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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第五章「征西/冊封体制」

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玉手箱/Pandora’s Box

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。

今日はピクニックに合わせて緑のエプロンドレス。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。

今日はピクニックに合わせて赤いエプロンドレス。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様/愛娘》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。

今日はピクニックに合わせて青のエプロンドレス。

少しフリル増量。

色を国連旗の青に寄せて抜け駆けを狙う。


悪魔おらねばみな困る。

神しか赦さぬ身になれば、人の立つ瀬がありやせぬ。


神父様のお話し

――――――――――――――――――――悪魔をなぜ「祓う」の?





【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族/左側】


わたくしは、睨みつけてしまいました。

わたくしたちが愛を込めて、一流の料理長の技術とあの娘の経験を結晶させ、ご領主様に楽しんでいただいてますのに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お酒?


ドワーフを見れば、あの独特なドワーフ料理を思わずにはいられません。


わたくしも大好きですし、邦を手にされたご領主様にも是非味わっていただかなければ、とも思います。しかして、わたくしたちがお料理を出す時に、ドワーフがうろつくなんて。


人魚を活け作りにしようとした、黒旗団のドワーフさんなら、敵ではありませんのに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・奇をてらいすぎるけど、基本的な味付けは、お上手なのよね。


学ぶところは多いわ

――――――――――じゃなくて、問題はしゃしゃり出てきた、西の山のドワーフどもよ!!!!


うちのドワーフさんたちみたいに、後ろに下がってニコニコしていればいいのに!!!!!!


わたくし、たちがご領主様と、いえ、ご領主様に改めてお伝えしている最中に!!!!

割り込むなんて!!!!!!



――――――――――あら、いけません。


ご領主様を支える、女としてあしらうべき、お客様ですのに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご領主様が、招いてしま、いえ、招いた以上。


わたくし、たちが、一日を過ごす予定でしたのに。


ご領主様はいつもいつもお忙しいわ。

傍らにご一緒させていただいているけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・時々、見ていただける、わたくしたち。


だといいますのに

――――――――――社交辞令と考えずにのこのこやって来るなんて。


ま、ご領主様は、わたくし、たちの料理に向いてくださいましたが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そこで、お酒をだしますか!!!!!!!!!!


お酒

――――――――――わたくしたちには、届かない世界。


ねえ様は嗜まれますが。

さすがに、造るわけには

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いけません。


煽られて、敵の望む戦場を選ぶなど、愚の骨頂。


きょーかんの言われる通り

――――――――――――――――――――料理は愛。


ならば、ドワーフなどには負けません!

絶対にわたくし、たちがドワーフ料理を越えて魅せますわ!




【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット】


「ほう」


俺を覗き込み面白そうに笑うドワーフ、の戦士長。

酒を我慢しているのが見え透いているかな?


「酒は酒だけ、メシはメシだけ、女は女だけ、か」


ボンっと音がしそうなほど、魔女っ子にお嬢が赤くなる。

もしやと思わず振り返った俺は、たぶん、悪くない。


例えば背後で耳を逆立てた赤面エルフっ子と視線が合っても。


照れる時まで仲いーな、シスターズ。

俺はとりあえず、愛想笑い。


しかるのちに、前に向き直る。


背中をポカポカ叩かれた。

なぜだ。

――――――――――間が悪かった気は、する。


ちょっと責任を取ってもらおうか、ドワーフの戦士長。

あれだよ。

子供扱いで拗ねるけど、大人扱いで照れる、微妙なお年頃なんだよ。


「なら、後だ、な」


あっさりよ身をかわす、ドワーフの戦士長。

緊急事態を招いたまま、事態を改善せずに、酒壷を前に置いた。


――――――――――大人の対応だな。


ドワーフが非社交的ってのは俗説じゃないか?

黒旗団のドワーフは馴れ馴れしさで出来ているし。

あれは異常な例外としても、目の前にいるドワーフの戦士長のスキルはどうよ?

