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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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Scrambled Bath!




いつも本作を読んでおられる皆様に、ご案内です。


今回は表示方式に実験的な手法を取り入れてみました。

もちろん、私が考えたやり方ではなく「駄菓子屋」さんという方がエッセイで発表していた

「ダガシヤ式ルビ」

というものです。


面白い方法だったので、偶に使っていたのですが。

今回は目立つくらいに多用してみました。


私のパソコン環境では正常に表示されています。

もし、ガラケーやスマホを含む皆さんの閲覧時に支障が出るようならばご一報ください。


何もなければ今後も利用していく予定です。。


では、お楽しみください。



追伸


「ダガシヤ式ルビ」

について詳しいことは下記エッセイでご確認ください。

「【保存版】ルビ機能の新しい使い方について by駄菓子屋」




やるべきことが生じたら、まず、何をすべきか?



風呂に入って、飯を食い、寝る。

風呂と飯は逆でもいい。


そして目を覚まして、まだ、やるべきことがあったら?



それはやらなくてもいいことだ。

やらなくても世界は滅びてないじゃないか。



明日できることを、今日やってはいけない。


明日はいつまでも明日のまま。

決して今日に、なりはしない。


いつかやろうと思っていれば、寿命の方が先にくる。


《ニート・ドクトリン》





【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/共同浴場】


俺は考え事をしながら力加減を間違えない。


強すぎず、弱すぎず。

肌に傷をつけないように、爪を避ける為に指の腹を多用。


「ごごごりょうしゅひゃまぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁl」


() (ご主人様……) ()


() (は、弾いてる) ()


印象

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・手遅れ。


指先は隅々まで届く。

ひっかかないようにはするけれど。

スポンジが届かない場所にこそ。


「ふゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――」


() (はははいってますか?) ()


() (……そんなところまで) ()


俺は平手で掴みながら記録を、その意味を考えた。

掌を使うときは両手で挟み込むように。

力を逃がさず面をくまなく。


「めぇめだめだめだめゆゅるあぇぇぇぇぇ――――――――――」


() (……嬉しそうです) ()


() (がんばって!) ()


まさに隙間の無い袋小路。

全体をこすったら細部を徹底的に。

靴磨きをする時のように、僅かな凹凸も完全にカバー。



「いぃぁぁぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


() (……羨ましいです) ()


() (次か、次の次よ) ()


ソレがどんな意味かといえば、退路無し遮蔽物なし。

逃げも隠れも致せませぬ。


つまり俺が

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人生方針に合わんが。


「に、がひゃないで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!わ、わたく、いやじゃなく、まっていたっ――――――――――ぁぁぁぁぁぁぁ」


() (ちい姉さま死んじゃう) ()


() (まだよまだ!) ()


隅々まで強めのシャワーを当てながら、泡を使って肌を流す。

まあ、それほど汚れてないけどね。


「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」


() (ちい姉さま!) ()


() (ヒクヒクしてる……) ()


人生で大切なこと。

それは何か?


逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ

――――――――――――――――――――――――――――――それだよ、それ。


「きぃてくらぁひゃい、はや、いひきもたなぃれ」


() (あのあの) ()


() (……え、と) ()



うむ。

決まりだな。


「ナニしてるんですか」


お風呂に入れてあげているんだが?


どうかしたのかメンゲレ大尉。

あ、仮名だったか。




【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内湯殿/青龍の貴族/右側後】


わたしは、そっと様子を見ます。

掛け湯をしながら、肢体を隠して慎重に。


あ、あ、あ、あ、あ、あ、ちい姉さまとご主人様の睦言じゃありませんよ???????????

見えてますけど聴こえてますけどワザとじゃなくはないですけれど羨ましいですけどさんこうにしますけど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。



でも、別なことも気になります。

最初から何故か湯殿にいらっしゃる、青龍のお医者さん。



癒やし手と薬方師を混ぜたような役目。


癒やしの奇跡や魔法。

わたしたちの知る、それが癒やし手。

植物、動物、石や土から薬を造る。

病人病気にあわせて調合して、飲ませたり貼りつけ塗りつける。

それが、薬方師です。



青龍の皆さんは、その二つを合わせてこう呼びます

――――――――――お医者さん。


魔法で体を切ったり繋げたり。

あらゆるすべてから素を絞り練り上げて、いろいろなお薬を造る。

薬や工具、言葉や歌。

人の心を伸ばして縮めて、捏ねて叩いて整える。


なんだか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・怖い、です。




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/共同浴場】


お嬢をお風呂に入れながら、俺は午後一杯で調べた内容を反芻していた。


過去形。

まあ、結論を再確認しただけだからね。

子供を洗いながらでもできる。


うん?

