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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第八章「天獄に一番近いここ」

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換骨奪胎

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします



本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。

他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。


文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。

よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。


・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。

・【語る人間の居場所/誰視点】とします。

・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。

・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。


以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/三人称】


地球側呼称《神父》

現地側呼称《道化》

?歳/男性

:合衆国海兵隊少尉。国連軍軍政監察官。カトリック神父で解放の神学を奉じる異端寄り聖職者。野戦戦闘服か制服にサングラス。ときどき咥えるコーンパイプや葉巻はネタ。異世界住民に接触する国連軍関係者は、地球産化学物質の影響を与えないために皆非喫煙者


地球側呼称《坊さん/係長》

現地側呼称《僧侶》

?歳/男性

:国際連合出向中地方公務員。得度した僧侶。浄土真宗らしい。軍政司令部文官。


地球側呼称《マッチョ爺さん/インドネシアの老人》

現地側呼称《副長/黒副/おじいさん》

?歳/男性

:インドネシア国家戦略予備軍特務軍曹。国際連合軍少尉。国際連合軍独立教導旅団副長。真面目で善良で人類愛と正義感に満ち満ちた高潔な老人。



アレは、放置しておいてよろしいのですか?


〈異世界不干渉規定は『個人的で特殊な意見』の表明を禁止しないかと〉


港街の富裕層では、少女の自炊ブームが起きていますよ。

誰が支配権を握るのか見ものですね。


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今のところは、ですが〉


黒旗団の調練では「戦闘前の熱い食事」が推奨されているので、盗賊ギルドの愚連隊にも浸透中。

戦野で焼き立てブレッド(Bread)ってわけにはいきませんから、オートミール(oatmeal)

全く、現実的ですね。


〈今のところは、ですか〉


兵站線を握ることで、指揮権を掌握する。

兵站線を構築することで、自主権を維持する。


〈インドネシア解放戦争ドクトリン、あるいは郷土(Tentara ) 防衛(Pembela)義勇軍(Tanah Air)の思想〉


大日本帝国陸軍、その正当な後継者。

さてもさても、皮肉なものですね。


ま、アジアの軍隊でその血を引いていないのはフィリピンぐらいでしょうが。


〈特異な思想も正しかった、と〉


つまり恋愛総統閣下のエキセントリックかつクレイジーなリアリズムは否定できませんな?


『女が在日米軍』

『男が自衛隊』

というわけで。


〈弾薬ですか〉


主に。


〈自衛隊はどれだけの弾薬を保有していますか〉


議会で何度も話題になっておりますが?

ご存じない?


〈国民はご存じありませんね〉


大本営発表よりは正直で。


〈――――――――――十分な量はありません。

具体的な数は安全保障上の理由によりお答えしかねます――――――――――


・・・・・・・・・・・・・・・とかなんとか〉



十分にあるなら、隠す意味はありませんからね。

むしろ誇示して抑止力にするならわかりますが。


〈これが前世紀から変わらぬ歴代政府の公式見解です〉


実はデタラメでした、って言いださないかぎりは。

内実を見聞きできる身には、心苦しくてなりません。


〈不足していると〉


不足、ふそく、ふ・そ・く、さて?



「100点ではありません」

というのなら

――――――――――99点でしょうか?


70点?

もしかしたら0点かも?


議会からの質問を、防衛庁から防衛省まで毎回はぐらかしてる理由。

その理由をご覧になりたい?


いまも列島には在りますからね。


眼が良い人には、決して見えない。

心の目にしか映らない。


それは何と言いましょう?


〈まさに防衛機密ですか〉


財布の中身を隠すのは貧乏人の特徴といいますね。


〈財布の中身を偽るのはどういうものですか〉


無一文。


〈話題にはならないようですが〉


時々、国防長官が警告していましたが。

まあ、やり過ぎじゃないか、ってね。


でも、隠ぺいはしていませんよ?


質問、答弁、質問趣意書、答弁書

――――――――――誰にでも見えるが、誰も見ない。


予算は公知の事実。

弾薬の値段も判る。

誰でも計算できる。


眼が有る者には、決して見えません。



日本に敵する国があれば、こういうでしょう。


「そんなことはありえない。旧帝国陸海軍の様に予算を別名目で分散して秘匿しているに違いない。意図は判らない。だが、辻褄はあう」


と。



〈ならば安心ですか〉


まあ、米軍としては。

合衆国が何をどう思うのか、知りませんが。


〈核武装より恐ろしい、ですか〉


核なんぞファンタジーですよ。

痴人の夢。


その証拠に、探しても探しても見つかったためしがない。

大量破壊兵器を探すことにかけて、我々より経験を積んでいる軍隊は無いでしょう。

その意味について思い知っている者も。


核兵器ごときで何人死にました?

