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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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261/1003

煉獄/Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate.

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。


【登場人物/三人称】


地球側呼称《神父》

現地側呼称《道化》

?歳/男性

:合衆国海兵隊少尉。国連軍軍政監察官。カトリック神父で解放の神学を奉じる異端寄り聖職者。野戦戦闘服か制服にサングラス。


地球側呼称《曹長》

現地側呼称《騎士長》

?歳/男性

:国際連合軍/陸上自衛隊曹長。軍政部隊の指揮担当。



地球側呼称《坊さん/係長》

現地側呼称《僧侶》

?歳/男性

:軍政司令部文官。国際連合出向中地方公務員。得度した浄土真宗僧侶。軍政部隊の政務担当。


『佐藤』『芝』

:主人公『俺』の部下。選抜歩兵(物語世界での選抜射手)であり、異世界転移後の実戦経験者。軍政部隊戦闘担当。


【用語】


『安全保障理事会』:国連実質的決定機関。。


『常任理事国』:合衆国(米)、連合王国(英)、第五共和制(仏)、共和国(露)、統一中華連邦(中台合併)、日本。




植民地時代。


インド人のことを考えた英国人など一人もいない。

アフリカ諸族も、アラブ人も、ペルシャ人も、ミャンマーチャイナ中央アジア諸族。



皆、同じだ。



混乱し腐敗した支配者から解放した?

統制された恐怖で隷属させた。


鉄道を造り工場を建て近代化した?

職人の腕を落とし農民を土地から追い立てて奴隷労働を強いた。


無知と迷信から解放して文明の光で照らし出した?

文化と思想を破壊して魂を汚し人形を作った。


他にも側面があったかもしれんな。

だから?



植民地支配は悪いことばかりじゃなかった。


合法的だった。

開放してやった。

資本を与えてやった。


あれやこれやそれやどれや。

だから?



日本人にしては哀れな連中と、並べてくれるな怖気が走る。


タマ斬り宦官とゲイを一緒にするな。

褒めて褒めてと啼いて咽び、せいぜい内輪で嗤ってろ。



英国は正しさなど求めない。

女王陛下は強いのであって、正義ではない。

大英帝国は偉大なのであって、高貴ではない。



ああそれか。

日本人とは思えないような、英国以外にはいくらかいそうな負け犬が吠えてる、あれか。



英国のマネをして、殺して犯して奪ったのに、なんで英国に責められる?



ああ、諸君。

日本人の寛容さには頭が下がりそうになる。

パリの汚水溜めの泡を吹くような同胞を、なんで生かしておけるのか。



英国には恨みがある。

日本への恨みがある。


当たり前だろ愚か者。


第二次世界大戦。

貴殿らの先祖は何をした。

貴殿らはそれを顧みていない。


いっこうに気づきすらしない。



植民地解放と抜かしたんだぞ!!!!!!!!!



骨肉相食む国際社会の裏路地に、馬鹿と滓と塵しかいない鉄火場に、蹴りだされてきたお坊ちゃんを鍛えてやったのは誰だ。


盗み方を。

奪い方を。

殺し方を。


鍵をこじ開け騙して誤魔化し脅して裏切り借りて逃げる。


一人前に仕立ててやった。

自慢の弟分。


背中から撃たれるなら、まあいい。

怒るが恨むが、良くはないが、生きてりゃいつか、赦せないが、まあいい。


これからも一緒に仲良く中国をバラそう。

そんなコナかけりゃ、馬鹿にされるのは、仕方がないとは思わないが、まあいい。



だがな。



言うにこと欠いてそれか!

十字軍気取りか!!!

オマエ聖者か!!!


赦されるわけないだろう!


JUSTICEじゃない!!!!

JINGIの問題だ!!!!!



<グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の宰相による証言>


※宰相はブルドック似の外見と異なりスノッブではなく、コックニー

※同席した合衆国大統領は

「先に唾をつけたのに横取りするからよ」

と聴こえる様につぶやいて怒鳴り合いに発展。

※同席したフランス第五共和国大統領とロシア共和国大統領は

「「下品な日本帝国と日本を一緒にして欲しくないわね」」

と雑談

※中華連邦国連全権大使は寄宿先の衆議員議員にメモ書きで密談

『蘭?』

『徳川滅不理解』

『300友誼?』

『幕引配慮』

『無/裏切』

『怒×失望○』

『明治友無』

『故包囲逆切』

『自爆』

『自滅』

『心中』

『売民』



《国際連合安全保障理事会:戦後処理分科会/聴聞会記録より》





【大陸北東部/「聖都」南方/内陸側へ向かう白骨街道】


あたしは途中で着替えて、竜に載った。

竜、らんどくるーざーは、機嫌が良さそうなうなり声をあげている。


コイツは喋らない、かな?

