この日、なんの日、恥辱の日
『野党』:作品世界における連合与党に対抗する単一政党。転移時点の党執行部/主流は党内左派。異世界転移後、リベラル系与党連合と大連立、挙国一致内閣を造る。が、第一回閣議で閣内不一致を理由に、野党閣僚が全員罷免。全く選挙準備の無いまま、衆議院が解散。準備完了している与党との選挙戦に入った。これを「騙し討ち解散」と呼ぶ。野党内では責任をとって左派執行部は総退陣。代わって少数派ながら責任追求の急先鋒である、党内極右派が執行部を掌握。左派右派ともに執行部から距離を置き、選挙戦に突入。極右のみで創られた公約が、支持層の離叛を招いた結果、大敗。改選前議席が与野党で3:1であったものが、4:1へ。左派議員はほぼ落選。極右と右派は議席を残したが、執行部から極右は追放され右派が主導権を握る。現在、野党は対異世界戦争推進に反対ではないためにその点への言及は避ける方針。代わりに与党の統制経済を批判し、自由主義経済で論陣をはっている。
あれか?
ありゃ、8月15日のロジックだろう。
いかにも役人共が気に入りそうなモンだ。
選挙への影響?
くくっ。
最近のニュースじゃそればっかりだな。
反戦平和運動がピークを迎える時期に、投票日ときている。
曰く、戦争推進派の連合与党への逆風。
曰く、与党第一党有力支持母体である平和団体の離反。
曰く、連合与党代表者会議に反発する反主流派の動向や如何に。
我が党にとっては、どーでもいいことだ。
選挙は幹事長が何とかするさ。
統一選挙対策委員長殿が。
我輩はウヨクではなく、右翼だ。
気に喰わんのは、反戦運動ではなく、赦せんのが8月15日だ。
終戦記念日?
敗戦記念日?
違う違う。
国が売られた日、だ。
売国奴にとっては最高の、国民にとっては最悪の、歴史的タイミング。
「本土決戦を叫ぶ無能な軍国主義者を抑え、より一層の惨禍を防ぎ、日本という国、日本国民が生き残る唯一の方法だった」
とでもいうのが定説か。
バカばかりだな。
「戦う力を残しながらすべてを放棄して、日本国を滅ぼし国民を地獄に突き落とした最悪の罠」
というのが正しい。
単なる事実の羅列であるがな。
ポツダム宣言を黙殺し、時期を待って逆提案していれば同年中に休戦、翌年にはまともな講和が結べたさ。
本土決戦?
おいおい。
米軍は沖縄戦を経験してるんだぞ。
何人死んで何人発狂したと思っている。
戦争の結末が見えた段階で、勝利者の誰が戦死を受け入れる?
兵士は人形じゃない。
無駄死にしろと言われて、ハイそうですかと従うものか。
兵が動かないとわかって命令を下す将軍がいるものか。
一人の兵士の後ろに、何人の家族がいると思う?
全員が合衆国の有権者だぞ。
トルーマン風情に、そんな権力はない。
戦争を終わらせる力も続ける力も、いずれにせよ権力だ。
仮に日本本土を奪ったとして、何が得られる?
莫大な犠牲を出したあげく、何も得られやしない。
他の誰が権力者だって、誰がそんなことをするものか。
三発目の原爆が落とされた?
そんなモノは存在しない。
もう一年かければ造れたかも知れんがな。
もちろん、無意味だ。
そもそも、なすすべもなく戦争だけダラダラ一年続けようものなら、その気配を見せただけでトルーマンは引きずり降ろされるさ。
戦略爆撃で焼け野原?
都市化が進んでいない当時の日本で、それがなんだというんだ?
一億人のほとんどにとって、意味がない。
廃墟を造りたければ造ればいい。
犠牲が多いのは一度目だけ。
廃墟を繰り返して爆撃しても戦果なんぞあがらない。
百万に一つの本土決戦に備えた備蓄兵器は、蓄積済み。
陸軍全軍をカードにして講和を求めるだけなら、工場が無くなっても困りやしない。
海上封鎖で飢え死にする?
大笑いだ。
日本のような豊かな国土で飢えが起きるのは、流通の破たんによる。
それは都市部だけだ。
実際、農村に買い出しに言ったエピソードなどありふれている。
食い物が無かったわけじゃない。
輸送手段がなかったのさ。
で、国民のごく一部である都市部の住民が飢える。
だから疎開させたわけだ。
幸い海軍が消滅したからな。
存在するだけで燃料が減っていくことも無い。
本土以外に補給を送りようがないから、物資もほとんど減らない。
許容できる範囲だな。
ソ連の参戦で日本が赤化する?
