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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第六章「南伐」

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200/1003

禁欲と強欲の狭間


【用語】


『アムネスティ』:日本の異世界転移後、国連より早く再建された国際的な人権団体(NGO)。売春合法化の実地試験を兼ねて、日本で育成した娼婦を雇用し異世界大陸国連統治下で営業している。なおアムネスティの「売春合法化論」は現実に準拠しており小説上の設定ではない。ただし、支部ごとの独自性が強い団体なので全体の総意と言えるかは微妙。

(詳細は第28部 「アムネスティ」 より)


『アムネスティガールズ』:太守領にやってきたアムネスティの人員のうち娼婦の10人。他に管理職、料理人、専門医、エステスタッフなどがいる。

名前が出ているのはシュリのみ(第35部 「奴隷市場ろうどうしじょう」冒頭 )。




「約束したじゃないですか!!!!!!!!!!」

「ええ、嘘よ」



三佐の辞書に無い言葉。


言いわけ。

正当化。

謝罪。


そして、おそらくは

――――――――――――――――――――悪意。




【太守領中央/太守府/王城内郭/王乃間/軍政司令部】


朝温泉って、贅沢だよね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・決して日和ってはいない。


俺自身がそう言っているのだから間違いない。



いや、選択肢はあったよ?

アムネスティガールズに声をかけて、時間外営業に持っていくっていうね?


一汗であと十年は戦えます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘です。


そんなこと言った奴が十年戦えたためしがありません。

3日、いや、一週間は戦えます。


いままでどうやって戦っていたのか、と言われそうですが、戦ってません。

先送りしていただけでした。



このままじゃいけない!!!!!!!!!!


俺の健康の為にも。

俺が道を踏み外さない為にも。

俺がWHOに回収されない為にも。



大袈裟と言うなかれ。



禁欲を旨としたあらゆる組織において、どれだけ陰惨な性犯罪が起きたことか。

教○とか○会とか教○とか妻帯禁止の○寺とかお○とか坊○とか○主とか。



実際、カトリック教会では聖職者兼医学者を召集して、研究させたくらいだ。


火炙りにすれば好い時代じゃなくなったから、仕方ないね。

その結果

――――――――――禁欲の戒律が原因です

          戒律を放棄すれば解決します――――――――――



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みんな、まぶたを閉じましたとさ。



法王庁が堕落していた、した、ではなく持続的にそうあった理由。神ならぬ身に完全を求めれば、何が起きるか知っていたから。



実際、聖職者の愛人たくさん、賄賂山盛り、異教徒がたくさん住んでいたローマ。

魔女狩りや異端審問や大虐殺は少なかった。


むしろそれが激しかったのは、真面目に、字義通り信仰を守っていた辺境。

ドイツとかスペインとか。



だから頭に来たプロテスタント(まじめな信徒)にローマごと焼かれたりはしたが。


いや、そもそも、聖書には書いてないけどね。

十戒の意味は、姦淫し過ぎちゃダメ、であって、姦淫しちゃだめ、じゃない。

婚姻制度の根源は、このあたりだろう、たぶん。



特定の相手と節度あるお付きあいをしなさいね、と。


・・・・・・・・・・・・・・・普通すぎて何ともかんとも。


特定って何人?

ってところで、キリスト教とイスラム教では見解の相違が生まれたが。

聖書に書いてないからね、仕方ないね。



姦淫非禁止の宗教で、聖職者の姦淫婚姻が禁止された理由は簡単。

信徒を導く教会が、世襲化するのを防ぐため。


実際、法皇や枢機卿の子供たちはその地位につけなかった。そういう、仕掛け、だから当たり前ではあるが。


もっとも、あくまでもキリスト教の話で、仏教には別な原理がある。

ブッダは妻帯者だし。



さておき。

――――――――――という訳で、ここ、異世界の北、人間種異世界居住北限。


エスキモーチックな部族がいないとも限らないけどまあ、確認された限りでね?


