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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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216/1003

点と線

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。




日の丸はとても大切なものだ。


旭日旗とあわせて江戸時代から続く意匠なのだからな。

大切なものは守らなければならないだろう。

守るためにしまっておくのが一番だ。


傷まないように、奥にしまって、使わない。



掲げて汚れるのは星条旗、おっと今は違う、国連旗でいいじゃないか?


《政権与党第一党常任幹事会の一コマ》




【異世界大陸北東部/国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内】


俺はエルフっ子が向けた水に応え、皆に説明。

皆に。



要注意。

エルフっ子の表情は笑っているが、眼が笑ってません。


聖都については事前に説明していたつもり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさに、つもりだったのが、大失敗。


第13集積地

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・集積地と考えるとR指定だらけだからな。


その中でも、帝国捕虜の話は無難

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と地雷がこんがらがっている。



ふっ!

口先回避は公務員の基本、我に秘策あり

――――――慎重にいこう。


なるべく触れたくない。


が、今、俺たちの乗っているランクルと併走している三人。こいつらは何なのか、というエルフっ子の疑問はもっともだ。



そりゃ、いきなり帝国軍の軍装のまま、武装して騎乗して出てくればね?


帝国はエルフという種族にとって、敵だ。

異世界でエルフを根絶やしにしようなんて考えたのは、帝国が初めてらしい。仲の悪いドワーフだって、種族を根絶やしにしようなんて考えたことはないとか。


勝手に滅びないかと期待してはいたらしいが。


そんな同胞を殺して殺して殺し続けてきた怨敵をにらむ、エルフっ子。


だが、手を出させるわけにはいかない。

もちろん、手を出したりもしないだろう。

俺を立ててくれているんだから、ええ娘や。



わかる、わかるよ、わかってほしい。



単純に言えば、こうなる。

国連軍が聖都に進撃した時に、降伏した帝国部隊。

その司令部。


それが、三人の騎士。


一騎が将官にして部隊指揮官

残りの騎士二人は参謀将校らしい。


将軍と軍師、軍監的な呼び方が適切か?


帝国軍捕虜。

それは異世界大陸沿岸部に、山ほどいる。


とりあえず皆殺し、の国連軍でも、最初の包囲殲滅後に生きていれば回収する。

生き残ったのなら、特殊な生物かもしれないじゃないか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・運が良かった者しか見つかってない。


無駄だから処分

――――――――――とか、軍事参謀委員会が言い出さないか、前線指揮官たちはドキドキである。


なんでドキドキかなんて、言うまでもないよね?


虐殺は気まずい。

――――――――――経験者、俺、は語る――――――――――


なにが気まずいって、あなた!

慣れるまでもないところ。


動悸も、息切れも、吐き気もしない。

魔女っ子をだましてる今の方が、よっぽど罪悪感を感じる。

でも騙すけど。


要は、違和感。

いままでパブロフの犬的に仕込まれていた条件反射、それがあっさり解除されてなお、残滓が残ってはいるからだろう。


ブザーが鳴っても満腹だからよだれがでない。

しかし、口元が気になる。


――――――――――みたいな?



ひとごろしはたいへんなことです。



社会維持の為に偽装された条件反射。

国際連合、ってかその背後で明瞭に暗躍している日本議会与党連合は、その仕組みを放棄する予定はない。

ってことは、この違和感を放棄するのはマズい。


しくみ、って奴を再建できるようにしておいた方がいい。


だからなんだかんだと理屈をつけて、虐殺やらなんやらを回避するようにする。

国際連合前線指揮官アルアル。


まあ、絶対に必要だったら、三佐みたいな将官級の権力者が問答無用で実行させるしね。

それまではジタバタするんですよ。


殺さない理由を求めて。

最小限殺す理由を求めて。


何か生き残ってるなら、少し様子を見て生かしておきましょうよ。

一見わからないだけで、特殊な資質が無いと断言もできないじゃないですか。


ない?


でもほら、異能生存体とかね?

一見普通で、隅々まで調べても普通で、実はとんでもない特殊生物である可能性に賭けないか???



知らない人はググってみよう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・古い?

なんで俺の年代が知ってるんだ、っていう可能性もね?