しくじって女の子たちを刺激しても動じず、見知らぬ俺に流れるように酒を進める。


見知らぬ相手を罵倒して、見知らに相手に酒を奨め、都合が悪いことはスルー。

――――――――――デキる社会人だ、これは。


メモメモ。

俺もできるようにならないとな。


ドワーフの戦士長は俺に奨めた酒壺から自分の碗に一杯注ぎ、飲み干す。

そんあ俺の葛藤をスルーして、ドワーフの戦士長は別の、自分の傍らの瓶から酒を汲み、のみはじめる。


毒味、してくれたのかな?


意図はどうあれ毒味済み。

その酒壷は、わざわざ身を乗り出して、俺の手前に置いてくれた。ちょっと減ってしまった失望を、顔に出さない俺。

毒見して見せるというのはこの世界、というか時代、では重要な儀礼だったはず。現代でも同じ盃を回したり、同じ瓶から酌み交わすことで親交を深めるのは、この名残だ。


ところで差し出された酒壺。

俺に突き出されたのだから、もらっても良いよね?


なお国連統治軍の規定では、儀礼の範囲に置いて饗応を個人的に交換することは認められている。

この場合なら、食事と酒の交換。

まあ、妥当なところだ。


いや、国連軍ってより魔女っ子たちが用意した食事ですけどね?

輸送や調理の便宜を図っているのは俺じゃなくて部隊ですけどね?


軍政官の地位に在る者は、代表して受け取っていいのですよ。

それを国連軍全体で分配するなんてありえないし、儀礼の範囲であれば軍に提出する必要もない。



あとで映像記録を審査されるけどね。

自動取得される戦闘データ、バイタルチェッカーの情報だから事務的な手間はかからない。自分で申告するか監察官が伝えればその時のデータが自動的に抜き出されている。


・・・・・・・・・・・・・誰も何も言わなくても、抜き出されるかもしれない。

UNはアナタを見ている!!!


まあ、夜中に訪ねてくるMPの腕章をつけた人の事は忘れよう。WHOの腕章をつけた人なら思い出してはいけない。

俺ほどの達人になると、自由に忘れることができるようになろうとしているのだよ。


というわけで、国連軍における贈答の扱いでした。

俺の仕事が増えないなら問題ない。

一言で済むね。


俺たち側に問題がないなら、これが俺個人で受け取っていいものかどうかって話だが。皆さんでのんでください、ってのもありそうだ。


一応、ドワーフの戦士長に確認。


言い回しを間違えると、相手の感情を害してしまう。

問い掛けはまずいだろうな。

相手を疑う姿勢を見せたら友好関係どころじゃない。


既に差し出された酒壺は俺の手の内に在る。

いつのまに!

受け渡し後、なら、受領確認、ならば穏便にいけるか?


「――――――――――俺のものだ」


ちょっと、いやしい気もしなくもない。

ちょっとじゃないって?


ドワーフは悪い笑い。

まあ、バカにされるのは、警戒されるよりいいよね。


だがしかし、戦士長。

俺と魔女っ娘、俺とお嬢、俺とエルフっ子、さらにさらにColorfulを繰り返し見やがった!!!


羞恥プレイか!!

子どもに告げ口か!!!

俺のイメージを傷つけるとは!!!!


いえいえ、酒は嗜む程度。

いやいや、ほんと。

マジマジ、信じて。


国連軍大尉は動揺しない。

俺はみんなの頼れる大人。

動揺しなければそれで通る。


たぶん。


手を握ってくる魔女っ娘、お嬢

・・・・・・・・・・・動揺が見えるな。


お酒くさーい、とか言われるのか?言われたことないけど、言われたらショックでかそう。


しっかり二人の手を握り返して動揺を抑える。

主に俺の。


「これは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よほど惚れ込んでいるな」


おや?

好意的反応。

話が酒に移ったな。



からかっているであろうことは、なんとなくわかってはいたが。

俺に恥をかかせたことで、満足したらしい。


むしろ、俺が酒に執着して見せたことで、プラスの効果があったのかもしれん。

自分と同じモノが好きな相手、酒と俺。


まあ、嬉しいよね。


俺は造り手じゃないし、酒好きなんかいくらでもいるだろう。それでも同じ何かが好きな相手に出会うと、それだけで嬉しくなる。

もしかしたら、このドワーフが造った酒なのかもしれない。


造り手の心は、いつでもなんでもおんなじだ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って聴いた。


お世辞なら殺されるが、本当に気に入られたら嬉しい。

それは言葉を使わなくても、解る、らしい。


――――――――――イケる!!!!!!!!!!


