シェヘラザード
【用語】
『赤龍』『帝国』:地球人と戦う異世界の世界帝国。飛龍と土竜の竜騎兵と魔法使いを組み合わせた征服国家。70年ほどかけてユーラシア大陸に匹敵する面積を持つ大陸の東半分を征服した。特段差別的な国家ではないが、エルフという種族を絶滅させる政策を進めている。
『魔法』:異世界の赤い目をした人間が使う奇跡の力。遠距離の破壊、伝達、遠隔視、読心などが使える。魔法使いを帝国では組織的に養成しており、貴族に準ずるものとして扱われる。
『魔剣』:異世界最強を謳われた魔法騎士、「黒騎士」が振るっていた剣。国連軍との戦闘において203mm砲弾を、その剣で起爆前に弾き飛ばしたことが確認されている。
『魔法騎士』:竜騎士と魔法使いを兼ねる極めて稀少な存在。騎士として魔法使いとして稀有な戦闘力を誇る。異世界大陸に複数国家があった時代は「数各国に一人いるかどうか」というほど稀な存在だった。
『エルフ』:異世界の種族。基本形態は人と同じく四肢がある。手足指の数は同じ。全体に背が高く細身。女性は概ねメリハリがあり、男性は細身でありながら筋肉質。人間の美的感覚で言えば総じて美しい。異世界の他の種族と比べて圧倒的に長命、絶対的な不老。10代から20代を少し超えた程度で老化しなくなる。俊敏で器用、五感が鋭く、感染症になりにくい。帝国から絶滅すべき種族とされており、帝国統治下の大陸では奴隷として以外の生存が赦されていない。
『ハーフエルフ』:エルフと人間の間に生まれた混血種族。エルフに似た美しい容姿と不老、不妊、それ以外は人並みの種族。異世界全体としてすべての種族から迫害されている。出会い頭になぶり殺しにされるのが、異世界の常識。
人間らしさ。
それは、犬の涎と変わらない。
国語の授業で、こんな問題に出会ったことはないかな?
「この時の主人公の気持ちを答えなさい」
科学的な正解は二つ。
ひとつ。
「作者が描写していないのでわかりません」
ふたつ。
「主人公にしかわかりません」
もちろん、不正解。
この問題の胆は、
「『この状況』になったら『この様』に感じなさい/それ以外の事を感じてはいけません」
という躾だ。
正確に言えば洗脳だが。
白紙の状態に近い、幼児期から仕込むのであれば上書きされる実態が「ない」ので表現を変えるべきかもしれない。
その涙、その笑顔、その怒り、その○○。
自然に備わったモノは?
―――――――――ひとつもない―――――――――
だから、安心していい。
ソレが必要無くなれば、たやすく上書きされる。
ソレが必要な状況になれば、再インストールも簡単だ。
だから、戦争にいこう。
【異世界大陸北東部/国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内】
問おう。
彼奴等は何モノなりや?
・・・・・・・・・・・・・・いやいや、そんな言い方はしてないが。
素朴に疑問なエルフっ子、ナイス!
神父の話題が途切れると同時に次の話を振ってくれるとは!!
俺は思わずガッツポーズ
――――――――――――――――――――心のなかで。
あいつら、複数形、三人。
言わずと知れる、ランクルのすぐ外を騎乗で進む、帝国軍将官と将校二名。
俺たちがランクルに分乗してから、そのまま騎乗して同行中。すなわちランクルの車窓から、無遠慮に覗き込む三人。
お?
手をふっているぞ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔女っ子に、か。
帝国の魔法使い絶対主義、未だに健在。
紅い瞳は魔法使い、魔法使いは帝国貴族に等しい。
騎士より偉い、と言えば分かり易い。
もちろん、戦時には、軍の指揮系統が優先される。いや、建国以来常に戦時な帝国だから、戦場ではと言うべきか。
つまり魔法使いは騎士、将校の指揮下で兵器の一種として活動する事が、多いようだ。
むしろ魔法を使いながら指揮を執るなど、現実的じゃない。
訓練と教育で、誰もがなれる指揮官。
――――――――――――――――――――古今東西、士官学校の例で解る通り。
天賦の才が必要な、貴重な魔法使い。
―――――――――――――――――――組織的に確保育成している帝国ですら、魔法使いの出生はコントロール不能。
組織化された軍隊、に限らず集団に、指揮官などいくらでも交換可能な量産部品。個々人の最大最高の力を目指してここにカスタマイズされた魔法使いはオーダーメイド。
もし仮に、どちらもできるのであれば?
