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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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219/1003

赤の場合/Fall Rot!

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




オレはこんな所で倒れる訳にはいかないんだ。

……オレが守らなきゃいけないんだ。


……誰からも蔑まれ、憎まれ、不利な立場に置かれている人々を


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――オレが守らなきゃ、誰が守るんだ!


原子力発電事業者

国防省

ファーストフード業界

銀行

対人地雷製造販売企業

――――――――――――――――――――みんなを、守る!


《世界の名作映画「Thank You for Smoking」の名シーンをほんの少し脚色》

※この映画は実在する





【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内/エルフっ子の後席】


俺は、諸注意を続けた。


限定的に表示制限が解除された戦術情報。

それは単純なモノだけで、兵士一人一人に与えられる情報とは全く違うゲスト用。



ランクルから降りる前、車体という檻に閉じ込めている間に理解してくれないとな。いや、外に出すと子供が走り出しそうで怖いのだよ。


あくまでも、ここ、第13集積地限定情報だが。


理解しないで行動すると

――――――――――――――――――――マジで死ぬ。



ゴーグル状のUI。

シスターズ&Colorfulに付けさせた、バイザー。


これで、今は二種類の情報が見える。

はずである。


見えるか、と聞いて、全員が返事と頷きで返してくるから、間違いない。

それだけしか見えないようにしているわけだが。

俺がね。



バイザーの視野に、付け加えて表示される色のついた光。


赤はキル・ゾーン。

黄色はオフェンス・ゾーン。


ジャパニーズ・イングリッシュで結構。

国連軍の大半が日本人と、日本化したアメリカ人だ。

全く問題はない。


むしろ、ネイティブの方が伝わらない可能性も

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやいや

さておき。



キル・ゾーンにはIFFなんぞない。

誰も彼もが標的だ。


詳細なんぞない。

イコールそのまま字義通り。



オフェンス・ゾーンにはIFFがある。

だからこそ、下手に動くと巻き込まれる。


詳しく考えれば、敵味方を識別して味方以外を殲滅する、のがここで言うオフェンスの意味。

IFF、は正確には味方識別装置、だからだ。


攻撃側の暗号化された呼び掛けに、正しく返答すれば味方と断言。

断言、 ってのがポイント。


返答出来なければ、敵

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なわけがない。


味方じゃなければ、それ以外。


敵かもしれないし、無関係の第三者かもしれない。IFFが故障した味方ってこともあり得る。

だが、このIFFの方式は、この概念が出現して以来、まったく変化なし。


味方じゃなければ、それ以外。


それが戦場の原則だからだ。

味方以外は、すべて殺す。


これも戦場の原則だ。



生き残るため?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バカバカしい。


生き残るために戦う軍隊などない。

あったら、全員銃殺もの。


戦場の論理に、生存なんて概念はない。

生存なんぞ、戦果計算の変数だ。



生き残る、なんてことを考慮しなければ、答えは簡単。



敵を殺すため。



軍隊は、殺すため、それだけのためだけに存在を許される。


え?

隊員募集用ポスターと言ってることが違う?

・・・・・・・・・・・・・・・入れてしまえばこっちのもんだ?


俺のような兵站将校は、日々、電卓を叩く。


味方以外を一人殺すのにかかったコストは?


何発の弾丸砲弾を使ったか。

何リットルの燃料と走行飛行距離がかさんだか。

味方が何人死んで怪我をしたのか。


様々な数字を積み上げる。


最後の〆は

――――――――――殺せた人間の何割が、敵だったのか?



だから、味方である、この子たちを、こちら側にカウントしなければならない。

そのために、知るべきでも無いことを、教え込んで、だ。




【聖都/内陸側/らんくる中席/青龍の貴族の左膝上】


わたしは目を見張ってしまいました。

透き通った鱗、らんくるさんの窓のような板のようなところから見える、新しい光景。

ずっと見ていたのに、仮面越しにしか見えない世界。



透明な光。

赤くて黄色い光。

その光と通り抜けて見える風景。



綺麗です!!!

キレイです!!!!

素敵です!!!

ステキです!!!!


まるで魔法みたい♪♪♪♪♪♪♪♪♪


仮面をつけただけで、見えていなかったものが見えてくるなんて♪♪♪♪♪♪


触ってみたい!!!!!!!!!!!!!




【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内/エルフっ子の後席】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛いからいいんだけどね。


「ふゃ!」

「あんっ」


じたじたとする膝上の子供たちを掴んで抑える俺。


「ごごごごごごごごごしゅじんさささま」

「ええええとととととわたくしからですかそれとも」



思い出すこの感触。

逃げ回る捨て猫(子猫)を、ご近所総出で捜索し、俺がこの手に捕まえたあの日。

痩せて骨ばっているけれど、小さく柔らかい手のひらサイズの猫。


ちょっと、失礼な回想だったかな?


