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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十章「異世界の車窓から」

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360/1003

わたしはせいじょうです。

【用語】


『UK』

:United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland.

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国。


『国際連合』:the United Nations/連合国、の超訳。異世界転移後の人類社会の総意を体現する組織。と国会で決まった。加盟国のほぼすべての外交防衛権を委託されている。黒幕は日本の一衆議院議員であるとマスコミに報道されている。


『安全保障理事会』:国連実質的決定機関。もちろん、総会の承認を得てこそ正式な決定となる。異世界転移後は全て一任されている。でも、理事会の要請で総会決議がされることがある。


『常任理事国』:合衆国(米)、連合王国(英)、第五共和制(仏)、共和国(露)、統一中華連邦(中台合併)、日本。


『国際連合軍』:国連憲章第七章に基づく人類社会の剣と盾。と国連総会で決まった。黒幕は元在日米大使の合衆国大統領であるとマスコミに報道されている。









聖フランチェスコ。


アッシジのフランチェスコ。

キリスト教の修道士。

カトリック教会の聖人にしてイタリアの守護聖人。


第五回十字軍の最中、単身でイスラム陣営に乗り込んだ。

アイユーブ朝イスラム帝国のスルタンと面会し和平を訴えたことで知られている。

その和平とはすなわち「イスラムのスルタンがキリスト教に改宗すること」を唱えたのではあるが。



もちろん丁重に強制送還されたのは言うまでもない。

(その前に面白がられ「イスラム法学者との討論会が開かれた」という説もある)


当時、イスラム諸国、というより豊かなオリエント地方は寒冷な欧州の飢餓地帯からなだれ込んでくる「十字軍」という名の武装難民に悩まされていた。




大陸規模で進む急激な気候変動。

ローマ体制の崩壊に伴う社会変動。

人口を支えられなくなる西欧地域。


理由もなく命を懸け、理由もなく命を奪う者などいない。


なだれ込まれた東方先進地域は、豊かさゆえに見えていた。

哀れな欧州人(びんぼうにん)が生きるために必死になっていることを。


同朋を養うことができず、死なせるしかない西欧諸国の棄民政策。

信徒を救うことができず、弔うことしかできない聖職者たちの祈り。


それは数次にわたり、人口が充分に減るまで続いた、続けられた。

神の名のもとに、神のもとに送りつける為に、生きてはいけない者たちを。



飽食に飽いた後世の人間は、彼らを嗤う。


同胞を死地に追い、追われるしかない。

殺されにいく同胞に、祈ることしかできない。

故なき棄民を、それと承知で殺してやるしかない。


宗教も経済も知らぬ、ただ積み上げられた上に産まれ落ち、胡坐をかくモノ。


嗤う。

嘲笑う。

嗤い続ける。


「これだから宗教は」


これだから、何も知らない者は違う。

無知は力なり。



そんな時代。

フランチェスコの凄みは、堂々とイスラム陣営に乗り込んだことだろうか。

ちょうどその時、イスラム諸国の民を「宗教的熱狂」を叫び略奪虐殺している。

その十字軍の中から。


イスラム側はフランチェスコに護衛を付けて、安全にキリスト教陣営へ送迎した。でないとリンチにかけられるでは済まなかっただろう。


当時のイスラム社会でも「狂人は罪に問わない」という文明(ルール)が確立していのだ。



彼ら。

殺す者と殺される者。

その不幸はローマ(文明)を知っていたこと。


東方の富で西方の口を満たし、西方の武力で全帝国を守る。

明日は今日より豊かになり、昨日を振り返り今日も賢くなる。


世界が終ろうとも帝国は続く。

世代を重ね確信していたこと。


それは人類創生から続くことではない。


そう知らされたとき、何を思ったか、何ができたか、何をしたのか。

すぐにわかる。






【第三次軍政官教育訓練キャンプ『ズィム』/大陸西岸/国際連合軍複合拠点『出島4』】


寝坊助勘違い野郎(ヤロウ/)(アマ)ども!!!!!!!!!!

ドリームランド終了のお知らせだ!!!!!!!!!!


