悲憤慷慨

三大欲求っていうんですけどね。

「生存に必須ではないのに生理的に切り離せない欲望」

って意味です。

食欲。

承認欲。

性欲。

優先順ですよもちろん。

男性の場合は二番目と三番目が入れ替わりますけど。

はい？

処女をこじらせると見えなくなりますね。

童貞をこじらせても同じですけど。

キモーイ。

食欲は生存に必要？

お腹が膨れたらいい、なーんて話じゃないですよ。

人間や動物はそこまで合理的じゃないです。

美味しいものが食べたい。

たくさんだったりすくなかったり、量にこだわる。

今たべたい、明日たべたい、朝たべたい。

でしょ？

栄養素だけ抽出して注入しても、病気になっちゃいます。

でまあ、どれか一つでもかけてる、とするじゃないですか。

すると、それしか考えられなくなるんですよね。

まあ、当たり前ですけれど。

おいしく楽しくおなか一杯。

愛する相手からとってもとっても愛されることを常に実感。

で。

たいちょー。

――――――――――ひどいとおもいませんか？

《Ｄｒ.マメシバの押し売りカウンセリング》

【聖都南端/青龍の軍営外軍道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族に密着/お嬢】

わたくし、残念ではございません

――――――――――その程度で言い表せましょうか！！！！！！！！！！

わたくしの肢体。

ご領主様のお好み、その為にあつらえたと存じております！！！！！！！！！

お独りに捧げるためだけに産まれた、華奢で細く薄い幼さ！！！！！！！！！

愛する殿方ただ一人に注視される姿が、このような結果を！！！！！！！！！

そう。

わたくしの肢体が

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さくて軽いばかりに。

わたくし、弾き出されてしまいました。

それは土竜らんどくるーざーを道化が叱咤、その瞬間

――――――――――雷鳴のよう嘶きながら、らんどくるーざーが後ろ脚で立ちあがったからです。

馬車が立ち上がった、と考えれば判り易いでしょうか。

そんなこと起るわけないですけれど。

でも本当に起こりましたわ。

竜ですものね。

凄い力ですわ。

わたくし、空が見えましたもの。

普段載っている、見かける車は馬が曳くモノ。

竜に曳かせる車なんてありません。

それが、わたくしたちの世界。

竜が有り余り、とりあえず竜を飛ばすか走らせる。

戦場でも旅道でも、それこそ海の上まで。

それが青龍の皆さま。

もっとも、ご領主様は馬か徒歩。

街中ではほとんど歩かれます。

街道を通るときは先触れを告げてからゆっくりと進まれます

慣れてきた太守府や港街でさえ皆が怯えてしまいますから。

村々に至っては、もう。

青龍の土竜が近づいただけで村が滅んでしまったくらい。

はじめて港街から太守府へ、帰る道すがらのことですけれど。

最初の村。

皆が一斉に逃げ出して、幾人もが井戸に落ちたのか隠れたのか。

ご領主様が着いたのは、誰もいない村。

朝餉の炎が少しずつ広がり、集落が焼け落ちていくさま。

わたくしは当然、ご領主の側にいたのですが。

それはそれは唖然とするしかありませんでしたわ。

その後のことも、わたくしには聴こえてまいりました。

村人たちは逃げ散ってしまい、そのまま怯えて帰らずに。

その怪異が広まり、近くの村からさえ、誰一人訪れず。

商い相手がいないので行商人は近づかない

廃物狙いの盗人まで近づかない。

竜というのは、それほどに恐ろしいもの。

太守府で帝国の竜を見慣れていても、青龍が竜には怯えますものね。

本当に恐ろしいのは、ご領主様ですのに。

もちろん、お気に触らなければ怖がる必要などありませんけれど。

とうぜん、わたくしは女として失望される以外を恐れたりいたしませんけれど。

以後そうはならないように参事会が先触れを用意することとなりました。

ご領主様方が動かれるときに備え、馬を駆る為に王城の馬場に侍ります。

先触れは街道上に顔がきく、交代できる数がある中堅どころの参事たち。

ま、それはそれとして。

――――――――――問題は！！！！！！！！！！！！！！

【国際連合統治軍第１３集積地/除染路/ランドクルーザー車内/美少女押寿司中央/青龍の貴族】

俺は迷っていた。

人生に、ではない。

今は。

いや、迷いの多い人生だけど。

魔女っ子が起きる前に目覚めて、カッコつけるか。

魔女っ子が目覚めて食事の用意が出来てから目覚めて、誉めるか。

アムネスティガールズの色目に応えて、来店サービスを得るか。

シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌへの教育的配慮をとるか。

ここまでなら三佐の嫌がらせが増えないか。

そこまで踏み込んでも危なくないか。

改めて思い起こせば、あれ、ヤバい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日々地雷原。

いかんいかん。

もっと自分を大切にしないと。

見栄とか健康とか命とか。

キケンがヤバいに慣れあってはいけない。

安全計数１０００％こそ王道にして至高。

そんなことを感じるのは、走馬灯に近いからか？

口が完全にふさがれてるし、顔がほぼ完全密閉。

呼吸がしにくいなんてもんじゃない。

が、それは後でも仕方がない。

全速走行中のランドクルーザー。

その振動を感じながら、俺は諦めた。

手早く掴み所を探す。

「！」

「♪」

「ぅん」

「ぃあ」

「ぁん」

「はぃ」

「きゃ」

「ズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルい」

【聖都南端/青龍の軍営外軍道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族に密着/お嬢】

わたくしは、その悲劇に臍を噛みます。

なぜにどうしてなにゆえに、わたくし手を下さらないのでしょうか皆を次々と可愛がってそれをわたくしは高い位置から見せつけられねばならないのでしょうか！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

