思想触媒

「正義は勝つ」

然り。

「正義こそ力なり」

然り然り。

これは唯の事実だ。

我々を見ればわかるのではないかな。

勝てば正義、といった者がいる。

はは。

大変な人生だ

勝ち続けねばならぬとは。

約束された敗北。

人は死ぬからな。

いつか戦えなくなる。

戦えなければ勝てなくなる。

それまで勝てたとしても、だ。

それで終わり。

失われた勝利に、隠されていたモノが顕現する。

生涯を賭けようと、幾たび勝とうと、何もかも終わり。

所詮は、悪に過ぎない。

遺されるのは侮蔑と否定と嘲りだけだ。

正義は違うのか？

そのとおり！

正義は引き継がれる。

正義は産みだされる。

正義は勝利なのだよ。

例えば誰に語り継がれることなく、正しき者を皆殺しにしたとしよう。

それで何が亡びるのかな。

何も亡びはしない。

悪の中にすら正義はある。

躊躇。

後悔。

欺瞞。

それを誤魔化す者はいても、それを感じない者はいない。

悪であれ何であれ、人がいれば、そこに正義は在る。

内なる正義は、必ず顕在化して、悪を殺す。

では？

人が亡びたら。

人を皆殺しにして、最後に自殺すれば正義は滅びるか？

亡びないね。

見えなくなるだけ。

聴かれなくなるだけ。

知られなくなるだけ。

この本のようなもの。

物語はどこにある？

墨に宿るのか。

紙に宿るのか。

字に宿るのか。

本を燃やせば、物語が無かったことになるだろうか？

物語を必要とする者が戻ってくれば、すぐに語られるようになる。

誰かが思いつき、誰かが紡ぎ出し、誰かが語り継ぐ。

亡びはしない。

休んでいるだけなのだ。

簡単なことだ。

人がいようがいまいが、リンゴは木から落ちる。

それだけだ。

それこそが、力なのだよ。

【国際連合統治軍第１３集積地/除染路/ランドクルーザー車内/美幼童少女崩落下/青龍の貴族】

俺は、密集したシスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌの体を掻き分ける。

自分の腕を突きこみ脚をずらし、この子たちの隙間を広げ車体やシートのつかみどころを探す。

うん。

隙間がすぐふさがるね。

坑道の崩落事故ってこんな感じ？

息苦しいし。

柔らかすぎて、弾力があり過ぎる。

そりゃそうか。

いつも通りの感触。

だから力づくで何とかなる、ってことでもあるが。

つーか、俺自身が子供で出来た塊の中央。

だからこんなに手間がかかる。

下手に手を突き脚をだし、膝を突けばどうなるか？

シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌはみんな華奢な子供だ。

胸に体重をかけたら、ソレだけで肋骨を折りかねない。

中でも一番大きく育ち、丈夫そうなエルフっ子。

全体的に筋肉が発達している。

俺より強いくらい。

が、一見するとわからないくらいフニャフニャしている。

いや緩んではいないので、外見ではなく触感の話。

シャープではあるけれど、優美な曲線。

小さい二人やＣｏｌｏｒｆｕｌとは一線を画している。

けど、女だと強くじさせるライン。

普段は革鎧で判らないけどね。

今は押し競饅頭(おしくらまんじゅう)で判らないけどね。

全部神父が悪いのであって俺のせいじゃないけどね。

本当に魅力的なんだということは機会があるごとに強調しておきたい。

だから時々、しばしばにぎりぎり届かないくらい、眼を奪われるのは仕方がない。

ので俺を少女性愛者と勘違いする女性自衛官諸氏には理解されたい。

寝るときの薄絹や、入浴中に握るとはっきりする。

お腹や腕を強くつかむと、内側の筋肉が感じられるから。

まあその辺りは、人間の女と変わらない。

例えていえば、野戦部隊関係の女性自衛官。

いや、空自のパイロットの女性自衛官。

そんな体。

鍛え上げた肢体は、筋骨隆々なんてならんのよ。

アスリートみたいな不自然な引き締まり方もしない。

女体から脂肪分は減らないからね。

ボディービルダーのような作為を加えないと、腹筋が割れる女体なんて造れないのだ。

不自然な肢体は健康に悪いからおすすめしません。

本人にとっても、俺にとっても。

好みは人それぞれだが。

で、シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌの体はだいたい地球人と同じ。

そこまで地球人類と一緒ならば、耐久力も一緒だろう。

筋肉は鎧ではなく、柔軟な発条(バネ)でしかない。

防具として考えた場合、脂肪のほうがマシなくらい。

だから踏んづけるわけにはかない。

俺、つまり成人の男一人分の体重を腕一本膝一つにかけて、のしかかれば？

死ぬか大けがは否めない。

だからこそ。

今誰も怪我をしていないのを幸いに、強引に動かし掴んで掻き分ける。

逆に抱き付かれてくるのは条件反射か。

子どもが大人に抱き付いてくるのは、緊急事態では当たり前。

口がふさがっているので声をかけてもやれない。

そこは割り切る。

この子たちに赦されるのは、俺しかいない。

【聖都南端/青龍の軍営外軍道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族下/魔女っ子】