そこで!

科学的かつ倫理的かつ宗教的に適正なアプローチにより色々する計画が立てられたのである!!!!!!!!!!



立案者、俺。

起案、ついさっき。

実行予定者、俺と有志サービス業の方々。



もちろん、プロフェッショナルな方々は労働倫理を尊守。


夕方から夜間の業務を振り替え、労働量は減少。

シフト変更要請は任意当然、割増料金に基づく特別手当ては必然。

以前から提案されていた事もあり、事前告知も十分。


アムネスティガールズのリーダー格、シュリにメールするだけ。後は店の管理者、アムネスティの女性支部長や女の子たちに話が回るっていう寸法。




それはそれは夢のようなプランで

――――――――――夢だったよ。


諦めたから、試合終了。




なぜなら、今朝も背後1mに女の子かもしれない人がいるからだ。

女性にならば遠慮はしない

――――――――――――――――――――――――――――――あんまり。


多少アレだが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・理解させる自信がある。



呆れられている、という説もあるが。


だがしかし、女の子だと理解を得るのが無理な気がする。

理解させてはいけない気もする。


気が付くのは大人になってからでいい。



理想を持つ前に現実を知らせてはいけない。


理想を抱かせなければ絶望だろう。

理想に同化させても絶望だろう。


どちらも不幸な境遇で野垂れ死にしてほしい、憎たらしい相手以外に、やっていいことじゃない。



それこそ人類、含む異世界、加えて非人類知的種族、の試合終了。


見栄をはれない本音の世界。

本音を取り繕う書き割りの世界。

個人的に嫌いです

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・滅びてしまえばいいと思うよ。



そのあたりは、大人相手なら、軽く酒の肴にちょうど好い。


しかしてここで気にすべき、女の子である可能性を否定出来ない、思わぬ伏兵メイド長。

予想された伏兵なら伏せてないだろ!

って話じゃなく。


いや、多分、違うと思うのだよ?

いくら何でも、ねえ?


しっかりした物腰グラマラスボディに、桁違いなカリスマ性(魅力)

こんな十代がいるわけない。



いくら十代で戦場に行って人を殺すのがフツーフツーな世界でも。

十代でお母さんになるって概念はないから子供を産むのがフツーフツーって世界でも。



メイドさんだけじゃなくて、数百の奉公人たちを束ねる王城維持組織のNo2メイド長!

ナンバーは権力の証、エリートの証。

No1は執事長さんです。


こんな十代がいるわけない。



いやしかし、日本人以外の年齢は、ぱっと見、判らんからな。

日本人なら必ず判るって訳じゃないが。



キミはランドセルが似合う有権者を見たことがあるか?


俺はある。

誰が居酒屋に連れてきたのかと呆れた。

俺たちの席にいるわ、閉店だわ、寝てるわ、交番は無人だわ、110番は違うと思い、ビジネスホテルに放り込んだ。


朝になれば従業員に発見されるだろう

――――――――――と思ったら、朝、電話で怒られた。




遺棄罪!!!!!!!!!!!!!!!!




いや、悪いかな、と思ったんですよ?


と言い訳したら、ホテルの支配人じゃなくて本人。

俺の友達の友達の友達の知り合い、で、居酒屋に集まった一人だとか。

小学生を連れてくるバカは締めないと

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本人が大学生だという。


まあ、わかるわかる。

みんなそう言うよね。

で、本当は?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と軽く受け流したのがマズかった。




身分証と住民票と戸籍謄本とパスポートを確認し、出身高校の先生に卒業生と確認してもらったのは、謎の思い出です。


何故にこだわるそこまでに、他人の生い立ちを訪ねる羽目に、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・真実って重要ですか?


世界で俺だけが小学生だと思っていたとして、なにか支障があるのかという、ね。




――――――――――という事例もある。


年齢認証は慎重に。

特にここ、異世界。


人種的にはコーカソイドなメイド長。

国連軍の暫定的な知識では、地球と変わらない特徴が見られる。


つまり、日本人などから見て大人びて見える、らしい。


見た目だけなら、20代、っていうことは、十代も、アリ、か?


