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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十章「異世界の車窓から」

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387/1003

味方以外/ Identification Friend or Foe.

【用語】


『偵察ユニット』:ラジコン機4機と制御装置がセットで一ユニット。部隊の作戦行動中は常に周辺上空にいる。詳細スペックは「第110部分 DRONE WARS/ラジコン戦争」参照


『哨戒気球』:国連軍作戦地域上空で常に滞空している気球。異世界転移に伴い、人工衛星のサポートを受けられなくなった地球人類が生み出した代用品。単機能複数期の各種があり、偵察衛星替わり観測機能、通信衛星替わりの中継機能、GPS代わりの測位機能(複数の哨戒気球の位置から任意の場所を特定できる)などなど。


『国連軍軍装』

:統合型歩兵戦闘システムが普及しており、ヘッドアップ・ディスプレイに指揮官が指定した情報が表示され個々兵士のデータが指揮中枢にフィードバックされる。ボロン繊維強化プラスチック製の外殻プロテクターは耐弾、破片耐久力にすぐれ異世界でこれを一撃で貫ける兵器はない。携行火器が古典的なM-14やライセンス生産のAK-47であるために、近未来的な外観との対比が激しい。対装甲(板金鎧)、対巨大生物・ゴーレム戦闘の為に小銃は口径7.62mm/拳銃は45口径以上。


『パージ』:国際連合/国際連合軍直接管理下の世界人に対する集団処方の一つ。作戦資料、さらに世界解析資料、ゆくゆくはプランB/Cの素材として、多数の異世界人が地球側に管理されている。軍政統治方式、収容所方式、居留地方式などなど形式は目的により様々。ただ、どの形式においても「総体」として確保し続ける為に、整理する方法が用意されている。その発動はおおむねふたつの大別され、コマンド/オートと呼称。コマンドは現地指揮官、並びに対象エリアに立ち入る部隊の最上位指揮官による。オートは哨戒気球の情報に基づき、動体の動向や一定の条件を満たすと発動する。



応答があれば待機。

反応があれば撃て。


どちらであれ、常に照準を合わせ続けろ。


――――――――――敵味方識別装置の基本思想――――――――――




【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


改めて外を見る、俺。


すーごく、純真な目で見つめられたのだよ。

すーごく、心配になってしまったのだよ。


なんか、おこりませんように。


けっして、腹痛だの罪悪感だの不健康からにげてる訳じゃない。

一途な視線から逃げてるだけ。


――――――――――よけい悪いか――――――――――




シスターズ&Colorful、被侵略者のみなさん。

大変に好意的で信頼感あふるるまっすぐな瞳です。


耐えよう。

いや、堪えろ俺。


我慢するなんて何年ぶりだ?


三佐が相手の時でも我慢しないからな。

文句を言って、サボタージュして、逃げてサボって誤魔化して踏んづけられて、従わされるんだけどね。


だから我慢はしないわけで。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はじめて?


この子たちが、俺になついているのは判る。

子どもになつかれるのはいつものこと、いつものこと。

特にこのくらいの年齢(10歳前後~18歳まで)だとね。


つらいわ~。

ヤバいわ~。

カンベンな~。


この子たちも、赦してくれるんだろーな。

なんでも赦してくれる、そんな気配。

普段の付き合いが肝心です。


――――――――――よけい悪い――――――――――




【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】


あたしは知っている。

青龍も知っている。

人が知らないことを。


何を護るべきなのか。

何処に傷がつくものか。

何を防ぐべきなのか。



あたしたちに、何者にも、指先すら触れさせない。

それは青龍の総意みたい。


まあ、青龍同士、ってことよね。


青龍の貴族が大切にしている、あたし、たち。

それは青龍が大切にする、青龍の物。


あたしたちは彼の一部なんだ。


その範疇になければ、その存在すら意識されない。

気が付かれないうちに殺されて、気が付かれないうちに消えていく。


今は逆。

彼、青龍の貴族に、だけじゃない。


常に彼らに、あの青龍たちに意識されている。



聖都の幕営にいる青龍の騎士たち。

彼と対等に口を利く他の青龍の貴族たち。

その支配下にある帝国軍の捕虜たち。


護ると決めたからには徹底してる。


危険の可能性があれば街一つ壊しかねないくらいに。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くらい、じゃないか。