ああ、そうか。


俺は振り返った。

仮名メンゲレ大尉、国際連合軍軍医大尉に、頷く。


「安心しろ」

「なにを、ですか」


言葉の定義に敏感なのは、医師らしくもある。


「風呂に入れるのは慣れている」

「「「普段から!!!!!!!!!!」」」


うむ。

だから、溺れさせたりは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故かハモる?


軍医とエルフっ子と魔女っ子。


女三人姦しい、となるにはまだ早いが。

いや、間違いなく軍医殿は女ですよ?

疑ってません。


別に性同一性障害じゃないのは一目でわかります。

友達にいますが、見破られた~、と悔しがられた程です。


眼は効きます。

剥く前に気がつかないと大事故ですから。

ので、出会ってすぐに押し倒すのはやめましょう。

十回ぐらい全時間帯で全周確認してから。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一目じゃないじゃないかって?


その話じゃない?

だから機嫌をですね?



「わかっていますか?」


言い訳を始める前に怒られた。

言葉はともかく、口調が怒ってます。

叱責じゃなくて、私は怒ってます、という感じ。


俺の背後で魔女っ子が身をすくませるのが判る。

子供が怯えてるじゃないですか。

ここはひとつ、同盟軍軍人として忠告を。


「相手は子供だって、わかってますか?」


先に言われたそりゃそーだ。

俺は、湯気で潤みきった童女、つまりはお嬢をよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

く見た。


うむ。

間違いない。

そりゃそうだ。


子供だ。


いや、それで終わらせるのはマズいのか?

俺の認識が問われている。



俺は深く頷く。

メンゲレ大尉の、美人の女性を愛でながら、いやらしい目にならないように気を付けて。

安心と信頼の演技力。


「わかっているぞ」

「確信犯!!!!!!!!!!!!!!!!!」


いやらしい目つきでしたか?

でもまあ、ある程度仕方がないよね。

メンゲレ大尉、美女だしね。


でも、全裸を見られてるのは俺なんですが。

気にはしませんが。





【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内湯殿/青龍の貴族/背中側】


あたしは、いろいろな意味で驚いていた。


ここは浴場。

大量の湯を、自在に生み出す青龍。


戦陣にて湯浴みをするのは貴族のたしなみ、なんてことはない。

兵の一人一人まで気軽に湯を使う、どころか、深く浸かる訳ね。



流石に行軍中は簡易にする、とか言っていたけれど。

あたしたちが青龍の貴族と同行して以来、日々の湯浴みは欠かさなかった。


太守領の農村を回っていた時。

温泉などが無い村や町に泊まっていた時も。

温泉とは関係なしに、湯浴みがしつらえられた。


その時は、筒状の大鉄鍋に、いっぱいの湯。

水さえあれば炎の魔法であっという間に沸かしてしまう。


ひと一人丸ごと入れる、無骨な湯船が簡易?


最初はそう思ったわ。

すぐに慣れてしまい、時々慣れないように、自分自身に言い聞かせ。



でも、今、あたしたちが居るのは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これも仮の湯殿、って言われた。



10人が、まとまってゆったりと浸かれる、大きな湯船。

無尽蔵に溢れかえった、熱いお湯。


せっかく集めた熱に水を加えて冷ましたり。

今度はまた、温いからと沸かしたり。



勿論、温泉じゃない。

そもそも、ここは街ですらないし人里でもない。


全くの荒野に、街ほどもある陣幕が張られて、お湯も水もいつなんどきでも使い放題。


温泉地でもないのに、全部設え

――――――――――――――――――――当たり前って、顔。



温泉脈が多い太守領は例外。

大陸全体で考えれば、この規模は豪商の贅沢。


で。

それを戦野の常識にしちゃうんだから!


驚くことに、飽きる暇もないわね。

それなら、この女も常識なのかしら?


男と女、たちが湯殿で睦み合うとき。

堂々と同行するモノかしら?




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/共同浴場】


第13集積地内駐屯地。

ここは単なる風呂場である。


一個小隊(30人前後)がまとめて入浴可能。


本来は時間交代制だが、独占を許されたゲスト用。

通常の浴場から離れた、お客様専用だ。


まあ恒常的駐屯地には必ず設けられる。

お客様ってのは、つまり異世界人。


友好的であれなんであれ、地球人には近づけない。


よく考えたら、俺たちの宿舎自体がそーいう場所か。

隔離地帯

――――――――――だってのに、何をしているのやら。


俺は仮名メンゲレ大尉を見る。




【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内湯殿/青龍の貴族/背中側】


あたしは背中を流しながら、ことさら分かり易く、訝しげな視線を向けた。


メンゲレ卿。

青龍の貴族のような黒髪に黒い瞳じゃない。

良くいる金髪に青い瞳。


顔立ちも肌の色も、特別なものじゃない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・美人なのは確かだけれど。


