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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第一章「進駐軍/精神年齢十二歳」

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17/1003

宗教裁判(仏式)



一人でもできる!ドラゴンハント!


用意するもの。

1、7.62mm小銃(自動式ならOK!)

2、M47 Dragon(FGM-148 JavelinなんてCoolじゃないね!!)

3、スモークかスタングレネード(M18、M84でもOK)


用意は整ったかな?

OK!


一番大切なことは、『ドラゴンが生き物』だってこと。

なら、12.7mmじゃダメな理由がわかるよね?


『痛みに弱い』ってこと。


鱗を貫いちゃ逃げちゃうだろ?

あれで、あの図体で、結構速い。

よほど恵まれたフィールドじゃなきゃ、バイクやHMMWVじゃ追いつけないぜ?


その点、7.62mmならOK!

いや、痛がるけどね。

それ以下じゃあ気が付かれない可能性があるしね。

ちょーど、注意をひきつけるのにぴったりなんだ。

いや、臆病(チキン)もいるかもだけど、ドラゴンハントでチキンはパスだ!


火炎はどーでもいい。

君も見たろ?

射程がせいぜい100m。頑張って200。

しかも炎!

ほんとーに炎!

アハッハッー・・・・・いや、夢を見てたんだよ、うん。


手順はもう見えるよね。

あたりゃいーんだから、小銃の最大射程でバラまこう。

適当に当てたら銃を埃が付かないところに置こう。

M47のほうのドラゴンのコントローラーに持ちかえる。

こっちくるから、ドン!!

いっちょあがり!!


とはなかなかいかないんだな~。

ドラゴンのすっげえとこは、図体&飛ぶ!

つまり、質量急接近は怖い!

結構死なない!

逃げ足早い!


ってこと。


慣れないと冷静に対処できないから、事前に部隊戦闘で大きさに慣れとこうね。


最悪なのはもう一つ!


一撃で仕留めないと逃げられてEND!

二度と近くに来てくれない。


一人でやる!

ってことにこだわると、避けられないよね。


でもまあ、それもアリじゃないかな。

こっちのドラゴンの腕を磨き、設置場所を工夫するとか、それはそれで燃えるだろ?


さらにさらに。

こっちが一人なのに相手が複数だったら?

スモーク焚いてとんずら。

一発かまして追い散らすのもいい。

でも、ゲームはあきらめないとね。


さあ!ブラザー!Let’s hunt!




ああ、そうそう。

UNEP(国際連合環境計画)が個人的なドラゴンハントを禁止してるって言いうの忘れてタわー!


ネリマの連中がさ?やっちゃったじゃん。

野生のドラゴンを敵と勘違いして・・・ってやつ。

まあ、よくあるけど、その後がいけないよね~。


鶏肉っぽいってか、イグアナっぽい、てか。

帝国軍用とちがって人は食ってないらしいけどね。

火山が近かったからって、温泉卵はないわ~。

ふつーオムレツだよね?


《Stars and Stripes/米軍機関紙/コラム『big game』》




【王乃間/別室/ソファ】


HO―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!



俺は思い出す。

いや、いつも心の片隅に置いている。


すべて遠きあの日。

猫と暮らしたことがあるかな?


なら解る。


温かく、肉付きは良いわけではないが柔らかく、どこかしなやかな、そして重い。

胸から肩、首周りにまといつかれる。身じろぎすると、爪をたてられる。

動くな。

雄弁な命令。

まあ、仕方ないよね。


陽光。


微睡みの中、すべてを包み込む輝き。金色がこれほど優しく暖かく、薫り高いものだとは思わなかった。

・・・思わなかったのだから、イメージではなく・・・夢でもない?


