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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第八章「天獄に一番近いここ」

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313/1003

自家撞着

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)




【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿/たいちょー》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子/エルフっ娘》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/魔女っ娘/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。



“I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it”


和訳:私は君の言葉を認められない。しかし私は君がそれを言う権利を最期まで尊重する。

誤訳:私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る。


※原文に命がけという意味は全くない

※もちろんヴォルテールさんは健康に気を使い84歳の天寿を全うされた



冒頭の一文。

もちろん英語。

英国風(Queen’s)ではなく、新大陸風味。

ヴォルテールさんはフランス人で、大西洋を渡ったりはしないけれど。

ドーバー海峡はわたった。

二年間くらい。



故にこそ、その一文。

ペンネーム「ヴォルテール」さんことフランソワ=マリー・アルエ(1694~1778)さんの名言

・・・・・・・・・・・・・・・ではなく、

1906年刊行"The Friends of Voltaire"、女流伝記作家でヴォルテールマニアのS・G・タレンタイアさんのお言葉。


原型になるような発言文章エピソード、何一つ由来がないなんて言うのは野暮だよね。


なりきりファンの二次創作。

二世紀以上後の時代に熱心なファンがいたモノだ。

なにしろ本人と向き合わなくていいから。



なおヴォルテール先生直接の名言としては以下の通り。


「イスラエルの包皮なしの野郎ども(ユダヤ民族の割礼は差別の象徴だった)は、かつて地球の表面を汚した乞食どものなかで最悪の乞食」

「ユダヤ人は地上でもっとも憎むべき民であえり、もっとも無知で野蛮、もっとも忌まわしい迷信にもっとも悪辣な吝嗇を混ぜ合せたやつら」

あ、あと、当時の国家要人に対して「ユダヤ人は生来の売国奴です」と長い長い名調子で手紙を送っています。


とりあえずヴォルテールさん(職業:ヘイトスピーカー)の名言の後には「ただしユダヤ人は除く」と付け加えると正しく意訳できます。



黄色人種と出会っていなかったヴォルテール先生。

テンションが同じ人なら「名誉白人」にしてもらえたかもね。

ソレはラッキーアンラッキー?



そりゃ、投獄されるわ。

そりゃ、国に居られなくなるわ。

そりゃ、親しくした相手とけんか別れするわ。

※親しくないファンは大勢いる。



「私の発言の自由を貴方の命を懸けてまもれ」

とは、ヴォルテール先生になり切って書いてみたファンアート。








【国際連合統治軍第13集積地//ゲストハウス/正面出入り口扉前/青龍の貴族】


俺は深呼吸したいのを我慢。


異世界の空気は悪くない。

だがしかし、将校が弛緩して見せるのは都合が悪い。

兵の前でだけは避けるようにと教えられている。

曹長に叱られる。

無言で。


黙って叱るのはすごいですよ?



まあさすがに、兵の前以外は許されるみたいで無言で叱られません。

あ、好きにしていいんですね、と曹長に教えてもらえます。

無言で。


黙って以下略。



というか、兵の前以外だと子供の前になるんですが。

もっと弛緩できないんですが。

どうしてこうなった。

俺のせいか。





春風。

東風。

海風。


温かくなる陸側では上昇気流。

大気圧が下がって空気を引き込む。

冷えたままの海側では大気圧が高いまま。

空気は低きに流れて風となる。


物理法則は世界を越えても元気です。



いやいやいや。

それでも観測ブイをばら撒いて哨戒気球の定点観測大気数値を確認している学者諸氏を否定するわけではない。

そもそも魔法がある世界。

重力に堪えようがない巨大生物が闊歩して、ましてや飛行している世界。


ほんの少しの何かの違い。

それが見つかるのかもしれない。

千年くらいたてば。


第一次千か年計画とか言う研究作戦名はどうかと思うが。




では、叱られないように。

俺は宿舎を出る。

ゆっくりと。


俺に注目するのは兵士たち。


陸上自衛隊普通科隊員。

すなわち国際連合統治軍歩兵。



普段は指揮官を見るのではなくて、指揮官が見るんだけどね。

兵が見るべきは敵と敵の可能性が有る相手、すなわち味方以外全部。


指揮御管制システムが発達した今、合図すら視覚では送らない。

イヤフォンマイクの信号音。


兵が指揮官を見るのは最初と最期。


最期はあれだよ。

部隊か兵士が死ぬるとき。

指揮官は一番後で死ぬのでね。



そしてこれから最初というわけで。



敵地では警戒隊形からスタート。

集合から行軍まで、全周警戒のバリエーションでこなす。

軍政地域は敵地です。

言うまでもなく。


普通なら任地に飛び立つ前。

ヘリに乗る前くらいには閲兵しておくのだが。


俺にはそんな時間は無かった。

時間を与えないように、と三佐が仕掛けてきたからだ。


俺や隊員の体調や、過去から今から未来までの天候不順や、銃器弾薬関係装備の積載不足や各種可能性などなど、ネタにしようと思えばいろいろあったのに。



訓練キャンプを出てそのままチヌークに放り込まれたからな。

三佐に直接食い下がったのは、軽いジャブのつもりだったのに。

それだけでロスタイムを使い潰されるなんて。


おかげで今日。

はじめての閲兵と来たもんだ。

今更感が半端ない。



「休め!」


曹長の声が海風に乗って響く。


兵は右手にM-14を持つ。

銃身は体に沿い、銃口は空に向かって銃床は大地を突く。

実に結構。


カッコいいなあ、兵隊さん。

自衛隊の礼装はアレだが、戦闘装備はカッコいい。

作業服装、いわゆる一つの戦闘服。

その上にプロテクター。


兵隊と言えばコレ。


さて、閲兵だ。

シスターズ&Colorfulは宿舎入口待機。

閲兵だからね、仕方ないね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃない。


俺は眼招き。

本日の主役。




【聖都南端/青龍の軍営/青龍幕舎出入り口/青龍の貴族の後ろの後ろ/魔女っ娘】


わたしは左右を見回しました。


背後も確かめます。

Colorfulさんたちが、視線で否定されています。

ということは、やっぱり、ですよね。



ねえ様、ご主人様がお呼びです。


いかがされました?

