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登場人物＆設定
※必要のない方は読み飛ばしてください
※すでに描写されている範囲で簡単に記述します
※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします
本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。
他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。
文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。
よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。
・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。
・【語る人間の居場所/誰視点】とします。
・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称（役職名やアダナ）を入れます。
・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。
以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。
（書き分けろ！と言われたら返す言葉もございません）
【登場人物/一人称】
『俺』
地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》
現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》
？歳/男性
：地球人。国際連合軍大尉（陸上自衛隊三尉）。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服（常服）着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。
『あたし』
地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》
現地側呼称《ねえ様》
２５６歳/女性
：異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳、白い肌。長身（数値不明）。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。
『わたし』
地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》
現地側呼称《あの娘》
１０歳/女性
：異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は１３０ｃｍ以下。主に魔法使いローブを着る。
『わたくし』
地球側呼称《お嬢/童女》
現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》
１２歳/女性
：異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は１３０ｃｍ以下。装飾の多いドレスが普段着。
もっとも安心するのは、皆に逃げられる時だ。
もっとも心配するのは、皆に迎えられた時だ。
《国際連合統治軍軍政官用掲示板より》
【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】
らんどくるーざーの背に揺られる、あたしたち。
後ろに弾かれるように飛んで行く風景。
あたしたちの左右。
城塞が密集しているようにしか見えない。
丸太と板の組み合わせ。
戦場で急造された城と同じように。
領主の城館と同じように。
石造り煉瓦造りの城なんて、王侯か都市だけだしね。
帝国の場合は違うけれど。
帝国は都市こそ石と煉瓦でつくるけれど、城はあんまり作らない。
城は攻める物で守るモノじゃない。
城は占領する物で住むモノじゃない。
帝国、騎竜民族の感覚ならば。
住まいとは、組み立て式の天幕のこと。
赤龍、帝国貴族は役目柄、都市の城に居住しても、何処までも仮住まい。
なら、青龍は？
あたしたちが住まわっている、青龍の軍営。
軽く丈夫な、なんだかわからないけれど金属、の棒板。
なめらかで軽い、龍の皮を思わせる、様々な素材。
明らかなのは、組んだり分けたりすること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・似てるかも。
征服者。
攻める者。
進む者。
一処に留まらない。
場所になんて興味が無い。
必要なのは道と海、そして空。
それを考えると、あたし、たちにはふさわしくて。
安心するけどね。
産まれた場所も、産んでくれた親も、あたしには無い。
思い出さないし、気にならないし、憶えてもいない。
あの娘もそう。
想い立てば身一つで、好きな人と一緒にどこにでもいく。
あたしとの繋がりすら棄てて、一人で。
※第１８話 ＜愛されるな。憎まれるな。畏れられよ。＞ より
本当に強い娘。
産まれた時から見守っていた身としては、さびしくはあるけれど。
でも、嬉しい。
一人前の女に育てる。
その手助けができたんだなって。
妹分もそう。
父と兄に溺愛されているけれど、それに依りかかったりしない。
違う？
かしら？？
できない、のかも。
大切にすること。
大切にされること。
妹分の中では、それは全く別のこと。
お互いに大切にしあったり、お互いを尊重したり、お互いを護ったりなんかしない。
互いに、なんて、考えもつかない。
取引じゃない。
相手を大切にして、相手を尊重して、相手を護って。
それが自分と関係があるなんて、まるで全く考えない
全部がぜんぶ、一方通行で当たり前。
互いに互いを潤す。
互いに、でなければ何も始まらない。
そう考える、商家で産まれ育ったのに。
だからこそ、あの娘、あたしに付き合ってるのだろうけれど。
これからもそんな風だと、困ることになるかもね。
そのあたりは、あたしが教えればいいとして。
だから妹分は迷わずに行ける。
世界の果てまで。
まあ三人が三人とも、男についていくというのがなんともね。
しかもその男が、連れて行って、はくれない性格。
攫ってくれても、どこかに置いていこうとか、しそうなのよね。
安全で、豊かで、安定していればいいだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っていう、勘違い男。
