Kingmaker.
登場人物&設定
※必要のない方は読み飛ばしてください
※すでに描写されている範囲で簡単に記述します
※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします
一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。
次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。
以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。
(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)
【登場人物/一人称】
『俺』
地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》
現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》
?歳/男性
:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。
『あたくし』
地球側呼称/現地側呼称《メイド長》
?歳/女性
:太守府王城に奉公する女性たちの長。ストロベリーブロンド、碧眼、白肌。異世界でも地球世界でも一般的な、ロングスカートに長袖で露出が少ない普通のメイド服を身にまとう。まだ年若いが、老人の執事長とともに王城の家政を取り仕切る。
初登場は「第11部 大人のような、子供のような。」
【登場人物/三人称】
地球側呼称《元カノ/団長/だんちょー/一尉/一尉殿》
現地側呼称《青龍の女将軍/団長/主》
?歳/女性
:国際連合軍大尉/陸上自衛隊一尉。国際連合軍独立教導旅団「黒旗団」団長。『俺』の元カノ。ドワーフやエルフに異世界人と地球人類が同じ戦列を組む、初の多世界複合部隊指揮官。
地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》
現地側呼称《マメシバ卿》
?歳/女性
:陸上自衛隊三尉。国際連合軍独立教導旅団「黒旗団」副官。キラキラネームの本名をかたくなに拒み「ハナコ」を自称している。上官の元カノが勝手に「マメシバ」とあだ名をつけて呼んでいる
「子どもは自分の命より大事だ」
と言っている親は知っている。
だが、弾みではなく、熟慮の上で
「子どもを自分の命より優先した」
親を見たことはない。
例えば溺れる子供を助けようとして、溺れ死んだ。
それは、弾みだ。
例えば危険から子供をかばい、その盾となって死んだ。
言うまでもない。
例えば結果としてではなく確信的に、子供の代わりに処刑された親の逸話などは聴いたことが無い。子供を売った話や子供を殺した実話なら、ありふれていて、日々積み重ねられている。
それは幽霊やUFO、ネッシーのようなもの。
目撃情報募集中。
さて、貴方は信じるか?
幽霊を。
UFOを。
ネッシーを。
親の愛を。
【第五次軍政官教育訓練キャンプ『ハイウェイ』配信データ/大陸東岸/国際連合軍複合拠点『出島7』】
諸君!
異世界適合訓練という名の常識終了の知らせだ!!!
親が子の死を嘆き悲しみ、国民が国を愛し、人が人を殺してはならない。
それが地球創生からの常識だと思いこんでいる諸君!!
常識で考えろ。
ありとあらゆることには理由がある。
三大欲求以外の本能などない。
道徳の基盤が宗教である理由はなんだ?
皆が最初からやっていたら
「汝隣人を愛せ」
なんて誰が抜かす?
「飯を食う前に手を洗え」
とおなじこと。
言わなきゃやらないから、あえて言う。言ってもやらないから、刻み込む。いつまでもやらないから、石板に。
見回してみろ。
そもそも中世に在る物があるか?
パソコンは?電気は?学校は?軍曹は?
近代以前、「国家」などというモノはない。
「国」とは地域名や文化圏の名前に近い。
故に「国民」など存在しない。
中世以前、「家族」などというモノははない。
血族とは盟約や利益共同体の別名だ。
故に「家臣」など存在しない。
帝国はその強大さで永続性を生み出し、国家と国民を創りだした。
エルフはその長命さで血統管理を徹底し、家族と家臣を創りだした。
唯人は主たる君を選び仕える。
「臣下の臣下は臣下にあらず」
の言葉通り、その関係は固有の人格と人格の間にのみ生じる。
「君主」の誕生である。
【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階/開放浴場/浴槽傍】
あたくしは御領主様の視線に射られ、身動きもとれません。
このような姿をさらしてはおれませんが、背を向けるわけにも参らず。あたくしの衣装は濡れておりますから、このままにて勤めを果たす訳にはまいりません。
無論、他のメイドたちが、すでに代わりの服を整えております。
指示されなくとも、それは当然に御座います。
しかしながら問題は、肝心の、あたくし。
何とか布地をつまんで肌から離し、いろいろと見えてしまうのを防ごうと致します。ですが、此方を引けば彼方が吸い付き、逆もまたしかり。
せめて下布の線を隠したいと思うのですが、布地が多ければ水を吸う、というわけにて、如何いたしようもございません。
御領主様は湯から上がられ、まっすぐに眼を頂いております。
その、おそらく、察しまするに、ゆっくりと、あたくしの肢体を観察されているような見通されているような視線で玩ばれているような。
そして、その、本来戸惑うこと自体が間違いだとは承知しておりますが、御領主様のお体が包み隠さず目の前に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
視線を逸らすのは、不自然、ですわよね??????????