でも、特別というか、おかしいのは立ち位置座り位置。



また例によって、競争相手が増えたのかとも思ったけれど。

そんな様子じゃないわよね。



彼、青龍の貴族に慣らされて、はいないけれど(慣れるわけ無いじゃない!)、耐性は着いたわ。

青龍、その存在と奇矯な行動。


初めて出会った青龍、その貴族に

――――――――――さんざんイジめられたおかげでね。


だから、見知らぬ青龍を訝しげに見るくらいは出来る。




コレが男だったら、見られる前に斬るけれど。

女でも、欲のある目なら斬るけれど。


斬ってよし、むしろ斬れ

――――――――――――――――――――――――――――青龍の貴族公認。


ここ、聖都に来る前の晩。

彼はニヤリと笑って、好きにしていいぞ、と、あたしに囁きかけてくれた。


見透かされてる

――――――――――許した視線以外、あたしが肌を赦す訳がない。



それでも、本気でそれを心配していたわけじゃない。

あたした、あたしたちが誰のもかなんて、青龍の方が知っているでしょう。


青龍の感覚は、見知った限り、あたしたちエルフに通じるものがある。

自分の男、自分の女を、別な誰かに許したりはしない。

それはとっても不満足。


あたしが、普段どう想ってるかなんて、言わないけれど。

彼がどう感じるかなんて、あたしじゃなくても判ること。


なら、少なくとも青龍が、青龍の貴族の逆鱗に触れることをするわけがない。


だからこの女、メンゲレ卿が何をしにきているのやら?

余計に全くわからない。


青龍の貴族狙いじゃない。

あたしたち狙いでもない。


なにがしたいのかしら?



メンゲレ卿は、あたしたちを一瞥もせずに、口を開いた。




【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内湯殿/青龍の貴族/右側後】


「いいですか?」


わたしはご主人様の背中越しに、メンゲレ卿のお話を聴いていました。


「ここに滞在中は、女性兵士有志が交代で、24時間見ていますからね」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。


「ナニとは言いませんが、為すべきことに注意してください」


やっぱり!!!!!!!!!!

わたし、知ってます!!!!!!!!!!


昔の諸王国にあったという

――――――――――介添え。


その、あの、高貴な方が、異性を、お召しになるときに、最初から最後まで見届けて、確かめて、記録する


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、いうことは

――――――――――はぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。





【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/共同浴場】


親切だな。

俺たちのサポート24時間交代でしてくれる。

残業代が出るのか、ちょっと気になるが。


なんなら口添えをしてもいいよ?

経理や人事、労務関係なら知り合いがいないでもない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、口に出す前に、俺はしばし黙考。



そこはかとなく感じる気配。

これはアレだ。



女が怒りだす直前。

まだ怒ってないのに、ここで対応を誤ると、マジでキレる。

キレた後、放置したりからかったりすると泣き出すアレ。



地雷を踏む前の空気。

いや、踏んだ後、信管起動が怖くて脚を上げられない時の、ぞわぞわした感じ。


踏んだ瞬間にイクタイプじゃない。

踏み込んだときに信管の安全装置が外れ、力を抜くと起爆する古典的な地雷


それが俺の目の前、2mほどに鎮座する仮名メンゲレ軍医大尉。

人間地雷な視線です。



さすが米軍、風呂場に観測所を設けるとは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暑くない?


「暑いので」


やっぱりね。

春も深まる北国も、既に暖かい5月。

日の入り前の夕風呂。


ギャラリーも大変だ。


「早く済ませてください」


といわれても。



() (えぇ!!!!!!!!) (すませちゃいやです!) ()


() (見られるだけ、かしら) (あの、入れて) (頂くところまで?) ()


() (我が君に、はなって) (頂くまで、よね) ()


() (その、開いて、見届け) (ていただかないと) ()


() (それで最後じゃないよ) (ね?続けていただける) (わよね??) ()



Colorfulが盛り上がっている。

覚悟完了っぽい。



解っていることを整理しよう。


一つ。

俺たちは風呂に入っている。

食事の前に、旅の汗を含めて流そうと思ったから。

俺自身としては、現実逃避も兼ねてるが。


二つ。

メンゲレ大尉は俺が子供を風呂に入れていると知っている。

注意して風呂に入れるようにと言っている。

そのためならこの基地の女性兵士たちが協力を惜しまない。

そのためなら、俺と一緒にお風呂に入ってくれる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これはない、か。


でも、そう聞こえるような。

欲求不満が嗜好にバイアスをかけている?


チャンスなら逃すわけにはいかないので時間を改めて、と言いたいところだが。

急いては事を仕損じる。


初見でそれは、たぶん、無い。


もしかするともしかする。

メンゲレ大尉の日本語も流暢に聞こえるが母国語じゃない以上限界はあるハズ。

俺にソレをフォローするだけの英語力はない。


最初から、ボタンを掛け違えている?


離れたところからこちらを覗っているColorfulが頷いた。


「「「「「命じてください」」」」」


うむ。

よろしい。


魔法翻訳が役に立たない時こそ、Colorfulの出番だな!



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