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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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225/1003

Q.A

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。



公女さまに問われました。


「現地代表、貴女に意志などあるのかしら?軍政司令官の言いなりになっているんでしょう?」


わたしは、わたしの意志で、あの方の望みに従います。


「貴女の意志を証明するモノは、貴女の声しかない。貴女がその意思を示すためには、常に最前線に赴かねばならないのよ」


わたしは、わたしの声で、どこにでも参ります。

何処のどなたにも直接、申し上げます。


あの方の意が、わたしの望む全てです、と。





【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画/出入り口/オフェンス・ゾーン】


俺たち国連軍は、この時点、異世界大陸に攻め入った直後、では知らなかった。

ってより軍事参謀委員会が知らなかった、か。


帝国軍のドクトリン。


奇襲を受けたら即撤退。

情勢把握ができるまで、継続撤退。

撤退のための戦闘は許可するが、最小限。


まあ、あれだ。

偵察機で判るのはハード面のみ。

夜間潜水艦で上陸していた特殊部隊でも、ソフト面は判らない。


住民とは接触していたが、帝国軍との接触は避けられていた。


どんな接触だとは言わないが。

いつ接触したのかとも言わないが。


だから、開戦前に帝国軍の戦術を知ることはできなかったのだ。




帝国軍残党は、その副産物。

魔法がいくら時代を突き抜けていても、中世技術が前提の通信網。


魔法使いは貴重であり、しかも魔法使いのすべてが遠距離の意思伝達魔法に長けているわけじゃない。魔法の持つ通信機能を正しく評価している帝国も、意図的に造りだせない魔法使いに頼っている以上、制約が多い。


遠距離通信が確保されているのは、重要拠点間と軍司令部、あるいは特殊部隊のみ。

一般の帝国軍部隊は魔法以前の手段しか使えない。


伝令、伝馬、伝書鳩、狼煙に信号塔。

個々の兵士や小部隊が混乱の中で分散してしまうと、再々集結は不可能だ。

しかも、国連軍の進撃と帝国軍の撤退が早すぎる。


あっという間に、取り残されてしまった帝国軍海岸線防衛部隊。

国連軍支配地域から、もしくは非帝国軍支配地域へ、徒歩だけで本隊に復帰するのは不可能。

そう判断するのも早かっただろう。


しかも、世界帝国の一員だけに戦意は高い。

撤退不可能敵中孤立、なら降伏、とはいかなかった。

よりによって、帝国軍上層部の現方針、が伝わっていないから。


確認し得た限り、開戦後ほどなく帝国軍上層部からは命令が下されている。

確認しうる現場最高指揮官の判断にて、適宜降伏許可。


見敵必殺の国連軍。

逃げずに戦わない相手は大歓迎。

生きた標本、もとい、あれ、捕虜的な何かとして大切にします。

別に降伏勧告しないけどね。



通信途絶が頻発しており、敗走中の部隊にそんな命令が出せるあたり、帝国軍の士気の高さが判る。

まあ、どの部隊も兵士一人一人に至るまで、敗走とは考えていなかったらしいが。

別に言い聞かせなくても、誰もが自然に考える。

降伏してもいいよ、と命令した帝国上層部だってそれは同じだろう。



帝国の勝利。


つまるところ、それは自然法則に近い認識なのだろう。

将官から兵士まで、祖父母の前から最終的な勝利以外見たことがない。

帝国軍の中枢になればなるほど、部隊の骨格になればなるほど自然にそう考える。


理由や根拠なんかない。

ずっとそうだったから今後もそうだと考える。

今まで太陽は東から昇ってきたんだから、これからもそうに違いない。

・・・・・・・・・・・自然法則には理由があるのだが、人が納得するのはこんなところだろう。

つくづく、多世界共通、ってのはあるらしい。


ダメなところで一致すると、殺しあっている立場では安心するが。

長所の面で何とか一致したいなあと精進致しませんがみなさんを応援します。

誰かを応援するために生まれてきたのが、俺の長所。

だから忙しくて頑張れません。



というわけで。


帝国軍上層部にとって隷下部隊の降伏とは、合流不可能な兵士たちを俺たち国連軍に預けること。

俺たちとの戦いが終わったら、次の戦争に活躍させるために。

強敵と戦い、捕虜として間近で過ごすのは良い経験。

特に若い兵士には体験させたい。


降伏した帝国軍将官に訊く。

本当に尋問も自白剤もなしに軽く訊く。

すると、こんな暢気な回答が返ってくる。



捕虜が殺されないし虐待もされていないなら、そう考えるのが当然だろう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って言われても。


なお、帝国軍も国連軍捕虜を大切に保管している。

それはもちろん、情報資産として見ているからであって、人道に類する無目的な観点はない。


だから、当然、世界最強の自分たちに挑んできている俺たち国連軍も、同じように捕虜を守るに違いない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とかなんとか。



ドロボウは周り全部がドロボウに、詐欺師は他人が詐欺師に、善人はすべてが善意に満ち満ちて。

他人を見るときに、自分の延長上に見るのは他世界共通、ということが証明された。


ある意味で、帝国の独善性をよく表している。


オレ様サイコー!