経験値が必要な職業に役職。

それを考えたら、うーん。


メイド長、キミ、いくつ?


聞けん

・・・・・・・・・・・・・・・出身地を巡る旅に連れ出されたら、かなわん。




【太守領中央/太守府/王城内郭/王乃間/青龍の貴族背後】


あたくしが面をあげますと、御領主様は扉口に向かわれます。

お食事は、魔女さまが。お茶は、お嬢さまが。


ならば

――――――――――あたくしは部屋付きのメイドに視線を流しましたわ。


素早く下がり、音もなく廊下を走り出してございます。


よろしいわ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・此度は、大浴場に御座いますわね。




【太守領中央/太守府/王城内郭/上層階廊下】


俺は全身全霊を振り絞り極々々々々々々自然に浴場に向かった。


メイド長を引き離す算段をしなかったわけじゃない。


あきらめが悪い?

あきらめてもあきらめても、我が希望、楽にならざり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・欲望じゃありませんよ?



だがしかし、さすがメイド長。

あっさり最後の希望を打ち砕く。


いや、メイドさんたち一同で、風呂への道を創られた日にはアナタ。

人間の鎖というか、ガイドレールというか。


両サイドにキチンと並んだメイドさんたち。

皆さんお揃いですね。


メイド長と同じ制服が良くお似合いです。



この城(国連軍管理不動産)には6種類のメイドさんたちがいる。

忘れそうだが、国連軍現地雇用者とそれ以外。


執事も居たはずだが、まあ、どっかにいるんだろ。



今、問題、というか障害物な、こちらの方々は国連軍現地雇用者。

招待(拉致とも言う)されたゲスト(人質的な)である参事会有力者たちの御家中、ではない。


家々であからさまに制服のデザインが違うから、よくわかる。


つまり俺を挟んで、果てのないメイド道を創っているのは、最大多数派。

王城メイドである。


俺を見ても逃げて行ったり、フリーズしてくれません。フリーズして視線をそらしてUターンして逃げ去るのは、有力者の家から出向しているメイドや執事の方々です。



普段なら物悲しいその態度。

今は懐かしいその態度。


逃げて欲しい時に集まる王城メイド。

逃げなくていい時に出くわすゲストメイド。


世の不条理を噛み締める俺。



メイド回廊は柔軟に構築稼働を繰り返し、前進と後退以外を許さない。


兵隊にはそれで十分だ?


確かに確かに。

だが退路はメイド長に塞がれている。


廊下の大半は空いている、が、メイド長の胸先と背中の隙間が3cm。

背中に眼はないが、ここまで近ければ体温で判る。


立ち止まることすら出来ない。

立ち止まると大事故です。


距離を置くために少し早足。

メイド長はもっと早足。


やめよう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中距離走になる。



通りすがりのアムネスティガールズの笑顔が眩しくて、目が潰れそうでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・出やがった。


若さをあふれさせている日本人の若い女たちであるところのアムネスティガールズ。

面白がってやがりますよニッコニコです。


携帯をいじって、さらに人数が増えて、10人全員揃いましたね、呼び集めたんかオマエら。

わーざわーざ、ルート上に出て来やがるのですよこの方々。


一歩間違えなくても露出狂認定されて自然な服は、業務衣装じゃなくて私服ですかそうですか。

まあ、俺も街で見かけた事があるけどな。

見かけただけかと言えばノーコメントで。


お年寄や過疎地住まいと違って、露出過多程度でビビりはしない。

正々堂々とガン見である。



だが、異世界的にどうなのか?

イスラム圏であったら喧嘩を売る以上のテロ行為だが、ここでは?


