表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十章「異世界の車窓から」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

367/1003

奇襲攻撃/Overkill?

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。



【用語】


『シスターズ』:エルフっ子、お嬢、魔女っ子の血縁がない姉妹同然の三人をひとまとめにした呼称。。頭目の愛娘を加えるときは「+1」とか「+α」などとつける。


『Colorful』:奴隷商人に造られたハーフエルフの最高級愛玩奴隷たち。髪の色がいろいろなため、神父が全員あわせて「Colorful」と命名。一人一人の名前は髪の色に合わせて白・朱・翠・蒼・橙と主人公が名づけた。



発表を禁止される代わりに、全ての情報に自由にアクセスできる。


あらゆる記録を閲覧できる。

あらゆる場所に立ち会える。

誰でもいつでも質問できる。


どのような役職でもなく、権利も義務も持たない。


その立場を保証しているのは日本の一政治家であり、だからこそ、地球人は誰もそれを無視できない。



――――――――――――カタリベ――――――――――――





「最初は慰めかと思った。彼は、あれで繊細なところがあるしね。とはいえ、安全装置として見ればソレも悪くない、そう考えたのだけれど。もともとそういう触れ込み、とはいえ、彼が言ってたわけじゃないわね。みながそう考えただけか。まったく、あの無口は!……でも自分の周りをうろつかれると、また別な感想もある。批判的で、絶対に秘密を護る、知性体との対話。公言してはいけない部分を研ぎ澄ませ、より完全な自分を手に入れる為。つまりあれは、宮廷道化師というわけね」


《国際連合安全保障理事会会合前/合衆国大統領とロシア共和国大統領の間》





【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺はエルフっ子と、アイコンタクト。

互いに苦笑して、受け流す。


ときどき、この子とは大人の間合いが図れる。

気がする。


256歳児にえらい失礼な言い草だが。


本当は教えを乞うべきなんだろうな。

悪戯っぽく笑みを含んだ瞳を見ていると、中高生にしか見えんが。




平和な現代の平和な先進国で、のほほんと生きてきた俺。

労働という人権侵害こそ続いているものの、その社会的病理が駆逐されつつある理想郷の一歩手前に生れ落ちてしまった悲劇は否めない、とは言え、いち早く健全な常識に目覚め愚かな旧人類が無駄に造って無駄に壊している波打ち際の砂城つくりのアリ地獄から脱走に、かろうじて成功しつつあった。



働かなければ生きていけないという暗黒の中世で生きてきた、エルフっ子。

しかも世界帝国勃興期の世界征服戦争真っ最中という異世界でもそう何度もないというか俺たちのせいで二度と起こらない大の一文字では語りつくせない転換期を、とうの世界帝国からの絶滅指定種族として安住の地どころか安息の暇さえ与えられずに、年端もいかないどころかやっと二桁になったばかりの幼い家族(魔女っ子)を抱えて、少なくとも体は無事で二人で生き残ってきたわけだよね。




すいません。

何でもしますから赦してください。


国際連合軍規定で、直接はっきり言えないのが残念です。


ゴメンナサイ。

その一言で、言った方も言われたほうも立ち会った異世界人も銃殺です。


当事者が一人残らず存在しなければ、事実も存在しない。

これが国際連合スタイル。


必要であれば国連決議も辞さない構え。

人類の総意で、何事もありませんでした、と。


何事もないのはまあ、いいとして。

何人も居ませんでした、は困る。




だからその、緑の瞳を見る。

伝われ、この思い。


疑われなければ自白剤は使われない。

今のところ。


眼で語りかけるのは、セーフ。

今のところ。


そのうち表情犯罪とか思考犯罪とか言い出してきかねない。

三佐なら。


明日のことは明日悩むとして。



じーっと、見つめる、エルフっ子を。

見つめ返してくる、エルフっ子が。


以心伝心。

話せねど解る。



言葉なんて余計です。

偉い人には判らないんです。


社会心理学者は、言葉の無意味さを、よーく知っているので例外もいる。


細く繊細で、一本一本まで存在感の強い髪。

色素の薄い、白く艶やかで毛穴の小さな肌。

ほんのりと色づいた唇は、濡れたピンク色。


切れ長の瞳に長いまつ毛。

普段なら圧迫感すら感じさせる瞳には、戸惑い。

理解の色と、困惑の色に、羞恥の色。


瞳が泳ぎ始めたぞ。



可愛いなあ。

本来なら、綺麗だな、っていうべき容姿なんだけどね。

瞳の色も含めて。

Colorfulの翠とも違う。

緑の瞳。


そりゃもう。



「まったく可愛らしい」

「「「♪」」」

「「「「「「!」」」」」


口元を抑えたシスターズ。

胸元を抑えたColorful。

つぶやいていた?

