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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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236/1003

グローバルスタンダード×2

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【用語】


『太守府』:帝国の行政区分をそのまま国連軍が引き継いだ呼び名。領地全体の呼び名と中枢が置かれる首府の呼び名を兼ねる。帝国ではおおむね直径120km程度を目安に社会的経済的につながりが深い地域で構成する。南北が森林、西は山脈、東は大海で大陸のほかの地域からは孤立している。ただし、穀倉地帯であり海路につながっているために領地としての価値は高い。10年前までは古い王国があり帝国に滅ぼされた。


『青龍』:地球人に対する異世界人からの呼び名。国際連合旗を見て「青地に白抜きでかたどった《星をのみほす龍の意匠》」と認識されたために生まれた呼称らしい。


『赤龍』『帝国』:地球人と戦う異世界の世界帝国。飛龍と土竜の竜騎兵と魔法使いを組み合わせた征服国家。70年ほどかけてユーラシア大陸に匹敵する面積を持つ大陸の東半分を征服した。



世界は君の頭の中にある。

君は記憶と記録で世界を認知する。

キミの記憶と記録は我々が制御できる。


つまり、我々こそが「現実」である、と言えないかね?


《小説「1984」のワンシーンを大雑把に意訳》






【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画】


ぴょこぴょこ。


かいぐりかいぐり。


ぴょこぴょこ。


かいぐりかいぐり。



背伸びする魔女っ子。

さりげなく戻す俺。


俺は眼下のサラサラ金色を撫で回す。

ってか、婉曲に抑えている。


この子、魔女っ子は凹みやすいからね。

自省しないように止めないと。


子供はもっと自分本位でよいというのに。

行き過ぎやり過ぎ自分勝手、で叱られ位でちょうど良い。

近所や親戚や友人のガキぐらいでOKOK。


怒鳴れば泣くし、叩けば泣くし、論破しても泣くが、決して懲りない繰り返す。

わーざわーざ、俺の周りで繰り返す辺り、自己保身という大切な本能が欠けている。



まあ、よろし。



だがしかし。

他人の不運に共感し過ぎる、魔女っ子はまるでよろしくない。

多世界で一番大切な大切な自分を、もっと大切にしないと、させないとな。


領民の皆さんが大変な体験を強いられているのは、決して魔女っ子のせいではない。

――――――――――と諭して説いて乗せられない。


俺の口車は、せいぜい逃げ道をこしらえる、その程度。

逃げずに逃げられずに、自分に潰される子には通じない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは、やるまえからわかっている。


よろしい。

本懐である。

作戦決定。



神君東照大権現流奥義。

見せ猿、聴かせ猿、言わせ猿。


幸いにも、距離がある。

不都合な真実とちびっ子たちの間。


帝国軍兵士の屈強な壁と隊列の距離。



背丈が低い魔女っ子。

ぴょこぴょこ跳ねても越えられないが、前進されても困る。

見せないように隠している、と疑われても困る。


疑いの目で見られるのは、相当にクルよ?


いや、ホント。

騙してるんじゃないかと、悲しそうな目で見られたらどうしようかと。

いや、騙してないし隠してるだけ、と説得して理解を得られる可能性は低い。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゼロではない(実話)。



だが理解されても嬉しくなかった、ので、不都合な真実に気がつかれても困る。

だから頭を撫でるフリをして、いや撫でてるが、魔女っ子を押さえ込む。


もう一つ二つ歳が上だと、子供扱いに怒られる危険性がある。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中学生と小学生がボーダーか?



相応にリスクがある技

――――――――――経験者は語る、だ。



よっておれは魔女っ子の好奇心を抑えつつ、魔女っ子たちと農民の不幸な出会いを断固阻止しつつ、そこに潜んでいない明確な作為を悟られて俺が魔女っ子たちに嫌われないように絶対にしなければならないのである。


いそがしいな?

いや、具体的には魔女っ子を撫でてるだけだけどね。


だがしかし誤解を恐れないが誤解は避けたい。

決して手触りを楽しむのが主目的ではない。


断じて違う。

そのようなことはない。



もちろん、魔女っ子の肌触りがよゐことは確かだ。

おそらく唯一無二だろう。


枕カバーがこんな手触りだったら安眠確実である。

今夜から撫で転がしながら寝るのも良いかもしれない。

まあ、いつも腕枕してるからね。




――――――――――お嬢とエルフっ子の視線が痛い。


二人とも自分の髪を弄っているが。


いえ、決してひけをとるもんじゃありませんよ?


