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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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223/1003

視線(熱~生暖かい~冷たい)

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




防犯/監視カメラ。

これがテロ対策に寄与した事例は存在しない。


原理的に考えれば当然だ。


テロリストを映像から見分ける方法などないからだ。

無作為、多数、様々な場所を監視したところで、いや仮にすべての人間を監視出来たところでどうにもならない。


もしかりに、テロリストが誰か判っているなら役に立つだろう。

もちろん、監視するより逮捕しろ、って話だが。



当然、これからテロを実行する人間が判ったとしても、監視カメラは役に立たない。

無数の映像データをリアルタイムに連結しその中から特定の人物を追跡できる、訳が無い。


何処でテロが実行されるか判れば役に立つだろう。

もちろん、監視するより封鎖しろっ、て話だが。




手遅れになり、テロが実行された後ならば、テロリストを捕まえることができることもある。


全く無意味だが。

テロリズムにとっては、テロの実行がすべて。

事後に犯人を逮捕しても意味がない。



軍人と違って、テロリズムに高度な技術はいらない。

戦果が上がれば後継者が出来る。

幾らでも出てくる。


テロリストに抑止効果などない。

そのテロリストを逮捕しても処刑しても射殺しても、それは後に続く者を励ますだけ。



毎日爆弾がさく裂する。

戦争でもないのに人が死ぬ。

それでもカメラは増え続ける。



どこかで誰かの爆弾が破裂した時に、言い訳する為に。

テロ防止にこれだけの予算をかけたんだ、と言い張るために。

努力が及ばなかったことにして、テロリストにだけ注目させるために。



テロリズムを解消させないために。

リスクの高い社会を変える、コストを払うことを厭うがゆえに。


テロリストが悪いので、自分は絶対悪くない



――――――――――そう、言い聞かせる為に――――――――――――――



自分の頭上がさく裂しても、ガラス片に全身を切り裂かれても、家族や友人が破片になっても。

叫び続ける。


テロリストが全部悪い(自分は悪くない)。



拍手!





【聖都/内陸側/白骨街道/おふぇんす・ぞーん前/青龍の貴族右後ろ側】


わたくし、見栄がありますの。


わたくしたちの定位置、ご領主様の少し後ろ。

周りで護ってくださる、青龍の騎士さまがた。


皆さま、屈強で逞しく、背が高く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見えません、周りが。


わたくしの背が低い、のは、

・・・・・・・・自覚しておりますわ。


あの娘は背伸びして、飛び跳ねるようにして、周囲を見回そうといたします。

まったくもう♪


わたくしは手を繋ぎ、あの娘を止めました。


だって、そうでしょう?

男を見れば女がわかり、逆もまたしかり。


わたくしたちのふるまい一つに、ご領主様の面目がかかっているのですから。



もちろん、わたくし自身、

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――役不足、は覚えのあるところです、わ。


悔しくはありますが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これからです、これから!!!!!!!!!!




【聖都/内陸側/白骨街道/おふぇんす・ぞーんの中/青龍の貴族左後ろ側】


わたしはいつのまにか黄色い光に入り、黄色い光から抜けました。


くるくると見回すと、此処はまるで黄色い光に囲まれた回廊みたいです。


外、街道から見ると全部が光の中みたいなのですが

・・・・・・・・・・光の囲い。


光があるのは境界線の中だけなんですね。

ぞーんの中まで光で満ちていたら歩きにくいかもしれません。



おふぇんす・ぞーん

――――――――――恐ろしく感じない、それが怖いことなのでしょう。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・頭で判っているのに、ついついワクワクしてしまいました。


綺麗な光、賢そうなゴーレムさん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつもより触れてくださるご主人様。




【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画/出入り口/オフェンス・ゾーン】


俺の服の裾をニギニキしてくる魔女っ子。


その、小さな手を握り返す。

離して走りだされちゃ大変だ。


そして同じく落ち着かない、お嬢。

魔女っ子に抱きつく様は、じゃれつく子猫みたいだ。



そんな小さな二人を、微笑ましく見ている兵の視線。

バイザー越しにもかかわらず、何となく伝わってくる。


わかるわ~。


ほっこりするよね

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――俺も込みか??????????



