承認欲求

認められたいです。

褒められたいです。

求められたいです。

ねえ様は、わたしを守るために嘘をおっしゃいます。

ちい姉様は、わたしを支えるために嘘をおっしゃいます。

わたしは大好きな二人に応えるために、嘘をついています。

まるで鏡を覗いているよう。

わたしの嘘が、わたしに返ってきてしまう。

わたしの偽りが、わたしを満たしてしまう。

わたしの姿が、わたしへ突き付けてしまう。

優しくて。

温かくて。

穏やかな。

死んでしまえないほど苦しい世界。

それは、ぜんぶ、嘘です。

赤い瞳を見る人たち。

赤い瞳を見ない人たち。

それがいつわりのないせかい。

どこにもいない。

いなくていい。

なのにいる。

だから、嬉しかった。

否定されることが。

禁じられることが。

強いられることが。

黙るな。

諦めるな。

逆らえ。

そして、わたしは、従いませんでした。

だから、わたしは、従えられました。

だからこそ、わたしは、従います。

不都合はないのに、料理を食べてくださる。

必要はないのに、お世話をさせてくださる。

居なくていいのに、捕まえていてくださる。

それが、ほんとうのせかい。

赦しを請う、わたし。

赦すなどありえぬ、ご主人様。

赦されぬ、わたしに、強いる方。

だから。

棄てられない今は、今だけは、わたしを認めてくださってるかもしれません。

そう思える気がします。

だから。

もっともっと。

褒めていただきたいです。

求めていただきたいです。

もっと、もっと、もっと、あの方に。

――――――――――ご主人様――――――――――

【国際連合統治軍第１３集積地/除染場/美少女饅頭の真ん中/青龍の貴族】

俺は中央にいる。

大切なことなので繰り返し繰り返し。

普段の隊形だと前方少し後ろの指揮官定位置。

ど真ん中ってのは、違和感が大きい。

ランドクルーザーの物理的真ん中。

車体前方が運転席と助手席。

車体中央が進行方向に背を向けた、三人掛けの席。

車体後方が進行方向に向いた、三人掛けの席。

つまり車体の真ん中。

車体中央の席が俺、もいる。

車体中央三人掛けの席。

俺が座っているのは、その真ん中でもある。

そしてまあ。

１１人の真ん中でもある。

え？

シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌなら８人じゃないかって？

いえいえいえ。

座席で仕切られているとはいえ、背後に二人いるから。

運転席の神父。

助手席の曹長。

『ご安心ください』

背後１５ｃｍからの無線通信。

曹長の声は実に安心できる。

娘さんも言っていた、曹長の。

≪お父さんはとっても丈夫だから何でもお任せください。

御いそがしいとは思いますけれど、もっとメールをください。

日本に帰ってきたら遊びに連れて行ってください≫

と。

ええ子や～。

お父さん（のスペック）への信頼。

お父さんともっとメールしたいという親愛。

お父さんと遊びに行きたいという愛着。

思わず父性愛に目覚めそうだったので、曹長の娘さんとはメールを続けている。

もちろん、曹長にもお嬢さんが普段まったくお父さんに釣れないそぶりで、とても大切に思っているんだよ、と伝えることを忘れない。

さすがにメールの中身は読ませないが。

送信相手の親とは言え、手紙だからね。

お父さんに直接メールすればいいのに。

まあ１４歳、あと三日で１５歳の娘は、そんなところなんだろう。

娘もったことないから知らんけど。

異世界で娘、もしくは歳の離れた妹ポジションの子がたくさんできたが。

そーいう縁がある人生なのかね。

俺は。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・侵略に来る前、日本とあんまり変わらないか。

日本では祖父母ポジションの老人会もいるが。

もし地球と異世界の違いがそんなになければ？

お嬢のように一見すると父親を毛嫌いしている子も、内心では別なのかもしれないな。

む、それは結構イケるな。

俺を毛嫌いしている、お嬢の父上にもさりげなく伝えたほうがいいかもしれない。

安心して娘さんを預けていただけますように。

それはさておき。

『大尉殿』

はい。

国連軍の肩書大尉です。

何かな曹長。

背後と会話するのに無線が必要ってなんだかおかしいよね。

『防音遮蔽は万全です』

厚い防弾ガラスが、俺たちが居る車室と運転席を仕切っているのだ。

まあ、ランドクルーザーは民間車両という建前の、準軍事車両。

仕切れるところは仕切るっていうのは、おかしくない。

グレネードでもぶち込まれた時に、どちらかが生き残る可能性が高まるから。

異世界にグレネードは無いが。

もしかしたら火炎魔法を撃ちこまれることもあるのかもしれない。

さすが国際連合軍調達車両。

いろんなところで実戦向き。

どう見ても標準仕様でない。

『緊急時以外、こちらから振り向かせたり致しません』

振り向かれてもどうにもならないしね。

なにしろ人でいっぱいなだけに、車体の後方なんかロクに見えない。

振り向かせない、ってのがポイント。

運転手の神父。

雑談を求めて後ろ向きながらドライビングしかねない。

曹長がんばれ。

前向かせろ。

それを無理に覗こうとしたら、事故るだけだろう。

施設科が舗装した道を抜ければ白骨街道。

舗装道路並みになだらかで航空機の離発着までできるレベル。

だが、やっぱり凹凸はあるので微妙なハンドルさばきがいるのだ。

重量級の軍用航空機なら押しつぶせるだろうけれど。

我々の運命は曹長にかかっている！

『バックミラーも車体側面で見るようになっております』

もともとがトラックだからね。

まあ後方に安全確認が必要な状況でもないが。

『通信もスリープさせておきますので、ゆっくりとお過ごしください』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと涙が出てきそう。

いつも頼りっきりの部下に、ここまで労われるなんて。

甘え過ぎか？？？？

甘え過ぎだな？？？？

俺に出来ることはあるか？？

うむ？

ない。

ある！

曹長のお嬢さんへの誕生日プレゼント。

日本国内に居るダチに、店で選べるよう手配を頼んであるが。

バージョンアップ。

どうせ超過勤務手当の使い道もない。

贈答予算を倍プッシュ。

お母さんに発覚しない程度に目立たず。

見る人が見ればわかる高級品。

そんなオーダーを出しておこう。

うん。

いけるぜ！

『ＯＫ！ＹＯＵ逝っちゃいなよ！！！

Ｓｏｕｎｄｐｒｏｏｆ/Ｏｄｏｒｐｒｏｏｆ/Ｐｅｅｐｉｎｇｐｒｏｏｆ！

御存分ニイチャコラシヤガッテツカーサイ！！』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと涙が出てきそう。