おとなしくなった、シスターズの小さい二人。

なんか、堪えている表情。


視線で気付かれたかな?


いや、あれだよ?

猫って基本、骨ばっているよ?

けっして発育不良と言いたいわけじゃない。


「「はぁうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」」


うん。

そんなに痩せてない。

年相応というところだろう。

まあ、小さいけどね。

じゃ、前を向こうか。




俺のバイザーにも浮かぶ赤。


近づけば警戒表示〈!〉が浮かぶ。

さらに近づくと〈!〉が点滅。


さらにさらに近づくと警報音が鳴り始める。

音量よりその特徴的な波長で危機感を煽り、最後は耳をつんざいて、止まる。



――――――――――試さないよ?



音が最後なのは、ギリギリまで行動を阻害しないため。

キル・ゾーンに近づく国連軍兵士。

となればうっかり、な場合は有り得ない。

有り得るかもしれないが、想定外。

想定外は死ねばいい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とは言わないが、設計趣旨はそういうこと。


もちろん国連軍兵士以外が接近するのは、想定内。

想定内は殺すべき、断言

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺以外の誰かがね。



最後に警報音が止まるのは、最期までは間があるからだ。


最後の警告を踏み越えたとしても、人生の最期には間に合います。

多分、おそらく、予定では。



なお、人生と言って良いかは審議中。

国連軍兵士にエルフやドワーフ、魔法使いに異世界人が参入してるからだが。


みな、UIを含む標準装備は同じだし。

国連軍は日々多国籍、じゃねえ、多民族、ちがう、多種族化を推進中。



キミキミ、良い毛並みしてるね。

ちょっと地球人類の為に戦わないか?


高給優遇前歴不問、三食白いご飯にビタミン自白剤投与、福利厚生装備支給、思想信条種族自由改造、しかも捕虜からバージョンアップ。


――――――――――以上が歴史的ホワイト企業、国際連合軍求人でした。



帝国軍が俺たち地球人を誘うのと同じ。

珍しい話じゃない。


地球人だって、おんなじノリだった時代がある。

っていうより、国家や民族、そういう概念が最近のもの。

人類史の大半が、帝国と同じノリ。



勝ち目がある方、実入りが良い方、居心地が良い方に転職する。

まさに合衆国チックな転職感覚で。


だから異民族どころか外国人の軍司令官、国王すら珍しくなかった。

念を押すが、洋の東西を問わず、普通の人類史において、だよ?


人類史の例外、現代でも一般的な法則がある。

移民の方が所属国家への忠誠心が厚い、って法則。

これも洋の東西を問わない。


まあ、理屈だよね。


俺みたいに、産まれた場所と血統で、なんとな~くな、日本人。

自意識ができてから取捨選択して熟慮決意して、日本人であることを選んだ人間。


生まれつきの信徒より、改宗者の方が誠実に信仰するといえばわかりやすいか。

わかりにくい?



それに対する違和感を感じるかな?

言ってしまえばの、ここ百年ばかりの方が異常なのだ。



中世の地球人が、現代の地球人を見たら。

驚き呆れるだろう。


ちょうど現代人が、彼らの迷信を嗤うように。



現代人が言う

――――――――――地球は丸い。


平らな海が果てでザアザア落ちてるなんて、バカなことを考えるもんだ。



中世人は嗤う

――――――――――図形を信仰してるおまえ等に言われたくない。


コッキ?

ミンゾク?

なんでそんなものを思いついた?




そして俺は一応、現代人だが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、本人が幸せなら、良いんじゃないですかね。


そんな訳で人生について。


エルフ生?

ドワーフ生?

魔法使い生?

異世界人生?

学生かよ!!!!!!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どーでもいいですかそうですか。




つまり!

――――――――――国連軍兵士にとっては、赤い色、最後の一線を越えても最期じゃない。


キル・ゾーンとは地雷原。


全面に渡って、隙間なく地雷を設置してある訳じゃない。

冷静に慎重に行動し、失敗しなければ。

ノイズにじゃまされたりしなければ。


むしろ、生き残る可能性は高い

――――――――――地雷が何か、知ってさえいれば。


もちろん国連軍兵士以外にとっは、最後は最期

――――――――――例外はない、今のところ。



ここに撒かれた地雷は、対人地雷。


まさに撒かれた、だ。

第13集積地では、地区ごとに仕切りを造ってある。

造ったのは国連軍。


中心となる仕切の名前はキル・ゾーン。

地雷原。


広い広い、とっても広い第十三集積地の、いろんなところにしつらえたのだが。

俺はやってない。


俺の今居る目の前であれば、街道端から始まり外に向かう500m圏内。


M-14で500mと言えば、狙うのが辛くなってくる間合い。

弾幕をはるのは無理だろう。


M-14は制圧射撃用の銃じゃない。

狙撃とはまた別な意味で、狙って撃つ銃だ。

バラまけば弾道が乱れて虚仮威しに成り下がる。


この距離で乱射しても、熟練兵士に容易く距離を詰められる。

避けて隠れて接近上等。


それを、熟練兵士は、知っているから。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、寄っちゃうと動けなくなるけどね。