金糸をかき分けて傍らの時計を見た。無骨な支給品は現地時間に調整済み。

起床時刻の5分前。いつも通りだ。

柔らかな感触を確かめた。

幼い頃、から、一人暮らしになるまで、よくあった感触。

猫に乗られて目覚めた時のような安らぎ。

腕は痺れているが。

うん、親になればこんな気分なのだろう。


・・・いや、俺に娘はいない。

第一、俺の娘ならこんなにコーカソイドな訳がない。

仮に万一金髪碧眼な嫁を三次元ナマモノで貰っても、嫁側の特質が娘に表れる訳がない。

金髪は劣性遺伝子だし。

故に、娘ではない、確率が高い。


腕枕で寝こけているこの子は。

誰だったかな・・・いや、まあ、ソレどころじゃないか。


「開廷!!!!!」


厳粛な面持ちの神父。

・・・まるで聖職者みたいだな。


瞑想中(?)の坊さんみたいな係長のような坊さん。

眼が座っている魔女っ子シスターズのエルフっ子。

涙目は魔女っ子シスターズのお嬢。

ほんわか微笑むメイド長さん。

曹長は扉の外で張り番か。


まあいい。


良くないのは・・・胸元にすがりつく、この子は・・・魔女っ子か。

子供の体温は高いな~。肌着一枚だからよくわかる。うん、子供だからね。

上目使いは困惑と怯えかな。

おはよう!起きてるね。

素直に認めよう。

子供が相手じゃなかったらヤバかったね。つまり今はヤバくない。間違いなく。


だが、しかし、無性に、空を飛びたくなるのは何故だろう。




【王乃間/別室/中央】


あたくしは、何故に、御領主様のお部屋にたたずんでいるのでしょうか。


朝のお仕事は、指示しなくとも、大半は進みます。

でも、新しい御領主様に合わせて指示すべきこともございます。

手順が決まるまでは、より忙しいのですけれど。


「OK!OK!怒らないから、オネストプリーズ」


ご領主様は魔法使いのお嬢様を軽く抱きながら、道化さんを見ているような、見ていないような。


「アンダスタン?」

手を打つ道化さん。

「ジョージの方のワシントンいわく、チェリーブロッサム!バーニング!!ファイヤー!ME!!」


乱暴な方ですねぇ。


「するとエブリバディHEADDOWNノー!アイ・コンタクト!!」


無法者ですねぇ。


「アンダスタン?」


道化さんは目頭を抑えて・・・嘆いて・・・泣いてる?


「仔羊よ!怒らないから正直に話しなさい。昨夜の同衾、あからさまにフリーに事細かに!that’s right!」


御領主様を指差しました。

・・・ドーキン、どうきん、同衾・・・えぇ!でも!少しお若い気が!アリなんですか!微笑ましいお二人ですが・・・ダメ?アリ?

でも聞くのはダメですよね!!!




【王乃間/別室/ソファ】


あー、つまり。


「福音書13章666項!いわく」


長いなおい。


「YES!ロリータ!Full!Touch!」


違うだろ!!悪魔の福音書か!


「SHIT!改訂済みでした?」


聞くなよ!改訂するんか!!


「福音書も聖○も時代に合わせてこその世界征服・・・世界宗教ね」


アブねーよ!


「American Psychiatric Association(アメリカ精神医学会)DSM-IVいわく!」


おい!


「汝、幼女に欲情するも姦淫する事無かれ。実妹などもっての他である」


ビシィ!と指差す。・・・というか魔法少女が怯えてしがみついてるんだが。


「さあ!レコーディング!」


はぁ?


「昨夜のアレとナニとソレと・・・みんな話しなさい!Harry!Harry!Harry!」


血走ってる。


「まあまあ」


坊さんが止める。

まあ、さすがにみんな退いてるし。


「OK!」

あっさり退く神父。

「エブリバディ」


背をみせ皆に振り返る。


「Cooldown!Cooldown!」


お前がな。


「ミナサン目蓋Down!薄目明けてる子はいないかな~~~~~~~~~~~~~~OK!」


またメイドさんに襲いかかったら殺そう。


「インコウした人は手を頭の後ろにクンでください」


チラッチラッ。

見てるよ。あくまでも俺を犯罪者にしたいようだな・・・いや、もっと禍々しい・・・魔女っ子を見てる?


「優しくしてもらいましたか?be gentile?イキナリ!シット!嫉妬!Shit!!」


おい。


「袈!!!!!!」


一喝。


エルフ娘は鞘に収め、俺は銃口を上に。

背後の魔法少女が暖かい。

神父は気がついていないようだ・・・目が跳んでる。


一喝で皆が冷静になった。俺もだ。

坊さん(係長)が前に出て、俺と皆の間に入る。


「皆さん」

静かな坊主の声。


「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」

誰が?


「あるがままにあれかし」

えーと、つまり?


俺に振り向いた。

いや、視線が背後にも向いている。


「拙僧、あなたたちを信じておりますとも」


お?


「御仏は煩悩を、あるがままの罪を見守ってくださいます」


おぃ!信じてないだろ!!