笑止。
ソビエトが対日参戦の前に、どれだけ犠牲を積み重ねた事か。
同士討ち、いや、同志撃ちか。
しかも最精鋭部隊は東欧で米英軍とにらみ合い。
冷戦が熱戦に変わる気配すらあった。
アンシンカブル作戦を知っているかね?
1945年、大戦終了前に準備された英米の対ソ戦争計画だ。
その時点ですでに、ソビエトは圧倒的な米英軍に対して危機的な状況に置かれていた。
レンドリースで辛うじて戦っていたソ連が、兵站補給先と戦争する危険が迫っていたわけだ。
そんな中で極東に送れるのは二線級以下の部隊だけ。
降伏している相手への略奪、言ってしまえば民兵程度の作戦能力しかない。
そもそも、恐れるに足りん。
これは、当時、国家の指導層であれば把握できていた内容だ。
ルーズベルトのオマケで副大統領になったトルーマンには、党内にも議会にも軍にも政治基盤が無いこと。そもそも、副大統領というのが一種の名誉職であることは合衆国の新聞を毎日読んでいればわかる。
中立国に赴任している日本の外交官がそれを読めなかったとは思えないね。
読まなかったかもしれないが。
原爆の量産は不可能だ。
原爆開発自体は日本でも、列強諸国ならどこでも絡んでいた。
判らないわけがない。
海上封鎖の意味にいたっては、日本国内のことだけだ。
判らなかったら割腹して死ぬべきだ。
対ソ戦についても同じこと。
少なくとも独ソ戦中のソ連が被った損害くらいはわかる。
ソ連が米国からの補給に依存していたことも、戦果の奪い合いで米英とソ連が対立していることも。
中立国の新聞が読めれば、わかる程度のこと。
外務官僚は、現地の新聞なぞ読まんかもしれないが。
機密であったソ連参戦を把握していたのは駐在武官だしの。
当然それを知らされていた関東軍は、司令部を後退させ縦深防御態勢をとり、現地居留民と満州国軍を総動員して戦う態勢ができていた。
実際、予定通りに戦闘を行っていた。
9月の時点でも国境線沿いの要塞陣地がソ連軍に対して反撃するくらいに、な。
もちろん、善戦していた部隊は通信障害で本国の裏切りを知らなかったわけだが。
休戦すら無しにいきなり降伏する。
まさに前代未聞。
予定通りに進んでいた作戦が一瞬で崩壊するのもうなづける。
人外の超人じゃないんだ、民間人を守るどころじゃない。
国に裏切られてしまえば、精強な日本陸軍でも野盗にすら勝てん。
ソレを責められるわけがない。
なにもかも、一握りの裏切り者たちのせいだ。
内外で戦っていた将兵、居留民、現地協力者を切り捨てて、保身を謀ったクズどもが。
戦争を終わらせなければならないが、その方法が見つからずに袋小路にはまっていた合衆国上層部、ヤツラだけは喜んだだろうよ。
裏切りが無ければ、通常の戦争手続きが踏まれただろう。
休戦、必要に応じた武装解除、秩序だった植民地放棄、戦争犯罪の裁判権、占領地域の限定に海外資産の賠償繰り入れによる本土資産の温存、などなど。
わかるかね?
8月15日は全てが失われた日だ。
我輩が、あの幹事長と意見を同じくすることがあるとすれば、大日本帝国への評価だ。
人も国も、死に際で値打ちが判るというモノだ。
奴らは巣鴨プリズンに保護されて、占領軍(飼い主)に守られて、解体もパージもされずに生き残っている。
議員たちを冤罪で獄につなぎ、大日本帝国の議会制を崩壊させた。
新聞を統制し民選選挙を滅ぼし、日本人から意見表明の機会を奪った。
民意をねつ造して勝手に戦争を始めて、負けると知るや国を売り、それこそが正義と皆に信じ込ませておる。
その権力と利権を門閥学閥で継承し続ける為に、な。
我輩の眼が黒いうちは、誰が奴腹を許すものか。
《東京都千代田区永田町1-11-23野党本部/総裁インタビュー》
【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族右後ろ】
銃を構えるご領主様。
ステキですわ。
あら?
撃ちませんの?
あの、独特の香り。
楽しみです。
わたくし、香りにも匂いにも敏感ですの。
そして、臭い、にも
――――――――――亡きお祖父様から、繰り返し教えて頂きました。
わたくしの、調香の師でもありますわ。
あら?
ご領主様、興味をもっていただけますの?
では今宵ゆっくりじっくり楽しんでいただいた後、
寝物語で!!!!!!!!!!!!!!!