高校生のころ、年上の友人たちに年齢詐称疑惑をかけられたのは、伊達じゃない。

作品とは世代を超えて、100年を越えるから作品なんです。


来年忘れられてたら製品。

朧気に心当たりがある程度なら良品。

創作とはかくあるべし応援してます応援だけは。




だから例えが古いのはともかく。

俺は言いたい、軍事参謀委員会に。


あらゆる可能性を追求すべきなんですよ!!!!!!!!!!

だから殺すのちょっと待って、なるべく控え目に!!!!!!!!!!!!!



たんに殺しまくるのは嫌だなあ、とか、嫌だなぁ、くらいで収まる自分が気に入らないとか、小細工はいろいろ大変なので、言いたいことが多いのです。


それを声に出して言ったとは言わないが。

声に出さずにどう言うのかという話だが。

そう言うに言えずに言ったような気がする。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・話を戻そう。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の左前】


あたしは不愉快だった。


あの娘の眼をそらす、それが青龍の貴族、その意思。

ソレはそれとして従うわ。

あの娘の為になることだし、あの娘の為にならないことを、彼、青龍の貴族がするわけないし。



・・・・・・けれど、理性とは別に癇に障っているのよね。



なんで、青龍の敵、帝国騎士が、青龍の支配地にいるのよ。

しかも、青龍の貴族に、無礼で馴れ馴れしく無遠慮で図々しい。


それに第一、初めて会ったのよね?

彼、青龍の貴族とずっと、一カ月以上一緒にいるのよ、あたしたち。

なのに、これはなにかしら??????


言えないけど。



でも。

これも、青龍の貴族、その意向。

あたしなりに、青龍の貴族、その話をまとめてみる。



青龍の対帝国戦争には、今まで二回山場があった、と。


一度目は初戦。

青龍が海から大陸に乗り上がり、沿岸部の諸都市から帝国軍を追い払った時。

この時は、すでに聖都は青龍に発見されていた。


まあ、攻めて来る前に、周到に準備していた青龍の軍勢。

聖都ほど大きくて特異な場所を見逃すわけないわよね。



でも、確かめただけで放置。

百万からの人数が集まっているのがわかったけれど、兵士や戦士ではない、と判断されたから。


もしも軍と思われたら、帝国軍じゃなくても、とりあえず皆殺し。帝国軍と戦っている時に、別な軍百万が居たら邪魔になるかもしれないから。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんとに、極端ね。



統制された集まりが、野営している。

これだけなら、軍と見えるわね。


ただ装備、特に衣服に統一感がない。

逆に、武装して兵装を合わせた帝国軍が、同じ地域の別に居る。

ならば、軍の支配下にあっても別の集まり。

つまり、軍ではない、だろう、と。


同居している、明らかな帝国軍の方は、規模が小さいからどうでもいい。


それで、後回しにされたみたいね。

だから、聖都にいた人間の大半は生き残れた。



あたしたちは、太守府の連中を助ける事が出来る。



良かった、かしらね、まあ一応。


ここで天秤が傾いたら、あたしたちが聖都に来なくても、済んだのに。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の左膝】


わたし、たちがご主人様に出会えた時。青龍のみなさんが、ここ聖都を訪れたのは同じ頃。


帝国との戦いが、一段落して1ヶ月くらい後。

それは何十万という人たち、帝国軍の人たちが滅ぼされた後。


その後。

帝国の人たちは騎士も太守も役人も、みんな内陸へ移動したのだとか。


青龍のみなさんは、東側、海に影響されることが多い地方、大陸の半分から帝国の人たちを追い払います。

そのあと、領主のいなくなった、山脈で隔てられた広大で豊かな沿岸一帯を支配

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――しませんでした。



ただただ、一帯を一回り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帝国貴族を追い求める、残党狩り。



わたしの住む太守府にも、青龍の女将軍さんが来ましたけれど。


だから、あの頃なにが起きたのが、だいたいわかります。

そして青龍のみなさんは後から、領主さまを置いたそうです。

訪れた場所、その、ほんの一部の土地だけに。


ご主人さまも、そのお一人。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の右膝】


わたくしたちの住む邦に、ご領主様が置かれた。


青龍の公女の命にて

――――――――――これは、わたくしたち、考えるべきところよね。



青龍の公女さま。

あの年齢の読めない、ひと



何者かしら?