お嬢の髪は滑らかです。

魔女っ子の髪とは違い、ふわふわゴージャスです。

目を覚ました時に俺の顔を覆っている時がありますが、息苦しく感じないくらいにふわふわです。


巻いてませんが。


エルフっ子の髪は凄く細くてツルツルきゅーてぃくるでございます。

リンス要らずとはこのことで、硬質な質感なのに指通りが半端ない。ものすごく自慢の髪だというのはよくわかる、くらいにアピールしている。


小まめに撫でるとシッポを掴まれた猫っぽいしぐさになるのが、たいへんよろしい面白い。特に耳の辺りがピンッと立つのは見ていて楽しい。



そんなふたりが髪をいじるということは?

よーし、わかった。


あれだ。


一人撫でると全員撫でる法則。

子供と猫と犬にも通じる原則。


で、次を撫でると最初の子がウェイティング・サークルで素振りを始める。


永久に終わらんわ!!!!!!!!!!




もちろんタイミングを外せば大丈夫だが。

それを会得していない俺じゃない。


さもなきゃ今も、姪っ子だの近所の中高生だのを撫でているはずだ。

などと心で語りかけ、まっすぐ前向きな、俺。




果たすべき事を考えよう。



魔女っ子の視線に、家畜扱いの農夫たちを晒すわけにはいかない。

逆に、魔女っ子を農夫たちに見せる訳にはいかない。

お互いに出会わない方が幸せだ。


そーいう出会いもある。

出会わせないが。


俺の背丈から見える光景。

それが魔女っ子の情操に悪い、ってだけじゃない。



俺の背丈からは、よーく見えます。


精強そうな帝国軍兵士。

ひ弱そうに見える農夫。

広い居住地の狭い片隅。

小さく震えて満たす声。


うなだれて、怯えて、時折囁き合う。

弱音すら吐けず、励ましあう力もなく、ただただ互いを抑え合う。




――――――――――動くな、逆らうな、静かに――――――――――


大変賢明です。

目立つを避ける分別はある。


黙していれば恐怖で死ぬ。

互いに励ます様子が、そりゃアタナ。

何ができずとも最善を尽くす。

人間、かくあれかし。


農民の皆さんが精いっぱい頑張る姿は、とても好感を持ちます。


俺もそっち側だからね。

殺すより殺される方。

追うより追われる方。

強いより弱い方。



最近、ちょっとポジション変わっているように見えますが、見えるだけです。

最善を尽くして一生懸命やっている人たちの気持ちは察します。

ホントのところはわかりませんが。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、滑稽なことだろう、俺の今の姿が。




シスターズ&Colorfulに、よりによって俺が、弱者たる俺が、気を使う??????????


なんだかんだで、俺より修羅場をくぐってると思うんだよ。

この子たちは。


のほほんと生きてきた現代日本人サラリーマンよりはね。




だが、さらにろくでもない体験を上積みするこたーない。

例え何度も、ロクでもない光景を見ていても。

いや、知らんけど。


その魔女っ子。


だというのに前を覗こうとする。

勢いで前に進みそうになる。


ので、繰り返し繰り返し、魔女っ子を下に後ろにひっこめる俺。



見ない見せない見られない。

俺からはよく見えるのがいかんともしがたいが。

見えても楽しくない。


あっちもそう思っているんであろうことは、確信できる。



魔女っ子好感度アップ作戦継続中。

農夫の皆さんにはまず持って俺、の前に第13集積地管理官、の前に帝国軍の皆さんを恨んで欲しい。



え?

帝国軍だって、命じられただけじゃん、って?

俺は命じた側だよね?


――――――――――心に響く、良心の囁き。



フッ。

自責の念に負けるようじゃ、公務員なんぞ勤まらんのだよ。




【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族背後】


なんでこんなことになってるのかしら?


