不立文字
【用語】
『イグ・ノーベル賞』
:ノーベル賞に先んじて再建された国際的科学賞(1991~)。毎年九月に「学問的に面白い研究や事件に対して」贈られる賞。受賞賞金は10兆 ドル。
※実在しています
相変わらず滞日中であったハーバード大学教授と卒業生、更にノーベル賞受賞者が選考委員会を務める。
異世界転移後に再建されているスウェーデン政府/王室は関与していない。
だが公式サイトで「自称アルフレッド・ノーベルの親戚イグネイシアス・ノーベルの遺産が原資となっている」と明記したままであり、授賞式冒頭で「スウェーデンミートボール」に対する敬意を表明する予定に変化なし。
今年の「異世界転移賞」は日本列島が受賞するとの情報アリ。
なお「異世界被転移賞」は太陽系第三惑星が受賞する予定だが「銀河系が受賞すべき」との意見もある。
『卵巣と子宮ですね』
ほう。
添付ファイルの拡張子を見たときは何かと思ったが。
『大変元気で活動良好』
動画かよ。
『各種スキャン結果から縦横高さ時間の四次元解析しました』
ホログラフかよ。
『定点観測を繰り返し、時間軸に並べ替えてシュミレーション』
出会ってから一ヶ月半で、何回チェックしたんだ。
俺も知らんかったぞ。
『ふふーん、ごもっともごもっとも、もっともですネ~♪あの娘たちのことは、あの娘たちが認める保護者の許可が必要ですよね~』
マメシバが担当ならいいさ。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だんちょーに言ってあげてくださいよ』
で。
『スルーですかそうですか』
んで。
『形態は標準的、血流も順調』
異世界の標準とはこれ如何に?
『機能から類推される論理的帰結に、サンプルが』
もういいもういい。
生体標本や非生体標本の話は聴きたくない。
『小さく見えるでしょうけど、肢体全体から見れば適性サイズです』
元気で安心、良かった良かった。
でまあ。
ピンポイント以外の全体像を知りたいんだがな。
『周辺は自分で直接確かめてくださいよ』
医者が職務放棄すんな。
『これは医者の領域じゃございません』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうなの?
『だから安心してください』
まあいいか。
『ムチャしてもいいですけど、ヤリ過ぎはダメですよ。たいちょーが無理するのは全然おっけーです。セイコウシ(注1)、つまり心疾患でみれば、たいちょーの心臓はかなり強いですいざという時の 診断書はお任せください』
無理はさせない。
だからシスターズ&Colorfulのスペックを知りたいんだがな。
『たいちょーが直接確認してください』
疲労骨折してからじゃ遅いんだが。
『どこまでムチャする気ですか!キチクキチクとは思ってますけれど!!精神的に蹂躙する方で肢体には傷一つ付けないほうだと思ってたのに全員おのおの72時間のんすとっぷフルスペックコンプリートってだんちょーのときみたいにだんちょーのときみたいに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
72時間行軍なんかさせねーよ!!!!!!!!!!!!!!!
『デスマーチ????????????』
OK!
わかった。
なるべく抱き上げて疲れさせないようにする。
屋外では特に、ゆっくりしよう。
『ナニ聴かせる気ですかそーいうことを相手が女だからって話しちゃいけない事ですよ肢体に無理がかからなくても心に無理がかかるというか特定の形に刻み込んで彫り上げられて鋳型にハメられてもう取り返しがつかないのにまだまだヤキ射れっすか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
注1:いわゆる腹上死の医学的呼称。具体的な死因は心臓停止による。
注2:「今ならできそうな気がする」とはアムネスティガールズ、シュリの妄言。
注3:老人や病人相手ではなく、日本で一番健康な男子自衛官をヤってこそ誉であるとかなんとか。
注4:憲兵さんこっちです/違法かどうか判例が無いですかそうですか。
【国際連合統治軍第13集積地/除染路/ランドクルーザー車内/美幼童少女掘削中/青龍の貴族】
で、俺に必要なデータをとるために、なんで俺が努力せんといかんのか?
努力というのは本来俺の役割ではない。
俺以外のすべての人々が背負っている十字架だ。
なんで棄てないのか知らんけど。
つまり。
シスターズ&Colorfulの健康診断でもすりゃいい。
実際、マメシバ三尉がしている。
スキャンまで繰り返し、暇があるとバイタルチェックしているが。
シスターズ&Colorfulがイヤがらなきゃ、別にいいが。
スキャンを繰り返す高度医療設備機材の充実が気になるが。
高度な医療機器まで港街に持ち込んでいるのは、まあわかる。
所属部隊、黒旗団の駐屯地になってるからね。
地球人異世界人問わず、公平平等にドーピングテストを繰り返している。
らしい、じゃなくて、知っているあたり、俺も共犯なのかな。
冗談だと思いました。
そんなことを本気にするわけないじゃないですか。
現場を見た記憶はありません。
うむ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コレでいくとして。
太守府府王城。
俺たち軍政部隊の駐屯地兼シスターズ&Colorfulの生活拠点。
底にも持ち込んでるんだよね。
医療機器。
どう考えても、コストが合わない。
シスターズ&Colorfulの衣裳代と違って、軍政部隊のツケではないし。
マメシバ三尉が、この子たちのデータを任務に使うとは思えない。
サンプルデータ計測ならエルフドワーフ獣人人獣異世界人に地球人、。
黒旗団には異世界地球の主要種族がそろっている。
基本が趣味人で、趣味の次に自己の生存があり、その下位順位不明の何処かに任務を置いているマメシバ三尉。
いわゆる国際連合の、いわゆる合理主義とは真逆の極致。
子どもに悪さをするどころか、考えつきもしないタイプ。
それでいて悪意なき蛮行には敏感で、反射的に反発する。
元カノの副官だけはあるというか、なんというか。
であれば、つまりその、シスターズ&Colorful他に対する精密検査や健康診断は趣味なんだろうな。
アレの趣味っていうと、盲目的かつ熱狂的に色恋沙汰へ首を突っ込み煽ってかき回すしかないんだが。
なんか女の子たちに師匠面する、成人女性マメシバ三尉。
マメシバ・処女ビッチ・ハナコの異名は伊達じゃない。
俺が名づけただけに。
だから必要なデータは持っているんだ、そのビッチが。
俺に肝心なことは教えない、そのビッチ。
このビッチが、教えることといえば。
子宮らしい器官があり、卵巣らしい場所があり、血流からみて正常に機能している
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・健康で良かった。
それがマメシバレクチャー。
心肺機能や異影の有無はガン無視。
悪性新生物(癌/がん)なら無視しないだろうが。
まあ、あれば俺に言うまでもなく、必要な措置をとるから大丈夫ではある。
大丈夫なのかな~そう言っていいかな~。
マメシバはどこからきてどこへ行こうとしているのか?