何で殺しておかなかったかな～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！！！！

感動が台無しだよ！！！！！

『ホンバンＯＫ！

時間がないからフルコンプはカンベンな？』

おいおいおいおい？？？？？？？？？？？？？

神父、オープン回線でまくし立ててやがる！！！！！

『デキる友軍に感謝感激改宗Ａｍｅｎ！！！！

日米友好リメンバー！！！！』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・通信終わり。

何事もなかったので、俺は真っすぐ微笑みかけた。

シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌも、笑い返してくれる。

多少、頬を紅潮させているが仕方がない。

みんな通信機は当然持ってるからね。

常に受信状態にしてあるからね。

シスターズの小さい二人が、慰めてくれます。

うん。

髪のモフモフは癒しだね。

大丈夫。

大人は泣かない。

さて。

背後は無視。

前にはＣｏｌｏｒｆｕｌの、４人。

三人掛けに橙、朱、碧、翠。

ジャンケンに負けた組。

もう一度言う。

三人掛け。

４人。

小柄な女の子、とはいえ、狭くないですかねぇ。

だから、すっごく、前のめり。

はみ出してるはみ出してる。

目の前の俺と、角突き合わせる距離。

角ないケド。

４人の座る場所も、再度ジャンケンしたくらい。

窓際は不人気でした。

人口密度が高い車内。

風を入れるために窓を開くのもアリ、と思ったが。

むしろ空調の方がいい、と思いなおした。

神父が丁寧な運転をするとは思えない。

だってアメリカ人だし（偏見）。

このあたりの地勢を考えれば、土煙砂ぼこり上等。

まどを開ければもろに喰らう。

そりゃ、窓際を避けるよね。

窓際に位置する四人とも、身を中央に寄せている。

もちろん、窓は開けないけれど。

俺は思わず左右窓際のＣｏｌｏｒｆｕｌ、橙と翠に気を使ってしまった。

まあ、お菓子を勧める、と。

気遣いの基本は飲食です。

すると正面の朱、碧が微かに拗ねる。

うんうん。

手持ちのお菓子はまだあるよ？

・・・・・・・・・・・・・・って問題じゃないんだろうな。

いや、メインの食材はお菓子も含めて他の車に積んであるけどね。

完全密閉クーラーボックス入りの飲み物やアイスもあるけどね。

順番を気にするのは子供の基本。

それをからかうのは大人の嗜み

素直に気持ちを表すようになってきたな、と感慨も一塩。

拾ってきた猫が、隠れなくなった感。

最初っからＣｏｌｏｒｆｕｌはフレンドリーだった？

いやいや、最初は戸惑っていた、たぶん。

奴隷市場で接収して以降のしばらく。

俺と距離が近いのも義務的でね。

この子たちの出身、愛玩奴隷の服務規程かなにか。

近い＝親しい。

そんなふうに勘違いするようじゃ素人だ。

遊び人の。

男も女もやらかしがちだけど。

プロフェッショナルにむしられるよ？

浅く深いご商売の。

よい経験だけど。

いや、強がりじゃない。

金の切れ目が縁の切れ目、になるかどうかが楽しみどころ。

有り金なくなる程度、よゆーよゆー。

プロフェッショナルを如何にしてセミプロに堕とすか。

アマチュアにはさせない程度に。

プロフェッショナル。

セミプロフェッショナル。

アマチュア。

喰われるか？

喰えるか？

泣かれるか？

そんな違いがあります。

解らない人は一生判らないキミでいて。

つまり！

口説いてから近づくのではない。

近づけるから口説けるのだ。

ゼロ距離から始められる。

それは大きなアドバンテージ

――――――――――お互いに。

