ。


でもその帝国体制下では、激しい労務の片手間だったわけよね。

出来たとしても、無いよりましってくらいかな。


青龍の支配下になって労務はなくなって、むしろ農作業ばかりになったみたい。

でもあまり変わらないでしょう。


マシにはなっても、土地が悪すぎるから。

その量や出来映えが十分とはいえない。


だから、野菜は売れるだろう。

商いに来た女たちも、多くが野菜を背負っていた。

一見すれば、野菜売り。


でも野菜はついでに過ぎない。

嵩が多いから目立つだけ。


利益の絶対値で、主力商品は違う。


農夫、男たち。

彼らに必要不可欠で、不足しているもの。

商人、女たちに自身とって、原価がかからず持ち運びが簡単なもの。

一番の商品は嗜好品、つまり、女。


今。

あたしたちが出会った。

彼女たち。



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