国を滅ぼした化学兵器がありますか?

歴史を変えた生物兵器がありえますかね?


〈大量破壊兵器の「破壊」は、いつまでたっても可能性〉


知ってるつもりの素人は厄介なもので。


恐れるべきは銃弾だとわからない。

人間を最も殺し、国家存亡を操り、歴史を引きずり回す。



日本の核武装を気にする国なんかありません。

日本人だけが気にするように、仕立てています。


パペットの皆さまが、一喜一憂する。

それでよし。


〈目の前に投げ出すのは隠蔽の基本ですね〉


決して馬鹿にしているわけじゃありません。

むしろ、恐ろしくてたまらない、のですよ。


弾薬を持たないこと。

弾薬を持とうとすること。

知られてはいけないこと。


知られてしまったら、自前で戦争されちゃうじゃないですか?


〈カトリック的にそうお考えで〉


浄土真宗的にはどうですか。


〈これまでは〉


これからは。


《国際連合軍事参謀委員会参謀の一人が個人的に所蔵していた傍受記録》






【聖都南端/青龍の軍営/青龍幕舎/青龍の貴族背後/エルフっ娘】


あたしは内心で頭を抱えていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの娘の作ってくれた朝食が、喉を通らなかったくらい。


そんな様子を見て取り、あたし気を利かせた、あの娘。

具だくさんに仕立て直したスープを勧めてくれた。

かろうじて、お腹は満たせたけれど。


とにかく空腹は避ける、という習慣に従った動作。

――――――――――情けない。


あの娘を守る、それが、あたし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメじゃない。


それもこれも、彼、青龍の貴族が悪い。



一方的に弄ばれいるところを!!!!!!!!!!

みんなに見られていた!!!!!!!!!!

外で!!!!!!!!!!



二人っきりなら、なにもかも委ねるのに――――――――――


――――――――――せめて――――――――

――――――――青龍の女騎士に見届けられるだけなら――――――――


――――――――――我慢できる。



なのに、なのに、なのに!!!!!!!!!!

二人に見られてるなんて!!!!!!!!!!

結局、結局、あしらわれて、あそばれただけだし!!!!!!!!!!


あたしはなんで

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――外なんておかしいと思わなかったの??????????



使い魔が空を飛び交う青龍の世界。

そこかしこに行き交う青龍の目と耳。


ただでさえ、好奇心が強くて、観察する手間を惜しまない彼ら(青龍)

戦と関係がないところまで、視て聴いて尋ねる彼ら(青龍)


あたしたちを見ているのが、あたしたちの守りに付けられた青龍の女騎士たち、なだけ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――なわけがない。



メンゲレ卿だって湯殿の中で見届けようとしていた。

暑そうにしながら、苦痛を忍んで、あたしたちと青龍の貴族、その交わりを。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一番初めの妹分が、失神して中断してしまったけれど。


屋根も壁も天幕もない、そんなところではありえないのよ!!!



彼、青龍の貴族が

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたしの、自分の女の肌を、男の目に晒すわけないじゃない。


実際、さっきだって服の上からだったし。


青龍の貴族、その側以外、気を抜くな。

――――――――――時々、命じられている通り。


なのになのになのに????

周りが目に入らなくなるなんて!!!

そんなんだから玩ばれるのよね??????



ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかあたしのばか!!!!!!