違いますか???

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちい姉さま、ご主人様が

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


わたしの左右にこられても、申し訳ありません、ご主人様。

ねえ様、ちい姉さま、Colorfulのみな

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!



わわわわたしでです??????????




【国際連合統治軍第13集積地/ゲストハウス前/軍政部隊指揮位置/青龍の貴族】


俺の前に連行された魔女っ子。

両サイドを義姉妹に抑えられ、あわあわ。


思わず隊員たちもニッコリ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかけて、凍りつく。


曹長、こわ~い。

兵を怯えさせてどうするよ。



なお、閲兵中の隊員たちはフェイスカバーを開けたまま。

表情が良く見えます。


礼儀というレベルの話ではない。

指揮官に把握させるためだ。


何を?

戦力を。


肉体精神の状態、それは兵士の基本。

顔を見れば、概ね判る。


それを把握するのが、下っ端の士官、三尉クラス最初の役目。


確認だけだけどね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下士官が兵士の維持調整をして、士官はそれを確認する。



え?

俺(士官)が兵を確認するんじゃないのか、って?


出来ればいいんだけどねぇ。


戦場初体験の士官(俺だけじゃないよ?)になにを求めるのは素人さんだけ。


ご期待ありがとう!

ご評価ありがとう!

出来ません。

ごめんなさい。



もちろん軍事参謀委員会は何も期待したりしない。

誰にも何にも自分たちにも。


期待と希望は戦野の梅毒。


あの常時戦場な米軍ですら、士官の士官たるを期待しない。

消耗が激しすぎて、質の維持に手が回らないだけか。


ましてや非軍隊においてや。



よって明確明瞭に、命じられている。

序列を傷つけないように。


非実戦経験者(自衛官)は下士官と士官、併せてやっと二人前。


まあ他の部隊の士官は、俺よりマシだと思うがね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だといいな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の負担を押しつけられるくらいには。


という訳で、俺は曹長の報告に頷いた。




【聖都南端/青龍の軍営/青龍幕舎出入り口/青龍の貴族の後ろの後ろ/お嬢】


わたくしはドキドキハラハラしておりました。


あの娘がせめて、固まったままでおられますように。

あの娘がせめて、此方を見たりいたしませんように。

あの娘がせめて、此処で粗相をいたしませんように。


この日が来ると知っていたら、無理やり園遊会に連れ出していたものを!


慣れてしまえば、大したことではないのに。

慣れる機会が少ないから、大したことのように見えてしまうの。

慣れさせることができたのは、わたくしだけなのに。




あの娘が妬ましいとは申しません。

絶対に、申しません。


ご領主様に求められているのですから。

しかも、青龍の騎士さま方の前で。



これって、やっぱり、ご領主様の女としての序列で

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・羨ましい。


でもでもでも。

だからこそ。

ここでは。


あの娘が失敗してしまったら、立ち直れません。





【国際連合統治軍第13集積地/ゲストハウス前/軍政部隊指揮位置/青龍の貴族】


閲兵なんぞいつぶりだ?


俺も覚えていない。

前あった、のは覚えてるが漠然と。





あれは異世界転移前。

近所のガキどもを適当にあしらったら、駐屯地まで押しかけられた。

集団で。

今度遊んでやると空手形を切ったのは2~3人なのに。

なんてやつらだ。


パパに会いに来た、などとゲートで申告される非常事態。


もちろん俺に中学高校生の子供なんかいるわけがない。

そんなことは一目瞭然、誰もそんな事を思うわけがない。


だから鼻で笑っていたのだが、名目上の上司に深刻な顔で呼び出される羽目に。


不祥事がどうとか。

ニュースがどうとか。

退官後の天下り先がどうとか。


この間うちの孫に会っていたよね、とか。

あんたが駐屯地に連れてきたんだろーが。

その面倒を皆に俺が押し付けられたのだが。


何をどう考えられたのやら。


俺はその場で方針転換。

駐屯地見学ツアーを即時設定して遊んでやったことにした。


もちろん、上官が協力してくれたのは言うまでもない。

もちろん、上官に部下を信頼する大切さを体験させてあげたのも言うまでもない。


おじいちゃんが孫娘のいん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不適切な関係について疑ってるよ、とメッセージを送っておいたのだ。


後日、背中煤けてしまった名前だけの上官。

復旧作業が大変でした。







で、閲兵だが。

ガキどもをあしらっている当時、ちょうどうちの連隊が観閲式の練習中。

中隊そろい踏みのところを見せてあげた。


いや、カッコイイよね。

とおもってたんだけどね。


怖がられた。

女の子受けは良くなかったです。

背中に隠れられたし。




兵士の群れっていうのは、女の子から見て怖いものらしい。


俺もそれっぽいジャンルなのだが。

怖くないですかそうですか。


そんなことを思いだしていると、今、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チョイス、間違えたか。




俺はふと、目の前の魔女っ子を確認。

たいへん柔らかいが、非常に固まっています。

どこもかしこもフワフワカチンコチン。


いやほんと。


背後のシスターズ&Colorfulを見る。


うん。

やっぱり、閲兵なんか、やるんじゃなかったかな。

物理法則と女の子の反応は多世界共通な気がしてきた。


今までやってこなかったしね。




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