見比べる。


メイド服は作業服。


故に防御力重視。

故に肌の露出は少ない。

薄手の生地は動きやすさを生む。



装備すると耐久力が+10しそうです。


まあ、軍事用品じゃないから実用一辺倒ではない。


そう言う意味では、シンプルなドレスのようではある。

シンプルなのは、何かを引っ掛けないように、なんだろう。



予想だが。


実際、飾ることと動きやすさのバランスが良いと思うのだよ。

絹に代表されるような天然高級繊維は、見た目と動きが麗しいだけじゃなくて、耐久力が高い。



一方、アムネスティガールズの私服ときたら、アナタ。

ゆるくたっぷりしたノースリーブ当たり前。


胸元開放、見せる下着が上下に標準。

尻肉がはみ出すショートパンツか、ミニスカート。


それが整列したメイドさんたちの中をヒラヒラ。


異文化摩擦、いや、衝突を気に病み胃が痛い。



キミタチィー!!!!!!!!!!

此処には女の子もいるんだ!!!!!!!!!!

大人として節度を示した前よ!!!!!!!!!!


よし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コレだな。



メイドさんたちの中心は十代後半。

坊さんがつくっていた現地雇用者統計年齢分布図によれば、十代前半の見習い、二十代の役付きが一割。

三~四十代の予備役兼教育係りが二割。

あと七割が十代後半だ。



十代とは?

異世界、中世的には一番労働に向いた年代。


女工哀史、とか中学校で習ったな~。

使い捨て労働力の基本。


だが技術社会を前提とした俺たちの感覚からすれば、というか、実際に見聞きした様子も、子供だ。


現地社会の在り方には、例え国連軍が雇用している相手にも、口出し無用。

こちらが決めるのは、労働条件だけだ。


だからこそ、こっちはこっちの流儀を通す。

故にこそ、軍政司令官の権限をもって、扇情的な振る舞いは自室限定

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・にこやかに愛想を振りまき、メイドさんとハイタッチするアムネスティガールズ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイタッチ?



諸注意を述べる前に文例を作っていたのが仇になったのか幸いか?



メイドさんはこちらの、ってか、おそらく背後のメイド長を気にしつつ、かといって占領軍に所属しているように見えるアムネスティガールズの屈託のないしぐさを無視もできない。


俺は少し振り返り、困り顔のメイド長にうなずいた。

かまわないだろう

――――――――――――――――――――実際、お愛想だけではなく

メイドさんたちも楽しそうっではある。


色気たっぷりの女は同性から嫌われるといわれるが

――――――――――ただし異世界を除く、らしい。



ドレスコードの制約は、余計なお世話だったのかな?



軍事参謀委員会がアムネスティの受け入れを決める段階で打ち合わせてないはずがないしな。


異文化摩擦を起こす前に察知して調整ができる。

その程度のスキルが無けりゃ、大規模拠点を出て、国連部隊一個分隊標準の、この邦の活動に選抜されやしないだろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

って考えたら、娼婦としてだけじゃなくコミュニケーションスキルにも特化しているのか。



アムネスティガールズは来訪第一印象がカーニバル状態で入城。


俺が帰ってきた時の葬送行列とは大違い。

その後、異世界での過ごし方も大違い。


住民ともそれなりに上手くやっているらしい、と聴いてはいたが。

もちろん、警備なしで街を彷徨かせたりはしないので、距離はある。



比較的彷徨きやすい王城内。


いつのまにか、メイドさんたちと、とりわけ仲良しに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・羨ましくありません。


メイドさんたちとアムネスティガールズは同性。

理由はともかくお互いに住民たちから隔離気味同士。



仲良くなる理由に不自由しない、か。

成人限定のガールズよりメイドさんたちは年下が多く、主導されやすい立場。支配被支配の関係が、よりソフトな年功序列に収斂されている。


ほっとこう。


ことさら無視して進む俺。

と、通りすぎがてら俺の肩や胸にボディタッチしていくアムネスティガールズ。


ふん。

その程度に動じる俺ではない。


禁欲中につきご遠慮願うだけだ。

願っても余計面白がってくるから、あえて無言。


「どーん」


わざとらしく、正面から抱きついてきたのは、ラスボス。

アムネスティガールズのヘッド、シュリだ。


比較的接しやすい性格と容姿。

是非にお相手願いたい。


が、ワザとタイミングを外してくる。

こーいうご商売は、客も娼婦に選ばれる。

コレは脈な

「ちゃうちゃうちゃうんちゃう?」


気に入ってんのか?

