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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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218/1003

拡張(組換)現実/Augmented Reality

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。





人類史上初めて、テロリズムに対し対処を行った人物。



かの人は

「反政府運動は、意見表明の機会が与えられないから、暴力に走る」

と喝破した。


よって

「国論へ迎えることで鎮静化し、有意な論議を得て、国論を統一すべし」

と命じ、自ら実践した。


21世紀に至ってなお、テロリズムの解消をはかった人類唯一無二の事例であろう。


人類史上初めて、教育更正を目的とした刑務所、人足寄場を開いた江戸期の文明。

その方向性を立証する事実である。



惜しむらくは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テロリストたちに、自身の要望を表現する能力が無かったことだ。


彼らは当時の日本における、特殊地域出身者ばかりであり、極限された特異な事情に苦しめられていた。

――――――――――貧困である。




戦国時代末期に敗北した、一大勢力の末裔。

敗戦で大半の領土を失い、過剰な兵力を抱えて逼塞。

大平の世紀、不要労働力として帰農を強いられ、なお名目だけは貴族であった貧困層。


仕えた家が戦えもせずに滅亡したために、生き残ってしまった過剰兵力。

領地を引き継いだ戦勝国に、農奴に落とされた名目貴族。


彼らの数百年もの間に鬱積した不満が、当時の国、藩を越えて溢れ出したのだ。

まあ、現地当局が処置に困って追放した面もあるが。



そんな無教養無産階級が、国粋主義に染まる。

ああ、やっぱり

――――――――――歴史は繰り返す。



19世紀の逸話。



京都守護職本陣に掲げられた会津藩の看板。

尊皇攘夷を唱える浪人、自称浪士が門前に立つ。

中でも一番賢いものが言った。

「くわぃ、つ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・読めなかったのだ。


まるで当時のヨーロッパ並み、文盲率99%!

話し言葉ですら怪しい、コミュニケーション不全患者。



そして、一般的な農夫さえ読み書きし、自然科学を遊びにする江戸期。

騎士階級の末席にある、と自称する、連中が、読み書きも満足に出来ない?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰が想像できるか。



とりわけ江戸期知識人の到達点である、幕府中枢諸侯には。



結果、議論がそもそも始まらない。

チンパンジーと話す方が、マシだろう。


おかしな自負を持たないだけ、コミュニケーションの可能性が開ける。



浮浪者同然の格好で、テンカコッカを口にする。

貧困故の無知蒙昧。


故に、己が惨めに気づいても、それが何故とは考えられない。


考えるためには、言葉が必要だからだ。

言葉とは、産まれついてもっている物ではないからだ。



産まれてから、そんな生物を観たことがない諸侯。


時に身を捨てでも公儀に尽くす、教養人にしか出会っていない。

知恵を巡らし強かに生きる、そんな領民たちしか観たことがない。



救うべき下層階級であれば対処できる。

しかし相手は、ソレを認めない。

ならば尊重すべきだろう。



相手を尊重する。

上流階級の常識。



人を見かけで判断してはいけない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みすぼらしい格好の方に注目すべきだったのだ。


貧困層として扱うのでなければ、精神的な病人として扱うべきだった。




その行き着く先が、テロリズム対カウンターテロリズムの応酬。

冒頭の御仁には、まったく気の毒としか言いようがない。


獣より低いレベルに対し、人として接しようとしてしまったのだから!!!



その御仁を、松平容保という。




自らの世界を外部に表せない人間。


それが人間か、となると議論の余地はある。

だが程度に差はあれど、それは少なからず存在する。



「人間は考える葦である」

――――――――――そう表現したブレーズ・パスカルなら、彼等をナニモノとみただろうか。





【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる前席/青龍の貴族の前席】


「見えるな?」


あたしは被せられた仮面のまま、顎を引かれた。彼、青龍の貴族の右手が頬から顔全体の左側を掴み、左手が顎下に添えられて、顔ごと視線を誘導される。


みぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!

耳に、耳に、みみみ、つよいからつよいから!!!!!!


敏感なんだから!!!!!!!!



彼の顔が直前。

見えるけど、その話じゃないのは、判るぅ、わょ。


あたしは本能に逆らって強引に意識を視線、かれが意図するところに集中。

・・・・・・・・・・半分、よりちょっと多めには、集中。



青龍の貴族の顔それ以外で見えるもの。

ランクルの外、道の向こう。



――――――――――――――赤い、光――――――――――――――――



思わず目を凝らしてしまう。


遠近感が、変、かしら?

これは、あそこに在るの?

