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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第五章「征西/冊封体制」

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生存順位/Life or Death.

【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。軍政官なのでいつも陸上自衛隊制服(常服)着用。元々訓練以外で戦闘服を着たことがない。



【登場人物/三人称】


地球側呼称《三佐》

現地側呼称《青龍の公女》

?歳/女性

:陸上自衛隊三佐、国際連合軍事参謀委員会参謀、WHO防疫部隊班長、他いろいろな肩書を持つ。日本の政権与党を支配する幹事長の娘で、父親と連携して戦争指導に暗躍している。


軍務や任務、作戦目的への影響について、懸念や配慮が一切存在しません。

考慮や留意の上で放棄ないし無視しているのではなく、自覚がないわけでも認知できないのでもありません。

一貫して、完全に、認識していないのではないかと推測されます。

この分析結果は、収集画像音声データ並びに部隊行動に対する偵察情報に基づきました。


よって、該当人物に関して以下の如く報告いたします。


――――――――――軍人、兵士、将校として不適格。



※追記:上記判定を当部署でも確認。現状で求め得る理想的な結果であることを承認しプランC継続に賛同します。




【太守府/王城/王乃間/国際連合統治軍軍政司令部】


俺が、出会い頭、第一印象、開幕冒頭でやってしまった、元カノにやらかされてしまった西の山。


その後すぐ、俺が真っ先にやったこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つまり半月前にやったことだが。


子供たちにピクニックを予定通りに楽しませ、予定時刻に軍政司令部帰還した。

何もかも手遅れになってから、慌てて帰っても仕方ないだろう?


その時、俺の留守中王城(軍政司令部)には曹長が詰めている。曹長は偵察ユニットの情報を、当然に共有している。

さらに坊さんだっているし、港街の黒騎団指揮所とも連携可能。


事後収拾になにがしかの事前準備が必要ならば、残っている皆が設え始めてるのは疑いない。

そこに俺は必要ない。


俺の役目は方針を決めることだしね。

よってシスターズ&Colorfulと1日遊ぶ、遊ばせるお約束。

それを破る理由は無い

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・手遅れにしない為ならともかくな。


一度しでかした事をごまかす。


その方針を定めるのに時間など無意味。

よって、すぐに考え始めて子供や隊員たちを不安にさせるようなことはしなかった。

将校たるもの砲爆撃下にても伏せざるべし

――――――――――とはこういうことだ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と訓練キャンプで習った。


なお、いくら死んでも代わりはいるから、安心して吹き飛ばされろ、とかなんとか

――――――――――字義通りかよ!!!!!!!!!!



代わりがいなくなるような国は戦争なんかするな、とまあ、嫌な仕事である。


だが、なにもしないわけには、いかない。

具体的な手順やら手法やらは丸投げ出来る、都合がいい部下に恵まれているが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何を目指すか判らなければ、何を丸投げしていいかもわからない。


投げられる方も困るよね。

判る。

解るわ~。



もちろん、俺が人知れずに唸り悩み煩悶し自問無答を繰り返しているのだ。

――――――――――回答をくれても良いんだよ?


チラッチラッ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今日も、まだ、答えがやってこない。


オカシイナ

――――――――――ミンナキガツイテナイノカナ――――――――――??????????



だからまず、仕方がないから、必要な事を書き出したのだ。

まあディスプレイにタイプしてるわけだが。


それは今、目の前にある。

削除してないし、解決してないからだが。


必須事項。



1、シスターズの安全。

2、Colorfulの安全。



次は

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、元カノはいいや。

自分で自分を護るだろう。


表現はアレだが

――――――――――冷たいわけではない。


普段から冷たくCoolな俺だが

・・・・・・・・・・・・・・・だよね?

・・・・・・・・・・・・・・・この点については、違う。



俺はお呼びじゃないだけだ。

ジョークの質の話じゃない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よね?



つまり!!!!!!!!!!


