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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第九章「神様のいない天獄」

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回想廻廊

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。


『Colorful』:奴隷商人に造られたハーフエルフの最高級愛玩奴隷たち。髪の色がいろいろなため、神父が全員あわせて「Colorful」と命名。一人一人の名前は髪の色に合わせて白・朱・翠・蒼・橙と主人公が名づけた。異世界では用途別の奴隷を出産から教育まで一貫して生産する奴隷牧場がある。前領主(帝国太守)が奴隷商人に発注し、引渡し前に戦争開始。占領軍の太守資産接収に伴い軍政司令官に引き渡された。軍属として雇用契約を結んでいるので日本の労働法が適用される

名前 (カップサイズ)

白(F)

朱(C)

翠(E)

碧(D)

橙(C)




平和が好き。

戦争が嫌い。

過去の過ちを繰り返さない。


なるほどねぇ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いろいろ並べたもんだ。



コレが「平和主義の表れである」と。

ふんふん。



戦時下における困窮の記録。

戦時下における戦災の記憶。

戦時下における無数の死者。


灰燼と化した多くの都市。

抑留され虐待された多くの同朋。

見下されて否定された屈辱。


その象徴が、キノコ雲か。






ん?

終わり??


で?

それで??

どこでどのように平和を祈っているんだ?




もう一度、確認しようか。


負けたから餓えた。

負けたから民を虐殺された。

負けたから殺され殺されかけた。


負けたから負けたから負けたから

――――――――――だろ♪



ほーら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な?




つまりさ。


日本人は平和なんか、どーでもいいんだよ。

日本人が憎み恐れ嫌ってるのは、戦争じゃない。

日本人は、戦争じゃなくて「敗北」が嫌いなんだ。



言霊を畏れて「その言葉(敗戦)」を使えないくらいに、よ。




見なよ?

ここに日清戦争があるかい?

日露戦争でもいいぜ?


な?

戦争が憎いってならさ?

なんで勝ち戦がないんだろうな?



休戦中に嗜好品をやりとりし合ったロシア兵と、戦場で殺し合ったのは悲惨だろ。

かき集められた軍閥の私兵と、わけも判らず朝鮮半島で戦った経験はどうだい。


人が人を殺すのは、悲劇だよな。

人が人から奪うのは、恐ろしいよな。

人が人を見下して勝ち誇るのは、醜くないか。




そーいうこと♪

そーいうこと♪♪♪


殺されずに殺したい。

奪われずに奪いたい。

見下して踏みにじりたい。


だから、さ。




平和が好きなんじゃない。

勝利が好きなのさ。

戦争が嫌いなんじゃない。

敗北が嫌いなのさ。


それが日本人の本音だ。

それは地球人の本能だ。


勝てばいいんだよ。



それこそ、我らが同朋。

ボクたち地球人、みんなトモダチ


―――――――――ようこそ、こちら側へ♪♪♪


《都区内総務省管轄平和祈念館展示室》






【国際連合統治軍第13集積地/除染場/シスターズの包囲下/青龍の貴族】


俺の雑学コレクション。


良い軍人は暇つぶしが巧い。

ほんとか?


どちらかといえば、サラリーマンの必須スキルだと思うのだが。

仕事しろって?


