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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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259/1003

辺獄/ウェルギリウスの誘い

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。シスターズの姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




ニューオーリンズとオアフ島に共通の利害がありますか?

独立戦争のエピソードが、東部13州以外に通じますか?

南北戦争の逸話に感動するロサンゼルス市民が何人いると?


ニューヨーカーとテキサス人が肩を組んで見上げるのは?

軍旗です。


私ならUSPACOM(合衆国太平洋軍)の記章ですね。

―――――――――――星条旗な訳がないでしょう。


星の数さえ定まらない。

誰がよすがに出来ますか。




共通の利害。

共通の歴史。

共通の価値観。


いや、羨ましい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなモノ、誰が持っていますか。



日本人には解りません。


あなた方は、民族だ。

皆さんは、人種だ。


だ・か・ら、アーリア人なんぞ理解出来ない。

いえ、そんなものをしつらえてしまう、心象が思いつけない。


だから「アメリカ人」なんて考え付くんですね。


もしアメリカ人を見付けられたら、教えてください。

産まれた時からの合衆国市民として、それが何なのか、好奇心は在りますから。



国際連合の指導者サマ方。


同化政策を進めている。

承知してます。

同化の対象は、まずもって、地球人だ。

みんな、わかってます。


だから

――――――――――なんです?



誰一人、気にしやしません。


アメリカ人としてのアイデンティティ?

それは、もちろん、ありますよ。


皆さん日本人の心の中に。




認めたくないのでしょう。


超大国、チート国家、覇権国家。

あり得ない物量、後付けの技術、世界を覆う情報網。

神か悪魔かどちらでも。



無ければ、困りますよね?


言い訳できなくなりますから。

無能なクリエイターではなくて、あなたがた日本人が。


これからは、あなた方が言い訳になるんですよ。



《国際連合安全保障理事会:同化政策分科会/聴聞会記録より》







【聖都南方/青龍の軍営/境界線へと向かう通路】


「貴女の男、我々の真実、見たくないかしら?」


メンゲレ卿が、あたしに微笑む。


まったく。

朝の散歩が台無しね。


居るのはわかっていたけれど。

避けることもできたけれど。


あたしは返した。


「あたしの、じゃなくて逆だから」


メンゲレ卿は応えない。

待ってる。

あたしも。


あたしは視線を合わせない。

狩りの要領と同じ。


耳を澄まし。

風に浸り。

息を吸う。


メンゲレ卿の鼓動、血の巡り、抑えた呼吸。

動かないように力を籠める、筋の動き。

汗と吐息に混じる心の動き。


獲物を前にして。

矢を手に持ち。

弓を引き絞る前。


追ったりはしない。


エルフの狩りは独り。

人の狩りは巻狩り。


大勢の人が農具で武装。

森を囲んではやし立て、獣を追いたてる。

力自慢の槍持ちや、落とし穴の待ち構える場所まで。


エルフはそれを嫌う。

野蛮で森を荒らす、といってね。


実際には、エルフの人数が少ないだけ。

エルフは邦も持たないし、村なんかまれ。

集落、という規模でしか暮らさない。


だから、巻狩りなんかできない。

だから、森には独りで入る。



得物は弓。

人みたいに地面ばかり進まない。

下生えをくぐり、飛び越し、時には樹上を歩き駆ける。

だから、足元を開く鉈もいらない。


森のはずれから、奥の奥を覗う。

獲物の動きを察しながら、先回り。


季節、天気、地勢、獲物の様子。

何処をどう動いて何処に至るか、予想はつく。

予想した通りに進んでいるか、見えなくても視える。


数時間、時には数日。

矢の射線上に獲物が出てくるまで、ただ、待ち続ける。


だ・か・ら。


エルフは待つのが得意なのよ?


森の狩人。

それは獲物を追うのではなくて、待つ者。

永遠の待人。

皆が生き過ぎてゆく中で、佇む者。


他の種族が付けた異名とエルフの在り方。

それだけは、変わらない。



そしてメンゲレ卿、青龍も変わる者。

それとも、変える者?変わり者?


青龍は生き過ぎていく、なんてできやしないて、生き急ぐ。


皆が流され、エルフは()められ。

青龍は、彼等だけは変わり続け変え続け、掻き分け踏み越え壊して生んで。

世界の果てさえ超えていきそう。



あたしたちエルフと正反対。

いままで出くわさなかったのが、奇跡よね。


いったいぜんたい、世界のどこにいたのかしら?