あたしは彼、青龍の貴族、その視線を追っていた。


あたしたちと彼ら。

世界を二つに分ける、帝国軍の隊列。

見えなくても、声が聴こえる。


エルフの耳には、籠もった感情すら響く。

互いが互いを監視して、巻き添えを恐れて牽制し合い、互いの動きが鈍くなり、各々で緊張が暴発しかねない。


互いを思いやれとは言わないけれど、せめて無視し合えば危険が少ない。

保身の為に競い合い、かえって自分の首を絞める。

猜疑と不信、敵意と怯え。


とてもよく在る、とても不快な、とても醜い人の姿。

それを、見たくもなさそうに眺める彼、青龍の貴族。



幸いに

――――――――――あの娘には気がつかれていない。



言葉が解らない、っていうのもあるわね。


あの娘は綺麗な発音の、正確な言葉と話し方しか知らない。

だから少しずれると、ほとんど判らなくなる。


あたしたち、あの娘と妹分が産まれた太守領。

その言葉は、大陸東北部で一般的な言葉。


ただ、その中でも変わっては、いる。

あたしなら、似てるからこそ戸惑う、くらい。

発音や言い回し、単語の種類。


地勢が他の地域から孤立してるから、よね。


森と山に囲まれて、実質、海からしか出入りできない。

大陸にありながら、ほぼほぼ陸路が無い。

人の出入り自体が、多くはない。



太守府の連中を、他の邦に連れて行ったら?



飲み食いは出来ても、商売は無理だし、働き口も限られる。

逆もまた同じ。



でも帝国から見れば、誤差の範囲。

世界を一つとしかみないから、にたようなもの、で片づけてしまう。




ただ、あの娘は興味を持っちゃったわ。


純正の言葉しか知らないからこそ、違和感に敏感。

魔法使いの家で育ったから、訊きたがり調べたがり視たがり。


いつもなら、あの娘の好奇心を歓迎する青龍の貴族。

でも今回は、あの娘を止めている。


あの娘の心を守るため。


彼はとっても意地悪で、すごーくイジメたがりで、自分の物にすると特にヒドイけど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだかんだで、自分の女には、優しいから。



あの娘は自分の手が届かない場所にすら、痛みを感じる娘。


あたしたちには関係無い、よその邦の農夫たち。

彼らがどうなるのか、どうするのか、口出しするようなことじゃない。

あたしなら、そう割り切る。


そもそも、あの娘が産まれた太守領の、帝国が徴収した農夫たち。

彼らのことだって、あたしたちには過ぎたること。

妹分なら、そう考えてるでしょうね。



それでも、関係無い、で済ませられない、あの娘。


彼、青龍の貴族、その好意で与えて貰った機会。

意識せずにおねだりして、考えずに甘えてすがり、気がつく前に乞うていた。


なら、わきまえるべきでしょう、ね。

それは、あたしたち皆が、わかってはいるのだけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかっている、から、辛い。


助けられない、助からない相手にすら眼を離せない、あの娘。

だからといって、その気持ちを訴えることも出来ない、あの娘。

訴えるどころか、表にあらわすことすら罪悪感が止まらない、あの娘。



あの娘がうなだれた、何処かの農夫たちに気がついたら?



涙を堪えきれずに、言葉も出せずに、見ていないフリをするだろう。

あたしや妹分、あの娘の愛するご主人様、その負担にならないように

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・隠しきれないクセに。


泣き喚いてワガママ言ってくれた方が、どんなにいいかしら?


言わないけどね。

また落ち込むから。


だから、あの娘を傷付けないように、あの娘には知らせない、青龍の貴族。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




それは、わかる。

幸い、あの娘は全く気がついていない。

完全に、青龍の貴族に転がされている。


それは、あたしたちにとって良いことなのだけれど

・・・・・・・・・・・でも、あの娘、あれは・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・我を忘れてる。



無理もないけれど、トロンとした眼。

当然だけれども、耳まで真っ赤。

だからこそ、撫でる手に夢中。



髪を愛撫されて、堪えきれるわけないわよ!!!!!!!!!!

彼、青龍の貴族、手段を選ぶ人じゃないけれど!!!!!!!!!!

そーいう男だって、知ってたけど!!!!!!!!!!



妹分が羨ましくて、ハンカチを噛みしめてるじゃない

――――――――――ぽふ。


あ?

え?

わ?


あたしの髪を撫でる彼

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふゃはぁふふふななな、違うちかう、うらやましそうになんてしてないから――――――――――!!!!!!!!!!


そのままあたしは鷲掴みにされ、彼の口元に~~~~~~~~~~


「言え」




【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画】


俺は、エルフっ子の言葉を咀嚼した。

なんかお嬢が俺の手を咀嚼しようとしているが、それどころじゃない。

いや、大問題な気はするが。


公平に撫でようとしたら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きっと多分、甘えられてるんじゃないかな。


グール化したら死んでるだろう、俺が。


最近起きると歯型が付いている。

あれは八重歯であって、牙ではない、から吸血鬼化しない。

とは思っていたが

――――――――――原因はそれか。




授乳期に問題が?


