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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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246/1003

Trio/三者鼎立

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




サンプルY群


a:異世界人間種/魔法使い

b:異世界人間種/非魔法使い

c:異世界エルフ種/非魔法使い

d~h:異世界ハーフエルフ種/非魔法使い

e:地球人間種



サンプルy群


a’:異世界人間種/非魔法使い

b’:異世界ハーフエルフ種/非魔法使い

c’~h’:異世界人間種/非魔法使い


※追加余地あり



付箋1

「受胎可否を含めた生物学的実例を入手すべし。一年間以内に結論付ける為に、あらゆる手段を惜しまぬこと」

同化政策科学解析主任。


付箋2

「受胎可否を含めた社会学的実例を入手し続けるべし。精神肉体的結合と波及効果を観察するため、偶然の枠を超えたありとあらゆる干渉を禁ずる」

三佐の個人的なメモ。



「――――――――――愛です!!!!!!!!!!」


断言。


え?

何が?

っと思うカタリベ。


「人類は遂に愛に目覚めたのです♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

何時までも慣れない、慣れたくない。


「ナニをしてもよい、いや、すべきですしよう今すぐに!!!!!!!!!!」


関東軍なみの拡大解釈。

何段活用?


「貴女、どこから命令されてるの」



命令を受けている自覚があるのか、さて。




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/ゲストハウス】


俺は畳敷き五十畳のど真ん中。

非常識な立ち位置な気がする。



軍政部隊の宿舎。

第13集積地の北に位置する、国際連合統治軍その駐屯地。

そこには中枢となる管理施設があり、偵察ユニットを格納するコンテナ群がある。

戦闘部隊と整備部隊、それに人員の大半を占めるオペレーターに施設そのものを運営するスタッフ。

もちろん、ソレだけの人数が常駐するのだから病院もある。

全部軍人だ。


最大規模の施設と言えば、結局は人間を収納する宿舎ということになり、それは駐屯地のさらに北側に集中している。


まあ、異世界人の最大密集地域、つまり居住区。

そこからなるべくはなれた場所に、一番守るべきものを置いている

常識的な配置。


やや離れて建てられてる一棟。

それが俺たち軍政部隊の宿舎として割り当てられていた。


なお、駐屯地内部の移動に際して案内人も介添えもいない。


敷地の構造も施設の配置もファイルで受け取ってるけどね。

よく考えたら、最初の顔合わせ以外で第13集積地の隊員と対面してないんだよ。

最初のあれは管理責任者だったしね。


もちろん無人基地なんかじゃない。


ここまで俺たち一行があるいてくる途中、何人もの自衛官や米軍らしき兵士から敬礼されている。

訓練している様子の隊列とすれ違うこともある。


商会は全くされてないが、知られてはいる。

不審者じゃありません。


まあ、こんなものなのかもしれない。

俺は普通の異世界駐屯地に疎いからな。


本土の連隊駐屯地から、異世界大陸の出島の訓練キャンプ、そこから一気に軍政地域のど真ん中。


思えば遠くに来たもんだ。

それに比べれば大したことはない。

と思えないのはなぜだろう。




【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内/フトン部屋】


あたしも掃除をしないわけじゃない。

わけじゃない、ってだけ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・厩舎の掃除や野営の片づけは得意なんだけど。



あの娘。

食事の用意に裁縫、掃除に片づけは、我ながら手際がいいと思う。

洗濯は力仕事だから二人で。


家の中に居る限り、何処で何をしていても。

要る物に手が届き、要らない物がしまわれる。

それが、あの娘との生活。


普段から一緒に住んでいて、あたしは主に家の外。

薪割りや屋根壁柵の修繕、狩りに屠殺に解体に、釣りや買い出しもね。

護衛は、あの娘が妹分と出会ってから、すっごく減った。


妹分の家から用心棒が見回りに来るようになったし、妹分自身が近所のガキどもを手なずけていたし。

そもそも、有力商会の愛娘がこれ見よがしに出入りしている時点で、街の連中からの嫌がらせはなくなった。


その分、あたしは暇になる。

それだけ、あの娘を手伝える。


あたしも家を守ることについては、慣れている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つもりでしかなかったわ。


もう!!!!




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/ゲストハウス】


五分前。

俺が宿舎、つまりはプレハブのカギを開けると、素早く内部が整えられてしまった。


カギと言っても当然電子ロック。

曹長に背中で促されてスイッチON。


単にロックが解除されただけ。

もちろん、自動ドアじゃありません。


いつの間にか銃を構えていた佐藤と芝がゆっくりと接近。

いや、何の気なしに歩いているように見えるけど、間接が妙に力抜いてるからね。

格闘技の試合かなっ?