これだけ忙しない、異なる意味で果てしなく貪欲、解りやすいほど突き抜けた傲慢、在るだけで世界を染め上げる無頓着。


ついこの間生まれたのだとしたら、とっても理屈に合う。


なーんて、あたしは考えを玩んでいたのだけれど。

メンゲレ卿は、やっぱり青龍。

耐えたり我慢に縁がない。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴女の持ち主が、貴女に見せたくないものを、見たくない?」

「いらない」


あら?

珍しい、って思えるほどに、メンゲレ卿の表情を知っているわけではないけれど。


メンゲレ卿が、目を丸くしたわ。


これまでの印象に合わないわよね。

一晩、湯浴みに同席しただけ。

それで思うことじゃないけれど。


学者の様に観察して記録して考えて、って感じが大半だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・彼に、青龍の貴族に誘われた時だけは、初心な女の顔だった、わね。



そんなことで、あたしの見極めができるのかしら?


あたしが、征服された土地の女が、青龍の貴族にふさわしいかどうか。

側に侍る価値があるかどうか。


それを、見定めるつもりなんでしょう?



少し面白くないけれど、とっても面白い。

あたしはちょっと、悪戯心が湧いてきた。


メンゲレ卿が応える寸前に、言葉をかぶせる。



「朝ご飯までに戻れるかしら」


え?

って感じのメンゲレ卿。


断られたと思うわよね。

いらない、から、いかない。

って。



ふふん。

あたしと彼を試そうなんて、百年早いのよ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、ダメか。


早く試し尽くして認めさせなきゃ。

彼の時間が無くなっちゃうわ。



「彼が望まなければ、そう命じるわ」


急かせるつもりで言い足したのだけれど、判らないかしら?



彼が望まないなら、必要はない。

彼が望なむら、見なければならない。

それだけのこと。




あたしたちの呼吸が判らず、訝しげなメンゲレ卿。


見る聴く知る。

いちいちお伺いを立てるわけがないじゃない。

そんな事にかまっているほど、青龍の貴族は暇じゃないわ。



だから、あたしが、考える。


あたしに、彼が、そう望むだろうか?

って。


もちろん、あたしは彼じゃない。

まだまだ、青龍の貴族を理解した、なんて言えないわ。



でも問題ない。

あたしが何をしようとしているか、知らない訳ないじゃないの。



彼の騎士達、サトウ卿とシバ卿が、ずっと居るのよ?


それに、あたし、あたしたちが彼から与えられた装身具。

それは彼と一人一人をつなぐ、魔法の鎖。


しかもここ、聖都は青龍の縄張り。

彼、青龍の貴族が気づかない訳がない。



それを望まないなら、止めるでしょう。

止めないなら、止めるまでは許されてる。


だから、あたしは自由にふるまえばいい。



見守られているとは言わないけれど、見逃してはもらえるのなら。




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/ゲストハウス】


俺は元気です。

皆も元気です


抱き枕生活もいたについてきた今日この頃。



飽きてもいないが、変化にとんだ日常です。

変り映えのしない安定した楽な人生で、決まりきった対処の分かり切っている作業を半分眠りながらこなし続けつつ、空いた思考能力で仕事明けのプランを詳細に想定状況まで煮詰め、退勤時間をフライングして楽しく気楽に人生を謳歌し続けていたのは夢だったのかもしれません。