そのネタ。


「てゆーか、コッチは順番待ちしてるほうですよ♪ゴリョウシュサマ?」


微妙に崩してはいるが、現地住民の手前、俺を上にした形を守る。アムネスティガールズは、そういうところも、訓練済。


いや、大規模駐屯地ならそんな必要はない。

シュリたちが、そっち方向でもスペシャリストなだけかな?


「うちらもビフォーアフターで半プラハメたいですけど~♪」


日本語でOK?


「早く3-5コンプしてくれないと、ウチらにかかれないデショ?HarryHarryHarry!」


暗号かよ


「今は匂いつけだけ」


シュリはメイドたちを見回した。

それはいいから、肢体預けてくるのやめて。

人前だとカッコつけるの大変なんですから。


「あわよくば、ってのも判るけどね」


シュリに笑いかけられたメイドさんたちが、互いの顔を見回して笑いをかみ殺した。

メイド長がこめかみを抑え、その仕草一瞬のみにて、メイドさんたちの表情を整えさせる。


・・・・・・・・・・・・・・スゲー。


「それにさ、あたしらは異世界だから息抜きできるんだしオーメに見てよ」



??????????


「日本と違って、うちらを見下したがってるやつらがいないっしょ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それな。


異世界には、貞操信仰がない。

故に、娼婦を蔑視する発想がない。


同じ理由で、そもそも娼婦が少ない、ってのもある。抑圧された性が少なけりゃ、それが商品として流通しにくいってわけで。


娼館はそれなりにあるが、地球基準でいうところの高級店舗が多い。

娼婦は技能職として見られているらしい。


技能の度合いに応じて、ランクは当然ある。

それによって蔑まれたり、褒めそやされたり、ってあたりは職人と一緒。


技能以前の街娼もなくはなく、リスクが高い仕事だけに貧民しかやらない。故に蔑まれるが、どちらかといえば貧困が見下される原因だ。


「ね♪」


確かに。

シュリたちのような、アムネスティガールズ。

訓練され選抜された彼女たちにとっては、技能と役割にふさわしい、あるいはそれ以上の扱いを受けられるわけだ。


日本であれば基本、蔑まれるしね。

明治以降に持ち込まれ、戦後普及したキリスト教価値観の弊害か。


管理するのは非合法ゆえに商品扱いしかしない犯罪者。

見下した目で全否定することを救出だと勘違いしている慈善家。




アムネスティが売春合法化を推進し始めたのは、問題を解決するためだっていうしな。



制度的には合法化すれば解決するのだろう。

労働基本権が認められ給与や健康維持、就職退職の自由、などなど。

犯罪組織も大きな財源を失って、問題はなくなる。


が。

偏見だけはなくならないだろうしね。

それがゆえに続くのだろう。


害意無しに人を死に追いやる善意が。



それなら、アムネスティが目指す理想が実現するのは、異世界で、なのかね?


というか、気になることが一つ。


「部下はどうだ」


失礼なことしてないだろーなおい。


すぐに苦情が来ると思うが、アムネスティガールズ到着後、司令官の俺が煮詰まっていたからな。

スルーされてたらまずい。


曹長がいるし、軍法会議判事の権限を持つ監察官の神父、部隊のメンタルケア担当に勝手に俺が決めている坊さんがいるし。


処置するとは思うけどね?


「だいじょーぶ♪♪♪

司令官閣下サマが見本ですから、ってね♪♪♪♪」


見本見せたくても見せられないんですけど

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




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