どちらに特化させるかなど考えるまでもない。
前線指揮官程度が、個人史を越えた歴史や戦場を越えた戦争に関われるのは、ファンタジーだけだ。
歴史の実例で言えば、ナポレオン。
誰もが知っている英雄。
ナポレオンは一介の将校時代から、権力中枢とつながっていた。
軍人不足と戦争を背景に、サン=ジュストを初めとしてジャコバン派首領に接近。
ジャコバン派が失墜すれば?
バラスのような、総裁政府の領袖と手を組む。
権力者に戦果を売り込み、見返りの支援で戦争をデザインし、積み重ねた勝利で歴史を創造した。
指揮官ではなく将軍でもなく、政治家。
それこそが英雄の英雄たるゆえん。
英雄は、前線や現場では生まれない。
価値や効果を最適化することに長けた、異世界帝国。
所属する者が一人残らず分類され役目を与えられ、それに応じた待遇を受ける。だからこそ魔法使いは最高の名器であり、歴史を重ねた貴族と同等以上の存在と決めた。
そういえば、俺たち地球人も魔法使い扱いだったな。
あちらさんからすれば。
高度に発達した科学は魔法と区別出来ない。
――――――――――――――――――神という概念に魅せられた無神論者の言葉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・の誤訳。
いや、この訳のままだと、まるで魔法が在るみたいじゃないか。
非科学的な。
異世界に魔法はあった。
地球には魔法がない。
それを混同する妄想は、日本列島で静かなブーム。
まあ、HMMWVのエンジンを開いたら地球産の妖精が!!!!!!!!!!
・・・・・・・・・・・だとしとも、走ってるなら、どうでもいいが。
ともあれ、帝国将官でもある貴族。
決して俺たちを侮ってはいないから余計に困る、遠慮という言葉を知らない、たぶんマジで知らない。
世界帝国の支配階級。
世界制覇を成し遂げた常勝無敗な、帝国軍将官。
二つを一人の人間にぶち込む。
すると
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・凶悪な侵略者相手に、空気を読まないトンデモ系の出来上がり。
凶悪な侵略者(笑)、が誰か?
言わせんなよ恥ずかしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・役不足は自覚しております。
いえ、いえ。
怖がられたいわけじゃないんですけどね?
基本ハブって、そうとうに辛いですけどね?
三佐なら、だれもが侵略者だって信じて疑わないですけど?
俺って何なんですかね???
それを帝国軍将官と将校に訊いても仕方がない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ってか、そんな隙をさらしたら間違いなく軍法会議。
相変わらずにこやかに並走する帝国軍将官。
年の頃から言っても、支配者として産まれ、勝利者として生きてきたのだろう。
遠慮したくても、方法を知らないだろう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・同情。
だが、それがイイ!!!!!!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・変な意味ではないぞ。俺の最優先目標に対して寄与してくれる最高の人材だな、と。
常識外だからこそ、最高の目眩まし。
窓外に広がる、子供の教育によろしくない、光景
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――R-18なんてレベルじゃない。
窓外にひっつく、子供の教育に相応しい人物
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反面教師的に。
後者に集中させれば、敗北の中で勝ったも同然!!!!!!!!!!!
負け際にこそ、人間の真価が現れる!!!!!!!!!!
良い値段が付くとは言ってない、出来れば真の値打ちなんか、一生知りたくない
――――――――――手遅れだから、しかたなく。
シスターズ&Colorfulが、アレに気がつかせないようにする。
ちょっと離れた、たぶんエルフっ子には見られている、アレ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れさせる方法は、後でいろいろ考えよう。
ここ聖都、北の大地からならば国後の洗脳
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、リアル中の人を入れ換える教育機関が近いが、決してそういう意味ではない。
【大陸北東部/「聖都」/港湾と待機地区間/らんくる内/青龍の貴族の左前】
あの、青龍の土竜と並走している、無礼で能天気で、本来は青龍の敵というか獲物というか、な三人三騎。
なんなのよ?
あたしの質問。
あたしたちに答える、青龍の貴族。
「捕虜だ」
それで
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お、終わり?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――短過ぎ!!!!!!!!!
これで話が終わったら、どうするのよ!!!!!!!!!!