オレ様世界基準!!

オレ様こそ世界だ!!!


というわけで、帝国の考えることは世界がそのまま考えることなんですねなにこのアメリカン。


末端の属領軍兵士や軍属にはそこまでの確信が無かったかもしれない。

だが、中枢が小動こゆるぎもしなければ、皆が習う。



だからこそ、敵中に孤立し降伏許可が伝わっていない帝国部隊。

転進を試み、不可能と知ればその場で戦闘を続けようと考える。



よってこの緒戦の時だけ、残党と言えるモノが出来てしまったのだ。

上陸戦後は、例外を除いて残党は生じていない。


帝国軍の組織的撤退を、国連軍が勝手に支援。


撤退中の帝国軍をいち早く捕捉。

威嚇して牽制して、他の帝国軍部隊と合流させつつ、帝国軍主力が陣取る方向へ追い立てる。

必要なら撤退の邪魔になりそうな反帝国暴動を吹き飛ばしてでも。


国連軍のドクトリンが、あれだからね。

友情、努力、勝利

・・・・・・・・・・じゃなくて。


集積・隔離・殲滅。



帝国軍もまるでそれに合わせてくれるかのように動き続けた。

大半は。


基本的に、数は勝利の帝国軍ドクトリン。

緒戦の混乱から回復すると、各部隊に撤退後退全力全速を命令。

脱落者を出すことがほとんどないくらいに、組織的。


徹底の過程で孤立して指揮系統に復帰できなくとも、帝国軍兵士は情報収集を重ねて、帝国軍支配領域に向かう。それは帝国軍だけではなく、帝国太守などの文官もおなじ。


緒戦で生じた残党の数は、増えていないだろう。


前線が一段落してからの国連軍は、掃討作戦にも力を入れている。時には、しばしばの一歩手前くらいには、都市ごと街ごと村ごと残党を吹き飛ばしたりね。


だから残党の数は減る一方。

だが消えないんだなぁ~。



残党狩りの取りこぼしも当然あり得る。


さらに帝国軍は、遥か彼方で孤立した部隊の使い道を別に見いだしてしまった。

から、降伏許可を与えつつ、別な作戦命令もできる限り与えているらしい。


国連軍に対する情報収集

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・当たり前だが、むしろ主力壊滅後、自然休戦中の主たる活動は、敵も味方も情報収集。



国連軍が占領している、帝国軍が撤退していった広大な地域。ここ十年位に帝国に征服され、最近帝国から解放(?)された大陸沿岸部。


帝国の諜報活動にとっては厄介な地域らしい。



沿岸部での戦いは十年前に実質的に終了。

帝国は新たな侵略計画の為に、軍だけではなく諜報組織・要員の配置替えも進めていた。


つまりちょうど国連軍が上陸してきた時のこの地域は、準戦時下という名目の平時体制だったわけだ。


戦時下ほどの諜報密度を用意しているわけもない。


しかも占領から十年程度。

統治管理体制を築き終わってはいるし、安定もしているが、定着したとはいいがたい。


あと十年。

領民の世代交代が終わり、産まれたときから帝国支配下であった人口が多数派になれば、絶対的安定となっていただろう。


そうはもちろん、ならなかったのだが。


現時点。

住民は一人残らず亡国の民。

その大半の大人は、良かれ悪しかれ全員が滅びた国のことを覚えている。

民心は、良くて非友好、概ね敵対的。


この異世界で、異次元的なほどの卓絶した力を持つ帝国。

その権威ですべてが服従していた。


んが。


抑えつけていた軍隊が、あっさり逃げてしまった。


純軍事的な判断としては当然、妥当、当たり前。

軍事参謀委員会も称賛を惜しまない。

びっくりしたが。


政治的に考えれば、許容するしかない範囲ではあるが、最悪。

ここ沿岸部において帝国の権威は、一夜にして、と言えるほど極端に失墜した。

鬱積していた敵意や、日々日常の不満がすべて向かうほどに。


というわけで、帝国にとって旧領土たる大陸沿岸部は、アウェイ。

逆にそれが帝国軍残党を、しつこく支える力となっている。


困難な任務に燃えるってどうなの?

ドMなの?

社畜なの?


