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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第八章「天獄に一番近いここ」

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基礎課程


【用語】


『思想』:世界認識。

「その生物には何が見えているのか」

ということ。


※類語「世界観」「自己同一性」



『右翼』:保守主義の一形態。

過去から現在を経て未来にいたる縦軸。

文化や価値観、利害関係からいたる横軸。

縦横両軸から自己規定する思想。


個々の好き嫌いより、縦横の連帯を優先する。

美醜問わず過去の否定を許さない。


仮に中二病を患ってバカッターで自滅したとしても、忘れず隠さず認識する。

いやーそれは無理だろ。


過去を僅かでもを否定すれば切腹不可避。

それは自分たちを自分たちで否定することになるのだから、失血死する前に精神的に死んでしまう。

その結果は往々にして社会に安定をもたらす。


善行悪行愚行に功徳。

自分にかかわりがあろうとなかろうと。

賛成しようと反対しようと。

共同責任は無限責任。


うん。

人間の限界を越えている。

不人気な理由はそのあたり。


「重荷を背負って一歩一歩階段を昇る俺カッコいい」

としか思えないマゾヒスト。


※類語「民族主義」「共和主義」




『左翼』:進歩主義の一形態。

過去とは「今、目の前にいる誰かの頭の中に在る物語」に過ぎない。

未来とは「今、この場で造られた計画」でしかない。

現在を最高到達点として自己規定する思想。


被害者の前に出してはいけないタイプ。

「次は失敗しません。安心してください」

と何度でもいうだろう。



頂点は常に一つ、ゆえに必然的な個人主義者。


ありとあらゆるしがらみを持ち得ないために、合理主義との親和性が高い。

ゆえに個々人のキャパシティを限界まで活用することが可能。


個々各々が自己以外を環境として認識する為に、独自独走(スタンドプレー)が結果として調和(ハーモニー)を創ることになる。


それが善いとも悪いとも言わないが。



その結果は往々にして社会に大きな変化をもたらす。

無数の人命を犠牲としながら月面に人を送り込んだり、無数の同胞を大量殺戮することもある。

戦争を起こせない仕組みを構築する一方で、多様な価値観を根絶することもしばしば。


遠くに置いておいて、成功した時だけお近づきになりたいタイプ。

それを許してくれるほどに、此方も何方も見てはくれないのだが。


「昨日よりこれだけしか悪くならない俺ってカッコいい」

としか思えないオプティミスト。


※類語「自由主義」「民主主義」




『ウヨク』:左翼思想のキメラ。

全力の現状肯定。

超絶の自己賛美。

今に注力するあまり、全力その場駆け足中終了未定状態。


一般社会から嫌われている。

へたり込んでもその場から決して動かないので、時々つまみ出される。


『サヨク』:右翼思想のフランケンシュタイン。

絶対的過去規準。

極限の懐古趣味。

過去以外をふり捨てているために、エスカレーターを逆走状態。


一般社会から嗤われている。

時々集団で(全共闘世代の様に)力尽きてエスカレーターに流される。



我らは民主主義を知らぬ。


それは悪いことではない

――――――――――救い難い阿呆ならば、そう言うだろうが。


そんな訳がない。


無知は恥であり、弱点だ。

手を伸ばしもせぬのに、葡萄の味を語る愚物愚物ばかりが鼻につく。




まず知るべし。


知ること自体が無駄だった、とあれば貴重な糧となろう。

無駄を得るほど、多くを得ることは出来ぬ。



知った上で捨てるもよし。

使える上でしまうもよし。

及ばずと諦めても、よし。






議会制度とは「内戦の制度化」だ。

目的は人命資産の乱費を防ぎ、国家の団結を維持すること。


選挙とは戦場である。

議会とは和平交渉である。


だから多数が勝つ

戦争と同じように。


だから多数が決めない。

内戦を防ぐために。





少数派は多数派に従え。

敗者は勝者に服従せよ。


よほどの馬鹿でないと考えつかないな。


こんな交渉を行えば、どんな仲介者でも匙を投げるわ。

最後の一兵まで戦わせて、内戦の後に何も残らんわ。



多数決という世迷いごとが通じるならば「49:51」で国策を定めねばならぬ。

それが国論の分裂であることは言うまでもない。


次の選挙で取り返せばいい?


正気ならそうは考えまいな。

その比率が固定化するならどうなる。


少なからぬ人々が国家と民族への帰属心を失う。

それは分離主義であり危険思想だ。


多数決原理とは国家への叛逆に他ならない。

組織、集団、国家、団体どこでも同じだ。



それが幼稚な心象から出ているのだから、何をか言わんや。

失うもの無き児童生徒の遊戯とは違う。


議事妨害だけではない。

広く何処の民主国家でも在る「3/2条項」は何故、あるのか。

我が党が与党時代、牛歩を始めとした野党の抵抗を許容したのはなぜか。


民主主義国家だからだ。

民主主義国家であり続けようとしたからだ。

国家と国民を分離主義者から守るためだ。


我が党が民主国家の政党である限り、それは変わらない。

議員は党員である以前に、立法府そのものなのだから。


けっして今野党だから言っておるわけではない。



それがどうにも、腑に落ちない。

それが我輩の同胞よ。





ゆえにこそ、民主制度が必要となれば往生する。



いずれ星一つの人間が、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええい、耳や背丈や毛並みなど、どうでもいいわ!!!!!!!!!!