青龍の宰相、その娘。

帝国への戦を取り仕切る青龍の傭兵元帥、それも女だけれど、彼女に直接繋がっている。

そして青龍の公女さま自身は、この広い大陸全体を蹂躙して回る青龍の、戦場以外、全てを取り仕切っている、みたいよね。


そんな権力者が、この邦に興味を持った。


ううん、子飼いの貴族(ご領主様よ)を敢えて配した。

その理由、うぅん、原因かも

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの娘、以外にありませんわよね。



初めて青龍が邦を訪れた、あの日も、でしたわ。


わたくしの注意が足りないばかりに、あの娘が

――――――――――――――――――――――――――――――危険な場所に!!!!!!!!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたくしが、あの娘を何もかもから護れる、などとは申しませんけれど。


あの日あの時、青龍の女将軍が来るなんて、予想しようがありませんし。


だから、昼間、空高く竜が飛びすぎた、と事情通が囁いた日。

竜ではなく、龍、ちぬーくさんのように言葉を話す龍だったのかもしれませんけれど。


あの頃、青龍と龍を結びつけることなどありません。


お父様から、飛び過ぎていった飛竜らしき何かの話を聞いた、わたくし。

あの娘と昼間一緒に過ごし、夜は自宅に戻ったわ。


うちに泊めるのは、あの娘が嫌がるから仕方なく。


気にしなくていいのに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・我が家に出入りしながら、あの娘を侮った者は皆、街を追い出してやるのに。

――――――――――――――――――――――――――――――あの娘には、それすら耐えられない。



無関係でも泣き出すんだから!!!!!!!!!!


わたくしは、あの娘を嘲る者が嫌い。

わたくしが嫌えば、街を追い出される。


身代を失うだけよ?


なんて優しい扱い。

なのに

――――――――――あの娘は自分を責めて、涙で溺れ死んじゃうわ。



使用人以外は事前に躾られないから、防げないのよね。

わたくしと一緒にいれば余計な連中もやってくるし、わたくしの家に連れ込めば行き届かない連中の目に触れる。


わたくしが常に一緒にはいられない。

それが、あの娘に無理をさせてしまうから。



あの娘と気兼ねなく過ごせる毎日。


わたくしには不可能な、夢

――――――――――ご領主様に、叶えて頂きましたけれど♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それまでの、綱渡りな日々といったら!!!!!!!!!!


いえ、あの娘のせいばかりじゃないわ。



特にキッカケは、毎回々、絶えることもなく耐えることのない愚か者。

そんな馬鹿な連中が、あの娘に勝手にかかわっていく。



青龍が初めて邦にやって来た日、考えなしに青龍の騎士団、その面前に出た参事。

歳だけ経て、形ばかりの慰労を兼ねて、名前だけあたえられた参事。

が、仕出かした時、それを救ったのが、あの娘

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それで、青龍の公女さまが、この邦に、いいえ、あの娘に、目を付けたわけよね。