文字通り、竜なのね。


大声で青龍の騎士たちに呼びかける、ちぬーくとは違うみたい。


ちぬーくは龍だけに、喋るだけじゃなくて指揮をとったりもする。

青龍の貴族に対してだけは、お伺いを立てるけれど。

でも、対等にも近い感じ。


知性があって、話す龍。

青龍の中では、対等な序列に組み込まれている。


竜が道具。

ってところまでは帝国と同じ。


龍。

それは、あたしたちにとっては御伽噺。


青龍とはどういう関わり方だったのかしら?

最初から一緒に暮らしていたの?

途中から共に生き始めたの?


興味が尽きないけれど、面と向かって聞くのははばかりがある。

御伽噺に過ぎないのに、あたしたちを越えたなにかと感じるから。



ん?

その時、あたしの意識が引っ張られた。

ほんとうは、あたしの集中をかき乱すような刺激ではないのだけれど。


集中を乱すことは危険なこと。


常に戦っている青龍はそう考える。

そう考えるから、そうならないように考える。

だから、仕組みのせいじゃない。


あたしのせい。


耳元で魔法の気配。

声を出す魔法具はいくつも知っているけれど。

魔法具から音が出るんじゃなくて、耳の奥に響いてくるのは青龍の魔法だけ。

音の種類で、誰からの呼びかけかわかる。

だから、引っ張られた。


「貴女の男?」


逆よ逆、っとわざわざ言うまでもないわね。

メンゲレ卿はワザと言ってるだろうし。


あたしは彼から貰った耳飾りをつつく。

危険なときは勝手に声が響いてくるみたいだけれど、まだ一度もない。

一方的につながってもいいんだけどね。

ちょっと、大分、不満。


彼、青龍の貴族の声が響く。

期待を抑えるのが、たいへん。


『おはよう』


いつもの挨拶。

でも、ゾクゾクっとした。


彼、青龍の貴族、その声が耳の奥で響くんだもの。

あたしがこうなったのは、いつからかしら。


挨拶は儀礼。

彼は誰にでもそれをする。


兵の調子を確認するなら、当然それが一番。

答礼で声と動作を確認できるから。


ソレだけで必要なことは判る。

兵を指揮することに、人を使役することになれていれば。


「おはよ」



あたしも自然に答えた。


取り繕えば邪魔になる。

邪魔になれば無視される。


それは恐ろしいこと。

でも起こりえないこと。


邪魔にならないことが一番だけど。

あたしが気がつかない変調を、彼、青龍の貴族が気がつくかもしれない。

それは、あたしを、そしてあ、あの娘たちを守るわ。


そして?


彼は何も言わない。


説明される側。

伝えられる側。

報告される側。


あたしが慌てて、言い添える。


「メンゲレ卿の誘いで、ジゴクめぐり」


あたしが何処にいて、誰といるのか。

当然、彼にはわかっている。


使い魔で、視てくれてるかしら?

それなら嬉しいんだけどな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?


「朝ご飯までに戻るわ」


あたしは、眼を凝らす。

らんどくるーざーからは、空も大地もよく見える。


あの娘たちほど、掴まれていない、心配されていない、って自覚はあるのだけど。

あたしは、その力を信頼されているから。


それはとても嬉しい。

だからとっても寂しい。


あ、やっぱり、真上に

――――――――――旋回する使い魔。


もちろん、彼、青龍の貴族、が差し向けたとは限らない。


何かが在れば、使い魔を飛ばす。

それが青龍の流儀。


あれはメンゲレ卿や、この土地の領主の使い魔かも。


まあ、いいわ

――――――――――あたしを見てると思えばいい。



気にされてる、って想うわよ。


実際、気にして貰ってるし。

どんな気にされ方なのか、それはわからないけれど。

でも、間違いない。


でなければ、呼びかけてなんか、くれないし。

紐で繋いでくれるとは、思わない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こともない。


必要無いともいえるわね。


想いは絶対、絶対に解けない。

あたしは彼にもらった首飾りをそっと確かめる。

首筋を飾り、見えないからこそ。


なのに。なのに。なのに。


彼、青龍の貴族は、あたしの言葉に

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙?