――――――――――失礼を
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お待ちしております故に。
でも、こと此処については、ご領主様に申し上げることもなさげな
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つまんないわ、ね。
居住地に入ってすぐに感じる生活の匂い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――病気の臭いはしませんわ。
病気の臭い。
腐敗臭、時間を置いた汗の臭い、血や錆や疲れきった人の臭い。
行商人たちが、真っ先に嗅ぎつける臭い。
それはまあ、街特有なのかもしれませんけれど。
ともあれ、此処ではそんな臭いがしない。
匂いだけで考えると、太守領の村々程度の暮らしぶり、かしらね。
【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画】
俺たちは居住区唯一の出入り口、オフェンス・ゾーンを抜けたのだが。
先に入った帝国軍将官ら三騎が馬上
――――――――――下馬の礼を忘れてるんじゃない。
高さを生かし周りに視線を走らせている
――――――――――警戒態勢。
オフェンス・ゾーンの居住地側。
その両脇は単なる板塀だ。
板塀は高さが5m程度、せいぜい出入り口両脇の500mくらいの範囲か。
高さからわかる通り、風を遮る程度のもの。
いわゆる防壁じゃない、仕切り。
居住区の周りは隔離壁。
主にキル・ゾーンへの立ち入りを阻止するために作らせた。
俺じゃなくて、国連軍、その管理責任者の命令。
その一点だけで言えば、人道的に見えなくもない。
立ち入ら禁止の立て看板よりはね。
もちろん、現地住民にも日本語の警告は読めるけれど、空いてりゃ踏み出す跳び越える。
物理的な板壁まで超えるくらいなら、自殺志願者なので止めようもない。
もちろん広い広い、一万人が住まう居住区の、長い長い外周。
板塀だけの為に使える資材なんか用意されていない。
周り中の防風林を切り倒させるのは、国連軍の方針に合わない。
え?
その方針とは環境保護ですよもちろん。
そんなわけで、外周を隔離壁兼宿舎にさせた。
資材は居住区中央に元々設置してあった宿舎。
移設しただけともいう。
で、その構造。
キル・ゾーン向き、つまり外向きは窓無しドア無し壁だけ。
内側を住居にしてしまう、ってわけ。
だから居住地内外の境界線は徴収農民たちの宿舎になっている。
だが、オフェンス・ゾーン近くだけはちがう。
コトが起きれば、自動機銃が味方以外を射殺するのがオフェンス・ゾーン。
その近くに寝起きしたら、流れ弾に殺られるからな。
第13集積地の居住者一般の常識。
ソレを思い知らされた出来事があった、ということ。
だからオフェンス・ゾーン、居住地出入り口付近は無人地帯。
つまり、最低限、M-240の射程圏を理解しているということになる。
ただもちろん、射程圏をすべて無人にはできない。
後続のM-2はさらに射程圏が広い。
そして街道沿いに並ぶ各居住区、まだ機能している50以上の区域。
各々、出入り口には全部自動機銃が設置されている。
流れ弾から完全に身を守ろうと思ったら、大半の人間は居場所が無くなる。
だから、出来るだけ、って事であきらめているようだ。
いや、俺たちが、あきらめさせてるんですけどね
まあ、誰もが流れ弾の範囲に暮らしている、ってのも決して悪いことばかりじゃない。
居住者の自発的な努力により、オフェンス・ゾーンへの侵入が食い止められている。
オフェンス・ゾーンには柵も門もなく、誰でも出入、もとい、入ることだけは可能。
その瞬間、誰かが流れ弾の掃射を受ける羽目になる。
だから居住者たちは互いに互いがオフェンス・ゾーンに近づかないように気を配る。
時に殴り倒してでも、引きずってでも、とばっちりを防ぐために。
ね?
悪いことばかりじゃないでしょう?
主に俺たちに。
第13集積地の運営は、閉じ込められている徴集農民多数と捕虜の帝国軍、その自主的な熱意に支えられております。
7.62mm弾の威力を体験している人たちとは会いたくないモノだ。
目を凝らす
――――――――――弾痕は、この居住区にはない、みたいだ。
そして俺の視線は、完全武装の帝国兵士たちへ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こわっ~~~~~~~~~~。
槍を垂直に構え、弓には矢をつがえていない。
整列して陣形もたてていない。
――――――――――戦闘態勢ではない。
まあ、そうじゃなければ、子供連れで俺たちが来ないけどさ。
だが此処にいるのは、500名ほどの帝国兵士。
第13集積地の管理業務、その大半を担う捕虜の帝国兵士、その一割。
広大な管理地域を考えれば、けっこうな集中率じゃないか?