現実への帰還だ

――――――――――嬉しいだろう喜べ!!!!!!!!!!



さて、答えさせてやる。



10人がいる。

うち一人は神経ガスの使い方をしっている。

うち九人はM-14の使い方を知っている。


さあ、常識はどっちだ?

神経ガスがM-14か?



――――――――――異世界の話じゃないぞ?


常識問題。

我々が人生を過ごしてきた

――――――――――今は無き地球世界の物語。



そう!!!!!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「常識問題」だ。





さて「常識」とはなにか。


我々の間に在る了解だ。

学者は共同幻想と呼ぶ。


が、やつらも、いや奴らこそ「幻想」の中で見栄を張っているだけだ。

自分は「夢を見ている」と自覚している

――――――――――「無知の無知ってる」オレってカッコイイ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ってな。


では「夢の外側」の声を聞いてみよう。

今現在、主に日本列島に配置されている奴等だな。

グルカ兵は言った。


「UK市民は『理不尽な死』を嘆く不思議な人々だ」


さて?


日本人はどうだ。

テキサス人なら『理不尽な死』に怒るが。


さて。

貴様等は太陽が東から昇って、驚くか?


先進国、ここ最近、半世紀余りの伝統ある我々は、驚き怒る。

殺した相手にではなく、まあ相手が居ればだが、『理不尽な死』そのものに。


テロリズムの被害をうけた。

事故にあった。

災害犯罪病気にすら。


それを受け入れるのに時間と手間がかかり、ついには受け入れられずに異常をきたしたりする。


そしてそれは、我々だけじない。

『理不尽な死』は人類共通の出来事だ。


そして一般的人類に『理不尽な死』は

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――日常だ。


受け入れすらしない。


毎朝、太陽が東から昇る。

わざわざ、それを受け入れる奴なんかいない。

いたら、精神異常だ。


――――――――――つまり?


すなわち我々だ!!!!!!!!!!

同士異常者!!!!!!!!!!


我々は人類史の少数派だ。

延べ人数で言えば、比較すら成り立たない。



よーし、異世界転移前で考えよう。


先進国の人口は?

合衆国、日本、西欧、そのオマケ。


世界の富、その9割を所有した我々。

人数で言えば、逆だ。


地球人類の1割。

少数派なんて、おとなしいもんじゃない。


自覚してるか?

例外ども!

オレとオマエのことだぞ。



力任せに我々の「当たり前」を押し通した経験者は語る。

合衆国はな、世界の隅々まで押しかけたと自負できる。


オレとオマエの「当たり前」を引っ提げて。

それがどこでも通じると疑わず。


ん?


反発なんかされなかったぞ

――――――――――理解されなかった、からな。



いいか?

合衆国はな、「嫌われる」ことすら、出来なかった。


じゃあ、何かって?

見当は、付くだろう?

どんな目で見られた?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・凶器を持ったキチガイ。



もちろん、オレたちは、気がつけなかったんだが。

その最中でさえ、どんな目で見られてるか気が付かなかった。



まだ銃を乱射している方が、理解されただろう。

嫌われ憎まれても、嫌悪されなかっただろう。


ただただ口を閉じて、暴力を振りかざしてさえいれば、彼らも受け入れてくれただろう。



凶器を持ったキチガイ/武器を持った暴君

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どちらとなら、共存できる?


貴様等なら、どちらに降伏する。




異世界、異世界、異世界。



月が二つ?

人に耳がある?

空を飛ぶ竜が居て魔法使いがいて

――――――――――――――――――――――――――――――些末なことだ。



異世界なんぞ、人類創世から昨年まで、ありふれている。


日本でいう海外旅行。

場所をランダムに決めれば、そこは異世界だ、だった。



父がいて母がいて、親子がむつみ合い、夜が明るく、それが無いと怒り狂う。

そんなオレ達は「異常者」だ

――――――――――目が覚めたかな?




みんな同じ夢を見ていた。

ここにいるのはたくさんのJapaneseと一人のテキサス人。


テキサス人は異世界転移で眼が醒めた。


では?

貴様等は?