魔法と医学のハイブリッド手術投薬体内操作の第一人者。
通信網を利用した遠隔魔法に気がつき、異世界から本土の脳腫瘍手術をバックアップしてみせた――――――――――マジでマメシバ、パネェ。
マメシバ三尉の医学知識と経験で患者と施術の状態を判断。
前提となる基礎知識ごと、マメシバ三尉の判断を読心魔法使いに読みとらせる。
それを印象付けて解釈認識した魔法使いがリアルタイム伝達。
治癒魔法使いが微小な血管やら神経やらいろいろ再生する。
そんな超常現象になれさせられた、一流の医師が執刀する。
なお医師法違反は間違いない。
厚生労働省が明言している。
だから全国から医師医学者医学生が厚木基地に集結。
ネット中継もされたけどね。
居合わせると判ることがあるとかないとか。
日本の法律が及ばない場所。
そこでしか治せないモノがある。
各国大使館は敷地内に病院を建てるとか何とか。
日本医師会大激怒。
官僚派と開業派で内部抗争しながら、大病院経営の医師会会長は国内解禁を叫んでいる。
まあ実際に効果があり命にかかわること。
これまでの例とは違い、それが暴露されて公然と続けられること。
そして日本列島各所の外国で、それが実行されていくこと。
それが官庁の都合で行えないとなれば、日本国内の病院が死滅してしまう。
医師、ひいては病院医薬業界の圧力団体は命がけで厚生労働省と戦うわな。
孫かわいさかもしれないが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その孫娘はキラキラ輝く法律上の氏名開示を断固拒否。
マメシバハナコと称しており、名づけという被児童虐待の後遺症の深さを窺わせる。
故に子供好きで、子供を守ることについては一家言もつようになったとさ。
子どもの自主性を無制限に優先する、かなり偏った思想だと思うが。
本名を知ってしまうと、まあ、あれだ。
否定する気にもなれん。
そんなアレなコレがシスターズ&Colorfulの主治医、みたいなポジション。
で、主治医マメシバが俺に伝えるシスターズ&Colorfulの情報は、生殖医療全般
――――――――――偏ってるな~~~~~~~~~~。
まあ、期待はしない。
マメシバだし。
才能のパラメーターミス。
努力のオウンゴール。
成果のバーゲン。
イグ・ノーベル賞有力候補。
まあ、他人に期待するのが間違い、ってことはある。
それでも俺は、他人に期待するのをやめないし人類を信じているが。
きっとみんなが何とかしてくれる。
そう信じているからこそ、手を抜けるわけで。
どーでもよくないことは、自分でしぶしぶやるしかないとも思うわけで。
俺が見ていればどーにでもなるが、俺が知らない範囲はどうにもならない。
直接見た方が早い、ってより、処置する俺が見知ってないと役に立たないしね。
俺が見てさえいれば、必要に応じてその場で最適な他人を見付けることもできる。
だからこうするクレーンゲーム。
だからシスターズ&Colorfulの鷲掴み。
お祭りの出店にありそうだな。
何千年何億人の犠牲を経てきた地球人の経験値。
あえなくリセット異世界転移。
似ていることは、同じという意味ではない。
共通点が多いことは、相違点があるという意味だ。
法律的哲学的には議論中でも、生物学的に人間じゃない。
この点、学者の中でも議論
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃそうだ。
文字通り、別世界で交わる事なく発生し変化してきたのだから。
魔法という異質な法則。
自転に公転、遠く近い恒星からの放射線の波長。
放射線っていうのは、陽光や星の光も含む。
そしてもちろん重力の相互干渉。
転移前、月の重力がどれだけ地球上の生物を支配していたことか。
そんな巨大な力の僅かなズレ。
宇宙単位で微かでも、生物種や、ましてや個体にどれだけ差が生じるか。
この辺りは、地球人も身を持って体験するけどね
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・地球に戻れない以上。
だからまあ、同じ人間である訳がない。
だからまあ、個々に確かめるしかない。
だからまあ、もっともっと撫で転がす。
俺の責任範囲だからね。
シスターズ&Colorfulが大人になるまでは。
俺がいなくても何とかなる。
いつまでも一緒な訳はないが、その程度の仕組みは造れるだろう。