そうはいかないけれど。
そうはさせないけれど。
自分たちの肢体くらい、あたしが護れる。
お金は妹分、あたしは獲物、あの娘が生活全般を豊かにする。
三人で好不調を支え合って、交互に子供を産んで、知恵を出し合う。
お荷物なんて言わせない。
言わないだろうけど、置いていかせない。
安住の地なんて、くそくらえ。
あたしたちは、場所でも役割でもなく、人についていくのだし。
だから異様に感じるのかしら。
この風景。
延々と続く城塞、のようにみえる、農民たちの住処。
中から外を覗う気配を感じる。
外から中を締め出す意思が見える。
青龍にとって城塞は、何かを閉じ込めるために。
領民たちにとって城塞は、中に閉じこもるために。
【国際連合統治軍第１３集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】
俺は一安心。
緩みそうな表情筋を整えなおす。
喜ぶところじゃないしな。
戦場で子守。
言葉のチョイスがくるってる。
何事もないからいいけどな。
今のところ。
すると、少しは余裕が出てきた。
良い傾向だ。
大人がリラックスすれば、みんなが続く。
将校がふんぞり返っていれば、隊員たちが安心できる。
そんなかんじ。
みんなが大人に注目している。
いつものことって言やぁ、いつものこと。
今も昔も、異世界も地球世界も、日本列島も異世界大陸でも。
変らないから、良いってわけじゃない。
大人が、みんなに注目し過ぎてるからじゃないか？
これは良くない。
勝手に見られるのがいつものこと。
見返されるのはいつもじゃないこと。
大人が、みんなに不安を与えてるってことだ。
ノーリスクはハイリスク。
護るために監禁すれば本末転倒。
紐でつなぐくらいなら、殺した方がマシだ。
危険があるのは確かで、それはとても軽く扱っていいことじゃない。
ならば重く受け止めて、それと気づかせないようにすればいいこと。
幸い。
当分。
概ね。
国連軍の縄張りから、出ることは無い。
他力に頼ればできないことは無い。
俺に出来ることでは無いが。
よし決定。
俺も、もっと外をみるべきなのだろう。
こんな機会はめったにない。
極めて珍しい、見るべき存在。
ランドクルーザーの傍ら、っていうにはやや遠いが。
肉眼で目視可能。手が届かなくもない。
徒歩で届くからまあ、そんな感じ。
なにしろ生きてる動いてる。
自衛官ならば誰もが見たがる触りたがる。
だってアレだ。
普通は死んでるし。
原型を留めてないし。
車窓の外
――――――――――帝国兵。
【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】
あたしなら、勝てる。
帝国騎兵。
大陸最強。
人の中では一番強い。
太守領にも、帝国騎士はいたけれど。
ほんの少し前、青龍が姿を見せるまでは。
違うわね。
聖都、今ここにいる連中は、精鋭だ。
無敵の辺境で、領民を抑えている。
歩兵の指図役とは違う。
疾く確かなエルフ。
強く剛いドワーフ。
賢く奇やしい魔法使い。
そして、彼、彼ら。
撓やかで隔絶した青龍。
赤龍。
帝国の支配民族。
騎竜民族は、龍の眷属と名乗っている。
つまり、人。
だからエルフなら、人に負けることは無い。
でも、殺されるのは、あたし。
正面から、１対１なら、あたしの方が強いに決まってる。
３対１までなら確実。
不意を突けば、１０騎まではいけるかな。
そして１１、１２、１３騎目に殺られる、あたし
――――――――――帝国軍は、そういうヤツら。
１対１なら
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなバカバカしい思い込み。
無数のエルフが始末され、幾つもの隠れ里が絶やされた。
それも、帝国兵の一人も倒せずに。
そりゃそうよね。
魔法使いがいて、竜がいる。
沢山の人がいる。
人の耳目に気付かれて。
使い魔や遠視で確かめられて。
龍の翼に追い抜かれて。
他の種族と同じように、森ごと焼かれる。
それを悔しくもない、あたし。
それは、エルフ離れ、ともいうのかしらね。
同族に共感できない。
元々反発していたからこそ、里を出たのだけれど。
でも、いま振り返ればわかる。
同じだからこそ、反発したんだ。
里に居たときにハーフエルフに出会っていたら。
たぶん、殺したかも。
嫌悪感を感じるどころか、ハーフの存在に耐えられなくて。
幸いに、出会わなかった。
初めてハーフエルフを見た時。
あたしは人の世界に出て、１００年は経っていたかしら。
嫌悪感は感じなかった。
保身の為に関わりを避けた。
それが屈辱だった
――――――――――――――――――――――――――もう、あたしはその頃、エルフの感性じゃなかった、わけね。
あたしをエルフ離れさせたヤツら。
いま路肩から、あたしたちを睨んでいる奴等。
帝国騎兵。
ああ、違うか。
あいつらは、あたしなんか眼中になくて、青龍、その貴族を視てる。
ふん。
それはきっと、良いことよね。
ならば視線に気が付かない。
あたしの視線に気が付かない。
あたしが見たこと知ることは、彼が見るに知るに等しい。
その下。
大きく見事な馬体。
細い脚は支える為ではなく、走る為。
戦馬には二種類ある。
大陸の馬
――――――――――持久力に特化した馬。
農耕馬とさして変わらない、馬車を曳き鍬を曳き騎士を支える。
野生の馬は、こんな感じよね。
細く大きな草原の馬
――――――――――瞬発力と持久力を併せ持つ。
地の果てから来たりて霞の果てにいたる。
騎馬民族と共にあらねば、子もなせない。
それぐらい、一つに溶け合った人馬。
その高い馬体の下。
帝国の槍兵。
１０人で隊を組むとき、槍に剣。
短槍は背丈ほどの長さ。
１００人で隊を組むときは槍のみ。
長槍は背丈の倍越え。
今は短槍、構えは解いて、槍先は斜め下に。
それをいつでも使えるように、体の力を抜いている。
歩兵に女はいない。
これは古今同じよね。
戦場での適性。
エルフやドワーフならともかく、人間の女はどう鍛えても男にかなわない。
耐久力、腕力、脚力
――――――――――肉体。
だから戦場に行かないわけではないけれど。
戦場に立つ女。
肉体を凌駕する武器を、操る素材と見込まれる。
貴族や騎士の当主が、旗印として戦場に立つのでなければ。
だから女は、騎兵か魔法使い。
弓兵のなかでも騎士や魔法使いを狙う、弓手。
帝国なら竜騎兵も、もちろん女も少数派。
魔法使い以外、肉体の剛さを必要とするからね。
だからこそ、戦場に立てる、しかも帝国軍にいるなら規格外の優秀さ、もしくは、その兵種の天才。
ここ、見える範囲には女騎士はいない。
よかった、ってこともないけれど。