ただでさえ命中率がいいのに、必中距離で撃たれたら。

急所に当たる必要なく、どっかに当たれば死ぬ。


腕や脚で戦闘不能。衛生兵による応急措置に、専門医師の手当てを受けなきゃ死にます。

自前で手当てして戦線復帰?

試さないよーに。


不可能が可能になる、どころか、物理的に出来ることは何でも出来る

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フィクションの中だけだから。


たかが500m、されど0.5km。

つまり、キルゾーンはM-14装備の国連軍兵士が、接近されないためにある。


もちろん、国連軍兵士側からは一方的に手が届く。


ランクル荷台のM-2なら、余裕よゆー。

木造住宅なんぞ軽く貫通して薙はらう。


12.7mm機関砲弾は必中を狙う物じゃないしね。


徹甲弾は家屋を撃ち抜きながら、音速の木片を撒き散らす。

木片が目を抉り、肉を削り、骨を断つ。


炸裂弾は小さな爆弾。

小さな砲撃は、家屋と隠れ潜む小さな者たちを砕く。


焼夷弾の弾頭は超音速で砕きながら砕かれて、木や釘や肉や骨を、雨中に置いてさえも灼き尽くす。



武装している俺たち。

丸腰の彼ら。


間合いの外。

間合いの内側。

彼我500m。



その間合いを塗り潰す空中散布式地雷は、むき出しである。


表面を覆うのは迷彩塗装、ただそれだけ。

周りの地面に偽装した色をしているだけ。


だからこそ。

最後と最期に間がある。


キルゾーンに踏み込んだら最後。

地雷を踏んだら最期。



知っている者だけが対処できる、生死の隙間。



冷静に対処すれば、状況が赦せば、地雷を避けて地雷原を突破出来る。

少なくとも、第13集積地の地雷原ならば。


もっとも、成功した事例はない。

見分けがつく地雷を、跳びはね跨いで幾百m。

肉体的に健康で頑健なら。


誰にでも出来る

――――――――――知っていれば、だ。


試した何千人。

――――――――――知っていれば、よかったね。



これが異世界と地球の違い。


知っているか、知らないか。

教えられたか、教えられないか。


俺は子供たちを掴みなおした。

教えるからって、試さないよーに。




【聖都/内陸側/らんくる中席/青龍の貴族の右膝上】


わたくしは、目を凝らします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アレね?


触れると魔法で雷撃が上がる、みたいなモノかしら。わざわざ、触るなんて、ついていない人もいるものね。


小さく見難いアレを、時には地面の起伏に紛れるソレ。

これを、渡り抜こうなんて、誰が考える訳がない。


実際、試みた者はいないみたい。

もっともですわ。


だから、アレに殺された人たちは、なにも知らずに踏み込んだだけ。きっと、大勢が殺されたのでしょう。

ご領主様、そして青龍の方々に。



あの娘には最後まで気づかせちゃだめ

――――――――――わたくし、あの娘のお姉さんですわ。




【国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内/エルフっ子の後席】


俺が説明するのはルールのみ。


赤い色に近づくな。

万が一にも入り込んだら、立ち止まってしゃがみこめ。

動くな。



原理なんか知る必要はない。

地雷なんか知らなくてよろしい。


R-15、いや18。

対人地雷のコンセプトより、ハードポルノの方がマシです。

比較おかしい?