もぅ
――――――――――しょうがないんだから。
「武装して、自由に振る舞って、貴男に挨拶も出来ないのに?」
あたしは矢継ぎ早に質問。
あの娘たちも、あたしにつられて訊きはじめる。
まあ、必死になって、怖ず怖ず、遠慮しながらだけど
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌われないか、心配なのね。
未だに、彼、青龍の貴族との距離感が掴めない、あの娘たち。大胆に向かったり、臆病に縋ったり、戦々兢々と過ごしている。
いくら命じられていても、いつでも好きに何でも訊け、って強要されていても、そうそう自由には振る舞えないわよ。
それでもまだ、あたしと貴男、あたしたちと彼、青龍の貴族との間の話なら、訊ける。
好みが判らないと、側にもいられないから。
でも、政の話じゃね。
踏み込んで良いのか、良いと言われてなお、許されるのかわからない。
だから、誤解に怯え、応えに怯えた、あの娘たち。
冗長に、言葉足らずに、一生懸命問いかける。
それに答える青龍の貴族。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その答えすら、端的、必要十分にして、最小限。
だから、あの娘たちを導くのは、あたし。
そりゃ、あたしだって同じ恐怖は感じてる。
――――――――――彼、青龍の貴族を失望させたら――――――――――
でも、覚悟は出来てる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣いて縋って謝って、一生かけて、呆れられるまで、つきまとう。
それにしても
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・困ったものね。
彼、青龍の貴族については、最初から判ってはいたけれど。
最小限しか話さない。
質問は歓迎するし、同じ言い回しでなければ、何度訊いてもかまわない。
同じ質問をしたら、聞いてなかったら
・・・・・・・・・・・・・・・・・試すことはないけれど。
判るように伝えよう
――――――――――端から、そんなことは思いつかない。
なにが判らないのか?
それはその本人にしか判らない。
だから、判るまで訊けばいい。
一度訊いて判らなければ?
何度でも訊けばいい。
一度訊いた質問で判らなければ、質問を変えて訊けばいい。
一人一人が、一人一人で、理解に応じて訊けばいい。
判っている者に、聴かせる無駄は無い。
別人に、同じ判り方を強いる無駄も無い。
最小限で判れば、よし。
最大限で判れば、それもよし。
伝わること。
それが目的。
無駄に答えず、無駄に応えず、無駄に訊かずに聴きもしまい。
訊くほうも、訊かれるほうも、一番労力がかからない。
まったくもって、理屈通り。
あたしたちだったら?
あたしも会合だの軍議だの、集まりに出たことはあるけれど。
一同に集めて、独演会。
一見すれば、それが一番、短時間。
最初から結論ありき。
一同に集まって、瀬踏み寄り合い話し合い。
誰もが同意したという、そんな合意ができるまで、延々と延々と。
最初から結論ありき。
端的な言葉のやりとりを、制限なしに繰り返す青龍とは、対照的。
あたしたちの場合。
その実、解らせたフリ、判ったフリ。
もっと悪ければ、互いが互いを理解した
――――――――――そう、思い込む。
フリなら出来る、妥協と諦め。
思い込みは期待、希望、諦めまでの遠回り。
その果ては?
誤解と錯誤が不信と不平を生み続け、掛け違った釦は滅びるまで直らない。
ならば。
青龍
――――――――――命令の技法。
青龍の貴族は、一から十まで、それ。
削ぎ落とされた言葉のやりとり?
まさかまさか、ソレですませては、くれない
――――――――――言葉すら省く。
ただ居るだけで相手の知識や理解力を、絶え間なく刺激する。その行き着く先を、あたしたちは毎日見せられているわけだけど。
青龍の貴族、その周りでは、彼が命じなくても事が進む。
彼、青龍の貴族は、何もかも承知のように受け入れる。
時には青龍の貴族が無視もする、すると青龍の騎士たちや役人、僧侶がやり直す。
産まれた時から、誰かに命じ続けてきたような、支配の技法。
呼吸するように、大勢の人間たちを臣下に造り変える手法、いえ、存在
――――――――――青龍の貴族
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それしか知らないんでしょうね。
察せられない、あたしたち。
訊くことで躾られ、訊くことで把握され、訊かずに彼の欲するままに望むようになる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なれるのかしら。
だからこそ、端的な答えから、自分に必要な知識を把握するために。あの娘たちが質問に集中してるわ。
だから、知ろうとすればするほど、余計なことを意識しなくなる。
それも、青龍の貴族、その目論み通り。
あたしたちを導いている。
青龍の貴族、その命令に正しく反応できるように。
同時に、あの娘たちが見るべきではないモノに、気がつかないように。
窓の向こう、その向こう、一見すれば奇怪な絵画。
でなければ、悪壊な異世界。
無人の大都市、異様な聖都。
その中で普通に異常な、ただ片隅。
あたしは気付かぬ風を装う。
妹分は見ないように立ち回る。
あの娘はまったく気がつかない。
あたしたちに、青龍が命じる。
ただ、振る舞いを持って。
――――――――――ならば従うまでのこと。
【異世界大陸北東部/国際連合呼称地域名「聖都」/第13集積地/第一交通線ランドクルーザー車内】
神父から演者交代した俺。
俺は名探偵ではない。
だから、皆を集めて独演会、とはいかない。
まあ集めてすらいないが、結果集まっているからall rightってことで。
シスターズの小さい二人&Colorfulの視線を確認
――――――――――OK!