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、いいか。



アレ?

俺がチラ見した兵士が、兵士たちが視線を逸らしてないか。

急に外周警戒一色になったような?




【聖都/内陸側/白骨街道/おふぇんす・ぞーんの中/青龍の貴族背後】


「上官の女に色目を使うNice NTRはWHO?――――――――――ッ」


あたしは慌てて道化を締め上げた。


な・に・お!

ふざけたこと言ってんのよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!


想像させるな!!!

きもちわ、って、別に青龍の騎士を嫌っているわけじゃないけど、不愉快なのよ!!!!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?


へんね?

小娘じゃあるまいし、男が女に向ける視線なんて知れたもの。


今まではそんなこと考えたことなかったのに?

むしろ、ソレを利用したことすらある。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ついつい、青龍の貴族を見てしまった。



いや、無いわ。

触らせたことも、気を持たせたことも無いから。


勝手に贈られてくる品物を巻き上げたり。

口が軽くなるのを放っておいたり。

視線を逸らすのに利用したり。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは、ないことも、なかったけど。



ここ十年は、帝国の統治下で暮らさざるを得なかったし。

剣で片付かない戦い方ばっかりだったし。

森にこもるわけにはいかなかったし。



いいのよ。

間違ってない。

あの娘は人里で暮らすべき。


あたしの好みで森の中に引っ張り込むわけにはいかないわ。


――――――――――――――――――――だめ、かな?




【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画/出入り口/オフェンス・ゾーン】


なんかエルフっ子が心配そうに見ている。

よくわからんが、わかってるふりをして、力強くうなずく俺。


うむ。

笑ったな。


これは結構多用する。

以心伝心、お互いに解りあえたことにすれば、言葉なんかいらない。

特に女子供老人が相手だと、効果にプラス補正が付きます。

判ってないと気がつかれないのが肝心です。



なんとなく丸く収まるんですよ?



今もエルフっ子が安心したようにうつむき、俺の服の裾をつまむ。耳のピクピクからいっても、多少落ち着かないようではあるが、不機嫌ではないことがわかる。


お試しあれ。



『カチッカチッ』

曹長がマイクをつつく。


咳払いみたいなものだ。

部隊内通信で注意をただされた皆、M-14小銃を構え直す。

今のような警戒中とは違い、戦闘中はこのカチッカチッだけで作戦が進んだりする。

いや、ホント。


便利な世の中になったもんだ。

兵隊さんはすごいな。



『隊長』


はいはい?

俺はさりげなく、つまり顔を向けたり、体を向けたりすることなく、魔女っ子&お嬢の髪をくしゃくしゃしながら意識を通信に向ける。


声に出さずに通信を使う。


骨伝導マイクを使えば、声に出さずに声帯の振動だけで、言葉を通信に載せられる。

PtoP通信を使えば、満座の中で特定の相手だけと密談可能。


『視線にご注意を』


いや、さりげなく周囲を警戒、なんてスキルは俺ないもんで。

警戒を兵に任せて、俺自身は即応待機。


『我が隊に命知らずはおりません』


つまりはシスターズの小さい二人を掴んで伏せられるように、心構えだけしておく。

で、なにかな曹長?


『兵が怖がりますから、睨まないでやってください』


なぜ~~~~~~~~~~~~~~???????????????????????





【聖都/内陸側/白骨街道/おふぇんす・ぞーんの中/青龍の貴族背後】


気分を切り替える、あたし。

Colorfulが羨ましそうに見ているし、妹たちがまあ、その、多少場所を譲ってくれているけれど。

それはまた、別の話。


べ・つ・の・は・な・し!



あたしたちを囲む、青龍の騎士が黄色い光を越えた。


あたしは視線を走らせ、耳を立てる。

青龍の騎士たちは次々と先に進む。

もちろん青龍の貴族も、だ。


青龍のゴーレムは、あたしたちには見向きもしない。

それは、首輪があるから当たり前なのだけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ただ、なんとなく

――――――――――ゴーレムに意識されてる?