お嬢は、お父さんっ子。

そういえば、母親の影が薄い。

見たことも聴いた事もないな。


帰ったら家庭訪問。


魔女っ子も父親しかいない、みたいな話だったし。

まあ、単なるマーキングかもしれんが。

猫がよくやるアレ。

人間で爪研ぎ。



ともあれ本題。


エルフっ子曰わく

「どこの邦の人たちか、あの娘が気にしてる」

とか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんですと?


それはつまり、エルフっ子が俺の手を払い、いや、握ったまま頭からはずし、手を繋いだまま視線を逸らした。


その視線がむく先、帝国軍隊列、の向こうには百人の徴収農夫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さんぷる、サンプルと申したか?


俺は、帝国軍将官を手招き。

尋ねる前に尋ねられる。


天幕パオが必要か?」


いらんわ!!!!!

密室なんかいらん!!!!!


「この連中、出身は」


俺の質問に、怪訝そうな顔を返す帝国軍将官。

しばし、沈思黙考。

まるで俺が、太陽は東から昇るよね?

―――――――――――――――――――――――――――とでも尋ねたように。


考える考える考える

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帝国軍将官は、頷いた。


「この辺り、ああ、大陸北東部の出身だ」


それはつまり、俺が派遣された太守領を含む、そこから南側の、かなり広大な地域じゃないか?

地球で例えれば、満州からロシア沿海州、遼東半島まで

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんぐらい。


「心配いらん」


ほう。


「その辺りは、習慣も話し言葉にも大差がない」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つまり。


「連れ帰って労役させるにも、事後入植させるにも、支障はないぞ」


太守領の農民じゃないよね??????????

それ!!!!!!!!!!!




【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族右後ろ】


わたくし、聞くともないフリで、聴かせていただきました。


「連れ帰る、と命じたな?」

「連れ帰る、と拝命した」

「十万人ほどを連れ帰る」

「十万人を連れ帰る」


ご領主様が与えてくださった、その指先。

黙令に従い、甘噛みする、わたくし。


「太守領に、連れ戻す」

「卿の領地に、連れていく」

「太守領から、十万余りの領民が連れ出されたので、取り戻す」

「卿の領地から、十万人の領民が足りなくなったので、数を戻す」



あの娘が羨ましがってますけれど、まあ、仕方ありませんわよね。

先にご領主様に、さんざん愉しんでいただいたのですから。


さんざん追い詰めて、寸前でお預け

――――――――――ご領主様の、いつもの。


ともあれ、わたくしの番ですわ!!!!!!!!!!



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・十万人」

「十万人

??????????????????????????????????????????????????????????????」




太守領に連れ帰る十万人を用意しろ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帝国、赤龍と青龍の違い、ですわね。


十万人を資産として考える、赤龍。

自らの領地を手入れして、豊かにするための材料。


だから、十万人を求められ、誠実に応えた

――――――――――――――――――――――――――――――役に立つ、極上の人間を揃えて。


ご領主様が、人手を欲している、と思ったんだわ。




一方、ご領主様、そして青龍にはそんな発想がありませんわ。

連れ帰る、のだから太守領から連れて行った十万人をそのまま連れ戻す、の意。



――――――――――ああ、だから、擦れ違いましたのね。


自らが当然、基準、当たり前。

思っておられる、のではなく、知っておられるのよね。

疑うどころか、異なる基準の存在すら、意識されない。


永遠に静止した視点。

普遍不動の絶対者。

それは秤そのもの。



ご領主様と帝国。


お互いに、決して並び立たない龍。

赤龍を青龍が喰らう、理の当然。



そう考えると、不遜な思いが浮かびます



――――――――――可愛らしい♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪――――――――――




いけないわ、いけないわ。

愉しんでいただくばかりではなく、お役に立つ好機!!!!!!!!!!



弱く、見下ろされ、見上げる身であればこそ。

わたくしなればこそ、見えることがございます。


弱いこと。

及ばぬこと。

届かぬこと。


それが、こんなに素敵なことだったなんて♪




ここは、わたくしが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・卑しくも期待してしまいますわ。





ご領主様。

あなたさまに出会えた喜びを、生涯かけてお伝え申し上げます♪





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