他に、伝えるべきことがあったかしら?

何か言い添えるべきことが、あったかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、怒ってる????????


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――わ、わすれら

『良いだろう』


――――――――――ほうちじゃなかった!!!!!!!!!!

                   きゃ――――――――――




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/ゲストハウス】


「ご主人様?」


魔女っ子が骨伝導イヤフォンマイクをケースにしまう。

訝しげだが、表情を隠す魔女っ子。

さりげなくColorful、厨房に顔を向ける。



ええ子や~~~~~~~~~~。



俺に気遣わせまいとする、配慮。

いや~~~~~~~~~~~~~~あれ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺、情けなくね?


大の大人が、文字どおりが、未成年者に気を使われるってどうなんだ。

未成年どころかやっと二桁に配慮されるって

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・むしろ俺が、気を使うほうだよね?



視野が狭くて気が付けない子供。

それをそれと悟らせずにフォローする大人。

カッコいい、俺。


カッコ悪い、俺。

子供の前ではスーパーマンでいたいんだよ。





いやいや、ここからここから。

やれば出来る子だから!!!!!!!!!!



俺が?

初耳だな。


大きくなったらニートになる。


星に誓ったあの日から

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いまは、も、なんにも出来ないが。



反省しよう。

ニートになる。


ニートになってしまうんじゃない。


出来るけれどやらない。

出来てもやらない。

そうじゃなくちゃ。


今は、無理。

なんもできない。




さっきも今も、起きた時からずっと。

俺が身動き出来ない。


そんなときに届いたのは?


曹長から通信呼び出し。

緊急とは違う音だから、迷う俺。


デフコン1(戦闘状態)、なら迷わない。

デフコン2(戦闘準備)なら判断する。

デフコン3(警戒)、さっきココ。




なお、デフコンとはディフェンス・コンディション。

本来は開戦前の考え方だが。


戦時中に何故に

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・馴染みがあって、周知しやすいから、だろうな。


なんで今更導入したのか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌な予感しかしない。


国連軍では4が戦闘待機、5は待機。

もちろん駐屯地内部限定だから、余り使わない。




俺たち軍政部隊、作戦行動中の部隊はディフェンスなんかしてない。

ほぼ常にアタック・コンディション。


先手必滅見的必殺(誤字ではない)、最大火力最多発射、出会い頭に全力斉射。

残っている者が無ければもう一斉射。


みんなで一列銃剣刺突で死亡判定。

国連軍兵士の主な仕事。


かつては知的生命体、それに使役されていたであろう生物。

地面にバラけているそれを、突いて刺して横列前進。


弾薬砲弾は湯水のように余っているから、敵識別は破片で行う。

その死体を死体か銃剣で確かめること。


じゃあディフェンスはいつ?



駐屯地ではどうかと言えば、そもそも攻められた事例がない。

地雷源、自動機銃、偵察ユニットや哨戒気球の警戒体制。


そして長距離火力を生かした攻撃的対応。

だからディフェンスに縁がない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最近デフコン周知があったのは、なんなのか。


攻められる予定でもあるのかな?