「あなたたちなら必ず立ち直れます」


罪人認定か!


「なにもおっしゃいますな」


・・・もういいよ。




【王乃間/別室/中央】


わたくし気が気じゃありません。

それでも、青龍の方々を押しのけるほどの身分ではなく。


「ここは若い二人に任せましょう」


青龍の僧侶が皆を見渡します。

わたくしは唇をかみしめました。

ご領主さまが立ち上がり、手をふられます。

王の間に続く扉が開き、騎士長さまが皆を外に。


「湯浴みを」


あの娘にシーツを被せたご領主様は、メイド長に命じねえ様の肩を叩いた。

ねえ様は肩をすくめ、騎士長さまがご領主さまを見た。


「朝食まで部屋を借りるわ」

ご領主さまは頷き、わたくしたちを残しお二人で部屋を後にされました。




【王乃間/別室/中央】


あたしは肩をすくめて振り返る。


「ねえ様!」

不調面の妹分。

「ふ!ふみゅ~!?」

頬を摘むと心地いい。

「ねへひゃは!」


あたしは無視。もう一人の妹分、あの娘を促した。


「服を着なさい」

とはいっても、寝る時の肌着なだけなんだけどね。

あたしから逃れた妹分が慌ててかけよる。


「大丈夫?痛くない?今日は休みなさい。ご領主さまも許して・・・」

「なんにもされてないわよ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――静寂。


「あたしは一晩中見てたしね」


キョトンとするあの娘。

振り向き、真っ赤になる妹分。

最高に、楽しい。

楽しい楽しい瞬間。


「・・・え゛」

「?」

あの娘は無視。

「だから、性こ「ワー!ワー!」してないってば」


「どーゆうことですか!!!!!」


昨夜。

青龍の貴族は「先に寝ろ」と言ったがあの娘が断固固辞。

夜中、貴族が寝ようとする。

あの娘が「側から離れるべきではない」と懇願。

貴族が折れ「二人で寝ろ」と自室のベッドを指し、さっさとソファーへ。

あの娘は「隅でけっこうです」と強く固辞したが「命じる」で沈黙。

湯浴み後、部屋に戻ると貴族就寝済み。

あの娘とあたしはベッドへ。

夜中、目を覚ました?あの娘は一度部屋をでて水を飲み、ふたたび・・・ソファーへ。

就寝。

見守っているうちに朝になり、道化が叫ぶ。


今ココ。


「なんで言わないんですかーー!!!」


顔を真っ赤にして叫ぶ。羞恥6、怒り2、安堵1、かな。


「この娘がお嫁にいく時に困るんですよ!」


あたしの悪戯心が騒ぐ。


「青龍に貰ってもらえば良いでしょう」

「冗談はそれくらいにしてください!!!」


涙目。マズいか。あの娘が困ったように微笑む。


「あの・・・わたしはご主人様のものですから」

「お黙りなさい!!!!!!!」


意味分かってない。


「え、どう」

「まだ早いから!」


あの娘の二つ上でしょーが。


「はぁ・・・なら、その時に教えてください」


もう着替え終わったようだ。

はぁはぁふぅー!はぁはぁふぅー!

妹分は胸に手をあてて息を整えた。


「教えてあげようか?二人に?」


あたしは思い切り作り声。


「・・・」

ジト眼。

あたしは唇を動かした。そして妹分はため息。


「・・・もうご領主さまのお食事が始まりますから」

あの娘を促して部屋を出た。


あたしは肩の力を抜いた。あたしたちの会話は青龍に筒抜けだろうし。

ただの悪ふざけ、で通るだろう。




今はこれでいい。


帝国が滅ぼされる過程で後、噴き出した妬み嫉み。


下級役人、帝国兵の遺族、解放された捕虜、帝国と親しかったと思われた人々。

帝国支配下の属領民、農奴、戦災難民達が一斉に敵意を向ける。


『帝国を打ち破った青龍』

が眼にも留めなかった帝国の残滓を

『帝国に平伏した人々』

が責め立てる。


追い立て、

奪い、

吊す。

青龍に制圧された大陸東部、青龍の軍主力が進む大陸中央ではそれが始まっていた。


いつものことだ。


帝国に征される前は『帝国の犬』と罵って魔女を吊した。

帝国に征された後は『帝国の敵』と嘲り巫女を吊した。


勝敗が決まれば誰に何を言われなくともやることが決まっている。

いずこも同じ。もちろん、この地も。


青龍の貴族や騎士は、差し出すモノを持たない連中が隣人の首を差し出しても興味を示さないだろう。


(邪魔、と感じれば無言で皆殺しにするかもしれないけど)