メイドとは人にあらずして家具のであり道具。
なのになぜこんなにまどってしまいますのでしょうか?????????????????
【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階/開放浴場】
俺が湯から上がると女性がもじもじしている件。
メイド長、女の子疑惑がますます高まっている。
完全に忘れてた。
背後の温泉キャット・ファイトに気をとられていた。
マメシバ三尉VS元カノ。
どちらが征してもおかしくはない名勝負。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、さておいて。
全裸な俺が3m圏内でずぶ濡れのメイドさんと相対する
――――――――――軍法会議まったなし。
女の子、じゃなくて女性相手ならなお悪い。
ってゆーか、メイド長キャラ崩れてない?
凛として、キリッとして、ドワーフの討ち入りやら投身他殺やらの何事にも動じない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、全裸見せたの初めてだけど。
何度も見せてたらそれこそ軍法会議です。
セクハラ以前に精神疾患を疑いましょう。
だが普段、俺が着替えてる時、メイドさんもメイド長も普通に部屋にいたしなあ。
全裸とは違うけれど、照れているようには見えなかった。だから、仕事と割り切れば、そういうものなのかな、と。
なお着替えの手伝いは、執事はしないらしい。
主人や客が女であれ男であれ、そのサポートはメイドの仕事なのだとか。
俺の場合は、どちらの助けを借りることも無いけれど。
同じく常に同室で、着替えを手伝ってくれるのもすでに慣れ親しんでいるのが、シスターズ&Colorful。
彼女たちは、俺が着替えるのを手伝いながら普通に照れています
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・絶対に部屋から退去しないけど。
メイドさんたちは、シスターズ&Colorfulが俺の世話をしようとするのを、さらに手伝う感じ。余計に、おままごと&お手伝い感が増します。
育ちのいい子供が、大人の手伝いをしたがって、それをみんなで見守るような?
それはほほえましいからいいのだが。
目の前の問題から目をそらしてはいけない。
思わぬサービスシーン(俺にとって)を(濡れ透けコスチュームで)さらしてしまったメイド長。
思わぬサービスシーン(誰得だよ)を(全裸で)さらしてしまった俺。
是非、スルーしてください。
俺も、見なかったことにして表情を固めるのが限界です。
・・・・・・・・・・・・無理ですかそうですか、すでに顔真っ赤ですもんね。
しかし、メイド長はこういう人?
思い起こせばメイド長との初対面。
結果として抱きしめて、部分接触した時も、存外平静だったがな。
※第11部分 <大人のような、子供のような。> 参照
・・・・・・・・・・・・・・・・いかん、唇の感触他を思い出してしまったが、覚えていた俺もすごい。
照れは伝染する。
錯乱は隔離するのに、相手が照れるとこちらも照れる。
メイド長の肢体のラインのみならず下着の線まではっきりわかると大変です。
メイド長がチラチラ見ている場所が危険で危機です。社会的に死亡するフラグ以外のモノが立てしまいます。
わるぎはなかったんだみんなそういうんだよね。
「隊長右出て振り向き両手掴み!!!!!!!!!!」
「見敵必殺――――――――――!!!!!!!!!!」
俺はとっさにメイド長の前に出て振り向き、両手で握りつぶした。
【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階/開放浴場/浴槽傍】
――――――――――化蝶の叫び、で御座いましょうか?