俺か。




【聖都南端/白骨街道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の右隣/エルフっ娘】


あたしはとっさに、妹分たちをみる。


ううん。

うん。


いまのは、あたしに向けた言葉だからね。

え、と、普通なら二人への言葉だから、そう思っても仕方がないけれど。

間違いなく二人は可愛くて、そう言われることも多くて、彼もそう思ってる。




―――――――――――――――かわいい――――――――――――――――


彼、青龍の貴族。

その黒い瞳。


眼が離せない。

この眼を失ったら。


―――――――――――終わり―――――――――――――


だから。

だから。

だから。



あたしは必死に表情を取り繕って、いられているのかしら?

こんな時には、どんな表情をすればいいのか、わからない!

頬と口元と眼と全部が、なんだか感覚が怪しくなってくる?




??????????彼が喜ぶのは、どんな顔??????????




今まで誰かに気に入られようとしたことが無い。

今まで誰かを気に入るか気に入られただけ。

今までで一番それに詳しそうなのは。


眼の端で助けを求める、あたし。


Colorfulの皆が、自慢の胸を抑えて、しょんぼり。

・・・・・・・・・・・・どうにもならない。


本来なら、あたしもあちら側。


可愛いって感じじゃないし。

特に、あたしは。



でも今は、あの娘や妹分じゃなくて、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに考えてるの、あたし。


二人を牽制するようなことを、考えてる場合じゃない。

逃避してるのかしら、逆上してるのかしら、頭がおかしくなったのかしら。



あたし?



可愛い。

かわいい。

カワイイ。


それは、きっと、あたし向きの言葉じゃない。

さっきまでは。



綺麗。

格好良い。

美しい。

凛々しい。

麗しい。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんなところ、か。

今までは。


そっか。

そうなんだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なのね。

さっきから。

ずっと。




【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


いえ、かわいいな、と。

思ってみていたら、ってか、口に出した、俺。



エルフっ子が俯いていた。

表情筋を抑えるのが上手くなったよね。


チラチラ見てるけど。

こっちを。


耳が真っ赤で、すごく俺に向いています。

うん、これが子どもの子どもたるゆえん。


輪郭がぼやけた様な、確固たる自我を持たない、揺らいだ表情。


いくつになろうと、大人にはかなわんのだよ?

ある意味、子供にかなわないのも大人だけどね?

そして俺は、こういうのにはけっこう慣れてるのだよ?


子どもが周りに多いからね。

縁があって、昔から。


女を照れさせるなら、ゆっくり楽しむ。

むしろ追い打ちをかける。

嫌われたこともあるくらいでへこたれません。

修復が大変でした。



んが。

相手が256歳児となればね。

軟着陸させんと。



えーと、こういう場合は、視線を逸らすのも変だし、手がふさがってるから撫でることも抱きしめることもできないし、時間をとるのもまずいし。


俺の豊富なアーカイブが真っ白?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白いのは砂浜だけで沢山だっての。




それもいいかな。



第一段作戦が終わったら数日まとめて休みにできる。

この子たちを連れて、海に行ってもいいかもな。


部下たちを休ませても、有志女性自衛官の義勇兵(ボランティア)を釣ることができれば護衛には困るまい。


駐屯地内の海岸線。

ボフォース57mm砲Mk 3と対人機雷で守られている内側。

あそこなら、安全に遊ばせられる。


この子たちも俺も自由にできるってものだ。

今度こそ同僚女性諸氏の誤解を解くついでに印象逆転しないとね。



うん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エルフっ子の視線が鋭くなったような。



ナニモカンガエテナイデスヨ。

キミタチヲアソバセテルスキニクドクノハカルイカルイナンテ。


俺は輝く愛想笑い。





そう。

けっして邪な目的ばかりではない。


あくまでも、作戦目的は、子どもたちのレクリエーション。

安心できる日常。

の偽装。


ついでに、部下たちの余暇をしつらえる。

占領地での準待機ではなく、完全な休みを過ごしてもらう。


さらに、俺の好感度アップ。

子どもに憧れ、られるのは無理として、もうちょっと良く思われたい。

部下に尊敬され、ようなんて思わないが、いざというとき見棄てられないように。


みんなの笑顔を守りたい。

俺も含め。


それだけだ。


子ども迷彩で久方ぶりに出会えた日本の女に匍匐前進なんて考えてない。

子ども連れだと隙が多くなる女が多いなんてもってのほかです。


などと考えていると、エルフっ子にどう納得してもらえばいいのやら。




焦るな俺。

焦ると死ぬぞ。

好感度が

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺はさりげなく、エルフっ子から視線を逸らす。



「え!!!!!!!!!!!!!!!!!」



なにごと?

小さな小さな鋭い悲鳴。

喉の奥で耐えきれずに、溢れてしまった悲劇の鐘。

なにがなんだかわからない。

なにかどんなかよくわかる。

つまり。



――――――――――――――――――――――――俺死んだ。



世界を終るラッパの音。

そんな嘆きに満ちた声に、反射的に振り向きなおした、のだが。

緑の瞳に浮かぶ涙。


いつもやせ我慢しているこの子。

エルフっ子の、素直な表情。


絶望顔。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。


なぜだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