今は待つのが仕事です。

いやほんと。



右、魔女っ子。

背後、エルフっ子。

左、お嬢。


三人に半包囲され、背後に並ぶのがColorfulたち。


8人ともそわそわしている。

俺が微動だにしないからこそ、この子たちが<そわそわ>で済んでいるわけで。

だから俺、ぼんやりしていないふりをするべく、とてもとても重大なことを考えるふりをしている。




世の中には仕事熱心な人が多いものだ。

例えばついさっきも。



俺たちが除染場に来る途中、ほぼ通過してきた食堂。

どちらかといえば、その傍に在る糧食庫が目的だったのだが。


一番大きく、食料の種類がそろっている糧食庫は、食堂の近く。

利便性重視の配置。


現地調達食材も日本から持ち込んだ食材もそこに在る。

敢えて別倉庫に分けているけどね。

相互汚染を防ぐため。


そして食堂には厨房もあるし、製粉やパン焼きなど現地食材の加工半加工作業場も併設。




小型の緊急糧食倉庫は別。

駐屯地のあちこちに在るのだが。


まあ、今は関係ない。

今後も関係を持ちたくない。


王城に帰った後なら、和食補給のために手を出してもいいかもしれない。


いや、調理不要で開封するだけで温かくなるレーションは好きだけどね。

味も量も種類も十分ながら、緊急事態用の物資を使う事態にだけはなりたくない訳で。



それに糧食班の料理の方が上手いし。

多少飾り気がない質実剛健な感じはするので、遊び心が必要だとは思うが。


さらに王城料理人たちの料理の方が美味いし。

すっごく華麗で華美、現代日本人感覚からすればだけど、ちょっと緊張しますが。


だから魔女っ子料理が一番体に合って旨いのだ。

和洋食、単独から折衷まで取りそろえている様は日本の家庭料理を思わせる。



でまあ、お出掛けにあたり必要な食材をご所望なわけ。

魔女っ子が。


だからまあ、食堂近くに寄り道をしたのだが。




駐屯地自体が大きくないために、食堂は一か所。

隊員たちが集中する施設は複数に分けて作る、のが定石ではある。


一撃で壊滅しないように。

遠距離攻撃や破壊工作対策は基本です。

でした。


過去形。


もちろん、異世界で、誰に奇襲できるのかって話ではあるが。

もちろん、軍隊、ではなく自衛隊はそんなことは気にしない。


習慣である。

大きな建物を建てる前に神主とか呼んだりするじゃん。

そんな感じ。



だがまあ、形骸化するのは習慣の習い。

第13集積地ではダメージコントロールより、コストパフォーマンスを優先した。

だから食堂は一か所。


施設施工費に維持管理運営費用?


人類総出の侵略戦争だけに、経費って概念は無いけれど。

資材は武器の次に有り余ってるにしても、人手は少ない。

ユーラシア大陸相当の広大な敵地に、自衛隊+αの兵員数。


節約せつやく。



で、俺たちと食堂の関係。

ココ、除染場に来る前。



食材確保のために寄り道したからね。

今日はあくまでも、お出掛けであって出撃ではない。

お楽しみの為に、いろいろ調達した。


急な予定変更でなければ必要なかった。

基地の兵站担当に言えば、物資くらい事前に運んでもらえたんだが。

いや、今朝(30分くらい前)突然決めたからね。


エルフっ子を泣かせてしまったので、機嫌をとろうとすぐ決めた。

ので、交代前の夜間司令に連絡したら、すぐに許可は取れた。


そこまでは想定範囲。



この第13集積地において、俺たちは歓迎されているからね。

ここに駐留する国際連合統治軍が部隊が管理するのは異世界住民。


帝国が帝国の都合でかき集めた、まだまだ50万人以上残っている徴集領民。

俺たち地球人にとってどーでもいい、何の役にも立たない、かかわりのない方々。



それを直接管理するという、類例を見ない規模の作戦。


そんな厄介ごとを10万人単位で帰邦させるためにやってきた、俺たち。

単純管理に比べて一時的に作業量が増える、とはいえ、最終的には作戦全体が一気に進捗する。


そりゃ喜ぶ。

仕事が減るんだから。



作戦が進捗しないと、上の方に居る何処かの誰かがハンコを押してしまう。

極めてラクチンな方法で、人道にのっとり環境に配慮した方法を。


コレだけ事前準備してあれば軽い軽い。


適切な範囲に塩素ガスを撒くのはラクチン。

人道的拘束8時間実働7時間労働ですべての残務を解消可能。

ナパームによる広範囲焼却で環境への影響も最小限。


なのにやらされる方は楽しくない。

50万人ばかりの人間未認定者の(虐)殺処分。


俺たちが10万人ほど搬出を開始すれば、それは避けられる。

しばらくは。


そりゃ喜ぶ。

仕事が無くならないのだから。



だから特段のコネやゴリ押しがなくても、俺たちに最大限便宜を図ってくれる。

気持ちはよーくわかります。




だが、今日の俺たちは作戦調整中の間を利用した、余暇に過ぎない。

まあ現地代表の魔女っ子を接待している、という見方もあるが。


そんな俺たちの集積地自由行動に許可をくれただけではない。


部外者が、事前計画を提出しているとはいえ、作戦域で物見遊山。

哨戒や警備計画に変更や負担をかけたことは想像できる。


その上。

必要物資の提供のみならず、輸送積載配置までしてくれるとか。


申し出られてさすがに遠慮。

俺たちはなにぶん、居候。

三杯目をそっと出す。




日本的に。


いえいえ、こちらで取りに行きますよ。

いえいえいえ、此方で用意いたしますよ。

いえいえいえいえいえ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実に日本的である。


もちろん、世話になる方が遠慮合戦で競り勝つのも日本的。


そんなわけで、食堂に行ったのだが。

ちょっと悪かったかもしれない。


ギャラリーがたくさんいたからね。


夜勤の、とりわけ哨戒任務中の隊員たちに交代する為。

そして通常勤務前に、みんなで朝食をとる隊員たち。


すなわちギャラリー。



俺たち軍政部隊は完全武装で行進する。


銃剣を装着し弾倉を挿し初弾装填済みのM-14。

背に担いだM72LAWロケットランチャー。

各自弾倉も目いっぱい、手榴弾二発。


全員陸戦用プロテクターを装着しフェイスカバーも閉じている。

もちろん腕を開き銃口はやや下向き。

何時でも射撃できる態勢。




周りを行き来する、主に食事に来た待機任務中の駐屯地隊員たちは?


