官僚用語（腹話術式）/Ｔｈｅ ｂｌａｃｋ ａｒｔ　Ｂｕｒｅａｕｃｒａｃｙ　

『ただちに影響は在りません』

：ニュースピーク（言葉の意味を削ることにより人間の思考を防止する人工言語）の一つ。

以下和訳

「あなたが天寿を全うできる可能性はなくなりました。あなたの命を換金した責任を負う者はすべて特定できておりますが、責任をとるものは未来永劫一人もおりません。あなたは最期まで自分が殺されたことに気づかないようにしてください」

※類語に「前向きに善処します」「一切記憶にございません」「人生いろいろ」などがあります。

※誰も嘘はついていません。ヒトラー氏やポル・ポトさんと同じように正直な言葉です。

※ニュースピークはジョージ・オーウェルの「１９８４」にて考案された概念です。今も広く世界に普及を続けています

【国際連合呼称地域名「聖都」/第１３集積地/領民集積区画】

ついに、ついにこの日が来てしまったか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺は覚悟を決めた。

奥義クレーム流し、ではない。

気まずそうな、見方によっては俺の様子を窺っているシスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌ。

拘束を解いてくれたのか、それとも退いたのか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お兄さんちょっと、泣きそうだよ？

泣かないけどね。

男だからね。

ええ、俺は性差別主義者ですが、なにか？

俺は溜めに入った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――気（合い）が高まる。

表情筋を弛緩させ緊張させ、最適位置を瞬時に構築。

命がかかっていないときは、ポーカーフェイスが得意です。

友人同士でプレイするとき五百円玉がチップ替わりですけどね。

丸くて硬くて重量感が無いと気分が乗らないもんで。

５０枚くらいでタワーを造り、バーボン片手にカードを構えて、コール。

えーい、やかましい。

レイズなんかしないぞ。

コツコツ拾って勝ちに行く。

え？

違法行為？？

おお！！！

やだなー（笑）

チップが最終的にどうなるかなんって言ってないじゃないですか（棒）。

ジエイカンハニッポンコクケンポイカホウリツヲスベテジュンシュシテイルンデスヨ。

さあ！

大切なお仕事に戻ろう！！！

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――日本国公務員流《最終》奥義。

――――――――――異常は確認されておりません――――――――――

異世界転移から世界大戦、世界大恐慌にまで対応可能な超必殺技（責任を必ず殺す）。

これが使えないのは原子力事故くらいとされている。

もちろん正しい使い方では、その時点における一番無能な政治家を召喚し、振り付け通りに演じさせるのだが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中央省庁官僚と違って、特別職国家公務員な俺には鉄砲玉のストックが無かった。

チッ。

俺は何事も無かったかのように、いや、無かったのだから、まっすぐに前を向いた。

不怪訝そうに振り返る帝国軍将官が、一言。

「邪魔をしたか」

ほっといてくんない今だけは？？？？？？？？？？

空気よもうよ！！！！！！！！！！

「気にせず睦事を再開してくれ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・敗者にとどめを。

異世界最強軍隊は違うぜ。

【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族左後ろ】

わわ、わたし！！！！！！

ご主人様の邪魔をしちゃいました！！！！！！！！！！

畏れ多くて距離をとってしまいます。

ふゃ？？？？？？？？？？

わたしが慌てて跳び退くと、ご主人さまが掴んでくださいました。

大きな、大きな、手

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おそばを、お赦しいただけますか？

うぅ～～～～～～～～～～。

わたしは、お役にたたないと、いけません。

もとより、そんなことは求められてはいませんけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、こそ。

わたしは、ねえ様を見上げました。

周りに視線を走らせ、耳を側立てています。

――――――――――見習わなきゃ！

【国際連合呼称地域名「聖都」/第１３集積地/領民集積区画】

俺を見る帝国軍将官。

すっごく申し訳なさそうな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんちゅーレアな？？？？？？？？？？