ま、他世界共通で、人間は利益だけで動いたりはしないんですよ。

それじゃなにかと言えば

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自負心を刺激された、と。


苦労して、降伏許可を知らずに潜伏し続けたんだからねぇ。

もう降伏してもいいよ、って言われてもねぇ。

でもより困難な任務もあるよ、って言われたらねぇ



内陸部に後退した帝国には、沿岸部を探る基盤が少ない。


国連軍勢力圏に取り残された、わずかに生き延びる帝国残党。緒戦で敗北し、決戦で敗走した以上、遠く離れた地域に取り残された少数部隊を合流させても仕方がない。


むしろそれは貴重なリソース、今から送り込むには無理がある敵地における工作資源。その一つとして、沿岸部に残したまま再編成されつつある、らしい。


まったく、つくづく、アドリブの利く敵って、やだね。

意味なきところに意味を見出し、利用できない遊兵をまんまそのまま敵地に撃ちこんだ楔とする。


いやほんと、味方に欲しいよ帝国を。



まあ、沿岸部に諜報網を築いたところで、あまり意味がないのだけれど。


地元住民と接点がない国連軍。

間接的な諜報が役にたたず、直接接触する以外に様子をうかがう方法が無い。


だが部隊も拠点も人里離れているし、兵站輸送の中心は内海経由の洋上ときている。


で、近づけば問答無用に殲滅する。


味方以外は全部、敵。

追い払う、なんて発想は国連軍にはない。

地元住民の皆さんも、その辺りはのみこんでいる。

だからあんまり問題にはならない。



だからこそ、帝国残党が接触できる相手は軍政官しかいない。


まあ、ほとんどの軍政官は都市に常駐したりはしていない。

時折訪れ命じて帰る。


接触というのは、望見・聞き込み・写生・魔法での読心的なそれ。

ごく限られた事例としては、テロもある。


実際に行われた。

都市内部の不満を利用。

国連軍とは無関係に、都市支配層への暴動をおこす。

居合わせた軍政部隊に暴徒を近づける。


紛れ込んだ魔法使いが、一気に距離を詰め、軍政官に一撃。

加える前に、街頭が掃射されて失敗。


赤い目の死体から異常をさっとった、当の軍政官。


魔法使いは市井にありふれていない。

誰も身元を知らない魔法使い、そんなの居るわけがない。


都市を封鎖して、暴徒、暴徒と接触がある者すべてを狩りださせ、都市上層部を含む数百人を自白剤で尋問。


そこで、想定しかされていなかった、帝国残党の元気な姿が確認された。

その後はもちろん、出来る限り捕獲。


残党には価値があるからね。

国連軍的に。


暴徒と、暴動前から暴徒と付き合いがあった人々、残党を心から狩り出したいと思えなかった人々には、価値が無いけれど。



こうして最低数千人の、現地の人々にとっては尊い犠牲の上で確認できた、国連軍の新たな脅威。


数人から十数人規模で沿岸部に潜伏し、多くとも数百人程度のネットワークを築き、帝国本土から(国連軍が居座る場所も含めて、沿岸部だって帝国領内なわけだが)人員を除く資金や装備であれば潤沢な支援を受けている。


基本的には情報収集のみで、襲撃に走ることはない。

正規戦で圧勝し続けた帝国軍人が中心だけに、発想が不正規戦に向かわない。それに正規の将校に率いられていることが多く、作戦の見積もりができるので無駄なことはしない。

生還を期さない作戦などもってのほか。


じゃあ、特攻してきた件の魔法使いは何なのか、って話だが。


個人的な事情(読みたくないので読み飛ばし)、偶然にも整った条件、そのグループを指揮していた帝国将校が国連軍の反応に興味を持ったこと。


そんな理由らしい。

つまり、今後もおなじことが起きる可能性がある。


その場合、狙われるのは?


現地社会と接点がある、軍政官。

そして現地協力者。


んな、訳で、暴漢以外も一応警戒しているのですよ。


まあ、それだけなら、この子達に

――――――――――ガスマスクなんかいらんけどさ。




【聖都/内陸側/白骨街道/徴集農民居住地/青龍の貴族左手】


ご主人様の息遣い。

わたしは、眼を向けられているわけでもないのに、わたしのことをお考えなのだとわかりました。


いえいえいえいえいえいえいえ、ちがいます!


考えてほしいな、とか、見てほしいな、とか思っているのはいつもですけれど、でも、ちゃんとわかるんです!!!


ほとんど見ていただいていないってことは

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――はぅ。


でも、お考えになっていただいている時は、わかります。

それが、その、わたしを楽しんでいただいているわけじゃなくとも。


でも、大丈夫です。

ご主人様は言われました。


願いを、話せ。


だから、わたしは申し上げました。


遠くで帰りたがっている人たちを、うちに帰してあげたい。



ご主人様は、喜んでくださいました。


わたしの願いを。

なにより、わたしが願いを言葉にしたことを。


だから、もっともっと、願います。

願って願って、言えるように、したいです。


それが、ご主人様のご意思ですから。

わたしは、ご主人様のご意思には何でも従います。

だからたくさん、わたしに、わたしに命令してくださいね、ご主人様。




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