魔女っ子のようなセールスポイントがない俺だが、酒の話題なら大丈夫。


他人と飯を食っても緊張するだけ。

酒をのむと打ち解けられる。

場合がある。


むしろ大人な俺にしか出来ないよね?

初めて役にたってないか、俺??????????


ドワーフの戦士長は続けた。


「全部、貴様のモノだ。時間も譲ろう。たっぷりと味わうといい

――――――――――今は困るがな」


よし!

ドワーフ酒ゲット!!!!!!!!!!

イベントアイテムか?


今はのめない勤務中の俺に、嬉しい配慮まで。

ドワーフの懸念に応える俺。


「ああ、今夜、ゆっくり味わうさ」


まずはストレート。

せっかくだからツマミも用意して、いや、本が音楽がいいかな?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まず、一舐めして・・・・・・・・・・・・」


アレルギー反応の有無を確認し

――――――――――っと、つい、言ってしまった。


「「ふゃや」」


シスターズの小さい二人が、俺に倒れ込んだ。

背中が柔らかく重い。

三人目まで倒れ込んだか。


たいへん重量感のある二つの

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あーはいはい。


エルフっ子がオーバーひーとしたらしい。


マメシバ三尉が元カノを制する様は、カウガール。

爆笑するドワーフたち。

うちもよそも、まったくドワーフはドワーフだ。

みな兄弟。


ついでに魔女っ子とも仲良くしてください。

触らない範囲で。

女の子だからね。


なんか頭を抱えて笑う(?)Colorful。


ずっこけなくていいんじゃないかな。


Colorfulのリアクションは、確かに良いが、楽しいが。

だがくじけない。


俺は酒を諦めない!!!!!!!!!!



――――――――――いやいやいやいや、久しぶりの酒だからね?


多少は暴走したけどね?

拠点を離れたオール軍務中の将校は飲酒禁止だから。


駐屯地の大部隊と違って、遠隔地孤立作戦中の小部隊指揮官に休暇はない。待機時間はあるが、特別手当てが出る作戦時間とカウントされているくらいだ。


指揮官割増付き。

まあ、緊急時に俺が役に立つとは思えんが。


拠点、つまり王城に帰って代理指揮官、つまり三佐が居れば初めて酒をのめる。


三佐は俺の上官だから、代理資格があるのだよ。

国連統治軍少佐。

主な任務は異世界住民の無力化

――――――――――虐殺するだけじゃないよ?


たまに虐殺させたりもする。


え?

WHOはどうした?

ハッハッハッもちろん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三佐はWHO防疫作戦班長でもある。


主な仕事は地球人(と関わった異世界人も含む)の消毒。

消毒の結果、死ぬが、それは目的じゃない。


病原体保有者、その可能性がある者を消毒してるだけ。

生体は病原体の培養基に等しい。

特に人体は、人間に対して一番危険な病原体に対する、最高の培養基兼散布装置。


一片も残すことは出来ない。

別に死ななくてもいいのだが、物理的な存在が消えると人間は

――――――――――死ぬ。



大変残念です、と三佐は言う。


他に軍事参謀委員会参謀、政権与党異世界支部支部長、最低7ヶ国以上の外交特使、国際連合事務局長代理、などなど肩書きも言い分も各種取り揃えている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、誰の上司にもなれるわけだ。