てくらい。


接敵動作だよこれは。



素早く扉をスライド。

ゆっくりと内部を確認。


なんか互いにハンドサインと視線を交わしております。

意味が解りませんが。


ふと背後を見ると、他の隊員は二組に分かれて前後を警戒していますね。


前は芝と佐藤が調べている宿舎側。

その外部に視線を走らせる。

後は背後から残数を警戒。

全員が銃を構えずに視線のみ。

いつでも構えられるようにして入るけれど。


ここ。

味方の駐屯地ですよ。

その中ですよ。


敵地じゃないんですけれど、異世界自体がアウェイですかそうですか。



えーと、ああ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、この程度なのか。


陣形も作ってないし。

銃口を走らせてもいない。


普段なら俺を基点に行軍形態だものね。

で、視線と銃口は一致。



普段駐留している王城と違って、勝手がわからないからな。

周りの建物、配置に性質、この駐屯地の人の動き。

それが完全に味方の内部でも。


なんちゅー無駄。


まさに戦争。

まさに軍隊。

まさに俺たち地球文明。



これを誇るだろう。

三佐みたいな味方、と分類されている相手とも、ほぼ自分以外のすべてと戦い競っているワンマンアーミーならば。


俺ならば?

無駄を垂れ流してなお滅びない俺たちの、いまではなくて可能性に乾杯。

俺たちにはまだまだ行きつける場所がある。

まだまだ行き着いてないけどね。



士官としては、自慢できる。

元カノがドワーフたちやASEASN兵士、魔法使いの配下を自慢しているみたいに。


みんな立派になったなあ。

最初、太守府に降下した時。


基本の全周警戒にすら戸惑っていたのに。


「隊長のお供で経験を重ねましたから」


曹長が俺にだけ聴こえる様に囁く。

確かに。


軍政部隊が24時間戦闘態勢ってのは伊達じゃない。


大半の国連軍兵士は、大規模駐屯地で大半の任務時間を過ごす。

地雷原と自動機銃で異世界から隔離された安全な場所では何の経験も積めない。

練度はともあれ、うちの連中の経験値は高くなるわけだ。


異世界は全て戦場。

移動の都度、敵、味方以外のすべてに接する。

その都度、曹長の叱責を受ける。

佐藤や芝のような実戦派が常に戦闘で見本を示す。


練度が上がるわけだ。

24時間訓練しているようなもんだしな。


実際の発砲は少ないから、緊張しすぎない、ってのも練度向上に理想的。

狙って作れる環境じゃないけどね。


軍政部隊派遣後3時間で歳を消滅させた事例も、ふつーふつー。




【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内/衣装棚前】


わたくし、素早く、とはいきませんけれどご領主様の腕を、残念ながら離れました。

まだぬくもりが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえいえ、ここは甘えていられませんわ。


わたくし、わたくしたちの様に非力な者が、ご領主様のお役に立つ。

この好機!


ねえ様のように強くもなく、あの娘のように紅い眼を持たない。

わたくしの不利、悟らぬわけにはまいりません。


今日この日の冥加を生かすためにも。

閨の中でより多くをいただくために。


ぜーったいに、譲れませんわ!!!!!!!!!!!!


でも、この布巾とドレス、どう身に着けるんでしょう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで、あの娘はわかるのかしら????????????




【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/ゲストハウス】



『「クリア」』


肉声と小隊通信系から響く声。


「隊長、お任せください」


ぼーっとしていた、俺に許可を求める曹長。

いやまあ、何も考えなかったわけではなく、何事も起きなくて良かったな、と。

曹長は頷いて、皆に指示を伝える。


「指揮所は自分、佐藤に芝。各自はそれぞれの宿舎を確認し準備」


俺の命令を、伝達する形

――――――――――あくまでも、カタチ。


だがしかし、今は子供を抱いていたからね、したないね、普段からだけどね。

みんな、気が付いてるだろうけれど。

まあその方が良いんじゃないかな。



いざ緊急時、俺を見るようじゃ、困る。


俺を見るのは子供たちだけ。

兵士が俺を見たら部隊が全滅してしまう。

戦闘指揮なんか取れないからな。


すると俺にしか注目していないシスターズ&Colorfulまで巻き添え。


兵士は曹長を見る。

曹長は兵士のついでに俺を見る。

俺はシスターズ&Colorfulだけに集中。


うーん。

万全だな。




神父が戦死しないのが玉に瑕。

定位置が無いのに戦闘中、神父が危険な場面を見たことが無い。

他の隊員が危なっかしいこところは、一度くらいは見たことがあるのにな。


エルフっ子が加減をしくじることはあり得ないので、元カノとマメシバ三尉に期待!