あの元カノを護れる奴なんか人類じゃない。

筋力、狙撃、銃剣術、拳打

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・個々の能力で元カノを上回るのなら、別に珍しくない。

地球でも、異世界でも、だ。


指揮官として優秀でも、直卒の部隊が精強でも、限界だらけだ。


俺より限界の上限が高いだけで、要は人間、地球人、単なる女だ。

直接戦闘力で言えば、良く鍛えてあるが、それだけ。


アスリートのような、将来に渡って死ぬまで障害が残るような、異常な負荷はかけていない。


まあ、俺が止めたんだが。

普通、友達なら止めるよね。

一時的なリミッター解除で生涯の不自由を喰らうなら、安全安心なドーピングがいくらでもある。


元カノは国連軍に派遣されてからは、専属トレーナー(マメシバ三尉)に処方されてるくらいだ。

だがそれでも、筋肉や骨格の機能や耐久性には上限がある。


地球人類として、モンゴロイドとして、現代日本人として、女として。


最新のドーピングは、そんな上限を超えて体を壊すシロモノではない。上限自体を、ゆっくりと上昇させて維持するもの。


だからまだ、俺の身体数値が上回る部分もあるだろう。

身体機能の数字だけ、は。


ただそんな細かい話は抜きに、殺し合いで考えれば、最後に生き残っているのはアイツだ。


戦闘に特化して時々穴掘りするドワーフを、銃床で殴りつける。

魔法以前に忍者かってくらい俊敏なエルフを、ひっつかまえて首を絞める。

俺たち自衛官とは桁違いに実戦経験が豊富な、地球異世界両人類戦士の腹を蹴り上げる。


精強な兵士たちを従えているのは、腕力じゃない。

――――――――――精神力だ。



絶対に折れない意志。

逃げて隠れて盾にして、付け狙い闇討ちをかけ寝込みを襲う。

どんな強敵に当たっても、絶対に逃げ延びて絶対に舞い戻る。


故に元カノの安全は保障出来る

――――――――――誰でもなく、あいつ自身が。




俺にはとても真似することなど考えられない。


逃げたら逃げただけ。

隠れたら隠れるだけ。

それすら途中であきらめる。


それが、俺。


正直に敬意を払う

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・尊敬はしないが。


こんな言い方は、普通の感性を持つ者には悪口かもしれない。

そんな扱いを嫌がる者もいるだろう。


だが、安心してほしい。

アイツが俺の批評を聞いたら、ドヤ顔でまとわりついてくるだろう。

今までの例から見て、俺のまわりを10回以上は周回するにちがいない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誉められたくて。


俺が無視して、あいつが撫でろ!!!!!!!!!!

と叫んで詰め寄ってくるまでがテンプレ。



――――――――――次だ次。

余計なこと考えてないでささっと、必要事項を書きだして作戦目標を決めなけりゃならん。


・・・・・・・・・・・・・・・・よし、できた。


1、シスターズの安全。

2、Colorfulの安全。

3、部下の安全

4、この邦(現地ドワーフを含む)の安全。


さて、必須事項はこんなもんなのだが

――――――――――どうする?