傍若無人を絵に描いたような世界帝国のキミたちが！！！！！！！！！！

捕虜になっても、あんまり変わらないキミたちが！！！！！！！！！！

そんな帝国に気遣われるってどうなの俺？？？？？？？？？？

まるであたかも、真っ最中ファイナル直前に乱入してしまって聴こえてるわ見えてるは取り繕う隙が無くてお互い気まずいよね、みたいな？

そこはかとない気遣いなんか察したりしないからな！！！！！！！！！！

「用意は終わっている」

ビジネスライクに話を進め、ようとする帝国軍将官。

それはこの際、ありがたい。

世界は違えど男同士。

解りあえるものはある

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う違う。

シチュエーション違う。

誤解だ。

ついつい、お礼を言ってしまいそうになるのだよ。

ありがとう。

すいません。

この二つは日本語の基本。

そして軍事参謀委員会からの指定禁句トップ。

アメリカン・アングロサクソン主体の組織だからね。

事実上のトップが合衆国軍のグランドマザーたる現合衆国大統領。

軍事参謀委員会の中心は侵略戦争経験者のみなので、自衛官はいない。

補佐するメンバー、佐官級は自衛隊と在日米軍ばかりだが。

まあ自衛隊の貴重な将官は前線で部隊を指揮しているから、日本列島にいないってこともある。

率いる部隊が無い将官を物色すると、自衛隊以外になるわな。

自衛隊以外の将官が余っているわけでもないが。

在日外国人から軍歴経験者を選抜して編成された各国の国連軍部隊。

それは基本的にその国の将校が率いているわけで、暇な将官が日本で観光していたケースなどレアの中のレア。

そうなると手隙、ではないが、手当可能な将官は？

在日米軍。

部隊の基本が海軍と空軍、緊急即応部隊な海兵隊。

その辺りの将官は、開戦後速やかに前線へ。

しかし最重要任務の兵站部門を管理している在日米軍。

その関係で、部隊を置いていないわりに陸軍の将官はそろっていた。

比較手的だが。

他国に駐在し、本国から出てくる部隊との調整を基本任務として、想定される作戦は当然侵攻作戦。

よって、戦略レベルの発想に長けた人材がばかり。

しかも、日本政界のよく知られた黒幕がこさえた国連の、国連軍を率いる現合衆国大統領の古巣。

軍事参謀委員がアメリカナイズされるのも無理もない。

フランスやイギリス、ロシアなど旧常任理事国は、一応すべて軍事参謀委員にそろっている。

これも大使館関係に一人くらいは将官/元将官がおり、前線部隊がほとんど居なかったからね。将校が指揮すれば十分程度の規模なので、手が空いていたのだ。

自衛隊の統幕関係の将官は、余ってるといえば余っている。

が、防衛省の影響力が強い、ということでハブ。

衆参両院は、国連経由で直接的に戦争と軍（自衛隊を含む）を掌握しようとしている、とかなんとか。それが証拠に、前線が落ちついている最近は前線の自衛隊員への参考人質疑が増えている．

日本列島に帰れるなら、おれが証人喚問されたいくらいだが。

残念無念にも、リアルタイム通信で質疑するだけなので、ちっともおいしくない。

なわけで、口を開いて軍法会議にならないように、俺は頷いた。

俺より歳上で、俺とは比べ物にならない戦闘経験を経て、俺より実質階級が高い帝国軍の将官に、凄く気後れしていますが。

「人足十万、うち職人は五千二百四十三、すべて手配済みだ」

ある意味で疑う余地がない、帝国軍。

能力は、世界を征服した事で知れている。

信用については、軍事参謀委員会は懐疑的。

だが、俺はあんまり心配していない。

よほどの誤解が無ければ、信用して良いだろう。

なにしろ第一次世界大戦中のごとく、宣誓と署名させるだけで脱走しない連中だ。

トハチェフスキーのごとく、脱走する為に宣誓を無効化しようとする奴はいない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今のところ。