あの娘は青龍が認めた代表。

青龍の庇護化にある。

だがそれを知らない、理解出来ない連中が、『青龍に取り入る為』に襲う可能性は高い。


帝国時代は貴族扱いされた魔法使い。

そういう立場だ。


愚か者が、その巻き添えで街が、青龍の怒りで砕かれてもかまわない。

だがそれで取り返しがつく訳じゃない。


その為にあの娘には貴族と一緒にいたほうがいい。


青龍の貴族と「個人的に親密」と思わせた方が有力者達も『あの娘の保護』に必死になる。

青龍の騎士達も主君のそばに侍るあの娘(よそ者)を受け入れやすくなるだろう。




【王乃間/大テーブル/窓際】


俺は朝食をとりながら予定を確認する。

太守府確保打電済み。昼には資材空輸が始まる。


「力仕事に30名、城勤めで足りるか」

「お任せください」


執事長が頷いた。

城の設備備品確認は一週間予定。明後日からは施設隊がソーラーパネル他と一緒に到着する。


「一週間は毎日動員する。資材搬入が優先だ」

「承りました。他の雑事の為に人を使ってもようございますか」


普段、下男がやっている仕事を減らし、執事も動員するがやや足りない、という。

なら本格的な作業は午後からか。


「城勤めの身内ばかりを使います」

身元は確認できる、ということだ。

俺はうなずいた。

いや、パンが口に入っていたからね。


「畏れながらご領主様」


主人役(俺)がリードしない、する気がない、ために互いの会話すら最小限にして黙々と食事していた参事達。

一番若い参事が発言した。


「私どもからもお手伝いを出せますが」

ふむ。


「任せる」


執事長に○投げ。

少し時間が取れそうかな。


「NO!NO!NO!」

神父。

「ゲストにはPlease help yourself!」


怪訝な皆。俺は無視。いや、慣れだよ慣れ。


「ミナサンは今日からお城で暮らしていたたきマース!」


沈黙。俺はよくわからずチーズをかじった。


「ジェネラル・バトラー」

指された執事長がかしこまる。

「ゲストがファイブ、タワーもファイブ、割り振り。OK?」


執事長は俺をみて、頷いた。

何を思った。

っていうかナニゴト?


「IN/OUTフリー、テイクインOK!ドリームタワーにようこそ!!」




【王乃間/大テーブル/戸口側


僕は感心した。昨夜「泊まっていくように」と配慮を示され、もちろん誰も断れなかったが、布石だったとは。


金と物の流れが人の営み。

太守領の物と金を掌握する商人たち。

商人たちをまとめた参事会。

参事会を支配する有力参事。


だから帝国は参事会を監視する事が統治と考えていた。徴税権や河川森林の管理権貸出で参事会を太守府の下請けにもしていた。


青龍はその程度で済ませる気はない。

われわれ五大商家を統治組織そのものにするつもりだ。


城で青龍と同居すれば見張りより始末に悪い。

利害がまとまらない大商人同士。互いに牽制し疑心暗鬼にかられる・・・青龍の前で。


当主を城に置いたまま商売の実務を自宅に置く?無理だ。それは実権を手放すのと同じ。当主が引退を覚悟して初めて出来る。


これからは居留守も怠業も書類操作も、商人が一番得意とする駆け引きが通じなくなる。

武力で挑むなら中枢に出入り自由は好都合だろうが、青龍相手では瞬殺されるだけだ。


人も物も出入り自由なら『表向き』家業に差し障りもない。

口実無しに断れば不興では済むまい。

そもそもわれわれ5人はご領主様の慈悲で罪を忘れられている身だ。

街中がそれを知っている。

いつ処刑されても誰一人不信には思うまい。


断る理由がつかない。道化の言葉に頷いたご領主様が執事長に指示。


「ゲストの為にも人を手配しておくように」


絶対に断れない。遠慮もできない。


持ち込みも出入りも自由。

条件を逆手に取り与えられた部屋を身内で固める・・・のが無理になった。

これで城仕えの者達が五大家当主の私室を自由に行き来してしまうのだ。

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