たしかに、嫌なものと好きなモノを比べるのは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいや。


地雷地雷。

いろんな意味で。


起爆は振動関知式で、IFFなどついていない安物

――――――――――つまり、無差別。



振動関知部分、簡単なバネと電極と導線の組み合わせ。

その部分を樹脂で固定して、保管。散布前に化学薬品に漬ける。

一定時間漬け込むと、樹脂の崩壊は止まらなくなる。


半日から一日で振動関知が開始。


もちろん樹脂が崩壊する時間は、漬ける時間や薬液濃度で調整可能。

崩壊前は砲弾やロケット弾に入れて、発射して爆散散布でも大丈夫。



丈夫だな~~~~~~~ってか、プラスチック爆薬なんか熱にも衝撃にも反応しないさね~~~。

その間に、ヘリやコイン機で空中散布する。


散布作業自体は自動化されており、ルート上を低空飛行してスイッチを入れるだけ。

農薬散布より簡単

――――――――――らしい。



十数から数百m幅、km単位で撒き散らすのに、一日かからない。



安価安全対人地雷最新版。

威力も弱く、大人なら即死しやしない。



――――――――――致命傷でのたうち回る。



人命に優しく、非人道的。

出来るだけ長く苦しめて、派手な悲鳴苦鳴を、出来るだけ長く。

爆発効果圏外、はるか彼方の人間の、心を壊して刻むため。



たまたま運良く生き延びる

――――――――――稀に良くある。


近くに敵がおらず、腕の良い衛生兵がいれば、ね。

ここで言う致命傷、放置しておけば死ぬ、という意味。


もちろん、フィクションと違って、致命傷を負った人間は応急処置では助からない。ましてや致命傷を負った本人には応急対処すらできない。


だから狙い通り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・即死を避ける慎重な配慮の賜物。



攻撃目標が生き延びる場合も少なくいない、それも対人地雷のコンセプト、一番重要なところ。


地雷からの生存者は、生涯消えない傷を負う。

心理的なそれじゃない。


いや、心理的外傷も背負うかもしれない。

だが、個体差が激しく予測計算出来ない。

兵器設計、兵器発注、作戦構想者にとって計算出来ないことは無意味。


意味があるのはこういうこと。


一生不自由な生活を強いられた人間。

まず本人が戦力外カウント。


その復帰不可能な戦傷者には、サポートが必要だ。

それが戦場であれ、後方であれ同じこと。


そのためのマンパワー、物質、資金。それらが全部、戦場から除外される。


戦略爆撃より効率的。

危険をおかし、物質資材を浪費して、はるか彼方の民間人を殺傷する?


それは、よほどの差、彼我の軍事力の差が無ければ出来ない。



そんな差があるなら、そもそも戦う理由がない。

有利な講和で片がつく。


民間人を殺傷すれば相手の戦意を煽るし、国内外の批判など政治的リスクもある。

そんな無駄より、戦場で殺さないほうが良い。


標的は、手の届く範囲に幾らでもいるんだから。



そのために、その結果を求めて計算された、破壊力。

敵軍に負傷兵を抱えさせて、負担を増やす。

苦しみのたうつ者を抱えさせて、その士気を挫く。

――――――――――ここまでが、戦術兵器としての機能。



周辺の人間に、その社会に、それを背負わせる。

敵勢力の生産を阻害し、戦場に投入出来る人と物を削る。

――――――――――ここまでが、戦略兵器としての機能。



対人地雷

――――――――――そのために考え抜かれ、繰り返し繰り返し実験され続け、実戦に投入されたあと多くの戦果をあげて、結果を受けて、さらに工夫を重ね、大好評。



ついに、異世界デビュー!!!!!!!!!!



まあ、想定戦場が現代地球、民間でさえある程度の衣料が普及している世界想定だから。ここ異世界は第十三集積地では、生き残った者はいないけれど。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?


対人地雷禁止条約?????

なんですかそれ???????


あー、地球では禁止かな。

地球では。


今はすっかり狭くなりましたね。

日本列島ぐらいの範囲では禁止です。


なお、合衆国は条約未加盟です。

よって、在日米軍基地や兵器廠、大使館や領事館では禁止されておりません。

在庫も山のようにあります。


でも、日本の領土ではつかっちゃいけないみたいですよ?



だから、ここ、異世界では様々な形で利用されている。


その一例、第13集積地の場合。

キル・ゾーン。


誰も彼も。

無差別殺傷地帯。

スコア更新中。




【聖都/内陸側/らんくる前席/青龍の貴族の前席】


あたしたちは、教えられたことを確かめた。


青龍の仮面越しに見る龍の視界。

赤い光に包まれた地面に、間隔を空けて並ぶ円形の薄板。

アレが、ソレ。


確かに跳んで跳ねて渡れそう。


人より鋭い、よく見える眼と風を聴く耳

――――――――――エルフ、中でも、あたしなら、ね。


あたしだって、おまえなら簡単だ、って言われなければ考えもしないわよ。


青龍の貴族、彼が言うなら出来るわよね。

やらないけど

――――――――――やるな、って言われたし。


改めて絶対服従を誓ったばかりだから、ってだけじゃないけれど。

あの娘を助ける時以外、従いたい。




それを見透かされて、あたしにだけは、別に命令する青龍の貴族。



―――――――――――――――守れ―――――――――――――――



お陰で、あたしは狂わないで済む。


貴男の言う通り。

自分からは立ち入らない。

貴男の言う通り。

あの娘たちが立ち入ってしまったら助け出す。


貴男の言う通り。

あたしの願う通り。




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