今だってそう。


危険かもしれない。

そう感じたら、周りの何もかもを巻き込んで、鋼の鏃が結界を造る。


青龍のゴーレム。

彼らは、あたしたち以外を注視している。


接近すれば。

逃走すれば。

静止すれば。


全てを撃ち砕く結界を造る。


あたしたち以外。

関係があろうがなかろうが。

気にしない。


こちらがわではない、から。


青龍個々の強さであれば、そこまでする必要はないのにね。

あたしたちは常に、彼らの結界に、十重二十重に包まれている。



そして、命も肢体も無傷で元気なら、それでよし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とは考えない、青龍。


心も護ろうとしてくれる。

その殺戮を、あたしたちのために行われる、虐殺を、あたしたちに気が付かせない。


あたしたちが耳に付けている装身具。

彼、青龍の貴族から贈られた品。


それは音を、とりわけ彼の声をよく通す。

そして音を防いで、あたしたちの耳を護る。


って言われたのは、嘘じゃない。


銃の音はすごく大きいから。

耳がおかしくなるくらい。


それで皆、妹たちやColorfulは納得。

あの娘なんか、一度聴いて、目を回しそうになっていたから。


あたしも感謝している。

港街で、あの至近距離で、あの娘たちは何が起きているのか気が付かなかった。


聴こえなかったから。

銃の轟音も、断末魔の絶叫も。


※第43話<アフターパレード1984/AfterParade with Orwell>より



あたしは聴こえたけれど、ワザと聴こえるようにしている、よね。

それだけ、あたしが彼に信頼されている、ってことだけれど。

まあ、慣れてる、かしらね。


例えば。

見渡す限りの一面が死体の平原。

街が住民と一緒に焼かれる輝き。

殺されるために並ぶ人の群れ。


そんな風景を

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・受け流せるくらいには。


あたしの場合は、極端だけど。


でも、あの娘や妹分は別。

そしてColorfulも。


慣れてない。

慣れさせてたまるもんですか!

流血と死に。


それが普通ではないこと。

人死に動揺してしまうがおかしいこと。

それは判ってる。



人の世界は、殺し殺されるのが身近。


普通の、街や村々の平凡な育ちなら。

一人や二人が殺されても、なんてことはない。


安全かどうかを見回して。

自分の知り合いか確かめて。

他人なら関わり合いを避けて。


それが分別。


さすがに街ごと村ごと焼き払われたら驚くだろうけれど。

そのまま逃げだすくらいの正気は保てる。


安全を確保したら、翌日には忘れる。

その程度。


あたしたちは、違う。


あたしなら、表には出さないようにできる。

妹分なら、気分を切り替えることができる。

あの娘なら、泣き出して我慢しようとできる。


嫌なものは、いやなの。


それについて、彼、青龍の貴族は解ってくれる。

だから好き。




【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺の背中。

みとけよみとけよ子どもたち。


隠れてる?

座席に座っているからね。

じゃあ後ろ頭でいーや。


大人の必須条件

――――――――――根拠なき確信。


ボロが出るから眼を合わせない。


故に前をみる。

やや斜め、前。


見える範囲、少し先まで人影がない白骨街道。

あるのは自動機銃だけ。




【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】


あたしは耳を澄ませる。

それはもちろん、らんどくるーざーの中と外。


余計なことに備えるため。


中で起こる余計ないこと。


それは半ば、諦めてる。

彼の気分次第だしね。


予測もつかない。

止められもしない。

解決もできない。


ただただ、からかわれて遊ばれるだけ。

それはとっても不愉快だけど、彼に、青龍の貴族に好かれている証し。

なら、仕方ない。


だから諦め。


何かが起きたら動けばいい。

動けるとして、だけど。


幸いして、Colorfulの動きが鈍ってるしね。

なんだか、蛇に睨まれた子リスみたい。


なにかしら?