【国際連合統治軍第13集積地//ゲストハウス/卓袱台の前/青龍の貴族】


俺は背後のエルフっ子、その耳の動きを背に感じながら余韻を楽しむ。


いや、真っ赤になったエルフっ子の余韻ではない。

ましてやペタンと伏せられた長い耳の味わい深い動作を反芻していたのでもない。


食事の余韻だ。

美味しいお茶で味覚をリセットするからこそ、思いだせる。


異世界の素材を豊富に使った今朝の食事

あれはまさに和食だった。


要は、異世界産物の解析は着実に進んでいる。

統治する気も、税収を得る気も、略奪する気すらないのにね。


それでも異世界は未知ばかり。

それでもなお、可能なものは現地補給へシフト中。


十万を超える軍隊が完全に異世界大陸で生活しているのだ。


消費財。

主に飲食物は基本的に帝国の備蓄から、分捕り品。

敵の奢りで侵略中。



中でも俺たち、世にも珍しい小規模軍政部隊。

その異世界人口過密地帯内の極小拠点。


類例が今となっては、十指に満たない俺たち。


食料だけでなく食事も現地調達体制。

誰にも命じられず、誰にも命じていないのに、なぜか。

いや、料理が自然に三食以上出てくるからね。


一応、ってこともなく、俺の部隊の連中は一通り料理ぐらいできる。


僅かに増強一個分隊。

長期独立作戦を前提としているからと言って、糧食班を随伴したりはしない。

だからまあ、当初予定では自炊前提だったのだが。


その機会はなかった。

占領初日からお城一個分の作業員が手に入ったしね。


再雇用に応じたのは最盛期の七割くらいらしいが、執事長にメイド長や厨房関係者が初日にそろったのは大きい。


人が集まれば必要なのは、管理職と食事担当。

それが俺たち占領軍にもそのまま提供された。


司令官以下全員分、そのまま頂いておりました。

毒味もせずに。


その辺りは司令官の裁量だ。




【聖都南端/青龍の軍営/青龍幕舎/青龍の貴族左側/魔女っ娘】


わたしには、わかりました。


ねえ様と産まれたときから、一緒でしたから。

見守られていたのですが、わたしもずっとみていました。

だって、わたしの見本が、ねえ様でしたから。


だから、今、ねえ様がなにをされているかわかります。

――――――――――拗ねてしまわれました。


一見すると、悔しがっているようにも見えます。

ご主人様に心も肢体も追い詰められ、期待させられて。



いつもの、わたしたち、いつもの、こと

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・慣れるわけもありません。



ご主人様は、いじわるです。

だから、ねえ様は、ご主人様の背中で拗ねてます。


ご主人様は知らんぷり

――――――――――に、みせかけて、また。


様子を見て、また愉しまれるおつもり。


ヒドいです。

妬ましいです。

羨ましいです。



いじわるされるだけじゃ、困ります。

でも、いじわるされる、ねえ様が羨ましいです。


お伝えしたい。

でも。

知られてしまったら、死んじゃう。





【国際連合統治軍第13集積地//ゲストハウス/卓袱台の前/青龍の貴族】


俺たちの場合、現地調達っても現地購入してるだけだけどね。


日々の糧、買うまでもない倉庫街いっぱいの略奪、いや、接収品。

帝国の資産、わざわざ穀物その他を持ち出したりしない。


接収資産を預けている参事会。

非日本列島備蓄物質を管理運用しながら、日々消費される俺たちの糧を城に納める。


いちいち蔵から出し入れしたら、手間の方が高く付く

――――――――――曰わく、坊さん。

だから正しいのだろう。



決済は参事会の専用帳簿の上で、上下左右に数字が動いて書き足される。

現物は太守府や街々村々の商人たちの手持ちから。


減った在庫は彼らに売る、彼らから買う商人が相殺する。

これまた誰も指示していない。


手順自体は、商人の日常で難しいことは何もない。

俺たち国際連合側はノータッチ。


坊さんが言うんだから、確かだ。

俺の記憶だけなら、気が付かないうちに指示命令していた可能性があるが。

もちろん俺は呆けたりはしていない。


魔法翻訳のオーバーコミュニケーション。

ちょっとした一言が、命令に聴こえたりする。

一言どころか、頷く、見る、立ち去る、それだけで

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔法、関係なくね??????????



それが一番、もっとも、最大限発揮されるのが俺。

と坊さんが言うんだから正しいのだろう

――――――――――何故だ。



かくして知らないうちに購入された食料。

それは城内の備蓄も併せて、品質管理だけしてる

――――――――――主に参事会が。




参事会といっても、一枚岩じゃない。

主要五家が手分けして、交代して、必ず複数の家の人間に王城職員(奉公人)の混成体制。


まあ、あれだね。

俺、いやいやいや、俺たちは怖い、いやいやいやいや、怖がられてるからね。


責任分担共同責任相互監視のトリプルチェック。

一番数が少ない王城職員は、坊さんに報告し決済を受ける。

参事会関係者はそれぞれの氏族経由で五大家当主、そして俺に報告。


自然発生した管理体制

――――――――――なぜだ。



俺に言われても、困らないが、何も出来ない。



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