オレ達が視てる世界は、昨日できたばかりの夢の中。

オレ達が来てる世界は、地球人類にとって万古不変。

オレ達が向かう世界は、正常でオレ達こそが異常だ。


寝坊助ども!!!!!!!!!!



絶滅危惧種のテキサス人から。

地球(ニッポン)人諸君へ。

お願いだ。



眼を醒ませ。

眼を醒まさないと、正常になっちまうぞ?





【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺たちは征く。

誰が付けたか白骨街道。

凄く悪趣味です。


特に白地に赤が良く映えます。


全然おめでたくない紅白。

ただの骨っていうのは、まあ、生体から取り出した骨はもっと黄色っぽいけどね。

牛や豚、特に豚で何度も確認させられました。

軍政官訓練キャンプでね。


豚が多い理由は、値段じゃない。

そもそも、完全統制経済の日本列島では、値段なんてあってなきがごとくだし。


豚が大量に訓練キャンプで消費された理由。


人間に似てるから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内臓や骨や歯などが。


懇切丁寧に説明していただきましたよ。

いらんっちゅーの。


豚のそれが人間に似ている。

ってことは、異世界人のそれ、骨や内臓に似ている、ってこと。

だからどうしたのかと言えば、俺たち軍政官にはとても役に立つだろうと。


なんで異世界人と地球人類の対構造が似てる、いや、豚に似てるってことは地球人と同じ、ってことを知ってるんですかねぇ。


え?

開戦前に軍政官の選抜・訓練が始まるあたりで大概だ?


おっしゃるとおり。


つまりそんなことで十分時間をかけて見聞を広げさせていただきましたよ。

それに。

一般兵士は関係が無い、それに。


普通の自衛隊員は死体を見る機会がほとんどないからね。

生きた敵を見る機会もほとんどないけれど。

たまにあります。


銃剣もって戦場跡を刺突しながら歩くとき。

その、それは、たいしてじっくり見たりしない。

近代兵器はすごいので。


それが一応人型をしている、って程度しかわからない。

で、俺たち軍政官に戻る。


軍政官ってなーに?

国際連合軍的には、異世界人類の骨や臓物を間近で確認し個々のパーツの判断をする役目、らしい。

お、おう。


つまり。



それに慣れ親しんでおけば、本物を見て触って生み出したときに、豚と同じように感じることができるでしょう。

絶対にその機会、異世界の生体から骨や内臓を露出させる機会はやってきますから触れないように気を付けて、普通の兵士と違って。


いや、無理だから。

いや、まだ未経験だけどね。

いや、経験したくないから。


まあ、殺させたけどね。

えーと、十何人か何十人か。

うん、既に俺自身も覚えてないよ。


何人を何で殺させたのか。

記録を見ればわかるのだが。


でもあれは、生々しくはなかったな。


距離があるところから撃たせたり、いや、近距離で頭を抜かせたか。

村人たちに撲殺轢殺刺殺懐殺させたこともありましたね。


あんまり見てないけれど。


見たくもないが。

合衆国海兵隊の皆さんは、常々そういう訓練を受けてらっしゃるのだとか。

まあさすがに、海外勤務時ではなくて、本国の訓練キャンプでね。


おかしくなるって?


ならないらしいよむしろ逆に。

まあ、それでおかしくなるなら肉屋なんてどーするって話だが。

でも、人間や異世界人と比較したりしないからね。


ただの肉と骨が、人と比肩するだけで変わる。

うん、やっぱりおかしくなるな。


でまあ、誰得な訓練のおかげで、骨の色のバリエーションも判った。


綺麗に焼いた骨は白くなる。

ちょうど今、ランドクルーザーを走らせてる路面のように。


そしてこれから通過する路肩の色に、白地のキャンパスは良く映える。

忌々しいことに。


流したばかりの血。

それはとても艶やかな赤だ。

人の肉体、まさに肉、その色は、流れ広がる血の色にかすんでしまう。

印象に残るのは、とても綺麗な明るい赤。


自分の傷から流れるなら。

愉しんでみている余裕もあるんだがね。



『レフトサイトナウ!』





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