うっかりで人を殺せそうなのは、あの二人くらいだ。



そんなことを考えていたのは、暇だったからだ。


佐藤、芝は宿舎をぐるっと一周。

そのまま近辺偵察へ。


曹長は素早く室内を一瞥。

一部屋五十畳の片隅に積まれていた寝具を使いやすく並べなおし、炊事場とも給湯室ともつかない設備を点検。


いつのないか割烹着姿のシスターズ&Colorfulが隊列を組んで入城。

え?


ホントにいつの間に?


神父がてきぱきと、すでにソコがおかしいが、皆に呼びかけ窓を開け風を入れほこりを払わせる。

自分ではやらないのが実にそれらしい。


まあ、そもそも駐屯地が造られて二ヶ月くらい

施設の大半はその時に作られた。


最大人員が配置されていたのもそのころだ。

駐屯地そのものや集積地の管理施設設備を配置した施設科が大半だけどね。


なら建物の大半はその当時、多淫たちの宿舎だったところ。

撤収時に懐胎しなかった部分が俺たちに割り当てられているはずだ。


築二ヶ月、利用一ヶ月。


埃も汚れもありやしない。

まあ、警戒確認をした佐藤と芝が土足で踏み込んだからね。

子供たちがふき掃除にかかるのは悪くない。


俺はそういうことは気にしない。

仮住まいなんだから、キャンプでも野宿でもいいわけだが。

実際、太守府で港街からの帰路は、そんな感じだったしね。




【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内/厨房(簡易キッチン)】


わたしは張り切ってます!


お料理。

お掃除。

お洗濯。


ご主人様のお役に立てる可能性があるとすれば、これくらい。

役に立て、なんて思われていないのはわかります。

でも、でも、でも。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたしは欲張りです。


ねえ様ほどおっきくないし。

ちい姉さまほど気が利きません。


Colorfulさんたちみたいに、いつかは、とはおもいますけれど。

でも、きっと、まちがいなく、一方的に

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅ、ダメかも。


でも、でも、でも。

もっともっともっと。


ご主人様に、見てほしいんです。




【異世界大陸東部洋上「日本海」】


「そーいう話じゃありません」


カタリベが言い聞かせる相手は、一人関東軍マメシバ三尉。


「生物学的な視点!受精と妊娠の流れを確認すれば遺伝子転写のパターンに当たりが付けられます!!個別調査で100年かかることを1年で済ませられるんです!!!それだけで互いの防疫措置にウィルス感染リスク管理などなどの応用が効きます!!!!」


マメシバ三尉は手のひらを拳でポンッとたたく。

その発想はなかった、とでも言いたげだ。

脱力をこらえるカタリベ。


「社会学的な視点!子供ができるかできないかで民法や戸籍法などなどいろんな法律の形が変わるんです!!できる出来ないだけじゃありません!!!親と子供の三者がどんな関係を築くのか築く可能性があるのか把握しないと法律は空文化します!!!!そうなれば立法府の尊厳にかかわりますから議員たちは絶対に最優先で何を置いても確認させようとするんです!!!!!」


同じ標本、同じ目的、同じ結果に求める別な指示。

カタリベの視点から抜け落ちているもの。


目的のために手段がある

・・・・・・・・・・・・・・・・・・とは限らない、現実。


皆が、誰かを助ける為にこそ、誰かを犠牲にしようとしている。

カタリベの眼には、そう見える。



「そういう話なんですよこれは」


もちろん、どちらをどうせよと、カタリベが語ることではない。


しきりに頷くマメシバ三尉。

彼女と彼女は、互いに理解に達した。



しばしあり、ふと、マメシバ三尉が水平線を見る。

脈絡もなく思い出したのだ。





子供に守られる世界なんぞ、滅べばいいんだよ。





彼女が、たいちょー、と呼ぶ男が嗤った顔が浮かぶ。

自分はどう応えたのか。


だからアニメに疎いんですね、とでも言ったのだったか。

日本のサブカルチャー全体に疎いのだが。


マメシバ三尉、いや、マメシバ・ハナコはニヤリと笑う。







「愛しあう二人たち以外、守るべきモノなんかありません」


聴く者のない言葉。





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