皆、俺を見ている食いついてる。
独演会どころか池の鯉。
みんなそんなに知りたかったのか。
俺は子供たちの疑問質問ってより、感想なのか気分なのか判らん言葉をさばき続ける。
有難いことに、一問一答で済んでいる。
神父のマネはできんからな。
掴みから始めて、語りかけてから問いかけに転じ、ツッコミを引き寄せボケを誘い、セルフツッコミまで交える。
俺の場合。
基本的に相手をいじり倒すか、瞳を見つめながら話を聴く。
one-on-one からmanーtoーman、タイマン、二人っきりの会話しか考えたことはない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、チガウですよ?
女を口説くときばかりじゃないですよ?
いやいや、俺、異性愛者なので。
仕事やらなんやらの根回しは、ふつー一対一だよね??
そういうこと。
よって不慣れな多対一。
しかも相手は女の子。
さー盛り下がってまいりました!!
・・・・・・と来たら、子供相談室状態。
生ける、生けるぜ、まだ終わらんよ!!!
しめしめ、なんてリアルに思う日が来ようとは!!!!!!!!!!
だが、表情筋を縛りながら、内心ほくそ笑もうというモノ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・走行中の、離れてはいるけれど見える、視力が良いこの子たちなら正体に気がつく、そんな場所に広がる大変な代物には、皆、気が付かない。
勝った!!!!!!!!!!
車内には、俺、曹長、シスターズ(三人)&Colorful(五人)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ランクルに分乗している、と言ったな?
分かれて、乗る
――――――――――あれは嘘だ。
え?
神父?
さっきまでシスターズ&Colorfulにホラ吹いてたじゃないかどこにいるって?
ランクルには載ってるよ、もちろん。
ルーフから自己アピール中
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あえて屋根に載せたわけじゃない。
かってに載ったんだ。
しかも、勝手に車内アピールしてくるし。
オマエは帝国軍か!!
・・・・・・・・・・・・メンタル同じ??
乗車中ランクルの定員八人、あからさまに定員オーバー。
まあ、絶対に同乗を譲らないシスターズ&Colorful。
涙目に勝てない俺。
定員は、完全装備の兵士八人想定だ。
子供でかつ、女の子とくれば、体積は少なく体重も軽い。
俺の膝やらに詰め込めば、何とかなるかな~~~~~~~~~~~~~~~~と、何とかなった、屋根を含めて十一人乗り。
おかげで俺の部下、軍政部隊の兵士たちは余裕を持って別ランクルに分乗中。
文字通り、広々とランクルにのっている。
今回用意されたランクルは四台。
俺たちは、21人。
本当は俺だけ指揮車両(神父を拘束して積み込む)、曹長をつけた子供たち、他兵士が二台に分乗。
余裕をもって分乗し、緊急時にはカバーし合えるように
・・・・・・・・・・の予定だった。
まあ指揮車両っても通信設備が別積ってわけじゃない、余裕はあったからね。
だからと言って11人のりは無茶だが。
子供たちを乗せる予定だった一台は、結果的に余ったので予備扱い。
1kmほど後ろ、グルカ兵が走らせてくれている。
うちの部隊は全員が免許持ち。
後の二台、トラックタイプには四人ずつ乗車。運転席含む前部に二人、後の二人は荷台のM-2重機関銃(12.7mm)の銃手、その脇でM-14を保持。
スッカスカである。
佐藤と芝はXLR250R、つまり陸自のバイクに乗っている。太守府の軍政部隊装備と違い、ここ聖都第十三集積地の装備は、カワサキではなくホンダのバイク。
広々とした白骨街道十車線。
バイク二台が先行300m、左前と右後ろに部下のランクル。
真ん中を走るのが鮨詰めランクル、ってわけだ。
こっちのランクル。
まあ、お嬢と魔女っ子は小学生みたいなもんだし、俺の膝に収まった。
エルフっ子は、しぶしぶしぶしぶしぶしぶ、曹長の隣の助手席。
いや、曹長が嫌われてないのは、間違いない。
さすがに事故になるから、運転担当の曹長には子供を乗せないけどね。
本土に帰れば娘さんがいるらしい。
かる~く、家族写真見せて!って言ったら拒否られました。
娘さんはもう中学生なんだそうで。
だから勘弁してください
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナニを?
で、エルフっ子と曹長たちのすぐ後席中央が、俺とちびっ子ふたり。
両サイドが、Colorfulの白と朱。
さらに俺の後ろ席がColorfulの橙、碧、翠。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほぼ、おしくら饅頭な件。
みんな柔らかいから、苦しくはないけどな。
むしろ、俺が潰さないように気をつけないと。
そしてランクル隊列、その間を自由に併走する帝国騎士。
ランクルは進み、話しも進み、説明会はまだまだ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コレからだよ!