ま、それはさておき。

俺が寝る前に、踏まれない程度の傍らに放置した、指揮装置。


いや、嫁が効く、いやいや夜目が聴くのか夜は歩かないからか、踏んづけるとしたら俺しかいないのだが。



もちろん駐屯地は証明完備。

軍政部隊は作戦行動中以外、夜間照明に制限なし。


俺たちに同行同居している限り夜の闇に縁がない。

だがそれでも、シスターズ&Colorfulたちは、夜歩きをしない。

夜更かしもしない。


別にパソコンで遊んだからって怒らないが。

お先に寝るのも起きるのも自由自在と通達済み。


俺は誰かがごそごそしていても、気にならないからね。

普通に寝れます。


明るいと眠れないとか暗いと眠れないとか、枕が変わるとあれだとか。

それはさすがに兵隊に向かない。


戦地なんぞ縁が無い自衛隊員でも、演習ぐらいは行くのである。

その程度の適正確認は、済んでいる。


だから別に、ちびっ子たちが起きていても構わない。

エルフっ子が時々膝枕になっても構わない。


Colorfulがなぜか正座して囲んでいるのはちょっとヤダ。

今回みたいに力いっぱいでなければ抱き枕扱いも、まあ良し。


それでも、皆、寝ないように頑張るのである。

俺が起きている限り、寝てはいけないようなのである。


それは俺が寝ればいい。

大人が起きてると子供に夜更かし習慣がつく。

良くあるよくある。


だから、俺も早めに寝る。


娯楽は明るいうちに持ち越し。

仕事は勤務時間を越えたら放棄。


だから、かなり早く俺の回りは暗くなる。

俺の回り以外は歩哨やら警戒待機や夜遊び神父で明るいが。


でも、暗くなるとまったく布団からでなくなる。

シスターズ&魔女っ子。


いや、寝返りやら抱き枕(俺)のポジション調整はしてくるけどね。

ちょっと水を飲んでくるとか、夜風にあたろうとか、明日の予定が気になってとか、眠くなるまで本を読むとか。


一切しないで寝床を離れない。

習慣なんだろうな。




だからまあ、枕元常備の軍用時計に認識票(ドック・タグ)

首に巻くタイプだけは寝る時もつけている。


その、あたりに置いてある指揮端末。

象が踏んでも壊れないどころか、M-1(エイブラムズ)(合衆国陸軍主力戦車)に踏みにじられても壊れない。


超信地旋回でフル装備70tに耐えるのだから、踏まれてもいいといえなくもないが、やはりいやだ。

要は部隊通信系と常設してあるイヤフォンマイク。



ソレがついに今朝、デフコン警報を鳴らしたのである。




デフコン3の電子音。


デフコン1なら手近なちびっ子を押し倒す。

覆い被さり、全員を伏せさせて全周防御。

曹長の救援を待つ。

最悪、曹長が初撃で殺されてもなんとかなる。

佐藤か芝が退路を作るからな。

俺は子供の誘導、の一部くらいなら、なんとか。


デフコン2ならシスターズ&Colorful全員集合。

身を低くさせて、曹長を待つ。

最悪でも以下略。




しかし今朝は、デフコン3。

神経に触る電子音。


無視はしがたい重要性。

ゲストハウスの広い広い道場みたいな部屋の中、居るのは俺、シスターズの小さい二人にColorful。


この時は、エルフっ子不在とは気がつかなかったが。


まあ、この建物自体が俺の私室に近い状態。

そりゃ、シスターズ&Colorfulしかいないわな。


曹長もいないし、坊さんもいない。

神父が居たら一大事。


俺しか対応できる人間がいない。

対応できる環境に俺がなっていない。




俺の上半身、おもに腕を固める12歳児、お嬢。

虎挟みに喰われた感じ。


金メダルを狙える逸材です。

多世界オリンピック待ったなし。



いや、迷ったね。


俺は動いて良いのか悪いのか?

音声コントロールなら、イケるか?

結局は声に出し、お嬢に寝たフリがバレたら同じだよね?


かといって、力任せに童女を振りほどくのは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな俺に、注目。

朝食調理中の皆、魔女っ子率いる炊事集団(Colorful)が。


電子警戒音が鳴ってれば、そりゃ見る。


エプロンをつけた魔女っ子がとたとた。

イヤフォンマイクを、俺に設置。


曹長からの報告で、メンゲレ大尉のちょっかいを知る。




うちのエルフっ子になんてことを!!!!!!!!!!!


同時に指揮官用端末が、俺に向かってレーザー照射。

網膜投影された周辺地図。


エルフっ子のお散歩拡大確認。

当のエルフっ子と相談完了。



今ここ。



無理に起きる必要はないが、なくなったが、俺、要介護状態?




【大陸北東部/「聖都」南方内陸側/青龍による禁足地】


あたしは見渡す。

風を絶たれたエルフでも、視力は遥か、人より優る。

視界を透明な仮面で塞がれていても

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・観たくないモノまで、みえるわ。


詳細に、微に入り細に入り。



人間だったと判る。

原型を留めてはいない。


顔の痕跡すら遺さず、四肢も、それも捻くれ歪んでいる。

でも、判る。


それ自体が責め苦と狂痛、苦悶と悲鳴、絶望すら受け付けられない嘆願。




溶け崩れ、灼け爛れ、膿溢れた、泥濘

――――――――――人体の荒野。




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