なぜ？

なぜ？？

なぜ？？？

何故か判っているから、余計に悔しいです！！

女として、これほどの喜びがありましょうか！！！

わたくしは守っていただいたのです！！！！

あの瞬間。

ご領主様は土竜の後方へ。

下というべきかしら。

らんどくるーざーが立ち上がるまでは後ろだった方向へ。

後方に侍っていたＣｏｌｏｒｆｕｌの４人の上へ。

両手を広げて、わたくしにはない胸を突き出した４人。

その上に、落ちていかれました。

黄色い歓声が上がるのも無理からぬこと。

もちろん、わたくし、あの娘、ねえ様、Ｃｏｌｏｒｆｕｌの一人も続きます。

ご領主様と一緒に巻き込まれるように、皆。

わたくしは、ご領主様の内懐。

真っ先にのしかかって頂く好位置。

なのに、なのに

――――――――――ご領主様の上。

なぜ？

なぜ？？

なぜ？？？

何故か判っているから、余計に悔しいです！！

まずもって一番近くに侍る者から取り掛かるべきではございませんか！！！！

腕の中におりましたのに後回しとは女として、これほどの屈辱がありましょうか！！！

うぅ～。

【国際連合統治軍第１３集積地/除染路/ランドクルーザー車内/美幼女童女少女漬物中央/青龍の貴族】

八つの音源を確認。

全員、怪我はない。

一番簡単なバイタルチェック。

対象の体、その何処かを握る。

すると相手は全身を緊張させる。

怪我をしていれば、そこが収縮するから苦鳴が上がる。

苦鳴が上がれば、怪我人でがいる。

同時に声で誰が怪我をしたか判る。

苦鳴の大きさは怪我の程度にも比例するから、緊急性の見当もつく。

苦鳴がなければ、怪我もない。

一掴み三得

――――――――――怪我の有無、各自の安否、その程度が判明って理屈。

ボーイスカウトで編み出した、俺流安否確認方法。

なお、反応が返ってこないのが一番ヤバイです。

無反応なら、それが一番の緊急警報。

他の皆を振り払ってでも、最優先で詳細チェック。

なお俺流は公式には認められません。

平和で豊かな社会では、常に満ち足りた医療環境を前提にできるからね。

それならむしろ、刺激を避けた方がいい。

ってのも、一つの考え方。

今は有事。

いささか乱暴だが、かまわん。

俺は平時でもやるけど。

どんな状態であれ、怪我の有無確認は最優先。

目視できない？

下手にうごけない？

そこで行うには危険に過ぎる

――――――――――だからどうした。

仮に傷口をつかんでしまっても構わない。

怪我に気がつかないよりはマシ。

水は低きに流れ、俺はより危険が少ない方へ。

ただし、女が相手だと不評を買う時があります

――――――――――無視しましょう。

【聖都南端/青龍の軍営外軍道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の上でジタバタ/お嬢】

覚えております

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご領主様の大きな手。

わたくしの下肢を鷲掴み。

つい身構えてしまったわたくし。

なのに、なのに、なのに

――――――――――ご領主様の上に出されてしまいました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そのせいかしら。

期待が過ぎて、ご領主様の意地悪心を刺激してしまった？？？？

想いの深さ、そは愉悦。

ご領主様の、愉しい玩具。

嬉しく恥ずかしく、誇ること。

なら、わたくしが、玩ばれるのも、一番あそばれるのも、いたって自然。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よね？

いじわる！！！！！！！！！！！！！！！！！

いえ、それは後。

今は挽回の機を探さないといけませんわ。

御背中では、わたくしの肢体を感じていただきにくい、ですわよね。

手も届きにくいですし。

そしてＣｏｌｏｒｆｕｌたちは、絡み合ってます

――――――――――ご領主様に！！！！！！！！！！

ご領主様。

お気持ちは重々承知しております。

わたくしを潰さないように、ご配慮痛み入ります。

口惜しくてなりません。

とっさに、わたくしを上へ、あの娘を下に。

手足の間に包まれた、あの娘はもちろんけがもなく。

上のわたくしはもちろん、無疵です。

肢体は。

心は大変です。

大切にしていただいている喜びに、見せつけられるくやしさ。

あの娘が、押し倒され目を閉じているのに

――――――――――そーいうじょうきょうじゃありません。

作法としては正しいのに。

ねえ様は胸の形をひしゃげさせながら、胸以外を硬直されてらっしゃる

――――――――――ご領主様が、ねえ様の胸に顔をうずめておられます。

そこまで固まらなくても

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・閨でちょくちょく頂いておりましょうに。

ご領主様に抱きしめられ。

ご領主様を抱きしめて。

時に枕になり。

時に顔をうずめ。

時々、皆が寝鎮まってから、そっと抜け駆けをしたり。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっとだけ。

わたくし、ねえ様、あの娘。

床入りの後、三人の誰が抱かれるかは、運次第。

閨の中なら納得しますわ。

あら？

ということは、今は、ソレだけじゃないのかしら。

ねえ様の涙目

――――――――――それは珍しいもの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご領主様に、嬉しいことをされている時以外、あり得ませんわよね。

硬直、ではなくて、動かさないように耐えられてますの？

よもやヨモヤよもや！！！！！！！！！！

なのに、なのに、わたくしだけ、ご領主様の上。

やっぱり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・意地悪です！！！！！！！！！！

【聖都南端/青龍の軍営外軍道/らんどくるーざーの中/青龍の貴族の舌/エルフっ子】

あのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのあのくちがくちがくちがくちがくちがくちがくちがくちがくちがあたってるなんてものじゃないわよこれどーすればいいのよどーすればいいのよどーすればいいのよ

応えて

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