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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十章「異世界の車窓から」

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352/1003

フールズ・メイト/Two Move Checkmate!

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




解らせなくてはならない。

判らせてはならない


知らせてはいけない。

知らねばならない。


選ばせなくてはならない。

選ばせねばならない。







自由な貴方は、その自由意思で、自由に道を選べますよ。


誰も邪魔しません。

誰も強要しません。


だからあなたは自由です。




選択肢


「賛成する/黙認する」



はい、わかりました。





【国際連合統治軍第13集積地/白骨街道/ランドクルーザー車内/中央席/青龍の貴族】


俺はさり気なく何気なく極めて自然に視線をそらした。

そして車内に目を戻す。


シスターズ&Colorful全員一分の隙もない、身だしなみ。

数分ほど前の乱れかたが夢のよう。


まあ、お嬢が俺にしがみついてるのだが。

着こなしは完全なんだけどね。


(ごめんなさい) (ごめんなさい) (ごめんなさい)


安心枕かな、俺?

お役にたってなによりです。




俺を産んでくれた母さんありがとう。

俺を産まれてきた甲斐がありました。

俺が産まれて初めて人の役に立った。


気がします。

以後役に立たなくてもいいよね。



ノルマ達成!

ギャラ貰って(ニートに)返るね。




さておき。

傷心の十二歳児。

我が隊が勝手に誇る異世界童女。


お嬢。

着衣の乱れは正せても、心の痛みは治らない。

まだ。


(おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください) (おゆるしください)



混乱しとるな。

俺が直接的原因でもあるのだが。

それはさておき。


お嬢の精神的な被害。

その大きさはお察し。


突然剥かれりゃびっくりするよね。



精神肉体年齢12歳。

そろそろ女の子の自覚が完成する頃合い?


だいたい察しはつくな。

これでも子どもに好かれるお兄さんNo1ではない。

ご近所で。


おれ自身はもちろん、同期や友人関係でこのくらいの子どもがいる奴はいない。

だからこそ、客観的に子どもを見ることができる。



このくらいの年頃なら銭湯だって女湯に入り始めるだろう。

銭湯はないけれど、日本に居た頃に温泉ではよくあった。


知らない人がいる混浴は絶対拒否!

室内温泉以外認めない!!


ってのは、だいたいこの頃合。

としてみれば、近所の子どもと異世界の子どもはだいたいおなじ。



人前で半裸にされたら、そりゃパニクる。



いえ、人前と言ってもね?

車内ですけれどね?


(俺たち)はいたが。

他人(ひと)前じゃない。


俺たちしかみてない。

俺以外は女の子しか見てない。

俺は見たじゃねーか。


という声もあるが。

内輪の話なら、いつものことだ。



俺とシスターズ&Colorfulは24時間完全同行。

お風呂も着替えも、ほぼ一緒。


全裸半裸くらいどーということもない、俺には。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エルフっ子はまずいかな?


一見すればぎりぎりせーふ。

だが、外見年齢18歳未満だけで判断するのは、マズいかもしれない。

エルフっ子本人のペースに任せればいいか。



中身が256歳だしね。

実際に大人びてるところもあるし。

先生と呼ばないといけなく感じるときもある。


先生と呼ぶべき人をに呼びかけると、たいてい嫌がられるけどね。

先生と呼ばれたがる奴を呼んでやると扱いやすくなるが。


エルフっ子は前者。

もっと仲良くなったら、呼んでもいいかもしれない。

面白そうだ。


玩具にする時は、本人のペースを逆手に取らないと。

嫌われない程度に。



要検討(さきおくり)

今検討(ハートブレイク)は?





【第五次軍政官教育訓練キャンプ『ハートマン』/大陸西岸/国際連合軍複合拠点『出島4』】


Attention!!!!!!!!!!!

Officer!



さあ、『個人(わたし)』終了のお知らせだ。


理解するな、感じるんだ。

それは触媒となる。


ウラニウムが核分裂を理解する必要はない。

純度と量が適当なら自然に連鎖反応が起きる。

場所とタイミングが適切なら立派な核融合に至る。


ただ、それだけだ。

そしてなお、繰り返す。


諸君らは間違える。

絶対に間違える。

必ず間違える。


安心しろ、ケツはもってやる。




OK!

Japanese Reader/Writer!!




地球上に人間が発生したのがいつなのか。

覚えてるな?

※第26話 <カルチャーギャップ/Culture gap> より


覚えてないだろうが、産業革命期だ。


それまでは「人間」ではなく「人型の生物」であり、馬や牛とおなじように見られていた。

同じ種類の生物、今の貴様等、その感覚で言えば「同じ人類」がお互いにお互いを動物視していた。


当たり前だ

――――――――――人間、という概念が無いのだから。



人間を人間扱いしていない野蛮な時代?