だとするとアレか。


時折、稀に、三佐に押し付けられていた謎の非業務だけが現実リアル

ということは、ファンタジーにしか見えない剣と魔法の世界で白い目で見られているのは現実だな。

三佐に押し付けられた非業務、ってところが完全に一致。


で、その変化にとんだ非日常リアル



昨夜まで。

ちびっ子二人に左右から抱きつかれて、時々エルフっ子に膝枕されてました。

今朝から。

お嬢(十二歳女児)一人に左から抱きつかれています。


バリエーションが増えたのか減ったのか。




いやあまあ、昨夜まではいつも通りだった。

この子たちが寝付く時には魔女っ子もエルフっ子もいたけどね。

明け方、俺を起こさないようにそ~と、布団を抜け出していただけで。



魔女っ子は朝食の支度してるし。

いつもなら、手早く済ませてまた布団に戻ってくるが。

そして二度寝しないで俺の起床時間まで温まっている。


北国。

春先の朝は、まだ寒いからね。

俺が起きるのは、公式には明るくなってからだし。


上司の早起きは部下のめーわく。

サラリーマンの基本です。



今朝の魔女っ子は、張り切ってるな。

たぶん、もうひと眠りする気はないだろう。


いいにおい。


時間と手間と料理の味は比例します。

今朝の食事は一段と期待。




なぜか、起きても起き出さない、お嬢。

すっかり昇った太陽が、春の朝陽が大きな窓から注がれる室内。


普段は、お嬢も起きてる時間。

明け方起きはしないまでも、陽が昇ると活動開始。

これは現代以前、いや現代でも、照明が無発達か非発達な社会では当たり前だ。



何か、義務感に駆られているかのように、お嬢が俺を抱きしめる。

いつもより余計にがっちり食いつかれてます。



力いっぱい拘束中、いや被拘束中。

左側面から枕的に左腕をキメられてます。

そのまま半分以上のしかかられてます。


さらにお嬢は小さく細い腕、だけではなくて全身を動員して力いっぱい指先を伸ばし、小さい肢体を延長。

俺の上半身右腕までを固定し、両脚で力いっぱい下肢を挟み込む。


いや、これワザとだろう?

寝相じゃなくて、寝技だろう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12歳児に寝技キメられるってどうなんだ。


年相応、っていうより、現代日本人基準からみれば年齢より小柄なのに。



現代日本人の平均身長は、10~12歳の女の子で140~150cmくらい。

お嬢(12歳)も魔女っ子(10歳)も130cm以下。


現代日本人規準なら8~9歳くらい。

発育不全を疑った俺がマメシバ三尉、あまりそうは見えないが医者、に確認したんだから間違いない。


港街で歓迎してくれた少女たちを見る限り、中世の栄養状態だから、ってことではないようだ。

花束で歓迎してくれた子たちは、10歳前後で身長が140cm前後あったしね。

※「第206部分 奇襲攻撃/Under the radar.」より


このあたりは、日本列島にいる専門家が解析している。

街で見かける人々の体格や挙動などは、全部俺たちの戦闘装備付属のカメラが記録しているからね。その記録は通信系に余裕がある限り、後方拠点や本土に送られている。


動画だけで年齢なんてわからないだろ?


と言うのはその通り。

普通なら専門家からの要請で、後日、前線部隊が可能な範囲で確認する。




まあなぜか、花束少女たちは俺のカメラに向かって年齢アピールしてた。

手間が省けてよかったが、一般的な習慣ではないらしい。


歓迎会の主賓に、十代の者は年齢を開示する。

そんな特殊な習慣が、あの街にだけあるのかどうか。


再確認要請はないから、別に確かめてはいない。

興味範囲外のことまで、学者を手伝う気はないし。



まあ、子供は元気が一番です。

小さくても、健康上の問題でなければ構わない。


この世代は個人差が大きいらしいし。

成長するにしたがって、特に女性は15歳くらいまでで平均値の中に収斂されていく、らしい。

これも、マメシバ三尉の解説。




いま重要なのこと。

力と体格は比例する。


つまり、いくら賢くても、お嬢の力が弱い。


いや、だからかえって、ふりほどけない。

細いわ、柔らかいわ、肉が少ないわ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・壊れそう。


しかも、この全力しがみつき。

悪夢と見た。



夢見が悪かったんだろうな。

昨夜はのぼせてたし。


メンゲレ大尉の診察で、健康上の問題はなかったようだが。

俺も、寝付いたころにはすやすや寝息を立てていたから油断した。


警戒しても、悪夢は防げんが。


子供には稀によくある、仕方なし。

まさに抱き枕はこういう時のためにある!


俺もそう思うが、根拠もある。

とある女と、女の子がそういうようなことを言っていた。


そうかそうかと抱き枕をプレゼントしたら泣かれました。


何故だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、まあいい。


お嬢に抱き枕を上手くプレゼントする方法を発見するその日まで。

代わりになるのはやぶさかではない。



ではない、が。




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