それとも


その瞬間、青龍の貴族が、無造作にあたしの肩を掴む。

あたしは身を任せたまま。


青龍の貴族は周り、その膝上の妹分たち、両脇背後のColorfulたちを見回した。

あたしも続いて周りを見たら

――――――――――――――――――――みんなが、仮面をつけている。



それぞれ色が違う。


白・朱・翠・碧・橙。

Colorfulは髪の色に合わせてるわ。


あの娘は紅、Colorfulの朱とは明らかに違うから、比べると目立つわね。

妹分の青は、Colorfulの碧とは、やっぱり違う。


髪、じゃなくて瞳の色、か。



あたしは、緑かしら?

もちろん、Colorfulの翠とは違う、あたしだけの色

――――――――――ちょっと、だいぶ、嬉しい。


たぶん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなつもりは無いんだろうけど。




【異世界大陸北東部/国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内/エルフっ子の後席】


俺はバイザーをチェック。


ずっと、すっごく、うしろ、つまり俺を睨んでいた緑の瞳。

エルフっ子の目元が隠れた。


いや、睨まれていたから、安心したのは確かですけどね?


緑の瞳が嫌いってわけじゃないので、残念でもある。

バイザー越しに在る程度見えるしね。



システムの仕様をおさらいしよう。主にエルフっ子の視線を追って、一つ一つチェックリストを埋めていく。


つまりは動作確認。


魔女っ子、お嬢、Colorfulじゃ確認にならない。礼儀正しいというか、子供特有の一点集中というかで、つかんだ俺をじっと見てくるからだ。


相手の眼を見て話しましょう。


うん、基本だ。

この場合困るだけだから、矯正するほどのことじゃない。


でもって、子供は意識的にも肉体的にも視野狭窄に陥りやすい。元々の視野が狭いし、情報処理能力に限界があるからだが。


エルフっ子に見本を務めさせる

俺は声に出して、皆に何が見えるか確認させる。



マニュアルを見ながら。

俺は普段使ってないからな。


つまりは自衛隊、ってか先進国軍隊標準御用達、携行情報端末用UIユーザーインターフェイス

本来はフルフェイスヘルメットの前、フェイスカバーに取り付けられている物を、独立させたもの。

ヘルメット無しで活動する軍政官や将官向けの仕様。



機能は同じだ。

個々の兵士に与えられた役割に応じて、様々な情報を送受信できる。



情報元はまず、階級に依らず兵士たちが装着する各種センサー類。


まずはお約束のバイタルチェッカー。

体温、血圧、心拍数に呼吸などを数値化するアレ。


視線や銃身に連動して焦点を切り替えるカメラに、周音マイク。

カメラは動体に、マイクは人口音に反応してアラートが表示。IFF(敵味方識別装置)と連動しているし、感度は調節出来るから邪魔にはならない。



次に個々の兵士を越えた上位系センサー。


まずもって、非携行各種装備(車両とか飛翔体とか)には有人であれ無人であれ、位置や状態を示す計測器がついている。


位置残弾、稼働装備に残航続/移動距離は自動計測。

損害を受けた場合は乗員や付近の兵士が手動入力。

この情報で味方の状態が判る。


更に味方以外の情報。

配備車両の索敵機器になれば、此処の兵士が身につけている物より精度や強度も上がっている。


部隊配備の偵察ユニットは、指揮官の判断でピンポイント索敵戦況観察に動く。

いざ戦闘中に指示困難になれば、自動的にエンドレスエイト。一定範囲を八の字飛行し、索敵範囲の動きに応じて追尾接近離脱する。


加えてシステムとしては偵察機や偵察衛星が想定。

世界が地球しかなかった時は、限りある機体や衛星から割り当てられる場合もあった。

あった、というからには頻度は高くない。


だが今は哨戒気球がいない場所での戦闘なんか有り得ない。なにしろ偽装迷彩した気球が攻撃されることが無い。


むしろ高々度情報密度は異世界転移後の方が、上がっている。



これら大小高低複数の情報が、現場指揮管制システムが集約。管制システムは指揮所設置の固定式か車両搭載の移動式か、どちらかが必ずある。


現場が集約した情報は更に々々々上部指揮系統がもつ、高度化された管制システムに繋がり、アップロードとフィードバックを繰り返す。


上部指揮系統の集約拠点は異世界大陸で言えば出島と言われる拠点であり、海上で言えば第七艦隊旗艦ブルーリッジであり、大元をたどれば日本列島の米軍基地にあたる。


ここまでくれば、戦争全体が一つのネットワークに内包されている、といえるだろう。



邪魔になるのはECMと、ヒューマンエラー。


異世界転移後、ECMだけは心配ない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だけは。


ヒューマンエラーはあきらめよう。

どうせその辺りはシステム設計で計算されてるだろうし。

次!