賭けっていうのはそーいうところ。

プロフェッショナルと対峙するからこそ楽しめる。

コイントスが賭けならば、お店に行くのも賭けなのだ

第一、得られるところは必ず在る。

ヤリ逃げされる心配もなく、食い逃げされる心配もない。

ナンパより割が良い

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・皆の目が怖い。

読まれてる？？？？？？？？？？

子どもの前だと忘れていた。

顔が緩んでいたのかな。

違うですよ？

不快感を隠せなくなってるのが可愛いな、とか思ってません。

あまり。

さて

――――――――――で、もっとあからさまに拗ねる子たち。

拾ってきた猫が膝に乗った感。

いや、乗ってるが。

右膝、魔女っ子。

左膝、お嬢。

さすがに１３０ｃｍくらいの幼女童女だから、膝に収まらないけれど。

半分以上乗り、体を預けられている。

いや、幼女童女こそ最初からゼロ距離だった。

が、今とは乗り方が違う。

いつでも放棄可能な椅子扱いから、お気に入りの座布団へ。

最初期、遠慮があった。

俺が動く気配を感じて、腰を浮かせる感じ。

だんだん、今は、俺が動くと爪をたてる感じ。

もうすぐ在るべき関係になるだろう。

子どもがワガママを通す。

大人がそれを踏み潰す。

踏みつぶせないようじゃ大人にあらず。

これだよこれ♪

そしてそして。

ゼロ距離の幼女童女、その先、さらに二人。

窓際だけに、やっぱり中央に体を寄せている。

右がエルフっ子。

左がＣｏｌｏｒｆｕｌの白。

何故に三人掛けに４人なのか？

小さい、小柄な女の子ばかり。

この子たちだけならアリ、かな？

それも児童虐待な気がする。

だが、俺は小さくないわけで。

押し寿司になるのもいたしかたなし。

それに女の子ではあるが、サイズは大人なみ。

異世界でも異種族でも、成長ペースは地球と変わらないようだ。

つまり１５歳前後で体だけは成長が終わる。

女性の場合、ではあるけれど。

この場に居るのは、その頃合。

例外となるのは１０歳の魔女っ子、お嬢が１２歳。

だから膝でいいのだが。

小さい二人越しの左右。

シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌの中で、一二を争うグラマラス。

小さい二人を押しのけ押し付ける結果になっております。

何とは言えなくもない、まあ、迫力のある Ｇカップ(エルフっ子) Ｆカップ(白)が。

天然モノです。

偽装モノとは違う良さがあります。

嘘乳は好きですけどね？

扱い方を知っていれば、化けます。

ワインの味が大変に。

きょにゅう。

発音が同じであれば、どちら素晴らしいものです。

偽装物には偽装物の良さがあるということを声を最小にして訴えたい俺でも、これは大変良いものだと全肯定。

しかも休日、ってことで革鎧レスなエルフっ子。

代わりの防具扱いらしい革の外套は、もちろん脱いでいるからワンピースのみ。

制服姿なのはいつも通りだが、元々胸に防具がないＣｏｌｏｒｆｕｌの白。

カラフルな白とはこれいかに。

女の子相手に何を考えてる、って？

眼を見ないと女の子か女か区別しにくいんだって。

普段から慣れているとはいえ、微妙に照れた顔をみないと大人に見える。

エルフっ子は毎晩一緒。

Ｃｏｌｏｒｆｕｌだって時々一緒に寝てる。

その感触に照れる、って程でもないんだが。

全くないとは言わないけれど。

ただ、いつもより余計に押しつけられております。

そして両膝正面、がっちりと、ちびっ子ホールド。

下手を打てば切腹する自信がある。

俺の９９％は見栄で出来ているから。

いやはや困るよね。

カッコつけるのも、大変だ。