其は人也!!!!!!!!!!

法務委員会を二つとも止められたいか??????????

36時間の演説なら容易いぞ!!!!!!!!!!

うちの若い者なら、議員か、だと?

議会で語るは議員のみに非ず、参考人でも喚問でも構わん。

なんなら我輩が喚問されよう。

与野党全会一致でな。


森羅万象永劫宇宙の始まりから終りの先までありとあらゆることに答えてくれようぞ。

我輩と他議員、先に絶えるは、我や彼らや?




――――――――――ふむ、よかろう。


異世界一つが日本となる。

いや、なった。


今、我らがおるのはその刹那じゃ。



いろいろな形をした異世界の(やから)

ほどなく日本語を話し、日本語を書き、日本語で考える。

そはすなわち「日本人になる」ということぞ。


戦争の終結とは内戦への転化であり、平和とは血を流さない内戦に他ならない。


ならばやるしかあるまい。

故にこそ、その前に日本人が民主主義を判らねばならぬ。

今日本人と化しゆく者共に、それを判らせるため。





判るに如かず。

解るわけが無かろうが!!!!!!!!!!

世代を経る時間があるのか??????????


四半世紀と定めたのは貴様だ。

同意したのは我輩だが。





多世界を、ただ維持するだけにすぎすとも、他に思案がないのだ。

日本人が今まで一度たりと見聞きしたことがない、それをだ。

同じ日本人になれば、血を流す内戦しかできん。


同胞が殺し合うことなど許さん。


プランAのほうがマシだ。

プランAにするくらいなら、付け焼刃でもまだマシだ。


国体護持の為ならば、あらゆる犠牲を甘受しよう。


是より。

民主主義を始めるぞ!


<<Back


《国際連合/安全保障理事会戦争計画グループ/信託統治理事会戦後処理グループ/聴聞会データ》






【国際連合統治軍第13集積地/射撃場/軍政部隊後方見学席/青龍の貴族】


そして俺の背後の砲陣地。

正体不明に備えているほう。


この駐屯地に備えられている、ボフォース57mm砲Mk 2は間違いなく敵味方不明な相手に備えている。

いや、味方以外に、か。



射程は20km弱、精密射撃なら10km弱、榴弾/徹甲弾使用。

龍が出てきても大丈夫。


10頭ぐらいなら?


いや、その前に、駐屯地沿いの海上には対人機雷が散布されているけどね。





有線固定式定置方式。

振動感知センサーと通信部に爆薬と信管だけの簡単構造。


陸上にばら撒かれている簡単地雷よりは、複雑。


無数の機雷が有線回線で送ってくる海上海中の振動データ。

それは24時間絶え間なく管理システム中枢で自動処理。


機雷の群体で把握している海上海中データと、機雷個々の振動データが矛盾すれば?


標的がそこにいるだろう。

その辺りの機雷だけが爆発する。


すべて管制システムからの指示で起爆するので、周辺機雷が巻き込まれたりはしない。


もちろん標的は液体の衝撃伝導率の高さを全身で味わうことになる。

圧死確定、全身の開口部からいろんなものをまき散らして死ねます。

人としてというより生物として失ってはいけない物を命と一緒にね。


陸上にばら撒かれている簡単無制御地雷よりは、高効率。



コストパフォーマンスで考えると、地雷も機雷も変わらないんだけどね。

機雷の起爆指示だって、自動システムの自動判定自動指令だから人件費いらず。


俺は事務職だから詳しいんだ。

絶対額と相対額に。


そんな財布に優しい機雷たち。

人に優しくはないそれが、眼前の大海原を埋め尽くしているんです。





見えないけど。


加工段階から低視認性塗装が施されているから仕方がないね。


別に光学迷彩とかじゃないです。

そんな財布に厳しいことはしない。


わざわざ有効射程内部に散布して、機雷で仕留めそこなったモノを後ろから掃射する親切設計。



陸上もおなじ。

射程より内側に地雷原を設け、地雷原に触れるまでがキル・ゾーン。

そこに味方以外が接近するまで、撃てるけど、撃たない。

自動であれ手動であれ、発砲動作自体が情報だから。


目撃者体験者は生かして返さない。

索敵情報が推測されるので威嚇も警告も無し。


初見殺し現実(リアル)リアル(現実)