もちろん、フィードバックされる情報は極限される。


上下構造、左右構造から集められた情報。

個々の兵士が人間である以上、意識的に処理出来る情報量は僅かなもの。

それを越えれば邪魔にしかならない。


目の前に敵がいることを想定しているシステム。


遠隔地の戦況を知っても意味はないし、一兵士が隣接地域の戦況を知っても仕方がない。

戦闘に役立たないばかりか、集中の妨げになる。



もっと重要なのは、情報を限定すること。


かつての軍隊。

――――――――――兵士はなにも知る必要が無い。

いまの軍隊。

――――――――――兵士には知っていると思いこませる。



親しい戦友の死傷を知らせずに、戦闘に集中させる。

部下の交友関係を指揮官が把握するのは、指揮官の常識。それはスパイ狩りや監視による規律維持、だけが目的じゃない。


もちろん、自隊以外の戦況など知らせない事にも裏の意味がある。


勝っていると知らせれば気を抜きかねない。

負けていると知らせれば士気を砕きかねない。


味方の損害を知らせないことで、任務に集中させる。

戦況全体を悟らせずに、戦場に集中させる。



もっとも重要なのは、統制。


情報を統制することで、行動を統制する。

何を知らせるか選べれば、何を決断するか選ばせることができる。

別に戦場だけのテクニックじゃあない。



退路を悟らせずに、死守させる。

増援を偽装して、戦意を保つ。


敵を少なく見せかけて、希望を繋がせる。

勝利間近と錯覚させて、最期の突撃に走らせる。


護るべき民間人が後ろにいる、と思わせて士気高揚。

――――――――――だいたい、ろくでもないが。


なにもかも、一人一人の自発的な決断で、命じることなく実現できる。



耳も目も、口も鼻も肌も、五感のすべてを戦闘装備でくるみこむ。

戦場の危険から隔離する、だけじゃない。

事実としての世界から隔離する、だ。



情報戦とは、まずもって味方に対して施される。

情報それ自体は、真偽どちらでも構わない。




それに慣れさせずに、日常化させる

――――――――――最新戦争のリアル、兵士が知るリアル。



与えられる情報/事実は各々の立場に応じた、必要最小限。


与えるのは?

将校以上は職責に応じて、隷下人員の設定調節が可能。


兵士であれば、攻撃/防御圏内の味方と味方以外。

味方については戦闘可否と射界、準備を含む発砲中か待機中か。


選抜射手であれば、加えて優先攻撃対象。

下士官には加えて、管理下兵卒の赤青黄色のバイタルデータの簡略表示、すなわちステータスに装備弾薬消耗状況。


衛生兵には範囲内兵士の詳細ステータス、簡略表示以上、血圧心拍平常時緊張時現在の差分を含む、数値データ。

将校は下士官以上のステータス。

それに指揮下部隊の周辺に限定した戦況。




これから子供たちが見せられるのは、俺が取捨選択した情報。

シスターズ&Colorfulに装着させた、バイザー型UI。

第13集積地における、俺が統制する

――――――――――リアル。



つまりは、デタラメ。





【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる前席/青龍の貴族の左膝上】


あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

えぇと、違いました。わたしを持ち上げくださる、ご主人様。

ちいねえ様が、耳元で。


「触れていただけた、と思ったのでしょう」


――――――――――言わないでください!!!!!!!!!!


わたしは声を詰まらせながら、ご主人様を窺います。

き、き、き、きこえましたよね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聴いていらっしゃい、ませんでした。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる前席/青龍の貴族の右膝上】


わたくしと同じがっかりをともにする、あの娘。

二人で気を取り直して、気を逸らして、見回しましたわ。


わたくしたちを乗せている、らんくるの周り。

ご領主様が、わたくしたちを少し浮かせて下さいます。


お尻から太ももにかけて、しっかり掴んでいただきました。

わたくしの背丈でも、良く見えますわ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さいことは、自覚してますのよ?


いいんです――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――

ご領主様は小さいほうがお好みなんですから!!!!!!!!!!




【異世界大陸北東部/国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内/エルフっ子の後席】


俺は魔女っ子、お嬢を抱き寄せ、エルフっ子やColorfulを確認。

つまりは子守、いやいやいやいやいや、そう、引率。

曹長は運転中、神父は追放中。


「ヒシャクをplease!」


ネタわかんねーから。

ランクルの屋根上でも細かくネタを挟む、芸人の鏡。


え?