あたくしは、呆然と立ち尽くしておりました。
御領主様の背な、引き締まった肢体が、あたくしを守ってくださいました。
それはそれは、既視感を覚えまする情景。
なにから守ってくださいましたのか、と申しますれば、青龍の女将軍さま。
以前は青龍の道化さんでしたけれど。
青龍の女将軍さまは、完全に意識を失っておられます。
いえ、女として、アレは痛かったのではないかと、お察しいたします。あたくしは、その様を見ていただけにございますが、貫かれるような衝撃を感じてしまいました。
千切れてしまいかねないほどに、潰されてしまいかねないほどに、御領主様の両手で鷲掴みにされておられました。
もちろん、御領主様は握りつぶしながら肢体を体に滑らせて、抱きとめられましたが。
青龍の女将軍さま、目尻に涙を浮かべ、さぞや
――――――――――――――――――――――――――――――いえ、とろけるような、その、笑顔?
まあ、余り拝見しないほうがよろしかろうと、存じます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえ、違います。
御領主様に縁深い方に、ほんの僅かなものであれ、たかだかメイドがわだかまりを持つようなことはあるまじきことにございます。
あたくしは羨望に身を焦がすようにしている、身の程を知らない背後の五名をにらみ、あるべき則を整えました。
「流石たいちょー、○っぱいクロー」
綿織りを肢体にまとまった、マメシバ卿が湯から上がられました。
御領主様は青龍の女将軍さまを抱いたまま、ゆっくりと湯殿の床に横たえなさいました。その様は、姫を抱く騎士のごとく。
例えお二人共に、一糸纏わぬお姿であれ、いえ、だからこそ、幻想的に御座います。
惜しむらくは
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・生々しい手形が、くっきりと。
あの瞬間、見てしまいました、あたくし、そして背後のメイド五名も、おそらくは同じ衝撃を感じてしまいましたことかとおもわれます。
ふらつく腰に力をこめ、すると、マメシバ卿が視線にて揶揄
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・身が縮むおもいにございました。
【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階/回廊中央】
俺は制服を着せられ
―――――――メイド長の強い要望で、
今回は事前に、着せ替え役を了承――――――――
ると、執務室へ。
回廊に向かう道々気になることが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・髪まだ濡れてますよ、メイド長。
濡れてしまったメイド服はいつのまにか着替えてました。
だが早着替えが精一杯で髪までは手が回らなかったのが。
ドライヤーの貸し出しはないからな。
濡れ髪の女性は良いものです。
しかも、理由の有る無しを問わず、恥じらっている姿は良いものです。
異論は認めん!!!!!!!!!!
浴場の扉口に立つメイド長。
無理に取り澄ました表情で、行き過ぎる俺を見上げた。
「・・・・・・いかがなさいましたか」
ギリギリ疑問型。
メイド長からの問いかけは、いついらいだろう。
普段なら命令を待つタイプじゃない。
窺い察して、自ら動き皆を動かす有能っぷり。
だが、さすがに俺の好奇心までは、気が回せるわけがない。
訝しげに見つめるメイド長の瞳。
「可愛いな」
あ、やべ。
つい、言葉にしてしまった。
メイド長が俯く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヤバい真っ赤になってる。
キャラ変わってるよね??????????
この可愛らしさは、やっぱり十代かもしれない。
【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階/回廊/青龍の貴族前】
――――――――――あ。
そもそも叱責覚悟の不始末
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メイドたちの、ましてや御領主様の面前にて、転び、ずぶ濡れなんて!!!!!!!!!!
蔑み、無視されて当然にございます。
信を得るために、一から、と思いきや
――――――――――それは御座いませんでしょう!!!!!!!!!!
ましてや、濡れ髪をなでられるなど??????????
【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階/回廊中央】
もう、女の子扱いが無難だな。
俺はメイド長の頭を撫でると、さっさと進む。
元カノの身支度は、覚醒含めてマメシバ三尉に一任。
『たいちょーに弄ばれる気満々なのに~~~~~~~~~~
なんにもしないんですか?
だんちょーに怒られますよ?』
怒られとけ怒られとけ。
そのうち機会があったら、意識が正常なときに不意を突いて生涯忘れられないようなトラウマを植え込んでやる。
そのうち機会があったら。
『うわ~~~~~~~~~~逃げに走ってる。ヤりたい気持ちをぐっと抑えて、ってのもわかりますけど、適度にしないといけないんですよ?』
やかまし。
さっきは際どかった。
エロ方面じゃなく戦闘的に。
何故、ここで?