あたし、気のせいかしら?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか、筒先だ。


巧みに揺れて、あたしたちを避けているわ。

見向きもしない、じゃなくて、見られてる、ってことよね。



あたしが知る大陸のゴーレム。

それは二種類ある。


魔法使いが付いているか、付いていないか。

付いていれば、その意志に従って細かな動作が出来る。

帝国軍ではそれが主流ね。


魔法使いが付いていないゴーレム。

それは、事前に与えられた命令に従う、だけ。

判断を伴う命令は不可能。


ある範囲を指定して無差別攻撃、とか、ただただ指し示された場所を掘り続ける、とか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とても戦場には出せないわよね。

どんなに強くても、狂戦士なんか敵より悪い。

地盤も排土も補強も考えず、自分が埋まるまで掘っても邪魔なだけ。




ゴーレムは命令すれば、何でもできる

――――――――――あたしの知ってる魔法使いの言葉。


でも、命令ができない。


判断をすべて言葉に置き換えることができないから。



敵と味方をどう見分ける?

旗印をどう言葉に置き換える?


紋章の形、線の曲がりや太さや色、それを言葉にするなんてできやしない。布を言葉に置き換えるためには何といえばいいのか、言い様があるのか、そもそも旗印は縫うのだけで出来ているわけじゃない。


何か一つをすべて言葉に置き換える。

それが魔法使いの夢だという。


例え何万言を費やしても、ソレを見たことも聞いたことも無い者に、言葉だけで伝えること。ソレができれば魔法を極められる。


全てを言葉に置き換えることができたら、それは全知全能ということだろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青龍は、それができている、のかしら。


あたしの首輪。

あの娘の首輪。

妹分の首輪。


ソレが、ゴーレムに伝えている。

あたしたちが、青龍の貴族、その女だって。

だから、味方だって。


それは、何をどうやって伝えているの?



まちまちの装備で、バラバラに動く者たち。

つまりはあたしたち。


兵士でもなければ、そんな相手を敵味方で見分けられやしない。ううん、熟練の兵士だって危ないもんだわ。戦場で同士討ちが起きることなんか、昔も今も珍しくない。



でも青龍のゴーレムが的を絞っているのは帝国貴族たち、だけ。つまり青龍が、青龍の貴族が承認を取り消せば、肉塊にされる。


一方で一見して領民と大して差がない、あたしたち。

ゴーレムは一瞥しただけで、無視。


つまり、自分で判断出来る。

帝国の捕虜と、あたしたちを見分けている。


騎士服で整えられた、使役されている捕虜。

あたしたちは革鎧あたし、長衣(あの娘)、ドレスに外套(妹分)。


むしろ帝国軍捕虜の方が、馬を乗り回し自由に振る舞ってる。

あたしたちは、常に青龍の陣形、その中心から動かない。


なのに青龍のゴーレムは、捕虜に的を絞る。

どちらを警戒すべきか、判っている。



指示、されてない、わよね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、みたい。



見た目より別なところ、なにか判らないけれど、で見分けてる?


つまり

――――――――――青龍のゴーレムは、人やエルフみたいに、考える。




【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/領民集積区画/出入り口/オフェンス・ゾーン】


俺の両サイドで肩を震わせている、佐藤と芝。


笑ってるよね?

笑ってるのを隠す気もないよね?


兵士たちの人望で言えば、曹長が一番。

坊さんが二番。

圏外、神父。


三番四番が、選抜歩兵である佐藤と芝。


つまり俺の立場は簡単至極。

一人一人から敬意を勝ち得なくとも、佐藤と芝から無視されなければいいのだが、なんか違う。


曹長は絶対に士官を立てるから、逆に言えばあまり意味がない。

坊さんは俗世から半分はみ出してるし、隠世かくりよに祭られている風情があるような、無いような。

俺のねらい目はこの二人なんだが。


神父は放っておくとして。


みんなと仲良くする必要はない。

みんなと仲が良い人と仲良くすればいい。

皆に一目置かれる必要はない。

皆に一目置かれる人に一目置かれればいい。


これぞ効率、俺の人生の指針である。


みんなに恐れられてる女の苦情窓口になって、皆から同情されたり。

皆から畏れられている女のパシリになって、みんなから恐れられたり。



俺の人生の縮図である。

あれ?




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おいおい考えるか。


先送りしているうちに寿命が尽きれば、なにもしないで済むしな。




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