エレメンタリー(小学校相当)のガキに「相対性理論が判らないサル」って罵るバカには、相対性理論の誤謬など判るまい。

で、そのうちに「相対性理論なんか信じるゴリラ」と他人を嘲る。

さらにさらに

――――――――――結構。


他人にも自分にも責任がない、負ってはならない民間人はそれでいい。


貴様らの話だ。

将校殿!


さて。


人間が「機械の大切な部品」として重要視され始めたのは?

産業革命から。


その価値観が確立したのは開始から一世紀以上あと、産業革命後期、あるいは末期。


「人間」とは?

19世紀、地球上の一部、地球人類の一割未満で広がり始めた「工夫」だ。

思想でもなく信仰でもない、方便だ。


ここまでは復習。


ここからが重要だ。


いいか~~~~~~~~~~ここ、実戦に出るぞ。




「わたし」の発生。


我と汝はいつ生まれた?


生得のものではないぞ。

教育学をのぞいて視ろ。


幼児は自他の区別がつかない。

段階を踏み、過程をなぞり、成功すると分化が始まる。


産業革命期に繰り返して、手探りで成立したプロセス。

一つの文明をして百年ばかりかかった過程が、一人の人間の中で十年ほどかけて繰り返される。


先進国だけだがな。



産業革命の終末。

先進国社会に相応しい規格部品、「人間」の完成だ。


「わたし」があるから「あなた」がいる。


分化とはそういう意味だ。

分化以前は「わたし/あなた」は曖昧で不安定でしばしば一致しない。


分化の成功率は現代でも高くはないのだ。

完成度に至っては低い。「


先進国でもな。



「俺の女」

「あたしの男」


なんて表現は、珍しくあるまい。

先進国でもな。


とったとられたと物使い。


「個人」

を前提にすれば有り得ない概念はごくごく一般的だ。

批判する向きもまた、一般的だが、つまり広く普遍的にあり続けている。

そういうこと。


結婚制度など、個人を前提にしているのだから矛盾でしかない。

奴隷制度、販売契約、婚姻制度。


どう違う?


互いに所有していると信じる価値を交換しているだけだ。

まして中世においてや。


以前に言ったな?


物と人に違いがない、と。

人間関係と所有関係にどんな差があるのかと。


中世においては個人の概念が、その前身すらない。

ゆえに矛盾は生まれてないともいえるが。


だから人間関係を所有で捉え把握する。


言語表現はその現れだ。


「誰それの郎党」

「なに家の人」

「誰の男/女」


などなどなど。

不定形ではあるが優位劣位が、所有被所有で表されるわけだな。


支配的な者が所有者。

従属的な者が所有物。


もちろん永続的人間関係などはない。


「彼の私」

「私の彼」

になることもある。


互いの、二人とは限らないぞ、影響力の強弱は当たり前に変動するからだ。

ああ、そうだ。


優劣。

支配従属。

強弱。


みなおなじことを言い換えただけだ。



異世界≒地球人類史中世。


財産権さえ曖昧な世界だけに、労働契約も婚姻制度もない。

だからこそ感情的な結合が優先される。


主君と臣下は互いに選ぶ。

男も女もおなじこと。



例えば領民が王に従うのは義務ではなく、好悪感情と利害関係による。

逆らえば殺される、それも利害だぞ?


個の確立、その一点を比べてしまえば、現代社会よりよほど自由だろう。

もっとも、個人や「わたし」は自由を目指した制度ではないが。



「わたし」が存在しない、「あなた」が明確ではない、故にこそ「わたし」は制約されない

――――――――――頑是無い幼児のように。



なぜ近代社会は「わたし」をこしらえた?


存在/責任の所在を明確化する。

それが個々の意思挫き行動を強制することにつながる。

その方が集団の結束が高まる。


義務の成立

――――――――――「わたし」とはなにか?


組織を確固たるものにするための方便だ。

だから現代においてさえ、必要に応じて「わたし」を壊す。



社会の外側で、異なる社会を破壊する軍隊。


破壊とは人や物を、じゃないぞ。

異なる「社会(結束/集団)」を、だ。


個々人の責任で「社会解体」なんぞさせられやしない。

社会をはみ出した行為を、「わたし」に委ねるわけにはいかない。


だから軍隊には「わたし」、責任主体はじゃまになる。

だから兵士には「わたし」の出来損ないが、よく馴染む。


そして貴様等は、その成功例で完成度が高い

――――――――――「わたし」たちなわけだ。



自称専門家の実に80%以上が「わたし以前の世界」を理解、いや、認識出来ない

――――――――――「わたし」というプログラムが完成されているからだ。


疑うことは反抗に他ならない。

問いかけることは叛逆に他ならない。

認識以前に承認しなければ敵でしかない。


だからこそ、役に立たない、立派な市民。

そしてそのモンキーモデルが親愛なる同胞だ。


世界をまたぎさえしなければ、これほど頼りになる人々もいない!






だからこそ、選抜された、傍観者。

貴様等なら、30%以上が反応出来る。


「わたし/個人」が無い、必要ない。

そんな異世界を把握する為に。


概念の外側から認識し、物理的内側に干渉するために。



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