兵を集める必要が、あるということは、警戒すべき理由が此処にあるということ、だよね。
しかも、整列した兵士たちは、俺たちに背を向けている。
当然、帝国軍将官は俺たちの前、兵士と俺たちの間。
自分たちの上官に、わざわざ意味なく背を向けて無礼を働く訳がない。
つまり、帝国軍隊列は俺たちを背に、徴収農民たちに向きたっているということに、なるかな?
なるな。
ひと目でわかる。
つまり。
え?????
ええ???????
農民一万VS帝国軍500。
一触即発??????????
【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族左後ろ】
わたしは懐かしさを感じていました。
帝国騎士団の閲兵式。昔、と言っても最後に見たのは、帝国太守さんが出征した時ですけど。
兵士が皆さん、偉い人たちに背を向けて、騎士さまは兵と将に目を配る。
もちろん、わたしは帝国式しか見たことはありません。
でも古い絵や、ねえ様のお話で、これが帝国式なんだと知りました。
帝国以外の王国では、兵士騎士がみな、王様や将を見るんだそうです。
青龍の皆さんは
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そもそも、閲兵なさるんでしょうか?
【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画】
俺
――――――――――落ち着け落ち着け。
CoolにいこうCoolに。
なにかと言えばビビって慌てて固まるのがは悪い癖だ。
そりゃ徴収農民の皆さんも、いろいろ不満もあるだろう。
俺たちのせいで帰郷出来なくなったり、俺たちのせいで地雷原に閉じこめられたり、俺たちのせいで近代兵器の威力を実感したり
――――――――――体験者は殺してるから大丈夫、大丈夫じゃないけど危険はない――――――――――
まあ、不満じゃすまない怒りも憎しみも
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いろいろあるだろう。
だかしかし!
大丈夫。
なぜって、直接的に徴収農民と接しているのは帝国捕虜。
嫌らしい手口だが、いわゆるひとつの間接統治。
喧嘩上等な国連軍とちがい、半年以上は徴収農民と付き合って来た彼ら。
本隊から切り離され、遥か千km以上彼方に孤立。
いままで20倍以上の人々を統治しきったんだから、恐れ入る。
きっと、穏便に済ませてくれるに違いない。
帝国軍の穏便な手法に嫌な予感しか感じないのは、きっと偏見だ。
今となっては、国連軍の穏便の方が、物騒だしな。
きっと俺たち国連軍と違うはず、だよね。
連射や斉射や毒ガスではなく、槍と剣で穏便に解決するに違いない。
すると、帝国兵士の隊列が、開いた。
うむうむ。
?
おいおいおいおいおいおいおいおいおい!
【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族背後】
あ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたしは、青龍の貴族を見た
――――――――――帝国の将を見た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかって、ない。
不快。
――――――――――虐殺。
戸惑い。
――――――――――確認。
青龍は、手もなく殺し、意識せず壊し、奪い捨てて省みない。
自分たちの基準について、他種族に理解させようとはしないし、青龍以外が何をどうしようと基本的に関与しない。
しようとも感じない。
だけど、違う。
快不快はある。
美醜の観点はある。
求めはしないが、我慢もしない。
警告も忠告も説明も無し
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・癇に障れば、皆殺し。
青龍の貴族は誇りを重んじる。
相手の、そして、自分の、ありとあらゆる存在の。
女の頭一つ撫でる時に、侮辱にならないか確かめるほどに。
そして、これは、青龍の貴族が嫌いなこと。
他人を侮辱すること。
自分が侮辱されること。
他人が侮辱されること。
あたしはとっさに目くばせ。
あの娘と妹分が戸惑いながらも反射的に、がすますくをかぶろうとする
――――――――――――――――――――と同時に耳に響く音。
青龍の装具。
いやふぉんまいく、の振動が耳に伝わってくる。
警告じゃなくて、命令。
青龍の騎士たちは身構えて面頬を閉じた。
騎士長と三人、残り四人が順に銃の筒先に短剣を付ける。
皆が命令を理解する。
皆殺しの準備をせよ。
巻き込まれないように備えよ。
皆が彼、青龍の貴族に注目する。
そして彼は、注目していた。
帝国兵士の隊列、その間を進む100人の領民。
全員、男。
全員、屈強。
全員、半裸。
皆が顔を伏せ、体を縮こめていた。
「確かめられよ」
帝国の将は、特段の気構えもなく、こちらに、青龍の貴族に振り返る。
牛や馬、奴隷を示すように、領民たちに鞭を向けた。
「同じものを十万用意した」