マメシバ三尉の言葉に反応し、メイド長に飛びかかる元カノをインターセプト。
見事に決まったし、有り難くはある。
メイド長(の肢体)と元カノ(の経歴)が無事だったからな。
『なら庇ってくださいよ~~~~~~~~~~!』
あーはいはい。
元カノにメールしておくよ。
殺すな、って。
『そんなことしたら、殺されますから!』
身をもって庇ったら俺が殺されるだろーが!
『だんちょーは女を殺すだけですよ。たいちょーが男に走らない限り』
どんな流れだ!
『たいちょーのことは、監禁するくらいです』
ぐらいじゃねーだろミザリーか!!
※ミザリー:サイコで痛い監禁映画
『だから、だんちょーをですね?』
断る!!!!!!!!!!
世界一大切な俺に何かあったらどーする!!!!!!!!!!
『たいちょーが、かまってあげないと、だんちょー死んじゃいますよ?』
ウサギって柄じゃねーだろ。
『周りの人が』
サイコパスか??????????
『恋は狂気!!!!!!!!!!
満たされなければなおのこと!!!!!!!!!!』
欲求不満はお互い様だ。
二回もイケたんだから文句ゆーな。
ってゆーか、怪我してないか?
とっさに一番つかみやすいところを握りつぶしてしまった。
いや、すぐに離したけどね。
掴みなおしたけどね?
床に落としたら大変だが、筋肉質なわりにふやふやして掴みどころに苦労した。
『たいちょーにキズモノにされたら、どんな意味でも喜んで、
あの娘たちに自慢して回りますよ』
――――――――――やめろ~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!
見本になる大人の異常性癖が伝播したらどーする??????????
多世界超えて迷惑をかけるな!!!!!!!!!!
ってゆーか、俺はそーいう趣味ないから!!!!!!!!!!
『え?』
ナチュラルに疑問を挟むなマメシバ三尉!!!!!!!!!!
通信オワリ!!!!!!!!!!
俺は静かに付き従っていらっしゃるメイドさんたちを見回し、ため息。
・・・・・・・・・・・・・・骨伝導レシーバーじゃなかったら、威厳も減へたくれもないな。
気にしてるんだよ?
軍政官訓練キャンプで、芝居を仕込まれたからね。
士官が死ねば代わりがくる。
代わりが来るまで下士官が指揮する。
貴殿の代わりは幾らでもいる。
兵は兵の。
下士官は下士官の。
士官は士官の。
印象のみをまっとうすべし!
これ軍が貴官らに求める唯一なり。
かくしてかくなりこうなった。
意識せずとも士官としてふるまえるように。
それこそ、砲煙弾雨の中で、当たり前のように闊歩できるように。
・・・・・・・・・・・・・なれ、と言われただけで、出来るとは言ってないが。
【太守府/王城/王乃間/青龍の本陣付近/専用厨房】
わたくしが戻ると、あの娘がスープの仕上げにかかっておりました。
ご領主様専用の厨房。
王城本来の厨房が、青龍の騎士様他、皆の食事を造る場所。
ここは、わたくしやあの娘、ねえ様が一人の方にお料理を捧げる為の場所。
なのに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドワーフが。
わたくしやあの娘の邪魔にならぬように作業していますけれど、時には、あの娘がドワーフにレシピを聞いていますけれど。
いささか、不満足ですわね。
とはいえ、わたくしもすぐに、あの娘に並びます。
ドワーフが居るせいで、Colorfulの皆が手伝えません。
なんだかんだでドワーフを、怖がっていますから仕方ありませんわね。
わたくしが若い参事から受け取った、特別な香草。
お毒味と仕分けは、後でゆっくり、いたしましょう。
それを示すと、あの娘も在庫をまとめてスープに投じます。
ご領主様を元気にして差し上げる、港街は奴隷商人しか扱っていなかった、特別な香草。
なんでも、三日三晩徹夜で激しい運動をしても大丈夫、とか
――――――――――殿方にしか、効かないそうですけれど。
こんど、お父様に贈るお茶に、調じてみようかしら
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きっと、お元気になるわね。
さて、朝食会ですわ!