わたしは、そ～っと、薄眼を開けて覗います。

正面に、ご主人様の腰。

膝にはさまれた、わたしの肢体。

背中は、ねえ様の脚？

眼に映る範囲で皆の肢体を、ご主人様は手早く差配されております。

やっぱり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねえ様が先なんですね。

そうですか。

そうですよね。

そうなんですか。

でも。

でもでも。

でもでもでも。

この位置取りは、もしかしたら、もしかして、あむねすてぃのシュリさんが教えてくださった、あの、伝説の、ふややぁあぃ？？？？？？？？？？？？？？？？

ご、ご主人様の、ゆ、指が！！！！！！！！！！！

なひゃに！！！！！！！！！！！！

が、がんばりまふゅ！！！

【国際連合統治軍第１３集積地/除染路/ランドクルーザー車内/美幼童少女バリケード/青龍の貴族】

俺はいつもの常として、自然と責任転嫁の方法を考える。

手は止めないし、頭も止めない。

平常運転。

治療に限定すれば、治癒魔法使いや薬師でもダメなのか？

とは、俺も考える。

今いないけど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・国際連合現地志願兵(ボランティア)は、まだ少ない。

というより、魔法使い自体が異世界全体でも少ないので。

小さな小さな軍政部隊には配属されない。

増えてはいるけどね。

黒旗団のような帝国傭兵集団が、諸般の事情で鞍替え。

諸般の事情、諸般？

営業上の都合。

安全上の都合。

将来性の都合。

などなど。

元カノみたいな主君に迎えられるのは、さすがに少数派。

もっとも、黒旗団の事例は地球と異世界双方にとっての前例となったが。

非帝国傭兵は軍隊ってレベルじゃないから、国際連合はノーサンキューしてる。

非帝国ってだけで規模や練度が小さく低い。

帝国軍は退役兵を、予備役として組織している。

非帝国軍は帝国軍に、根絶やしにされている。

つまりは異世界傭兵市場に、軍歴アリはほぼいない。

そして集団だけじゃない。

帝国に属していない野良魔法使い。

魔女っ子はこの系統かな。

国連軍に入ってないけど。

これはまあ、お察し。

俺たちが突撃するまで帝国の繁栄と拡張は永続すると信じられていた。

その世界帝国に無条件で優遇されてなお、帝国に所属していなかった。

帝国に滅ぼされた勢力や個人の関係者、ないしはその縁戚。

その中でも、好機いたれり、とばかりに動いた方々。

後悔して無きゃいいが。

待遇は良いけどね。

待遇は。

帝国軍から諸般の事情で寝返った魔法使い。

ってのもある。

諸般の事情、諸般？

これはまあ、どうやら一つに集約される。

いろいろ枝葉の理由はあるが、要約すると。

好奇心。

帝国魔法使いの特徴。

知ることはそれのみにて至高である。

試すことはそれのみにて至尊である。

至らざるに至るは全てにして一つなり。

とかなんとか。

いま地球世界で一番の不思議は異世界だ。

世界(日本列島)中の学者が調査に狂奔している。

いま異世界で一番の不思議は地球世界だ。

異世界中の魔法使いが調査に狂奔している。

園中で、特にエキセントリックな連中が、国際連合軍の門をたたくわけだ。

地雷や自動機銃で殺されたやつがどれほどいるのやら。

命なんかどうでもいいですかそうですか。

それはいいんだが。

つまりは、俺の問題に立ち返る。

異世界のシスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌに理解させやすい治癒魔法使いとかその辺り。

軍政部隊にはいないのだ。

【聖都南端/青龍の軍営外軍道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族に密着/お嬢】

わたくしは、決してあきらめません。

絶望を知らない女ですわ。

けっして、ご領主様に意志表示（ぺちぺち）しながら、それで済ませるような女ではありませんの。

まずは？

そう！

順番に割り込まず、肢体を割り込ませること。

押しのけるのは良くありません。

そんな非道は、わたくしの矜持が赦しません。

それに、卑しいことですわ。

嫌われてしまいます。

卑しくないとは申しませんけれど。

こんなに己が欲張るとは思いませんでしたけれど。

ご領主様に出会ってから

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぜったい、しられませんから！

此処はさりげなく。

ご領主様の手の動きを追い。

その先に。

わたくしの肢体を割り込ませる隙間がある場所を。

わたくしの肢体に触れればそのまま進みます。

そのはずです。

きっと。

わたくしは、観察に堪えます。

羨ましがっている場合じゃございません。

いま、たまたま、御背中をいただいておりましても。

例え、例え、たとえ、タトエ。

あの娘が指を舐らせていただいておりましょうと！

ねえ様が胸に顔をうずめられておりましょうと！！

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・落ち着いて落ちついておちついてオチツイテ。

ヒドイです！！！！！！！！！！！！！！！