みなさん着崩した、とまでいかずとも軽くはおった戦闘服。

当たり前だが武装なんかしていない丸腰である。


各自の小火器、士官以外、整備時以外は収納庫なので。


それだけで違和感がヒドイ。

朝のくつろぎ台無し。

注目されるよね。



さらに目立つ子たちが居るし。


軍政部隊隊員の護衛隊形。

その間を行く異世界の少女、童女、幼女。


婦人自衛官制服のコスプレ(マメシバ印改造服)が肢体のラインを強調した、文字通り色とりどりな髪をなびかせるハーフエルフの美少女たち。

シンプルなフリルをあしらった割にシャープな印象の白いワンピースに黒革の長くゴツイ外套を羽織った、美女寄りのエルフ少女。

漆黒のドレスに深青のフリル全体でリボンを意識しているような、おそらく地球でいうゴスロリな、童女。


統一感があるのかないのか。


そして深紅の魔法使いローブを着込んだ幼女。

を、抱いている陸上自衛隊正服の士官、つまり俺。


うん。

目立つ。

なにかと思う。




今もそうだが、さっきまで食堂付近に集まった隊員たちの様子を見ればわかる。


幻想的。


そーいう意味では、統一感があるな。

もちろん、ここでも食堂でも駐屯地隊員たちの動作は同じ。


平静、冷静、何事もなかった。

ムリしてそのようにふるまっているので、余計に不自然で申し訳ありません。


失礼が無いようにすべし。

きっとそれは命令でもあるのだろう。

何が非礼にあたるかもわからんので、当たり障りなく。



他の地域から来た部隊、軍政官としてこの駐屯地司令官と同格扱いされる俺。


兵曹以下は俺に敬礼。

将校は目礼。


此処までは簡単。

自衛隊員なら誰でもできる儀礼の範囲。

問題はここから。


俺と同行している異世界の貴賓。


あからさまに目立っている、シスターズ&Colorful。

軍政部隊13名に対して、同行している子たちが8名。

どっちが同行してるんだってくらいの人数差。


ギャラリーのみなさんは無視こそしないが、見つめたり話題にしないようにふるまっておられます。

いや、この子たちは愛想がいいので微笑み返す隊員は多いが、すぐにかしこまる。




国際連合軍憲兵(UNMP)の腕章を付け、武装した兵士がそこかしこに居たからね。

俺たち軍政部隊程の重武装ではないが。


憲兵専用の対人装備。

ベレッタM9という米軍正式現用装備。

9×19mmの、とても撃ちやすい対人弾薬仕様。


小銃なら7.62mm

拳銃なら45口径(11.9mm)


国際連合関係の武装はそれが標準。


金属鎧を纏う騎士や兵士。

巨大生物、鎧皮生物、意志だけで攻撃を繰り出す魔法使い。


そんなモノを相手にする以上、一撃必殺大口径遠射程が求められるからだ。

だから無用な小口径弾兵器は本土に死蔵されているわけで。

そして何事にも例外はあるわけで。


人間を撃ちやすいように、すぐに撃てるように、即時発砲を命じられている。

その代表的な兵種が、憲兵。


国連軍の規模を考えるまでもなく、憲兵無しで部隊運用などしようがないのではあるが。


なお、自衛隊の警務科は関与していない。

何故かは知らないが、全員が本土残置。


防衛大臣直轄、つーか、実質、防衛省官僚指揮下ってところが嫌われたのかもしれない。

よって憲兵は軍政官のように改めて選抜訓練された連中ばかりだ。



で。

そんな人たちが配置され、往来する駐屯地の隊員たちを監視している。

皆さん緊張するわけで。


しかも更にその周り。

有志、という名の指揮系統不明な婦人自衛官が、俺たち軍政部隊以上に完全装備で監視中。


俺に向けてる剣呑な視線。

完全戦闘装備で狙撃銃を構えている。

時折その視線を、俺以外にも向けている。


うん。

大半が男であるギャラリーのみなさん。


好機の視線を向けることさえ控え、視線は正面下45度固定。

無理もないよね。


その場の空気を読んで、早々に俺たちは退散することにした。

厨房に興味津々だったシスターズ&Colorfulには気の毒したかな。



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