なんにせよ、あたしの出番じゃなさそう。


だから、より有意義な外に意識を向ける。




【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺たち先進国軍隊。

だから機械化って訳じゃない。

もともと自動化の動きはあったのだ。


昔から。


訓練でまかなえること。

学習でまかなえること。

反復でまかなえること。


そこに人間は必要ない

それはなにもかも機械化可能だ。


兵士なぞ最たるもの。

従来の訓練は人間を兵士という名の機械にする過程。

ならば最初から機械として生産出来れば一番だ。


兵器を飛ばせて整備して、兵器を据え付け移動させる。

いずれ軍隊は士官とオペレーター、施設科/工兵隊だけになるだろう

――――――――――軍隊が残ればね。


そんなご時世に有人兵器開発にこだわっているのは、合衆国ぐらいか。

もちろん無駄だとわかってはいる。


だから有人無人の二本立て。

有人兵器は劣った諸国向けの輸出品。

軍隊のイメージが冷戦で留まっている、合衆国議会向けのサンプル少々。

そしてなにより、失業対策。



貧窮階層による国内難民を、最前線に送るため。

主力となり始めた無人兵器は機密扱いだ。

あれは、その一環でしかない。



あれ。

自動機銃。


いやあれは、兵士、と呼ぶべきかもしれないな。


窓外を流れてゆく自動機銃。

防盾から銃身を突き出している。


上部の半円は広角カメラに対人レーダー。

あと一番重要な通信系か

――――――――――中枢機能は外部。


つまり、彼処にはない。

索敵照準の大半、データ処理はほぼすべて通信系の先。

機関部と弾帯は見えない。


自動機銃は俺たちに反応する。


隠蔽モードや休眠モード以外、静止しないように出来ている。

常に最速最適の動作を維持するために、常に必要以上に動作している。


銃身が滑らかに動く。

接近、通過、離脱。


俺たちを避けて?


いや、標的への照準が外れる瞬間、それを最小化するため。

まるで生きているみたいにみえる。


だから魔女っ子たちが悩む訳。


異世界にはその種の存在が多いから。

ゴーレム、使い魔、ホムンクルス。

魔法翻訳の曖昧さ。


曖昧だからこそ多世界翻訳に使えるのだが。

そのせいで俺、俺たちが抱くイメージと一致不一致がわからん。

俺たちの間でさえ、一致してないしね。


そんな異世界の曖昧生物。

それと地球世界の自動兵器。


それはどこがどこまで一致しているのやら。

それもまた生の定義次第だが。



徴集農民居住地、いや、集積地出入り口付近。

ゲート近くは7.62mmM-240機関銃。


白骨街道センターライン十字路中央。

そこに鎮座するのは12.7mmM-2機関砲。


集積地、いや、居住地、もう通称でいいか。

碁盤目に仕切った居住地。


その仕切りに当たる街道と脇道。

四角い居住地の一辺、その真ん中に出入り口。

つまりは街道/脇道の一定間隔に自動機銃。


これらは基本的に、居住地からの出入り以外は撃たない。

条件を満たさない動体を撃つ。


例えば無許可でゲートのオフェンス・ゾーンに踏み込んだり。

例えば無許可で地雷原を、まあ大きめの肉片で、突破したり。

例えば無許可で特定標的が規定範囲外に踏み込んだり。


逆に言えば、そんなに撃たれない。


SIREN(安全化措置)モードになれば動体全てを撃つけどね。

一機につき一万発用意されているし。


米国製の銃身は十分にカタログスペック以上は耐えられます。


国産の銃身は、多分五千発くらいは保つんじゃないかな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と防衛省はのたまわっている。


もちろん、異世界に国産銃器はないけどね。

戦死は絶対嫌だが、馬鹿のせいで暴発死は断固拒否。


もちろん単純動作無制限連射な自動機銃。

ゴミなんか使わない。


すべて、ではないが米国製。

あ、ベルギー製改良版も混ざってます。

無いのは日本製のみ。



国産兵器で出撃するくらいなら、クーデター。

だから安定動作保証、もちろん数回実践、いや実戦済み。


多少照準が怪しくなっただけ。

最期まで撃ちきりました。


まあそれも例外だけどね。


実際、銃撃では100人ほどしか殺されてない。

1日あたり平均にすれば、だ。


居住地のパージ(区画内殲滅)に銃撃は使わない、あまり。

つまり、数回だけ。

それだって半分くらいしか銃殺にしていない。

最大見積もりでね。


銃殺はどれだけプログラムを工夫しても、効率が悪すぎるからな。

普通はガスを使います。


戦争の基本は、銃殺より砲殺か毒殺。

もともと野戦兵器だからね、どっちも。


特に手間をかけたくないときは、ガス一択。


だから居住区を壁で仕切らせたのだから。

だから主に銃殺されるのは、収容された農民じゃない、者。

また人の群れが近づいてきた。



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