※<第12部分 あなたのご子息は我々が殺害いたしました。>より



目の付け所が違うわ。

あの娘の、そういうところに目を付けた者はいませんでしたのに。


結果、うち捨てられておくべき場所、青龍にとってはだけど、に領主が与えられたのね。



いらっしゃったのが、ご領主様だったのは、幸運だったわ。

ご領主様に、あの娘共々召し上げて頂けたのは、奇跡よ。



あの娘、わたくしのお父様を含めて、参事会や市民や太守府を救った。


※<第9部分 冬の日。春の日。>より



自分を全て差し出した、あの娘が居たから

――――――――――――――――――――青龍の公女さまは、お目が高い。


だからこそ、その先が気になりますわ。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の左前】


あたしは、解った、とは言えない。

でも、判った、と思うわ。


青龍の貴族が説明を考えながら、あたしたちに見せた絵図。



――――――――――帝国風に言えば、地図。


知っている街、都市、河、街道、山々に海。

それを空から見下ろした青龍の視界。


さらにそれに注釈を加えた、青龍の貴族、その指先一つで皆の前に生まれる幻。


そこに聖都も太守府も、青龍の旗が現れた。

たぶん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・占領した順番、だと思うんだけど。



話に聞いた、青龍の進撃路。

旗が現れる順番が、大河河口の大港湾から始まったから。

旗が立っていく流れを通してみると、なんとなく伝わってくる。



青龍がまず持って、領主を置く場所。



戦の道筋。

これは妹分が気がついたのだけど。


街道や水路に印がついていて、旗が順に広がっていった。

海沿い大河沿いの港や津、内陸側の都市。

あたしが見知っている場所ばかり。



―――――商いの流れじゃありません?―――――



と妹分に言われてみれば、船や馬、隊商を探す時に覚えがある場所ばかり。

遥か高みから、青龍の眼でみれば、もっと特徴が判る。


回り道が、不可能か難しい場所。


そんな

――――――――――点ばかり。


青龍は、都市や港を穫ったわけじゃなかった。

人や物の流れ、そのものを抑えている。


それが最初に領主を置いた場所。



じゃあ、次に青龍の領主が置かれたのは?


帝国軍、帝国の税や兵糧が集められているところ。

最初の場所と重なっていることも多いけれど、離れている時もあるみたい。

莫大な兵糧や武器。

蓄えて整備して把握して、必要に応じて引っ張り出せなきゃならない。

その為には広い場所が必要。


普段から様々な商品商人が行き交う街や港には、余計な場所が無いこともあるからかしらね。



そして最後に領主が置かれたのが、たぶん、興味が惹かれた場所。

青龍の好奇心が刺激された場所。


あたしたちが住んでいた邦、太守領が、それ。

ここ、聖都も、それ。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の右膝】


わたしは、ご主人さまのお話を聞いて、頭を抱えそうでした。


太守領から連れて行かれた、たくさんの人たち。

青龍のみなさんは、不思議に思っていたそうです。


たくさんの、兵隊でも騎士でもない人たち。


春が近いのに、畑を耕すでもありません。

帝国の人たちが、なぜか、畑を潰すつもりだったから

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・周りの畑はみんな宿舎が造られていました。


近くに大きな聖都があって、壊れているけど直さない。


これも帝国の方針で、聖都を根こそぎにする

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、青龍のみなさんが攻めてきたから、中止していたみたいです。


一見すれば、百万もの人たちが、ただ、そこにいるだけ。


訳が分かりませんよね

――――――――――――――――――わからない、だから、興味っていうのが、青龍のみなさんらしいのですが。




【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の左前】


あたしは、帝国らしさに、呆れて感心。


戦いが終わった後の聖都には、帝国軍がいた、わけね。

徴用した領民を働かせる為に、脱走を防ぐために。


そこまでは、当たり前。



青龍がやって来て、帝国軍はすぐに降伏。

すでに帝国軍主力、西方総軍が全滅した後。


青龍の力は知られていて、戦っても無駄としれていた。

戦う前なら降伏を受け入れることも、わかっていたから。


そもそも、聖都に残っていたのは最小限の帝国軍だけだったみたい。


竜や魔法使いは、決戦に備えて撤退させていたとか

――――――――――無駄だったけれど。




聖都に残った帝国軍の目的。


百万の領民を、青龍に押し付ける、こと。


出身地から切り離されて集められた百万人。

帝国軍が居なくなれば、それがすべて難民になる。

てんでバラバラに故郷を目指してしまう。


周辺の村や街、都市を喰い荒らしながら。


奪う難民と防ごうとする街々村々。

凄惨な殺し合いが起こる。


そうなれば、大陸沿岸、その東北部が破滅してしまうわよね。



帝国は、それが許せない。


大勢の領民に対する、大陸の広大な領地への責任?

まさか

――――――――――すぐに帰ってくるつもりだった、から、よ。



未だに、帝国は勝利を疑っていない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まったく。


聖都はおろか、大陸東北部、それどころかほとんど一瞬で失った沿岸部全体を、青龍から取り返す、つもり。


ソレが当たり前の既定路線。



だから、領地の価値が下がったら、帝国が困る。

未だに予定している西方征服、あるいは青龍討伐。


特に、東の海、その果てにあるらしい青龍本国。

帝国が青龍本国を攻める為に、沿岸部が荒れたら困る。



だから、百万人を難民にしてはならない。


だけど帝国全軍、青龍と戦って敗走中。

要らなくなったから、どうするか。

百万人を皆殺しにする、時間も戦力も惜しい。

で、考えた訳ね。




――――全部、青龍に押し付けよう――――――





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