神父の神父は種族名だ。

国連軍監察官は分類名。

その役割は芸人。


そして我が部下に付けられている兵士諸君。

国連軍兵士、芝や佐藤、曹長、そして別ランクル、左右前後に乗っている部下たち。


皆、フェイスカバーを閉鎖。


まだ、密閉はしていない。

ガスを使う時は、ワンタッチで閉鎖可能。

呼吸器系のガスなら、これだけで防げる。


え、ま、まあ、使われる想定はしてないけどね?



『カチッカチッ』

軍政部隊系通信に響く音。

曹長がフェイスカバー脇のマイクを小突いた音。


部下6人は二台のランクルを降りて、散開。

各車二名ずつ、M-2を構えた者、ドライバー、合計4人だけが車内に残る。


佐藤、芝はバイク、にまたがったまま。



うむ。

予定通りだな!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れてた、命令するのを。



俺が何も言わずとも、事前の打ち合わせ通りに話が進む。

素敵な職場です

――――――――――とは間違っても態度や口にださない。


いや、曹長に悪いし。


ほんと、すいません

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、前に言って怒られました。


その前に、寸止めされたから仕切り直ししたのに。


兵の前を自覚してください!!!!!!!!!!

って凄まれたから、人目を避けたのに。



三回目はどーしよっかな~~~~~~~~~~?

戦争が終わったら、曹長の家に菓子折りもって突撃か???


奥さんに受け取らせてしまえば、むげにもできまい。

こわい曹長も子煩悩らしいからな、子供用のお土産も用意してやろう。


うむ。

作戦は決まった。

から、今の作戦に戻ろう。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる前席/青龍の貴族の前席】


らんくるは止まった。

でも、あたしたちは載せられたまま。

青龍の貴族が向けた視線を、あたしたちも追う。


「聴こえたら返事」

「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」」


あたしたちの返事を確かめる、青龍の貴族。


「赤い光が見えるな?」


あたしたちは、都度、はい、と返す。

普段の彼、青龍の貴族とは違う。



いつもなら、誰が聴いていようがいまいが気に留めない。


突然一方的に命令。

聴いてようが聴いていまいがお構いなし。

だから確認もしない。


青龍の貴族、その周りにいるに者は常に彼に集中している。

あたしたちはもちろん、青龍の騎士たちも王城の奉公人も、参事会の面々も。

だから問題ないんだけれど。


そもそも、命じなくても皆が走るしね。


あたしたちに、そんな手間をかけることなんかないのに。

でも、そんなことは知っている、わよね。


今回に限って、ってことは。

あたしは、あの娘たちも、与えられた命令の重大さを刻み込む。



「赤い光に近づくな」


あたしたちが目を向ける、赤い光。

仮面を付けた時だけ見えるみたい。


ってことは、今できたわけじゃない、かしら。


ここは街道の真ん中。

街道の外側は、すべて赤い光で仕切られていた。

見渡せば、ずっと先まで、ずっと前から。



街道からはみ出したらダメ、ってこと?



「殺される」


――――――――――ダメって程度じゃないわね。

す、じゃなくて、される

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴男以外に、か。


「黄色い光の中に行くのは、俺が、行け、と言った時だけ」


赤い光は街道から、その先に離れた壁まで続いている。

壁、じゃなくて、壁に見える木造の平屋、壁状の連なりだけど。


石壁や煉瓦造りは都市や城だけ。

街壁なんかでは、あまりないわよね。


普通の集落なら木の柵止まり。

街なら一応、木造の壁。


そういう基準で見る、街道脇を塞いでいる、木造の平屋、の連なり。


豊かで大きな街に匹敵するわ。

そして、らんくるに載せられたまま見るともなしに見ていたのだけど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青龍の貴族、ずっと彼ばかり見ていた訳じゃなないから!!


他にも時々は見ていたわ。

あの娘や妹分、Colorful、そして帝国騎士や青龍の道化

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・壁はあんまり、見てなかった。



でも確か、壁には所々、隙間、っていうより入口のような開口部があった、と思う。

我ながら、情けない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・要反省。



――――――――――で、青龍の貴族が言う黄色い光。


今、ランクルの横。

街道から壁まで広がる赤い光。

それを切り裂き分ける、黄色い光。


やっぱり、街道から壁の開口部までを繋いでいるみたい。


「黄色い光の中では、俺の命令に従え」


――――――――――今更、なに言ってるのよ??????????

でも、態度以外で命令されるなら、一歩前進かしら。



「俺が止まれと言ったら、敵の剣が迫っていても止まれ」


??????????




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