まあ、友人と名前を入れ替えようなんて、普通は考えないか。

脱走しません。

っていう捕虜宣誓を求められ、同席の友人と名前を入れ替えて記入。

捕虜を管理する側のドイツ軍は、名前と人数があっているから気がつかない。

しかるのちに、先制済みで自由行動ができるのを生かして、脱走。

オレは宣誓してないから！！！！！！！

オレは嘘ついてないから！！！！

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って言い張った上でないと脱走も出来ない。

しかも置き手紙で、ドイツ軍の捕虜管理担当将校あてに詫び状を残して行く、律儀っぷり。

第一次世界大戦時の、心温まるエピソード。

いじましいな！！！！

おい！！！！！！

って奴なら信用するよ俺。

人類史上初の大量殺戮と欧州伝統の騎士道が同居した、不可思議な時代。

俺たち特化型合理主義と異世界ファンタジーが混入した、今日現在。

どこか似てるのは、近代に近い帝国が、中世な異世界に出現した

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――地球欧州１９世紀に似ているからだろう。

世界大戦は２０世紀だが、あそこで１９世紀、戦争が金になった時代が終わったのでいいのではないかと。

国連軍は署名を入れ替えてないか、それは毎回確認している、とかなんとか。

とはいえ沿岸部では、現地住民が手ぐすね引いている。

そんなところにワザワザ脱走しないだけかもしれないが。

その辺りは、国連軍に志願した文化人類学者たちが、実験観察調査している。

捕虜を材料にした研究はＵＮＥＳＣＯじゃ出来ないからね。

志願っても、公に国際連合軍募兵事務所が渋谷に

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って訳じゃない。

そんなことをしたら、学者学生が集まって収拾がつかなくなる。

文化人類学者だけじゃなくて、ジャンル不問の学問の奴隷たち。

自他ともに認める権威者から自称他称市井の研究家に大学生まで。

学者なんぞ、官僚役所の結論に箔付け裏書きするために育成されている肩書奴隷。

そう思っていた俺にとっては意外や意外。

だが、異世界を実験、もとい、実見するためなら砲煙弾雨にバンザイ突撃、って輩は少なくないらしい。

まあ学ぶ者、それは自他の命を研究素材とだけ認識している人非人。

ならば地球が人類が自分がどうなろうと、気にならない思いつかない。

そんな自己保存本能をオミットしたクリーチャーにたち。

そりゃ、異世界転移は神風だろう

――――――――――命なんか、どーでもいいところを含めて。

まあ、よろし。

学者は学者の道を征け。

軍人は軍人の道を行く。

両方みんな頑張ってね。

俺はどこにもいかないが。

生かされない、いや、行かされてるが。

今！！！！！！！！

問題なのは教育的配慮。

魔女っ子たちが助けに来たこの子たちの同朋、と言っていいのかやや怪しいが、太守領の農民たちが家畜扱いされる。

結構、魔女っ子たちに冷たかったり、他人行儀の他人だったり、義理があるのかどうかは怪しいが。

それでもまあ、特に魔女っ子が彼等を助けたがっているわけで。

俺も別に、助けたくないわけでもない。

それに、これからはこの子たちと良い関係を築けるように、すればいいとも思うわけで。

いや、俺だってね？

厄介ごとから逃げるという意味では、領民側の気持ちもわかるしね？

目の前でいじめられている子供が居るとして、それが権力がらみのことだったら？

・・・・・・・・・・・・・・・・・・手を出しかねるのも判らなくもない。

今、たまたま偶然、運悪く、国際連合の威を借りる狐にならされた俺。

それが現在、なにやら偶発的に、運良く、この子たちに出会ったわけで。

踏みにじられる前にトンズラする、弱者の気持ちはよくわかる。

そう思ってみれば、責める資格がないじゃないか俺には。

魔女っ子が体よく利用されているのを見過ごして利用した側の領民たち。

俺はこっち側の人間だもんな。

ムカつくけどね。

自分側だけに。

そんな彼らが地に伏して並べられ、視線真下で見下ろされて品定めされている真っ最中。見下ろしていると言われると語弊があるが、ポジション的に品定めをしているのは、俺。

それを子供に見せられるものか。

奴隷がありふれている世界でも、まずかろう。

特にそれをしているのが、国連軍捕虜の帝国軍だってのが拙い。

責任問題じゃないか

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――俺の。

帝国軍捕虜の責任は国連軍の責任。

国連軍の責任は俺たちの責任。

管轄外とか苦情ご意見は問い合わせフォームから

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――子供に言えるか！！！！！！！！！！

俺しらん

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――子供に言えるか！！！！！！！！！！

俺だって、命令されたらやるだろうし。

そもそも俺、俺たちは侵略者。

胸を張って良いわけがない。

だからといって、だからこそ、シスターズ＆Ｃｏｌｏｒｆｕｌには、知らせるわけにはいかない。

現実なんて飾りです！！！！

子供は夢だけ見てればいーんです！！！！！！

大人は子供をだますものなんですがなにか？？？？？？？？？？？

俺個人が子供に軽蔑される可能性を最小化したいから、では、あんまりない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どちらかといえば。

いや、軽蔑されるならまだいい。

憎まれるのも許容できるたぶんまあ。

最悪なのが子供に、がっかりされること。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやいやいや、トラウマになるよ、マジ。

それはさておき。

次になにより配慮すべきは、魔女っ子たちがどのような見られるか。

誰でも普遍的かつ一般的に、自分が奴隷扱いされるのは腹が立つもんだ。

自分が奴隷扱いするのは平気でも、ね。

俺の任務に立ち会ってくれている太守府現地代表、魔女っ子ｗｉｔｈお嬢にエルフっ子。

帝国軍捕虜に小突き回されている、領民諸君。そ

の捕虜を顎で使っている、国連軍。

その国連軍である俺たち、と手を繋いでいるシスターズ。

手を放してくれない、シスターズ。

大変にツキがない、農民たちに

――――――――――どうみえる？――――――――――

もっともっとも～～～～～～～～～～っと、不幸で悲惨な人たちは山ほどいるよ？

俺たち国連軍のせいでと伝えても

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・納得を得られない自信がある。

他人が末期ガンだからといって、自分の風邪が楽になるわけがない。

他人の不幸を楽しめるのは、幸福なヤツの特権だ。

シスターズが、特に魔女っ子が故郷の農民、つまり領民の９割に恨まれたらたまらん。

ただでさえシスターズには、ボッチ風が吹いてるんだしな。

子供の成長には、人間関係が重要だとおもうのだよ。

よって互いに見えない、見せない、都合が良いところだけを見せる。

臭いものには蓋をしたままテルミット焼却

――――――――――まさに大人の対応。

ふっ、照れるな。