全駐屯地共通仕様。




なお対竜地雷は無い。

対戦車地雷を使えなくもないが、意味がないので。


飛ぶから地雷に意味がない、ってわけではない。

土竜と呼ばれ地上を走る恐竜みたいのもいるからね。


亀みたいなのやらアルマジロっぽかったり、鎧のような外皮を纏っているものやら、やっぱり炎を吐くものまで。


在庫だけで言えば対戦車地雷は幾らでもあるけれど。

対人地雷で十分なんだこれが。



竜って生き物だからね。

生きとし生ける者、そはみなすなわち痛がり屋。


足元が炸裂したら、普通の生き物は逃げます。


大きくても鈍くは無くて、痛みをすぐ感じるから逃げます。

逃げる時は障害物がない方へ逃げます。


槍衾のような火器を山ほどもって、対装甲兵器標準装備な国連軍部隊に向かって暴走なんかするものか。

生物の神経伝達速度は電子信号と同じであり、回避本能はペットボトルを避ける犬猫くらいに標準なのだ。



恐竜は痛みに鈍感。

そんな見てきたような嘘が語られている時代もありました。

昔の人は、なぜそんなことを考えたのやら。


体に比して脳が小さいから処理能力が小さい。

まあ、コンピューターが電子計算機と呼ばれていた時代の素人には、そう思えたんだろうな。

体が大きいから伝達に時間がかかる。

まあ、電話が普及する以前の人にとっては、体感覚としての距離と時間は正比例するしね。


うん。

俗説って、単純な素人考えから生まれるんだね。






そんな異世界隔離線。

過去と現在じゃなくて、地球世界と異世界の。


自動殲滅兵器のコラボレーション。


最初は防疫上の理由で構築されたらしい、完全殲滅体制。

今もそれはあるけれど、対帝国って意味じゃウイルスなみに対処してやりすぎってことはない。


何らかの情報を得るためなら、なんだってやるだろうからね。

たった一人の生還報告者の為に、何百何千の兵士を棄て殺しにしているくらいだ。

帝国に産まれなくてよかった。




そしてここはそんな秘密の射撃場。

つまり海が苦手な帝国騎龍民族に覗かれたくない。

そんな場所。



俺たちは試射にかかる。

国際連合軍、作戦前の基本動作。



機械は壊れる。

壊れてなくても動作しない。

ましてや兵器は衝撃摩耗に自壊前提。


どんなに整備しても、どんなに手入れしても。

どんなに厳選しても、どんなに御祈りしても。


銃が間違いなく動作するなんて、考えるバカは戦場に行くな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、軍曹が言ってました。

訓練キャンプの。


だから戦場の前で確かめる。

兵器を完全な状態に近づけるために。


まあ、それでも。

ダメなときはダメ。

つまり?


神は言っておられる。

汝は今殺されるべきである。

と。

軍曹がカトリックだった件。

訓練キャンプの軍曹ね。



それでも試射しておけばほぼ大丈夫。

直後に故障するなんてほぼありえない。


だから、弾薬銃器予備部品が有り余ってる国連軍は、一通り必ずやるわけで。



太守領の俺たちはやってないけどね。

俺の任地、太守領。

その任務の性質上、異世界人の目に付かない場所に行かない。

あまり。



王城は太守領最大の人口密集地帯な太守府。

そのど真ん中。


いままで銃を使ったといえば?

現代知識があっても判りにくい、遠距離狙撃くらい?


あ、屋内城内で拳銃(M1911)をぶっ放したか。

初期メンバーのメイドさん執事さんに見られたな。


あんまり見られてないからセーフ。

目撃者も拉致されてないしね。


帝国の密偵に気が付かれてないんだろ。

どっかにいるんだろうけど、数は多くないと見た。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・港街でM-14使わせたな。


うん。

大丈夫大丈夫。

周りは盗賊ギルドの愚連隊とかばっかりだったし。

友好的な頭目の子飼いの子分ばかりだったし。


戦闘使用は仕方がない。

すぐに終わるし、近くでじっくり動作を確認されるのとはわけが違う。

だから俺たち軍政部隊は、作戦前の試射が出来ない。

出来にくい。


実弾も空包も使わず、空撃ちで機関部の動作確認をするだけ。

さすがに戦闘前提の時には撃っていたが。


野盗殲滅に難民捕獲など、最初から戦闘前提の時。

佐藤に芝が移動中に撃っていた。

周りに住民がいないことを確認してから、だけれども。


普段は戦闘を許容しても、前提にはしていないから撃たない訳。


不安だなぁ

――――――――――改めて考えると。



子供連れで、お出掛けするのに銃の動作確認が必要な時代。

昨年末まではこんなことはなかった。


町内会の旅行にかこつけて、爺婆ガキどもを連れ歩いたときは財布の心配だけだったのに。

爺婆にガキどもを押し付ければ手も抜けたし、「イブにこんなの無い!」って大騒ぎするガキどもも天気が良ければ「野外パーティー」と言いくるめて誤魔化せた。


まだ半年もたってないけれど、嫌な時代になったもんだ。



つまり俺たちは、怯えているわけ。

地球人に出来ることは、異世界人にもできるに決まっている。



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