【某所】


半月前と半月後。


「バカの考え休むに似たり」


ディスプレイに現れては消える文字。


何をしているかと言えば、眺めているだけ。

何をしているとは言わないが、国際連合軍が支給している電子機器はすべてつながっているということだ。


軍政部隊保有戦力のファイルが開く。


歩兵11名(下士官、衛生兵含む)。

軽装甲戦闘車一台。

弾薬他は山ほど。

併せて増強普通科分隊ひとつ。


コレが基礎戦力。

弾薬リストは開こうとしないようだ。


三佐は少し苦笑。


寝椅子から眺める。眺めるだけ。


〈太守府展開戦力〉

と文字が打たれた。


〈チヌーク〉

軍政部隊への対地支援担当。チヌーク二機が王城にいる。いまは、だ。


〈施設科は撤退済み〉

部下の耳目が正常だと知って微笑む三佐。


三佐の手の内にある様々な作戦。

それと悟られぬように開示してあるもの。

開示以前に、それ自体を国際連合のデータベースに登録していないもの。


後者の一つは

――――――――――この邦で三佐が何をしているのか、だ。


それを探ること自体はたやすい。

まったく非開示の情報でも、五感が正常なら判ること。書類を現実より優先させるのは、官僚だけで十分だから。


とはいえ、世の中は三佐に易しい。

隠し事が大好きな、三佐を喜ばせるために生まれてきた連中が溢れている。

そんな連中から隠れるのは、とっても簡単

――――――――――――――――――書類に書かず、検索にヒットしない、それだけで非存在になれるほど。




数日前まで太守府王城に駐留していたが、記録はされない陸上自衛隊施設科部隊。

主に偽札工場を建設するついでに王城を改造したり、太守府郊外の城を黒旗団駐屯地として改装するついでにイロイロしたり。さらに様々な場所であれやこれやしたり。


任務完了につき、撤退。


彼らを指揮していたのは三佐。

許可も報告も連携も、軍政部隊とはまったく関わらせなかった。

王城のはずれにある、空き家になっていた騎士用の宿舎に、施設科部隊は駐留。

広大な王城に、わずか十数名の軍政部隊は、王城中心部に駐留。


接触しないのは容易だし、互いの隊員たちも分別があったのだろう。

――――――――――三佐に逆らうな、関わるな、と。


地球人の眼を塞ぐのは、それで十分。

いつもの手口。




とはいえ、現地住民の耳目に触れない訳がない。


宿舎こそ立ち入り禁止、作業中も接触制限。

それでも、大勢の奉公人が出入りして立ち働く王城という場所。

常に誰かが、どこかで見ている。

それは夜も昼もない。


本来であれば、中世の夜は暗闇だけではなく、事実上、死の時間。

それは存在しない時間だ。


だが、一月前からはそうではない。

この邦の、王城に限っては。

半月前からは港街も。


軍政部隊進駐後、照明の導入で昼夜の概念が無くなったからだ。



むしろ、暗くない夜に衝撃を受けたからこそ、夜に眠らない奉公人は増えている。執事長にメイド長が、就寝時間を強制し昼夜シフトをつくったくらいに。


それが夜昼問わない監視網を作り上げた。


赤外線や光増幅やレーダー照射に頼ることなく。

監視カメラも偵察ユニットも哨戒気球もなく。

自白剤も軍令も暗黙の了解すらない。


夜昼問わずに奉公人達が見ている情報は、メイド長が軍政司令官に伝える。


着替えを手伝おうとして果たせない、少女たちを見守りながら。

少女たちの給仕を待たない、その様子を確かめながら。


時折、BGMのように間をつなぐ会話に紛れて直裁に。

ちょくちょく、周りの少女に囁きかけて。


様々な形で耳に入れられている。


(よし♪よし♪)


結果、王城内部で軍政司令官の耳に入らない事はない。

施設科のことだけではなく、三佐自身も王城では常に視線を感じていたくらい。


では、王城の外側は?



参事会、というより、参事の有力者たちが注進に及ぶ。彼らの耳は長くはない、が、なかなか工夫されている。

それは二人の人物、その背後にある古典的な組織。



野心的で参事会を牛耳り始めた海運商。

軍政司令官に取り入ろうとしている、様子はない。会話を聴いていると、あからさまに探りを入れている。あるいは、特定の情報を聴かせようとしている。

――――――――――ようだ。


というのは、三佐自身にはこの邦の情勢を把握する気が無いからだ。


よって記録を見ても、詳しい意図を特定する下地がない。印象以上の事を把握しまとめて報告するのは、別に担当者がいる。

だからまあ、間違いはないのだろう。


国連軍の力を利用して利益を、というよりも、軍政司令官の行動に巻き込まれないように、という意味での情報操作。


(お気の毒ね~)


さらに重要なのは、参事会の最有力者。

軍政司令官を児童性愛者に堕とすべく、日夜工夫を怠らない童女。

※現代先進国視点


(なんて名前だったかしら)