俺にとって重要なのは、良くも悪くも俺の上司ってこと。

たまには良い意味で活用しないと。


ちなみに元カノは軍事参謀委員会直轄特別教導旅団指揮官、大尉相当の陸上自衛隊一尉。

指揮系統が違うから、俺と名目上は同格でも 代理指揮官にはなれない。


なんだかんだと実質指揮は頼んでいるが、戦闘中作戦中のどさくさ紛れ。


非常時じゃなきゃやりにくい。


貸しを創るのはかまわない。

弱みを掴まれるのは危険なのだ。


つまり、三佐に頼むのが貸し。

元カノに投げたのを三佐に見られて記録されるのが、弱み。


危険が何かは考えたくもないですよはい。




【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族/右側】


わ、わたしは、いしきをたもつのが、たいへん、でした。

ついつい、あたまが、からだが、ひ、ひきよせられて



「――――――――――ぬしと殺りあうは誉れよの」


戦士長さんは豪快に笑いながら、ご主人様とお話中。わたしは肢体中に緊張がはしりました。


「わしなら酒、女、食い物、戦、一気にひとまとめじゃが」


あの、あの、あの。


「一つ一つ、足先からつま先まで楽しむ趣向、悪からず」


え?

ええ?

えええ?


「いきなり頭を抑えにきよったよって、侮辱と思うたが」


そんなそんな!!

ご主人様はそんな方じゃありません!!!

侮辱する前に滅ぼしちゃいます!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。


「斬りつけるもよし、殴りかかるもよし、取り決めるもよし」


じゃ、じゃあ、話し合いでおさまりますね?


「ぬしは化け物じゃな」


は??????????


「殺し合う前に、腹を割っておこうとは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のみ、くい、女を見せびらかして」


あぅあぅあぅ。


「聴いたこともない、ので、気に入った!!!!!!!!!!」


わたしは、ご主人様を見あげ、西の山のドワーフさんの一番大きい方を見ます。

交互に見ても、何が何だか???


「戦じゃ!!!!!!!!!」


なぜにどうしてですか~~~~~~~~~~?

死んじゃいやです~~~~~~~~~~。


「見知っておればこそ殺し甲斐がある。土産とやらも、それじゃろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・尻尾をふらぬと確かめたな」


ご、ご、ご主人さま!知ってますけど、意地悪です!

よそのドワーフさんたちが引っかからなくてよかったです!


――――――――――わたしはしょっちゅう、ご主人様の誘いに飛び込んで

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恥ずかしいことにされてますけど。

いじわる、です。


「わしらを見極めて、安心したか?」



「貴様のモノには傷一つ、つけん」


????


「女共には手を出すな、そう言いたいんじゃろう。嫌いな敵のモノなら焼いて割いて捨ててやるが、貴様のモノは守ってやる」


また、わたし、たちを守る為に、時間と場所まで浪費なさって!!!!!!!!!!




【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット】


俺には大変非常によくわからない評価を受けておりますが、とりあえず、シスターズ&Colorfulの安全は確保は来たようです。


作戦成功!!

・・・・・・・・・・・後は、俺も守ってくれるとうれしいです。


いや、放置でもいいんですが。

目の前、1m圏内で斧が俺に届く範囲。

標準サイズでも成人地球人をお手玉するようなドワーフの、キングサイズがガハハと笑う笑う。


死ぬな、俺。


死ぬな!俺!!


俺はとりあえず、言葉を返す。

意味もなく言葉を返して、その時間で論理を組み立てる。

言い切らず、話ながら考え、言葉を、会話を、話し合いを続ける

――――――――――主導権を取り戻す。


「俺もきらいでは」




【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族/後ろ】


「なかった、のだがな」


あたしは、凍りついた。

意識は、彼、青龍の貴族の眼に。

肢体は、視線は、背けてしまった。


――――――――――耐えられない。


青龍の貴族、その瞳から失われた色。

興味を無くした、その瞳は、あたしに向けられたものじゃない。


それは、ドワーフの戦士長に向けられた、いや、向けられなくなった、

ソレ。


固まった戦士長は、何も理解出来ていない。


ただ、感じていた。

戦士長が、ドワーフが最も敏感な、振動。


あたしも遅れて気がついた。

地の底、高い大地の、深くを伝わり抜けて来た震え。


あたしの目に映った戦士長の、後ろにいる西の山のドワーフたちの、その背後の山々各所から溢れだしたドロリとした煙。


青龍が使役する毒の獣。






――――――――――煙獣――――――――――





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