政治家の父と違い、興味のある点だけしか覚えない三佐。


投票用紙に名前を書いて貰わねばならぬ。

その為には自分の名前を覚えて貰わねばならぬ。

その為には相手の名前を覚えぉかなくてはならぬ。


――――――――――最初から、家を継がない前提で育てられた、三佐他の子供たちには関係ない。


が、多かれ少なかれ影響を受けた兄弟は、なぜか皆、自衛官になってそれを役立てている。

娘の三佐は、一番影響が少なかったので、鬼子を自称。


父娘が一致しているのは、趣味と公務が完全に一致。

それだけ。




その三佐の中では、部下の軍政司令官周りにはべる名無し童女、の父親。

それが参事会最有力者なのだけれど。


その将来的に義理の父親か外戚になりそうな人物が、軍政司令官に、この邦の情勢を知らせている。

怨み恨み怒り憎しみをたぎらせながら。


愛娘を引きはがせない、とは認めがたいが、安全に過ごさせるためなのだろう。

軍政司令官が下手な事を重ねたら、愛娘に危険が迫る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、思っているからだろう。



家族思い?

中世準拠の世界に置いて特殊に過ぎる、だから、調べさせたけれど

――――――――――それが動機で間違いない、ようだった。


まったく、時代錯誤も甚だしい、中世以前の世界に全く合わない、現代的なメンタリティ。



よくも適合していない世界で生き残っているものではある。

そんな良質な情報源が、なぜ出来たのかは判る。

どのように出来たのかは、さっぱり判らない。



三佐は部下のディスプレイを観察しながら考える。

いや、考えをもてあそぶ。



作戦地域の現地情報について、現地にて精度の高い情報網を造った部隊はそれなりにある。

国際連合軍が異世界を侵略する任務を持っているのだから当然だし、地球社会と違って倫理的な制限がないのだからやりやすい。


地球人、日本列島のみとなった地球社会を監視するシステムはいくつもある。

日本の官僚機構は警察や自衛隊上層部に命令し、経済界を利権で釣り上げ、マスコミを使役して造られた監視弾圧システムを温存したままだ。

日本の政治家たちは在日諸外国民を取り込んで、自分たちの党組織と融合させることで合法非合法な対政府運動を複数立ち上げている。その最たるものが国際連合だろう。

そして国連軍内部に同種の非公然ネットワークを持っているのが、三佐。


地球人をもって地球人を監視し、異世界人をもって異世界人を監視し、地球人が異世界人を監視する。



しかし、三佐が知る限り、つまり国際連合が知る範囲で、はない

――――――――――異世界人を使って、地球人、国連軍を監視する。


この邦に出現したのは、現地住民を使って国連軍の動きまで含む地球人全体を監視するシステム。まだまだこの邦、と言う範囲ではあるけれど、ソレが汎用化できない理由も

――――――――――――――――――――また、ない。


類似の例をあえて探すならば?

帝国は国連軍内部への浸透を重視して、住民の利用は外部監視程度。

まあ国連軍は物理的に現地住民と離れているからだけど。


現象として見れば、異世界人が地球人の監視をしている。

――――――――――――――――――――異世界人、帝国の為に。



三佐は口元を綻ばせた。


(類例があるかしら)


――――――――――敵性住民を利用した対味方諜報組織。


(うんうん。すごい♪すごい♪

――――――――――――――――――――だけど、無意味)



報告を斜め読みする限り、軍政司令官には情報がはっきりとは、伝わっていない。特に使いようによっては役にたつ、貴重な現地情報が聴かれるだけで終わっている。


なにしろ軍政司令官の現地認識も三佐と大差がない。


貴重な情報を生かせる下地がない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(サボり魔め)

と思う三佐。



占領初期で多忙なのは確かだが、暇になってもやりはすまい。

アレはそういう人間だ。

それが三佐の評価。



過重労働を強いられて、自然に手抜きで対抗してるのか?

興味のあること以外はスルーする、単なる人格的偏向か?


三佐はディスプレイを閉じた。

部下のパソコン、その画面を確認記録解析。


それは礼によって、別な部署がやっている。


ダミーデータの中に紛れて、三佐の息がかかってはいるが、書類上は管理下に無い部署が。

いずれ知らせが来るだろう

――――――――――詰んだ、詰むとき、その前に。


(それはそれは、愉しいものになるでしょう♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪)



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